【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

「バックマン」と呼ばれる西田賢司 =075=

2019-04-30 06:16:50 | 浪漫紀行・漫遊之譜

〇◎ 命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇

= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者” 西田賢司 =

【この企画はWebナショジオ_“「コスタリカ 昆虫中心生活」” に追記・補講し、転載した】

 中米コスタリカで新種の昆虫を見つけまくる男! 「バックマン」

曰く 『昆虫は、僕たちに自然の変化を教えてくれる一番身近な存在です』

◇◆ =075= モンテベルデの植物の多様さに腰を抜かす ◆◇

 モンテベルデの熱帯雲霧林は観光地であるとともに、学生や研究者たちが集まる場所でもある。モンテベルデの自然や生きものたちに惹かれ、やって来て、長期にわたり調査をしている人たちも多い。そのうちのひとりが、ぼくというわけだ。

  そんな人たちを対象に実施された「モンテベルデの植物の分類学」の短期コースの授業を先週受けた。今回は、授業中に撮影した写真を交え、学んだことやモンテベルデの植物の多様性について思っていることを綴ってみよう。

  授業はモンテベルデの町周辺の森4カ所で、約15科の植物を学ぶ野外中心のトレーニング形式。講師はコスタリカの植物のガイド本の著者でもあるウィロー・ズコウスキー。モンテベルデ在住の学者仲間のひとりだ。

  最初の授業は、小高い丘の上にあるモンテベルデ研究所の森。モンテベルデのコミュニティーが1985年に立ち上げた機関だ。そばをよく通るが、実際にそこまで行ったことがなかった。丘の研究所への道を50メートルほど上ると、ステキな建物が! 授業用の教室だそうで、ひと目で気に入ってしまった!

モンテ-2

  さて、参加者は大学生から年配の方々まで幅広い。いろんな植物についての質問が飛び交う中、ぼくが昆虫の専門ということを知ってか、みんなから昆虫の質問がこちらに寄せられる。楽しい!「このナス科の花にたくさん訪れている小さい虫はハエですか、ハチですか?」「これは虫コブですか?どんな昆虫がつくったんですか?」・・・などなど。植物の授業なのに、なぜ虫の質問? 理由は簡単。

  植物をじっくり見ていくと、昆虫たちの存在に気づかずにはいられないのだ。植物に昆虫は付きもの!

  だから、昆虫を飼育し、研究するぼくは植物のこともよく知らないといけない。実際ぼくの部屋には昆虫の専門書より、植物の専門書のほうがたくさんある(笑)。

  下の表を見てほしい。なんとコスタリカは、植物の多様性密度が世界で最も高い。種数はブラジルやコロンビアが圧倒的に多いのだが、面積当たりの種数で見ると、コスタリカがズバ抜けている。オモシロイことに、日本も密度はブラジルより高い!

モンテ-3

  コスタリカのような熱帯の生物多様性は熱帯雨林のジャングルに集中していて、それが熱帯雨林の特徴のひとつでもあると、一般的に考えられている。ぼくも同じ考えだった。

 ところが、モンテベルデの標高1500メートルの雲霧林に2年前に移り住んでから、モンテベルデの植物についてある疑問を持ち始めた。不思議なことに植物の多様性が、思っていたよりも高いような気がするのだ。

  家の周りには似たようで違う植物が所狭しと生えていて、まだ名前の付いていない新種の植物がそこら辺に生えているのである。熱帯雨林にも調査に行くが、やはりモンテベルデのほうがいろいろな植物を目にする気がする。

  まさか、モンテベルデの植物の多様性が、低地の熱帯雨林(たとえばコスタリカのサラピキ地方)の多様性よりも高いはずがない・・・と、疑いつつもウィロー先生に聞いてみることにした。

  ウィロー先生からは驚きの答えが返ってきた。「シダ植物と種子植物を合わせた数について言うと、サラピキ地方の低地の熱帯雨林からは、約2000種が記録されていて、モンテベルデからは約3000種。モンテベルデのほうが、多様性が高いのですよ」

モンテ-4

 「わちゃ~! え? やっぱり!!」 薄々感じつつも、これにはビックリ仰天!

 ランの多様性はモンテベルデの地域がコスタリカの中で一番高いということを第88回でお伝えしたが、まさか植物全体でも高かったとは、度肝を抜かれた。

  コスタリカの生物多様性が高い理由は、熱帯雨林だけでなく、雲霧林にもあることを再認識させられた。

 目から鱗のぼくは、「ん~、これはますますモンテベルデの植物について学ぶ必要が出てきたな~。こりゃ、モンテベルデの昆虫の多様性も濃いはずや・・・」と思わずにはいられなかった。

 モンテベルデ! ますます面白くなってきた!

モンテ-5

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 今週のピソちゃん ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 授業を受けていたモンテベルデ在住のデヴさん(手前の青いリュックのかた)は、クスノキ科の木々に詳しい。デヴさんが「この木は、何歳ですか?」という質問に答えているところ。「この木はオコテア(Ocotea)で、ちょっとここは暗いかな~、1歳・・・5歳ぐらいかな」

そんな中、後ろの方にオスのピソちゃんがゴソゴソしながら登場。みんなは、植物の授業に集中。ぼくはピソちゃんの動画を撮るのに必死(笑)。ヒゲ鳥の鳴き声が「ビッ!」と響き渡る、こどものじゃんぐるのバホ・デル・ティグレにて。

 動画:植物の野外授業にやってきたピソちゃん(ハナジロハナグマ) ; https://youtu.be/Tn2h1LLVnDQ

Ӂ  「嫌われ者」の蛾に対する思い」  Ӂ

蛾-1

  ぼくが専門としている昆虫は、チョウとガ。特に虫こぶを形成するガの仲間を研究しているのだが・・・みなさんご存知でしたか? チョウとガは同じ鱗翅目の仲間だ。コスタリカの公用語のスペイン語ではどちらもマリポサ(mariposa)と呼ばれ、特にガは「夜のチョウ(mariposa nocturna)」などとも呼ばれる。

 さて、日本やアメリカ、コスタリカでもこの時期はガが多い! それに合わせ、毎年7月下旬にナショナル・モス・ウィーク*(=蛾を愛でる週)として世界各国でイベントなどが開催されている。 今年は18日から26日だ。そこで今回は連載100回を記念すべく、ぼくの好きなガを紹介していこう。

  ガと言えば、明かりにやってくる虫の代表ではないだろうか? 夜中、白いシーツを張って灯火採集をしていると一目瞭然、ガの数が圧倒的! 実は小さなハエの仲間も多いのだが、目に見えないほど小さいので目立たない。「我らが夜の虫!」というぐらいアピールをしているのがガなのだ。 現在ぼくが研究のために自宅で飼育している昆虫たちは、全部で40種ほど。 その半分以上をガが占める(うち7種は虫こぶを形成するガの仲間)。

蛾-2

  ガを飼育すると言っても、生態を研究するぼくが飼っているのはイモムシやキャタピラーと呼ばれる幼虫たち。部屋の中に吊り下げてある飼育袋からは、ムシャムシャと葉を噛む音、ポロポロと糞が落ちる音が響いてくる。 この連載で紹介した「ゴリラのようなガのサナギ」カレハガは、この時期、右の写真のように我が家に勝手に入ってきて、マユをつくったりする。 そしてぼくは新種かもしれないこのガを観察し、生態を調べる。つまり家自体が飼育袋の役割を果たしている(笑)。

  つい最近まで飼育していたプロスィサナ(Prothysana)というカイコガの仲間の幼虫《写真参照》。 一部の毛が、鱗(ウロコ)のように平らになっていて、飾りをつけているように見える。 正面から見ると、こんな感じだ。 移動するときの動きが、少しカクカクしているので、愛嬌倍増!(下に動画があるので、どうぞご覧ください)。 この幼虫について調べてみると、どうやらこれも新種。 しばらくすると下のようなマユをつくってサナギになる。 マユは15ミリほどの卵形で、表面に鱗(ウロコ)状の毛がちりばめられていた。

蛾-3

  しかし、その後マユから出てきたのは、ガではなく、寄生バチのヒメバチの一種だった。 すでにガの幼虫はヒメバチに寄生されていたのである。 マユをつくった直後、幼虫はヒメバチの幼虫に食い尽くされてしまい、マユの中でサナギになったのは、ヒメバチだったのだ。 野外で採集した幼虫たちがほかの生物に寄生されているのは、ごく当たり前のこと。 寄生バチのデータを得ることは、生態系を理解するために大切なことだ。

 動画:プロスィサナの一種(カイコガ上科:Apatelodidae科)の幼虫の動き ; https://youtu.be/S5jveWXTvHk 

 昆虫の中でもガは、一般的に嫌われ者の役割を負わされている。 ぼくの「ガ目線」で、これまでそう感じてきた。 特に体長1センチ以下の小さなガは、分類学者の間でも、相手にする人は少ない。 残念ながら、のけ者にされがちだ。まだ名前(学名)の付いていない小さなガは、日本にもまだまだたくさんいるのが現状である。 でも、みんながあまりやらないことに興味を示すぼくは、そんな小さなガに惹かれる。 小さければ小さいほど面白い!

 今振り返ると、小学校時代は、転校生がやってくるたびに、スグに転校生と仲良くなっていた。 のけ者ということではないが、はぐれて一人でいる転校生を見ると、仲良くなりたいという気持ちが自然と湧き出ていたのだろう。 人々にあまり相手にされないガを研究する気持ちと、どこかつながりがあるのだと思う。

蛾-4

  「のけ者」にされている小さなガの仲間に、ホソマイコガがある。 この写真は、今飼育している、ホソマイコガの一種で、体長は4.5ミリ。これ以上大きくはならない。 これも新種だ。 論文発表に向け、生態を詳しく調べているところ。  マユの色は時間が経つにつれ、茶色くなる。 サナギはマユから半分ほど飛び出して、そこから成虫(ガ)が羽化する。マユの外、左下にあるのは、幼虫の脱皮殻。

 コスタリカに生息するホソマイコガの仲間は、高山地帯の標高3000メートル付近でよく確認されていたので、もっぱら高山特有の昆虫だと思い込んでいた。 ところが先日、標高1500メートルのここモンテベルデ、しかも家の周りでホソマイコガに出会った。 意外と低いところにいることには、まだビックリさせられている。でも近所で見つかったことで研究がしやすくなった。 嬉しい!

蛾-5

 ・・・・・つづく

 

_ 地球そして生命の誕生と進化 【増補版】 _

・・・・・・ https://youtu.be/INFpLsBhqfo ・・・・・・

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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「バックマン」と呼ばれる西田賢司 =074=

2019-04-28 06:07:48 | 浪漫紀行・漫遊之譜

〇◎ 命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇

= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者” 西田賢司 =

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 中米コスタリカで新種の昆虫を見つけまくる男! 「バックマン」

曰く 『昆虫は、僕たちに自然の変化を教えてくれる一番身近な存在です』

◇◆ =074= カミキリムシ、直径5㎝もの枝を切る理由は? ◆◇

 モンテベルデに雨季が到来! 緑がいっぺんに濃くなり、目にする昆虫たちの数もど~んと増えた。 午前中、太陽の強い光が注ぎ始めると、キラキラした小さないろんなハムシが葉の上に顔を出し、透明のスカシマダラチョウが花に蜜を吸いにやってくる。 夜になるとたくさんの甲虫や蛾が、照明のもとにやってくる。

  そんな中、最近よく見かけるのがカミキリムシの仲間。愛好家に比較的人気のある昆虫だ。 先週のこと、昼間に家の周りの林道を30メートルほど往復しただけで、4~5種のカミキリムシを目にし、そのうちの3種を採集できた。 ということで、今回は採集できた種も含めカミキリムシをピックアップ。

カミキリムシ-2

  数年前から、学者仲間でカミキリムシの専門家のGino Nearns博士とIan Swift博士の調査を手伝うようになった。カミキリムシを見つけたら採集し、エタノールにつけて保存しておいて、彼らがコスタリカに来たときに渡したり、ほかにも、カミキリムシが切り落とした枝を拾い集めたりもしている。 枝を集める理由はのちほど説明するとして、まずは先週見つけたカミキリムシを紹介しよう。

カミキリムシ-3

  先週見つけたカミキリムシ全部がハチに擬態しているように見えた。 ハチに擬態しているカミキリムシはそう珍しくないのだが、今回写真を撮っていてビックリさせられたのが、このカミキリの大胆な真似っぷりだ。 トガリヒメバチという寄生蜂の仲間にそっくり!

 まず、翅を広げたところをよく見てほしい(上)。黒く縁取られた短い前翅があるが、なんとこれが透明なのである! カミキリムシで前翅がここまで透明というのは、そうないと思う。さらに後翅も見てほしい。 先の方に黒い部分(縁紋)がある! 透明な翅に黒い縁紋というヒメバチの特徴をしっかりと「完備」しているのである!

  ひとつ明らかに違うのは、ヒメバチの縁紋は前翅にあるのに対し、このカミキリムシの縁紋は後翅にあるということだ。でも飛んでいれば似ていること間違いなしだろう。

カミキリムシ-4

  昨年の9月以来、森の中や庭を歩いていて、カミキリムシに咬み切られた枝を見つけては拾い集め、それを飼育している。

  「枝を飼育している」とは変と思われるかもしれない。 正確に言うと、枝に産みつけられたカミキリムシの卵を、枝ごと飼育しているのである。あるグループのカミキリムシのメスは強力なアゴで枝を咬み切り、切った枝に卵を産む習性があるということをNearns博士に教わったからだ。

  今年の1月~3月にかけて、咬み切られた木の枝が家の周りで30本ほど見つかった(次の写真の矢印)。

カミキリムシ-5

  枝の長さは30~70センチで、枝の直径は約1センチ。 切り口は案外滑らかで、周辺から中央にかけて少~し盛り上がっている(次の写真)。 でも枝を咬み切っている最中のメスには、まだ一度も出会っていない。

  現在、枝をメッシュネットのかごに入れて飼育している(次の写真)。 枝から細かく白い木くずのような糞が排泄されているので、おそらく幼虫が枝の中を食べ進んでいるのだろう。 いったいどんなカミキリムシが出てくるのか? 新種の可能性もあるので楽しみだ!

  カミキリムシの同定はGino Nearns博士とIan Swift博士にお願いしました。 Nearns博士が管理されているカミキリムシ関連サイトは cerambycids.com です。 ぼくが撮影したカミキリムシの写真も掲載されています。

カミキリムシ-6

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 今週のピソちゃん ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

ピソー

 Ӂ テナガカミキリは豪華飛行船(食事付き)だった Ӂ

カミキリムシ-7

 前回紹介した翅の透明なカミキリムシに続いて、今回は世界のカミキリムシの中で一番長い前脚を持っているテナガカミキリを紹介しよう(第54回でも少し紹介しました)! このテナガカミキリは、メキシコ南部から南米のアルゼンチン北部まで生息していて、テナガコガネの仲間と並び、世界一長い前脚を持っている甲虫のひとつだ。

  オスの体長は50ミリほどなのに対し、前脚の長さはなんと80ミリ。どう見ても不釣合いだ。 文献によると前脚が150ミリになるものもいるそうだ。 メスの前脚はオスのものと比べると短めだが、それでも長い。 体を持つと、頭と前胸を上下に振ってギイギイと摩擦音を発生させる。 カミキリムシの多くがよくするしぐさなのだが、ほかのものに比べると低音で違和感がある。 ぜんまい仕掛けのぜんまいの音に似ていて、生きているのに「おもちゃ」のように思えるからかもしれない(笑)。

  ところでどうしてこんなに前脚が長いのだろうか。

カミキリムシ-8

 1992年に発表された論文によると、テナガカミキリのメスは朽ち始めたばかりの特定の木(イチジク科とキョウチクトウ科)に産卵する。 このとき、オスの長~い前脚が役に立つそうだ。オスは、前脚を使ってメスが産卵する場所を確保したり、産卵中のメスを守ろうとしたり・・・、長い前脚を広げてオス同士の取っ組み合いが始まる。ちなみに、長い前脚を持つオスのほうが有利だとのこと(参考文献:Zeh, D., Zeh, J. & Tavakilian, G. 1992. Sexual selection and sexual dimorphism in the harlequin beetle Acrocinus longimanus)。

   さて、テナガカミキリを観察していると、この昆虫の体の上を歩く小さなサソリのような生きものがいた。 カニムシの仲間だ! 前脚がカニのように長いのが特徴のクモ綱の節足動物で、大きさは3ミリ程度。

 カニムシは、テナガカミキリを移動手段、いわば乗りものとして使っているという。テナガカミキリの幼虫は朽木を食べるので、成虫は子孫を残すために朽木から朽木へと移動する。カニムシも朽木の中や周りにすんでいる。だから朽木から朽木へ移動するテナガカミキリに乗ることで長距離の移動が可能になる。

  テナガカミキリの背中をよく見ると、小さなビー玉入れのようなくぼみ(凹点)がたくさんあることに気づいた。  しかもそのくぼみにはなんと、ビーズのようなオレンジ色のダニ(トゲダニ)が1匹ずつピシッと収まっているではないか! トゲダニをアクセサリーとして装うために用意された穴としか思えない。昆虫探偵の血が騒ぐ。

カミキリムシ-9

  テナガカミキリの翅を広げてみると、写真のように胴の上にカニムシがいた。胴部が受け皿のようになっていて、後翅との間にカニムシが乗ることができる隙間があるようだ。

 さらに調べると、どうやらカニムシはテナガカミキリに乗って移動している間、このトゲダニを食料としているらしい。その上、テナガカミキリの体からは、このトゲダニの脱皮殻も見つかった。 トゲダニはテナガカミキリを住まいとしている感じだ。すなわち、テナガカミキリは、カニムシの食事となるトゲダニを体の上で飼っているとも言える。

  カニムシにとってテナガカミキリは、食事付きの快適な移動を提供してくれる豪華宇宙飛行船のような存在なのかもしれない。 テナガ宇宙飛行船に乗るカニムシ・・・乗って、飛んで、森の中を旅しているところを想像してみると、ワンダーな世界が広がっていく!

カミキリムシ-10

 ・・・・・つづく

_ 中米コスタリカ 熱帯の森 擬態昆虫大集合 驚きの変身術を見た _

・・・・・・ https://youtu.be/hWwcvIskGFI ・・・・・・

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「バックマン」と呼ばれる西田賢司 =073=

2019-04-26 05:55:50 | 浪漫紀行・漫遊之譜

〇◎ 命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇

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◇◆ =073= スベースロボット参上!? ◆◇

  昨年のちょうど今頃、2014年5月17日のこと。 灯火採集の光にやってきた昆虫の中に、オレンジと黒の小さな姿を見つけた。 体格のわりには、脚が太く長い! 静止している姿は映画やアニメに登場するスペースロボットのようだ。
採集して調べてみると、デガシラバエの仲間ということがわかった。  デガシラバエは、そう出会えるハエでない。 その名前の由来は、「出会い頭」でも、「出がらし」でもなく「出頭蝿」。頭部の額に当たる部分(前方上)が出ていて、そこから触角が突き出しているからだろう。

 でもこのハエ、ぼくには「出会い頭」バエのイメージが強い。  理由は、そのハエの生態にある。ミバエ上科という植物食のハエのグループのひとつなのだが、デガシラバエはコガネムシの成虫に寄生するという一風変わった生きかたをしている。

 デガシラバエのメスは、飛んでいる最中のコガネムシの背中(胴部の背面)に卵を産みつけるという。 翅を広げて露(あらわ)になった背中に産卵するわけだ。

  おそらくアクロバット的な動きでやりこなすのだろう。 コガネムシはデガシラバエに出会い頭にやられるというわけだ。デガシラバエの英名はScarab-killing fliesで、コガネムシ殺しバエとでもいったところ。「悪役」が似合いそうなその生態と姿かたちではあるが、コガネムシの数を制御する大切な役割を担っているのである。

  デガシラバエは世界中に分布していて、現在およそ370種が記載されている。 飼育された例はあまりなく、デガシラバエの多様性が高い熱帯地方でのその生態は、ほとんどわかっていないそうだ。

ジャガー1

 Ӂ ホンジュラスでジャガー調査を手伝ってみた Ӂ

  昆虫中心生活の連載は、おかげさまで5年目に突入しました。 いつもお世話になってます♪ これからもどうぞヨロシクお願いします! さて今回は中米のホンジュラスからお届けします。

  2015年4月22日、やってきたのはコスタリカのモンテベルデから北へ約650キロメートル、カリブ海に面したホンジュラス北部のラ・セイバという港町(人口は20万)。ここから少し山間へ入ったピコ・ボニート国立公園周辺で、旧友のジャガー調査の手伝いだ。

  ぼくがコスタリカ大学に在籍していたころの旧友、ホンジュラス出身のフランクリン・カスタニェーダは、2009年から動物保護団体パンセラ(Panthera, Inc.*)のジャガープログラムの仕事をしている。ジャガーが農地や果樹園、住宅地など人の営みのある環境をどれほど利用しているかを踏まえ、その移動範囲と通り道(回廊)について調べているのだ。

ジャガー2

  ジャガーは中米から南米にかけて広い範囲に生息しているが、その生息地は各地に点々と存在していて、それらを結ぶ「回廊」の認識や維持、再生プロジェクトが各地で進められている。今回の調査では、定点で自動撮影するカメラを使ってジャガーがどういう場所を通って移動しているのかを調べることがメインになる。

   さっそくピコ・ボニート国立公園とその周りにある果樹園一帯で調査開始! 風がほとんどなく、ムッとしていて、汗がじわじわと出てくる環境。下着などが知らないうちに汗でぬれている。 夕方前、少し涼しくなってから国立公園へと向かう林道沿いで定点自動(センサー)カメラを設置し始めた。

  ジャガーの調査とはいえ、歩いていると、どうしても昆虫や植物に目が行く。見たことのない虫こぶもあれば、見たことのあるようなツノゼミも(下)。 知っている植物も生えていたりするのだが、似ているようで違う種も生えている。脳がひっきりなしに反応し、理解しようとして頭の回転が高まる。耳慣れた虫たちの声や音は、ここちよく胸にしみるのだけど、聞いたことのないものには胸が躍る。

ジャガー3

  カメラの設置に同行していて、一つの疑問が浮かんだ。 ジャガーが通りそうもないのに、なぜ人が通る道にカメラを設置するのか?」  フランクリンに聞いてみた。 「ジャガーは長距離を移動するので歩きやすい場所を選ぶ。特にオスは林道を好んで歩くので林道沿いに定点カメラをしかけるんだ」。一方「メスは警戒心が強く、人が通る林道はあまり歩かない」とのこと。なるほど!

  さらにフランクリンはこう教えてくれた。「パイナップルやカカオ園の合間を縫うように細長い森がかろうじて残っている。ジャガーは山手の森から離れた低地の森へと移動する際に、こういった場所を利用しているのか?ということを今、重点的に調査しているんだ」

  フランクリンの話は続く。「いろんな意味でジャガーの調査で危険なのはジャガーではなく人間。ジャガーは人を警戒し、避けて、襲わないが、人は人を襲うことがある。また設置したカメラが盗まれることもあるので、カメラを設置する場所を慎重に決める必要があるんだ」

ジャガー4

  森の捕食動物の頂点ともいえるジャガー。この動物が豊かな森は、ふつう豊かな生態系が広がっている。ジャガーは豊かな生態系を「見守る役割」を担っていて、その象徴とも言えるだろう。 しかし、近年ジャガーの密猟、ジャガーが捕食する野生動物たちの密猟、そして生息環境の破壊などが原因でジャガーの数が減ってきている。

  民家の近くでは、ジャガーは牛や馬、羊などの家畜を襲うので住民たちとの問題が絶えないそうだ。でもこれまでの調査や研究で、どのようにすれば家畜をジャガーに襲われないようにできるかがわかってきているので、現地住民とのコミュニケーションと和解、そして教育が重要な鍵を握る。  「ジャガープログラムにおけるぼくの仕事の半分は、情報を人々から聞いたり、話をして人との繋がりを強化したり、政府と住民の間の対応の仲を持ったりすること」とフランクリンは言う。

ジャガー5

  ジャガーの通る道と人口20万の大きな町ラ・セイバが隣り合わせにあるユニークな場所。そこでの調査結果は、私たち人間にさまざまな問いを投げかけてくれることだろう。 ジャガーに直接は出会えなかったけど、ジャガーが歩く道を歩くことが出来たことで、人生にまた一段と熱が加わったような気がする。

ジャガー6

・・・・・つづく

_ Oropendola nests.MOV _

・・・・・・ https://youtu.be/LtwEH60dWzg ・・・・・・

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森のなかえ

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「バックマン」と呼ばれる西田賢司 =072=

2019-04-24 06:40:26 | 浪漫紀行・漫遊之譜

〇◎ 命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇 14p/赤・明朝

= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者” 西田賢司 =

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◇◆ =072= 「デカイ犬」と思ったら、野生のあの・・・・・ ◆◇

 モンテベルデの森は、だいぶ乾燥してきた。 雨量は減っていて、湿度が40%以下になることもある。 いっぽうで、多くの植物の新芽や若葉が展開し始めていて、どこか「日本の春」を感じさせられる季節でもある。 さて今回は最近ここのバイオロジカルステーションで、ちょっとした話題になっているイヌ科の哺乳動物を紹介しよう。鳴き声はよく聞くことがあるが、そう出会えない動物だ。

  2月のある夕暮れ前、モンテベルデの隣町サンタ・エレナで食材を買出しして戻って来たときのこと。 ステーションのデコボコ、ガタガタ道をゆっくりと車で走っていると、ステーション教員の自宅前の階段で、大きな犬がこちらを向いてお座りしていた。

  デカイ犬! 飼い始めたのか? 家の前でお留守番? と思ったが、よく見ると何か雰囲気が違う。 脚が長く、野生のオーラがあると言おうか・・・。

  カメラを持って、車から降りた。 もしかしてコヨーテか? ドキドキする。 コヨーテなら写真と動画で見たことがあるが(前記参照)、実際に見るのは初めてだ! 写真を撮りながら少しずつ近づいていくと、コヨーテらしき動物は警戒して歩き始めた。

コヨーテ-2

  でも、あまり遠くへ行こうとはしない。カメラを意識しつつも、ほかのことも気にかけているようだ。 メスかこどもたちが道の反対側で、待っているのだろうか? 10分ほどすると、何かをあきらめたかのように、森の中へとゆっくり歩き去った。

  長くこの辺りに住んでいるステーションのスタッフに写真を見せ「これは犬ではないよね?」と尋ねたところ、コヨーテだと教えてくれた。 大きいのでおそらくオスという。 コヨーテは、北米と中米に分布していて、コスタリカでは太平洋側の低地の乾燥林から中央を縦に走る高山地帯に生息している。

 動画:ピソちゃんの通せんぼ  https://youtu.be/fAOPaZxX0Uw

piso-

 動画:日向ぼっこピソちゃん  https://youtu.be/-ZDWiIeAEeQ

=そよ風の吹く晴れた朝、大きくなったこどもたちの群れが家の前の倒木の上で日向ぼっこをしている。 乾季でツツガムシやダニが多く、カイカイしているもの、じゃれ合っているもの、交尾をするようなしぐさをするものいる。 動画を撮っていると、上のほうから来た1頭がサッとジャンプ。通り過ぎていった。=

コヨーテ-3

 Ӂ 抜け殻が教えてくれた、あの昆虫の生きざま Ӂ

  3月半ばから強い風がおさまり、気温も徐々に上がり始めた。 1月に葉をすっかり落とした庭のコナラの木が勢いよく芽吹き、若葉を大きく広げている。 乾季の終盤にさしかかろうとしているこの時期、雨という雨も降っていないので、モンテベルデの道路沿いの土ぼこりがスゴイ!

昆虫-1

  それはさておき、今回は、ある抜け殻をきっかけに昆虫の生き様が解明されていくお話。 2月26日のお昼のことだ。コナラの木の葉の裏に、ツノゼミの抜け殻がついているのを見つけた。

  抜け殻があるということは、周辺にこのツノゼミの幼虫がいるかもしれない。 神経を研ぎ澄まし探していると、数十秒後、一瞬ドキッとして、その「ドキッ」が猛スピードで脳天を駆け抜けた。 おった~! スゴイわ、これは!(目が覚めるような感覚)

  幼虫が、新芽のつぼみを包んでいた芽鱗(茶色いウロコのような部分)になりきっている。 オモシロイ!(上の写真の中にいます。ぜひみなさんも探してみてください)   周辺の枝をもっと探してみると、さらに5匹見つけた。

昆虫-2

  その夜、もう一度コナラの枝を見に行ってみると、葉の裏に成虫がいた。 羽化したところなのだろうか? 色は茶色だが、以前見たことのある形をしている・・・あれ? これは、もしかして! なんとなく見覚えのあるその成虫を捕まえて、実体顕微鏡でよく観察してみた。

 見れば見るほど思い出すのは、前記の「これまで出会った中で一番印象的で、新種の可能性が高い」と紹介した、黒に水色の模様をもつツノゼミだ。 色は違うが「雰囲気」が似ている。 もしかして、この茶色いのはあのツノゼミのメスでは? と、交尾器を確認してみた。 でもオスだった。 ん~、やっぱりあの水色の模様が入ったものとは違うのか・・・

  そこで、コナラの枝に網をかぶせて、そこにいる幼虫たちを飼育してみることにした。 網の中を毎日のように確認していると、1匹、また1匹と成虫になっていく。 茶色に少しクリーム色の模様が入ったものや、ほぼ茶色一色のもの、全部メスだ。残る幼虫は2匹。

昆虫-3

  飼育を始めて3週間ぐらいたったころに、夕暮れ前いつものように網の中を覗いてみると、ん?  なんか青っぽいのが見えた気がした。 走って懐中電灯を取りにいき、網の中を照らしてみる。

 いた~~~~! あの水色の模様が入ったやつだ!! それも2匹!!  抜け殻と交尾器を確認してみる。 オスで、茶色いのと同じ種だ。やったで~♪

  水色のツノゼミとの再会で、いろんな情報が脳内でつながりスッキリ! 幼虫の形態や生態、成虫のツノに色や模様のバリエーションがあること、新種の可能性が低くなったことなどが判明した。 このツノゼミのおかげで最近はコナラの枝や葉をよく見るようになった。 つい先日も、また違うツノゼミの種の抜け殻を見つけたので、ワクワクは続くのである。

昆虫-4

 ・・・・・つづく

_ Best Of Del Mar - No.7 Costa Rica, Selected by DJ Maretimo _

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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「バックマン」と呼ばれる西田賢司 =071=

2019-04-22 06:01:48 | 浪漫紀行・漫遊之譜

〇◎ 命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎

= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者” 西田賢司 =

【この企画はWebナショジオ_“「コスタリカ 昆虫中心生活」” に追記・補講し、転載した】

 中米コスタリカで新種の昆虫を見つけまくる男! 「バックマン」

曰く 『昆虫は、僕たちに自然の変化を教えてくれる一番身近な存在です』

◇◆ =071= 女王に会いたい!軍隊アリ密着型レポート ◆◇

 前回、グンタイアリの襲来について書いたが、あれから1カ月ほどの間に我が家へ3度の襲来があった。 なぜなのか? まさにグンタイアリに翻弄される日々が続き、この連載の更新も遅らせることになってしまった。 恐縮だが、これが昆虫中心生活(笑)。 でも、おかげでグンタイアリについていろんな情報が得られ、写真や動画もたくさん撮影できた。 今回は、その1カ月近くにわたる「グンタイアリ完全密着レポート」。

  我が家にやってくるのは、グンタイアリの中で最も研究されているバーチェルグンタイアリ。 1カ所に巣を持たず、狩りをしながら移動を繰り返すことが知られている。 兵隊アリと働きアリたちは、木の洞(うろ)や、倒木の下で自ら鎖のように絡み合い、サッカーボール大からそれ以上の大きさの「野営の巣」を設け、そこから狩りに出かけては、戻ってくる。

アリ-2

  野営場所の移動頻度は、毎日のように移動する「放浪期間(約2週間)」と、移動せずに同じところに野営を設けたままにする「静止期間(約3週間)」がある。まるで遊牧民、あるいは「寅さん」のような生活だ。 しかし、ぼくはここモンテベルデで何度もバーチェルグンタイアリの隊列に出会っているが、まだ野営の巣の場所を確認できないでいた。 アリの隊列を追ってみても、いつも途中でわからなくなっていたのである。 アリに詳しいモンテベルデの学者に尋ねてみても、やはり見失ってしまうことが多いそうだ。

  ところが先日、ついに野営の場所を突き止めた。 おやつの時間(午後3時)ごろ、グンタイアリの隊列を観察していると、何やら違う方向へ向かう列ができ始めた。 よく見るとそこには、巣の中にいるべきサナギのマユや幼虫をくわえたものもいる。巣の引っ越しを始めた様子だ。

アリ-3

  どこからどこへ移動するのだろう? ぼくは木々の間をすり抜け、引っ越しの列を遡ると、あった! 大きな木の根元の土の中からウジャウジャ黒い物体が湧き出しているではないか。 ここが野営の巣の場所だ! 引っ越す前の野営の巣を見つけたので、今度は引っ越し先を探してみることにした。 枝分かれしたり、合流したりと、鉄道網のようになったアリの隊列に沿って進んでいくと、約70歩進んだところで列が消えた。 探してみると、地面に開いたいくつかの小さな穴へアリたちが分かれて入って行く。 ここが新しい野営の巣の場所なのだろう。 ぼくの家のスグそばだ。

 上の写真は新しい野営の巣のある直径が1~2センチの穴(矢印)を出入りするグンタイアリ。 引っ越しの翌日撮影した。 アリに詳しい学者は、木の根元に開いた穴を出入りしているのを一度だけ見たことがあるというが、地面に開いたこんな小さな穴の中に野営の巣を設けることは、あまり知られていない。 穴の奥の状態が気になるところだ。

  家の近くでグンタイアリが野営の巣を設けたのは確かで、こんな機会はそうないかもしれない。 次の引っ越しのときは、女王にお目にかかりたいものだ!大名行列のように、多くの従者(兵隊アリ)に囲まれ、塊で移動するということを耳にしている。 なんとかこの目で確かめねば。 ぼくは毎日ひたすら巣の穴と隊列を観察することにした。

アリ-4

  狩りの隊列は、我が家へと、隣のラボへと。。。 そんなときは、いつものようにしばらく家の外へ退散だ。 隣のラボには、体長約2センチのポリステスというアシナガバチがいくつもの塊を窓枠のすみに作って休んでいる。 乾燥して暑いこの時期の低地からモンテベルデに涼みにやって来ているのだろう。 ラボ内、全体で千匹はいるだろうか。

 でもそんなごちそうをグンタイアリが見逃がすはずがない。次々とアシナガバチは狩られていく。 壁際には、グンタイアリの塊ができていた。 アシナガバチを解体し、運び出そうとしているようだ。 夕方になるころ、ラボ内にはグンタイアリから逃れたアシナガバチが数頭飛んでいるだけだった。

アリ-5

  ぼくはラボで手を洗い、この日の観察を終えようと部屋に戻ろうとすると、狩りを終えた列のグンタイアリが床に落ちた水滴に集まってきている・・・? 顔を近づけてよく見てみると、水を飲んでいるではないか! 「お疲れさ~ん」と狩りの打ち上げでもしているのだろうか。 この光景を見ていると心が和らいだ。 小さな穴からハタラキアリたちや兵隊が狩りに出たり、獲物の食べカスを穴の外へ出しにやって来たり、巣の周りを飛び回ったり歩きまわったりするグンタイアリと関係を持つ小さな昆虫なども観察しつつ、野営の巣の引っ越しの日を待った。

  19日目の午後、またおやつの時間あたりから次の野営場所への引っ越しが始まった! おまけ <続・鰹だし>  グンタイアリが家の中を狩りした後、あの香りが! 家中に生臭い鰹だしの香りが漂っていたのである! グンタイアリのニオイだ。

アリ-6

 あれから、実験をしてみた。 10頭の生きたグンタイアリを小さなプラスチックの容器に入れて、軽く蓋をしておく。 数分後ニオイを嗅いでみると、薄い鰹だしの香りで、1日経つと、乾燥ポルチーニ(セップ)というヨーロッパのキノコの濃いニオイがした。 旨味成分の香りだ! ぼくの脳には、グンタイアリのニオイがしっかりとインプットされてしまった。 あと、隊列が通るところに削りかつお節をまぶしてみたが、少し触角で触れる程度で、これといった反応はなかった。

アリ-7

 女王の引っ越しを見てみたい!

  前回、グンタイアリの引っ越しに密着することで、そんな思いに火がついた。 グンタイアリ密着レポートのクライマックスである女王アリの移動に出会えるのか?  19日目 深夜の観察・・・・・・・前回の引っ越しから待つこと19日目。 野営の巣となっていた小さな穴からの引っ越しが始まった。 次の野営の巣の場所をたどってみると、アリの列はぼくの家のスグ目の前にある朽木と朽木の隙間、地下へと入っていく。 時間は午後3時。

 前回は、午前1時半まで引っ越しの様子を見届けたので、今回は深夜を狙うぞ! 仮眠をとり、夜中の1時半から女王が出てくるのを待つことにした。 ところがなかなか女王が出てくる気配がない。 ハタラキアリたちは、サナギをくわえてたんたんと移動するばかりだ。 そして午前4時、列の勢いがなくなり、出口周辺の兵隊アリの姿が消えた。 穴から出てくるアリの数も極端に減っている? どうやら女王は午前1時半までに移動をしていたようだ。 ん~残念!

アリ-8

  でもネバったおかげで、オモシロイものも見せてもらった。 列の最後尾、最後の最後に小さな穴から出てくるグンタイアリに、トゲダニが大量についていたのである。 歩くのもままならなく、よたよた、ふらふら、転げまわるものがたくさん! 列についていこうとするが、おいてけぼり状態だ。

  午前5時前、夜が明け始めた。 辺りがだいぶ明るくなってから、新しい野営の巣がある朽木の下を見に行った。隣に横たわっている木々や枝、土などを少し退けると、高さ30センチ、幅20センチ、奥行きが40センチほどの地下の空間にグンタイアリがビッシリ! 引っ越し当日ぐらいは朽木の下でおとなしくしているのだろうと思っていたら、とんでもなかった。

  午後4時、ぼくが家の前でイトトンボの写真を撮っていると、地面が動くように見えた。 幅4~5メートルはあろうか、グンタイアリがじゅうたんのように広がって、あの生臭い鰹だしのニオイと共に、こっちに迫って来た! 動画を撮影したので見てください。 それにしても休む間もなく狩りに出るとは、流石グンタイアリ!

アリ-9

 23日目 万全の態勢で・・・・・・・朽木の下の野営の巣からの狩りが4日間続いた午後、またもや午後3時ごろから引っ越しが始まった。 「よっし、今日こそは!」 家から延長コードを引っ張ってきて、クリップ式のデスクランプを野営の巣の場所の真上にセット。 懐中電灯やヘッドランプ、カメラのフラッシュの電池の充電などもしっかりと確認。

 動画①:わが家に迫るグンタイアリ : https://youtu.be/QJporrFdaVQ

 午後5時、明りを灯し、引っ越し元であるアリの巣を目の前に観察をスタートした。 午後6時過ぎ、辺りはもう暗い。気温は15℃を下回った。 辺りには生臭い鰹だしのニオイ。 巣の出口やアリの列の横には兵隊アリやハタラキアリの偵察隊が陣取り、やんわりと動いている。 ぼくの周辺にも何匹か偵察にやってきているので、咬まれて刺されないように注意だ。

  午後7時、変化が起き始めた。 引っ越しするアリの「川」の流れに逆らって、巣の出口へ向かう兵隊アリが増え始めたのである。 出口周辺が慌ただしくなってきた。

 動画②:グンタイアリの引っ越し : https://youtu.be/C98IjCSJfug 

 午後8時、出口に集結した兵隊アリと大型ハタラキアリのざわつきがさらに増し、同時にハタラキアリたちでできたトンネルが出口周辺に構築されつつあった。 落ち葉が道脇に落ちると近くのアリたちは一斉に反応し、落ち葉に襲いかかる。 何かが起こりそうな緊迫感が現場にみなぎっている。

  午後9時、大型ハタラキアリと兵隊が出口に形成した15センチほどの塊が、徐々に朽木の上の方(ぼくから遠ざかる方向)へと移動し始めた。 もしかするとこの中に女王が? 女王は見えないが、女王がいるに違いない!  塊のアリたち自体は落ちつきがなく、常にせわしなくしている。 でも塊自体の動くスピードは、動いていることさえわからないぐらいゆっくりだ。 そして、塊は、じわり、じわり、闇の中へ・・・。

  後日、コスタリカのアリの研究者のJack T. Longino博士に上の写真を見せて確認したところ、このアリの塊の中に女王がいたに違いないと教えてくれた。 グンタイアリについて博士に指導を仰ぎ、頻繁にメールで情報を交換する日が続いたこの1カ月であった。 女王を囲んだ塊を目にすることができ満足感はあるけど、いつか女王自体を見てみたいものだ。

アリ-10

・・・・・つづく

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「バックマン」と呼ばれる西田賢司 =070=

2019-04-20 06:16:31 | 浪漫紀行・漫遊之譜

〇◎ 命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇

= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者” 西田賢司 =

【この企画はWebナショジオ_“「コスタリカ 昆虫中心生活」” に追記・補講し、転載した】

 中米コスタリカで新種の昆虫を見つけまくる男! 「バックマン」

曰く 『昆虫は、僕たちに自然の変化を教えてくれる一番身近な存在です』

◇◆ =070= 番外編・新種ツノゼミの名は “傷ついた葉・西田” ◆◇

   ツノゼミ研究者のMatt Wallace博士からメールが入った。 「やあケンジ、ぼくの最新の論文をいちばん初めに君に受け取ってほしかったんだ」  添付されていた論文のPDFには、8カ月ほど前にぼくが採集したツノゼミが、新属新種として記載されていた。 この連載の「第76回 ツノゼミの名前がわかるまで、研究者たちは熱く語り合う」で紹介したツノゼミだ。

  あれでもない~これでもない~と、研究者たちを熱く語らせた、あの緑色に茶色い模様が入ったツノゼミ(上の写真)は、これまでのどの属にも属さない新種だったのだ! さすがはツノゼミの専門家。 既に何かに気づいていたのだろう、だからあれほどたくさんの意見が飛び交ったわけだ。


  Wallace博士からのメールの続きには、「敬意を表し、あなたの名前をとって、この種Mutilifolia nishidai ムーティリフォリア・ニシダイと名付けたんだ」と記されていた。  おお~! 種名にぼくの名の西田が使われている。 嬉しい!

  これまでもいくつかの新種の昆虫にぼくの名前が使われたことがあるが、ツノゼミは初めて。 例によって論文が発表されてから名前が入っていると聞かされるサプライズ報告だった(笑)。

  新属のムーティリフォリアは、ツノゼミ科のSmilinaeという亜科に分類される。 だからツノゼミのSmilinae亜科が専門のWallace博士が記載したわけだ。 論文によると、このツノゼミのオスの交尾器の一部のかたちが、これまで記載されている他の属と極端に違うので、新属となったということ。

  ムーティリフォリアという属名の由来はこのツノゼミの横から見た風貌(上の写真)。 傷ついた葉に擬態しているように見えるので、ラテン語のMutilus「傷ついた」とfolia「葉」を合わせて、Mutilifolia「傷ついた葉」としたそうだ。

  メールの最後に、「ツノゼミ研究への協力と、すばらしい野外調査に感謝するよ!」とあった。

  フィールドにいて、これまでに知られていなかった生きものたちのことを世界中の専門家と共有したり、発表したりして多くの方々に知ってもらうことは楽しい!ささやかながら科学やメディアに貢献できることに日々感謝している。 このことが、ツノゼミのホームページのニュースにも載りました。

http://treehoppers.insectmuseum.org/public/site/treehoppers/home/news 

 動画: 奇妙過ぎる姿のツノゼミたち : https://youtu.be/cZDlS04rqlE

 

軍隊アリ-2

 Ӂ グンタイアリはほんのり鰹だしの香り Ӂ

  朝、目が覚めた。手の指の先にアリが這っている。別の1匹が枕元へと歩いてくるのも目に入った。 我が家にすんでいるオオアリたちだ。 ふだん明るいうちは隠れたところにいるオオアリがベッドまでやってくるとは、これはもしかして?

  そう思って部屋の中を見渡すと、案の定、グンタイアリの群れが獲物を探していた。 第77回でも紹介したが、グンタイアリは圧倒的な数でたびたびやってきて、オオアリをはじめ様々な生き物を狩っていく。 オオアリたちは、壁や天井の板の隙間からワッと溢れてあちこちに散らばり(天井から降ってくることもある)、グンタイアリに感づかれないようにじっとしていた。

  このままだと、グンタイアリがベッドまでやって来て、ぼくも刺されるかもしれない。 さあ起きないと!

軍隊アリ-3

  グンタイアリはすでにいろんな影響を及ぼし始めていた。玄関のすぐ外にアシナガバチがたくさん飛んでいるのは、おそらくグンタイアリに巣をやられたためだろう。 台所では、冷蔵庫の上の鍋にすむオオアリたちが、警戒態勢に入っていた。触角を立て、感度を上げて見張りをしているように見える。鍋の中が巣になっているのである。

 失礼して鍋の中をそっと見てみると、オオアリたちが卵や幼虫、サナギなどをアゴでくわえ、グンタイアリからいつでも逃げられるように準備していた。

 台所のテーブルの上に置いてあるプラスチックの板の下にもオオアリの巣があって、そこからこんなふうに顔(頭)をのぞかせていた。 ふだんこんな「警戒」態勢はとらない。 朝食をとっていると、グンタイアリたちがやってきて、ぼくが履いている下駄の周りをたくさん通り過ぎて行く。 そして瞬く間に下駄に上り、靴下や鼻緒の周辺を「嗅ぎ」始めた。 さらにアリはお尻の針を突き刺してきたものの、ぼくは靴下を2枚重ねで履いていたので皮膚まで到達することはなかった。

  寝室をちょっと覗くと、そこはすでにグンタイアリたちに「占領」され、足の踏み場がなくなっていた。 ぼくはしばらく外へ避難して、グンタイアリの数が減るのを待つしかなかった。 3日後、またグンタイアリの群れがやってきた。昼前から家中、足の踏み場がなくなった。

軍隊アリ-4

 「どぅああはははは~ おまえさんら、また来たの?」 もう笑うしかない。 「この前、来たばかりやのに・・・スゴイなぁ~!」 この原稿を書いていたものの、パソコンを打つのも大変。 こりゃひとまず退散と、外へ出ようとして、うっかりアリを踏んでしまった。

  すると次の瞬間、何匹か踏まれたアリのその周り、半径20センチほどのアリたちがざわつくように列を乱し、少し散らばって30秒ほど何かを探すようにあちこち動き回ったのである。  1分ほどもすればアリたちは落ち着き、もとのように列が流れて行った。 だが踏まれたアリの周りには、何匹かのアリたちが集まり始めた。そのようすをじっと観察していると、どこか心配そうにしているレスキュー隊のように見えた(下の写真)。

軍隊アリ-5

  危険な目にあったアリは、危険信号を示すニオイ(フェロモン)を瞬時に体から出しているのかもしれない。 確認してみたかったので、何回か実験してみた。 大小の働きアリや兵隊アリの脚をピンセットでつまみ、少し地面を引きずってみると、あれよあれよと列が乱れるではないか! でも、踏んでしまったアリをピンセットで持って列に近づけても、列は乱れなかった。

  アリがフェロモンを出したのは確かだが、ぼくにはその香りがわからなかった。今度はアリ自体の香りが気になったので、失敬してアリを指でつまんで潰してニオイを嗅いでみた。すると、生きた川魚か、ほのかな鰹出汁のような香りがしたのである。 出汁が取れるのだろうか(笑)?

 動画: 巣へと戻るグンタイアリの行列 /  https://youtu.be/L2mzJd9ZUwg

動画: グンタイアリのかけ橋を横から撮影 / https://youtu.be/CFzR60t_YCE

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 今週のピソちゃん ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

piso-x

 ・・・・・つづく

_ シロアリVs軍隊アリ _

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「バックマン」と呼ばれる西田賢司 =069=

2019-04-18 06:16:27 | 浪漫紀行・漫遊之譜

〇◎ 命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇

= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者”西田賢司 =

【この企画はWebナショジオ_“「コスタリカ 昆虫中心生活」” に追記・補講し、転載した】

 中米コスタリカで新種の昆虫を見つけまくる男! 「バックマン」

曰く 『昆虫は、僕たちに自然の変化を教えてくれる一番身近な存在です』 

◇◆ =069= 毎日のように虹のかかる季節 ◆◇

 1月となると、いくら熱帯とは言え、北緯10度のコスタリカでは日照時間が短く、気温も低くなっている。ここモンテベルデの標高1500メートル付近は朝晩14~15℃まで冷える。また湿度が高いので体感温度が低くなり、手がかじかむ感覚もある。

  風もだいぶ強くなってきた。12月から1月はモンテベルデの風が一番強い時期で、20メートル/秒の風が吹き続けることもある。(ちなみに東京と大阪の1月の平均風速は、2~3メートル/秒だそうだ。)  気温が低くて風が強いだけじゃない。モンテベルデは今、虹の多い時期でもある。 午後から夕方にかけての時間帯は、探せば虹が見つかる。  「虹」も虫へんやから、今回の昆虫中心生活は、虹!

  この写真は、谷間にあるサン・ルイスという村への道とモンテベルデへ向かう道の分岐点で撮影したもの。 中央奥、雲の下にモンテベルデがある。 向こう(東)から雲がどんどん流れてくるのがわかる。雲から注がれる小雨と西日が、空と地上の間に虹の柱をつくった。サン・ルイスの村は、中央右下。 虹のある方へと車を進ませた。

虹ー2

そして、ここバイオロジカルステーションでよく見るのが、山の手前の谷間から大空へと伸びるこんな虹だ。 森の一部が虹色に彩られる。 先日は、ほんの20メートルほど先に虹が現れた。 上の写真は、雪ではなく、小雨が乱舞しているところ。 風にあおられて斜め下へ、斜め上へ、横へといろんな方向へ舞い踊る。生きているかのよう。 静止しているのもいれば、ぶつかり合って、はじけるのもいる。風の流れは複雑だ。

  小雨が乱舞する日、モンテベルデから太平洋側を望むと、小雨に満たされた空気が太陽光をまぶしく拡散し、光が森を包む光景が眼下に広がる。右奥には、銀色に太陽を反射するニコジャ湾が見える。 バイオロジカルステーションに戻ろうと、少し車を走らせると、サイドミラーに白黒(モノクロ)に近い、銀世界のような光景が映ったので、車を止めて、シャッターを切った。

  ところで、去年の最後の回(第88回)でランを紹介した際に、謎多き授粉役について「一緒に調査しようではないか」とランの専門家のマリオ博士(Dr. Mario Blanco)に誘ってもらったことを書いた。 実は1匹のアシナガバチをきっかけに、年末のクリスマスの日から、あるランの観察が始まった。 博士にメールや写真を送る日々が続いている。これから1年ぐらいかけ、発表に向けて観察や実験、解剖に成分検査などをしていく予定だ。

  ランの専門家の視点に、探検昆虫学者の視点が加わることで、また違ったものが見えてきた。マリオ博士いわく、世界的に例のない新発見とも言える内容だそうだ。

モンテベルデのバイオロジカルステーションの風吹く谷間:

 

 https://youtu.be/8_0hJf02gcE

 =このときの風速は10メートル/秒ほどだろうか。撮影場所から強風が通り抜ける谷間までそれほど遠くはないが、天候がだいぶ違う。矢印の下に著者の住まいがある。撮影場所より少し風が強めだ。 撮影場所:モンテベルデ、コスタリカ=

虹ー3

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 今週のピソちゃん ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

piso

 Ӂ 密室から消えた幼虫のトリック Ӂ

幼虫-1

  コスタリカから飛行機で約5時間、真冬のニューヨークで1週間ほど、出張料理や陶芸、お茶会といった文化的な活動を楽しんできた。 ぼくは寒い冬や雪が好きだし、こういった活動も好きなので、脳のよい切り替えになった。 けれども帰りにニューアーク空港へ向かう途中、バスから景色を眺めていると、道路脇に多種多様なゴミが散らばっていた。 それもコスタリカの街中と同じくらいに。米国はもっとましだと思っていたので、悲しくなって涙が出た。

  話を切り替えよう。 今回は去年の年末に驚かされた、蛾の幼虫のお話。 上の写真で葉を食べているのがその幼虫で、ナタダ(Natada sp.)というイラガの一種。正面から見ると、中央に漫画の『オバケのQ太郎』のような顔が見えてくる。 体内の「模様」が透けて見えているのだろう。 本当の頭は、オバQの顔と葉の間に隠れている。 イラガの幼虫は、頭を隠しながら、葉を食べる。

  モンテベルデのラボの横にあるコナラの木で採集したこのイラガの幼虫を、自宅で飼育していたのだが、上の写真から1週間ほどたったある日のこと、事件が起こった。 餌の葉を新鮮なものに替えようと飼育袋の中を確認してみると、 ん? あれ? 幼虫が見当たらない。

  飼育袋の中の植物の枝葉をくまなく探しても見つからない。 葉には、脱皮のときに幼虫が脱いだ、ペチャンコで、しぼんだ皮がくっついているだけ(下の写真)。 袋に穴は開いていない。  どうなっているのか? この密室の謎には、トリックがあるはず!

幼虫-2

 どうなっているのか? もういちど袋や枝葉をチェックして、幼虫の皮を眺めていると、あることに気づいた。 これだ! これがトリックだ!

  上の写真をよく見てほしい。 半透明の皮の奥に、抹茶色というか白っぽい楕円形の物体が20個ほど規則正しく並んでいるのが見えるだろうか。 実はこれ、寄生バチの幼虫たち。 ナタダの幼虫の中身を食いつくし、抜け殻のようにペチャンコになったナタダの幼虫の下で蛹になろうとしていたわけだ。

  そして10日ほどたつと、下のような状態になった。 写真の黒い部分が、寄生バチの蛹で、なかほどに並んだ薄茶色の丸い玉が、寄生バチの幼虫の排泄物(蛹になる直前にまとめてする糞のようなもの)だ。 そうしてさらに5日後、ついに寄生バチの成虫が20匹ほど出てきた。ヒメコバチの仲間だ。 体長は約2ミリ。ナタダの幼虫を裏返して見てみると、ヒメコバチの蛹(茶色い半透明の蛹の殻) が円を描くように並んでいたのがよくわかる。

  長年付き合いのあるヒメコバチの専門家、スウェーデンのDr. Christer Hanssonによると、アルベヴェオプレクトゥルス(cf. Alveoplectrus)という属だろうとのことだ。 このヒメコバチが新種だった場合、この生態の記録があるので、共著論文を手掛ける事になるだろう。

幼虫-3

・・・・・つづく

_  Landscapes and Music of Costa Rica _

・・・・・・ https://youtu.be/BdKiPR3kdjo ・・・・・・

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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「バックマン」と呼ばれる西田賢司 =068=

2019-04-16 06:00:27 | 浪漫紀行・漫遊之譜

〇◎ 命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇

= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者” 西田賢司 =

 中米コスタリカで新種の昆虫を見つけまくる男! 「バックマン」

曰く 『昆虫は、僕たちに自然の変化を教えてくれる一番身近な存在です』 

◇◆ =068= プレスリー・パラシュート・オーキッド ◆◇

   モンテベルデの森は、樹木の間を渦巻いて通り過ぎていく強風で、日本海の荒波のような音に包まれている。乾季に入ったとは言え、カリブ海側(東)からの貿易風が雲や雨をたくさん運んできて、晴れたり、曇ったり、雨が降ったりと、分刻み、秒刻みで天気が流れていく。モンテベルデ特有の気候だ。

  そんな気候にも支えられ、ここモンテベルデには多種多様なランが生息している。これまでにモンテベルデの地域で見つかっているのはコスタリカ全体の約40%に当たる600種以上と、中南米で一番多様な場所と言ってもいい。

ラン-8

  さて、前回紹介したのは極小から小さな花のランだったが、今回は少し大きめの花をご覧いただこう。ぼくが注目したのは、花のがくと花びら(花弁)の中心から飛び出した、コラム(ずい柱)とリップ(唇弁)と呼ばれる部分。独特な形をしているものがあって、興味深い。

 例えば、冒頭の写真のエピデンドルム・エクサスペラトゥム。白と紫のリップが、エルビス・プレスリーの衣装を思い出させる(笑)。

ラン-9

  がくと花びらも一緒に見ていると、パラシュートで降りてくる小人(こびと)の妖精のようにも感じられてくる(がくに虫がかじったような小さな穴がいくつか見られる)。

 下に面白いリップをもつランをいくつか紹介しよう。今回も全てラン科のセッコク亜科の種です。

 写真はランの花にやってきたシタバチというミツバチの仲間。「オーキッドビー」とも呼ばれ、ランの授粉役として知られている。これはオスで、背中につけているのはランの花粉の塊(黄色い筋のようなもの)。オスのシタバチは、ランの特殊な芳香成分を後ろ足の「袋」に貯めていき、香りでメスにアピールする。

 でも、ランの授粉役でここまで詳しくわかっているのは珍しい例。

ラン-10

 ほかにも前ページで紹介したエピデンドルムのある種が、スズメガなど蛾の仲間によって授粉されるとか、いくつか記録があるものの、多くの種については授粉役が定かでない。
ましてや前回紹介したような微小の花を咲かせるランの場合はなおさら。ランの授粉役は、謎だらけなのである。

 今回もランに詳しいコスタリカ大学生物学部のDr. Mario Blanco先生に種の同定をお願いしたところ、授粉役の調査をいっしょにしようではないか!と誘ってくれた。
コスタリカのランの調査、なかなか面白そうだ。

ラン-11

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 今週の西田賢治 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

ピソ

 =参考資料・文献=

セッコク(2/2)

 シノブ玉やイワヒバの鉢植え、庭木につけるなどの形で栽培される。 また、野生で発見される葉変わり品などを選別・命名する形で江戸時代より古典園芸植物としても栽培された歴史があり、現在も栽培されている品種が多い。東洋ランとしての名称は、長生蘭(ちょうせいらん)である。主として葉変わり、姿や模様の変化を楽しむ、いわゆる柄物が主体であったが、昭和の終わりころより花変わりにも関心が集まるようになり、花物の品種も登録されている。同様に古典植物として栽培される着生ランのフウラン富貴蘭)と異なり、株分けや、古い茎を切り離してミズゴケの中で腋芽の発芽を促す「矢伏せ」により、株の増殖は容易である。

ラン-12

 ただし、このような栽培のための採集によって、野外の個体数は激減し、大株を見ることはほとんどなくなっている。昭和50年代までは神社の境内の木に大株が見られることもあったが、現在ではそのようなものはすべて取り尽くされた。幸いに、繁殖力の弱いものではないので、採集熱が冷めるにつれ、次第に回復の気配があるようである。

 同属の熱帯産の種には、洋ラン」のデンドロビウムとして栽培されるものが多く含まれ、セッコクもデンドロビウムの園芸品種のうち、矮性品種作出の交配親のひとつとなっている。

 沖縄には近似のオキナワセッコク(D. okinawense Hatusima et Ida) がある。樹上に着生し、茎は長く伸びてたれる。乱穫による減少が著しく、2002年に国内希少野生動植物種に指定され無許可での採集・販売などが禁止された。その後2008年(平成20年)8月15日からは特定国内希少野生動植物種に指定変更、現在は「都道府県知事等に届け出をおこない認可登録をうけた事業者が仲介し、なおかつ人工繁殖させた個体を取り扱う場合に限り」一般の栽培家を対象とした販売・引き取りなどが認められている。セッコクに比べると頑健さに欠け、耐寒性も劣る。大型で扱いづらくもあるため本州以北の一般家庭での栽培には不向きだが、適切な栽培施設が用意できれば栽培・増殖は困難ではない。

ラン-13

 ・・・・・つづく

_  セッコク  _

・・・・・・https://youtu.be/X955uQxXSu0 ・・・・・・


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「バックマン」と呼ばれる西田賢司 =067=

2019-04-14 06:22:22 | 浪漫紀行・漫遊之譜

〇◎ 命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇

= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者” 西田賢司 =

【この企画はWebナショジオ_“「コスタリカ 昆虫中心生活」” に追記・補講し、転載した】 

 中米コスタリカで新種の昆虫を見つけまくる男! 「バックマン」

曰く 『昆虫は、僕たちに自然の変化を教えてくれる一番身近な存在です』 

◇◆ =067= ひっそりと咲いている小さなランに、・・・・・ ◆◇

ここモンテベルデは乾季に入ったようだ。卵や幼虫、サナギが多い時期で、今どうしても逃せない昆虫の観察とデータ記録が山積みになっている。そのうえ、ツツガムシやダニが増え始め、とにかく痒い。カイカイの毎日が始まった。

ラン-2

  今回は、そんな乾季の初めに花の季節を多く迎える植物、ラン(蘭)を紹介しよう。

 コスタリカに来た当初からよく耳にするのが、この国のランの多様性はスゴイということ。種の密度が世界一高い国なのだそうで、これまでに1600種以上(面積が7倍ある日本では約200種)が記録されていて、固有種も少なくない。

  そしてそのほとんどが、小さなランたち。花の大きさは、ほんの数ミリという虫めがねか顕微鏡サイズだ。
誰にも気づかれず、ひっそりと咲いている小さなランに、ぼくは魅力を感じる。

ラン-3

 ランの多くは、ほかの植物の幹や枝、または岩場に着生している。それを可能にしているのが、ここモンテベルデのような熱帯雲霧林の気候だ。乾季でも霧雨が降ったり霧(雲)が通り過ぎたりと、空気中の水分を吸収することができる。根っこはちぢれ麺のような感じのものが多く、丸く膨らんだ茎(球茎)に水分を蓄えることができる。

  コスタリカの多様なランのほとんどは、雲霧林、特に多雨なカリブ海側に集中している。でも標高2500メートル付近を超えると、種数は激減し、そのほとんどが着生ではなく、地生のものになるという。

  種の同定は、コスタリカ大学生物学部のDr. Mario Blanco先生にお願いした。先生は、「ここ数年、毎年のように新種が10種程度コスタリカで見つかっていて、記載されている」と言う。たくさんの情報ありがとうございます!

ラン-4

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 今週の西田賢治 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

piso

 =参考資料・文献=

セッコク(1/2)

 茎は細長く、堅く、始めは緑色を帯び、通常は後に黒紫色になる。多数の節があり、節ごとに出る葉の基部の鞘に包まれる。一年目の茎には節ごとに葉がある。葉は細い楕円形で、厚くやや堅く、つやがある。葉は年の終わりには葉鞘との間で脱落する。新しい芽は古い茎の基部から横に顔を出す。また、茎の先の方から新しい芽が伸び、その根元から根を生じる形で新しい個体ができることもある。

 大きさが十分であれば、葉のなくなった茎は、次の年に花を咲かせる。花は、茎の先端に近い数節から出る。各節からは、短い花茎が出て、そこから数個の花を咲かせる。花は赤紫がかった白の花弁で、よい香りがする。ラン-5

 唇弁以外の五弁は、いずれも同じくらいの大きさの卵状楕円形、先端はややとがる。唇弁は外見は他の花弁と似たような形で、ただし蕊柱との間の奥の方にくぼみが入り込み、短い距を作る。側弁の基部が下側の外でこれにつながっている。

 花が咲いた後も茎は数年間生き残り、場合によっては大きな株になる。 単子葉植物ラン科の植物。日本の中部以南に分布する。岩の上や大木に着生する着生植物である。

 セッコクは漢字では石斛で、本来は中国産の近似種(D. crispulumD. Kwantungenseなど)に当てられた名称であり、健胃、強壮作用などがあり、漢方薬として用いられる (現在は、細葉石斛D. hancockiiなども使われる。) 。

 日本名は、そのまま音読みにしたセキコクが使われる場合もあるが、セッコクを使う場合のほうがはるかに多い。セッコクはセキコクが詰まったものと思われる。また、薬用にされることから記紀神話の医療神である少彦名命(すくなひこなのみこと)にちなみ、少彦薬根(すくなひこなのくすね)の古名も持つ。

ラン-6

 ・・・・・つづく

_  セッコク &イワチドリ (柴田邸) _

・・・・・・https://youtu.be/6I3yTTVmiAY ・・・・・・

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「バックマン」と呼ばれる西田賢司 =066=

2019-04-12 06:07:45 | 浪漫紀行・漫遊之譜

〇◎ 命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇

= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者” 西田賢司 =

【この企画はWebナショジオ_“「コスタリカ 昆虫中心生活」” に追記・補講し、転載した】

 中米コスタリカで新種の昆虫を見つけまくる男! 「バックマン」

曰く 『昆虫は、僕たちに自然の変化を教えてくれる一番身近な存在です』

◇◆ =066= 意外なところで見つけたゾウムシ ◆◇

 11月と言えば、日本は冬へ向かうタイミングだが、ここモンテベルデは乾季に移行する時期で、昼間の気温が上がり、活動する昆虫たちの数が少しずつ増え始めた。

 今回はゾウムシシリーズの4回目。ちょっと変わったところで見つけたゾウムシたちを紹介しよう。

 ブロメリアは生き物のオアシス

 みなさんはブロメリアという植物をご存知だろうか。 パイナップルと同じアナナス科で、最下位写真のように木々に着生しているものが多い。エアープラントもこの仲間だ。密集した葉の中心部は雨水を長い間ためることで有名で、そこはいろいろな生き物のすみかにもなっている。

 あれはたしか2003年。オランダ人の研究者といっしょにヒラタアブの調査をするため、「死の丘」というコスタリカの3000メートル級の高山にあるコナラのジャングルへ行ったときのことだ。

  ちょうど嵐の後で、大小たくさんの木々の枝がドサドサと地面に落ちていた。 落ちた枝には、たくさんの着生植物がついていて、なかでもブロメリアが目立っていた。水生のヒラタアブの幼虫なども、その水たまりに生息している。

ゾウムシ-8

  このブロメリアの葉を観察していると、葉の先端から水中へと消える不思議なジグザグの線を見つけた。昆虫の幼虫が潜った跡のようにも見える。ほかにも同様の線をいくつか見つけたので、いったい何が潜っているのだろうと、葉を抜き取って調べてみることにした。

  ジグザグ線を追跡し、葉の付け根の、水がたまっていた辺りまでいくと・・・いた! ゾウムシのサナギだ。

  さっそく飼育して、成虫を得ることに成功。写真を撮って、ドイツの友人のヒメゾウムシの専門家にメールで送ると、「葉に潜るヒメゾウムシの生態はこれが世界初だ!」という返事が来た。

  しかも、ブロメリアの水たまりの水面下でサナギになっているではないか!これはおもしろいと調査や飼育を続けていくうちに、ブロメリアの葉に潜るゾウムシが、ほかにも複数いることがわかってきた。論文にするため、今も研究を続けている。

ゾウムシ-9

 虫こぶをつくるゾウムシ

 ゾウムシ(幼虫)のなかには虫こぶを形成するものもいて、ぼくはコスタリカでこれまでに15種ほど見つけている。そのほとんどが新種だ。ちなみに、ほかの昆虫がつくった虫こぶの中に後から入りこむゾウムシも多いのでより慎重な観察を要する。

  虫こぶをつくる昆虫は、ぼくの大きな研究課題のひとつ。森を歩いていて、奇妙に膨らんだ葉や茎を見つけたら、中を調べてみたり、飼育したりしている。

 ここではぼくが見つけた、虫こぶをつくるゾウムシを4種紹介しよう。

  この交尾中の黒光りしたゾウムシ(上記写真)」は、まだ属名も付いていないヒメゾウムシの一種。下の写真の楕円形で囲った葉柄に、細長い(15×5 mm程度)の膨らみをつくる。中に幼虫かサナギが1匹いる。

ゾウムシ-10

  次の写真はキク科の植物。茎が紡錘形に膨らんで、少し枯れかかっていたので、何かいるかもと思い飼育してみた。

 すると案の定、中からオサゾウムシのRhodobaenus属の一種が出てきた。この属の種は、さまざまなキク科の植物で成長することがわかってきている。

 ヤドリギにもいた。茎が少し膨らんでいたので開けてみると、「エイリアンの頭」のようなゾウムシの幼虫が中に1匹入っていた。触れると、アゴを大きく開け、いかついようす。これはMyrmexという属のゾウムシで、成虫はアリに似ている(?)ものが多い。

ゾウムシ-11

  最後は、クスノキ科の木の枝に丸い虫こぶをつくる新種のCamptocheirus属のゾウムシ。後ろ翅の先端に黄色い斑点があるのが珍しい。右は幼虫で、腹側に茶色い筋が入っている。

  首都サンホセ近郊にあるコスタリカ大学のキャンパスで見つけてからすでに15年以上が経つ。以前、虫こぶがたくさんできていた木々には、今年は虫こぶをひとつも確認することができなかった。木々が大きくなり、すむのに適さなくなった可能性が高い。キャンパス内に生えてくる新たな若木は、常に伐採されてしまうので、このゾウムシは、生きていける場所を失いつつあるのかもしれない。

ゾウムシ-12

  写真のゾウムシは、死んでいるように見えるけれど、生きている。このように擬死するゾウムシは少なくないが、次に紹介するゾウムシは、ちょっと違った方法で死んだふりをしている。

  白いキノコが生えたような装い。 アナアキゾウムシの専門家に見てもらっても、キノコ(菌類)に侵されて死んでいるはずと言う。たしかに、冬虫夏草と呼ばれる状態のようにも見える。

  ところがこの写真を撮影したとき、ゾウムシは元気よく動いていた。ちゃんと生きていたのである。

  ココナッツを削ったような白い物質は、体表のくぼみから分泌されて伸びたワックスではないかと、ぼくは考えている。専門家は、「動いていたとしても、菌類に侵されて死ぬ直前だったはず」と主張、議論は平行線をたどっている。菌類の場合、ゾウムシが動かなくなってから生えるはずなんだが・・・まあ、なんとかもう一度このゾウムシを見つけて飼育し、詳しく観察してみたいものだ。

ゾウムシ-13

 ワックスをはがしてみた

 下の写真のようにカラフルなワックスで覆われたゾウムシもいる。カツオゾウムシの仲間だ。 赤茶色と黄色の粉のようなこのワックスは、触ると比較的簡単に取れてしまう。そこで、ここモンテベルデでも同じ属のカツオゾウムシを見つけたので、赤と黄色の粉ワックスをはがしてみることにした。

  ワックスの下から露わになったのは、黒い「地肌」。はがしたワックスのニオイを嗅いでみると、このゾウムシが食べるキク科の葉の香りがする。 そしてまた、このゾウムシに新鮮な葉をしっかりと食べてもらうことにした。 2~3日経って撮ったのが下の写真。ワックスが再生して、ほぼ元の姿に戻っていた。体表からワックスが噴き出してくる感じなのだ。不思議!

  多種多様過ぎて、まだまだ新種だらけ。 生態にいたってはなおさらわかっていないゾウムシの世界のほんの一部の一部を4回にわたりお届けできました。 モンテベルデの山の上から太平洋側のニコジャ湾を望むと、西日を浴びた海面の光に浮かび上がった木々のシルエットが、ゾウムシに見えた。

 海の向こうにも果てしないゾウムシの世界が広がっているのだろうな~。

ゾウムシ-14

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 今週の西田賢治 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

今週の

=参考資料・文献=  

コスタリカの歴史概要・3/3 

 再独立と国民戦争

1839年にこの地もコスタリカ共和国として再独立を果たした。その後1842年にホンジュラス出身の元中米連邦大統領、フランシスコ・モラサンが大統領となり中米連邦再興のためにニカラグア侵攻を企てたが、同年にモラサンは暗殺された。

 1856年、隣国ニカラグアで アメリカ合衆国南部人の傭兵(ようへい)隊長、ウィリアム・ウォーカーが大統領となった。中米四国はウォーカー排除を決意し、このウォーカーの率いるニカラグア軍との国民戦争において、コスタリカ軍は、反ウォーカー派だったイギリス、アメリカのヴァンダービルト財閥などの支援を得て中米連合軍の中で主要な役割を果たした。同年4月にはリバスの戦いでウォーカー軍を打ち破った。なお、この戦争で壮絶な戦死を遂げたムラートの鼓兵、フアン・サンタマリーアは現在も国民的英雄となっている。

 国民戦争後、1870年に自由主義者のトマス・グアルディア将軍がクーデターで政権を握った。グアルディアの主導により、一院制議会と強い大統領権が認められた1871年憲法が制定された。以降1948年までのコスタリカは基本的にこの路線に沿って発展することになり、ラテンアメリカ全体でも特異なコスタリカの民主的な社会が成立する素地となった。

 1882年にグアルディアが死去してからは、自由主義派の流れを継いでベルナルド・ソトの支配が続いたが、1889年にカトリック教会と結んだ保守派のホセ・ロドリゲスに選挙とデモによってソトが敗れ、自由主義政権が終焉(しゅうえん)した。

ブロメリア

 ・・・・・つづく

_  グズマニア(ブロメリア)の株分けの仕方 _

・・・・・・https://youtu.be/yzstYC2ul9A ・・・・・・

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「バックマン」と呼ばれる西田賢司 =065=

2019-04-10 06:35:25 | 浪漫紀行・漫遊之譜

〇◎ 命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇

= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者” 西田賢司 =

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 中米コスタリカで新種の昆虫を見つけまくる男! 「バックマン」

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◇◆ =065= おしゃれゾウムシは、ダニで着飾る」 ◆◇

 とにかく、よく出会うゾウムシがいる。 

  クチブトゾウムシの仲間だ。ゾウムシの中でもっとも種数が多く、多様性が高いグループで、ゾウというよりもハナグマのピソちゃん(右)のような「鼻」(口吻)をしている。

 特徴は、この口吻が太く短いこと、そして色鮮やかな種が多いこと。体長はだいたいが10 mm程度で、ゾウムシの中でも大きめである。 昼間、森の開けた場所で、植物の上にいるのをよく見かける。

ゾウムシ-2

  ご覧のとおり、その姿はたいへん目立つ。こんなふうに、クチブトゾウムシが鮮やかな色や模様をもつ秘密は、体表の「鱗片(鱗のようなもの)」にある。拡大して見てみると、ラメ箔(粉)のような鱗片がぴったりと付いている。

  この鱗片ひとつの大きさは約0.05 mm。チョウやガの鱗粉ほど、はがれやすくはないが、そぐように削ると、魚の鱗が取れるような感じではがれる。

 写真のクチブトゾウムシのメタリックグリーンの鱗片を少しはがしてみた。すると、はがれた鱗片は、半透明でパールのような輝きになった。魚の鱗を思い出させる。

  写真のように、クチブトゾウムシは赤いビーズのようなもので着飾っていることもある。

ゾウムシ-3

  実はこれ、タカラダニというダニの仲間の幼虫で、昆虫などに寄生している。まるでアクセサリーのごとくクチブトゾウムシたちを豊かに彩るのである。

 下の写真はクチブトゾウムシではないが、目の下から胸のあたりにかけてびっしりとダニが張りついている。もうここまでくると、アクセサリーというレベルを超えて、衣装というところだろうか・・・体の模様を変えてしまうまでになっている。

  クチブトゾウムシの一種のメスが産卵をしているところに出会った。

  2枚の異なる植物の葉の間に、産卵管を差し込んでいる。初めて見る光景だったので撮影したときには何のことやらよくわからなかったが、調べてみると、クチブトゾウムシのメスは、鼻(口吻)を使って植物に穴を開けて産卵するのではなく、葉の表面や土の中に産卵することがわかった。

 中の卵のようすを見ようと、くっついた葉を開けようとしたが、強力接着剤のようなものでくっついていて開かない!

ゾウムシ-4

 慎重に開けないと、葉自体が破れそうだ。解剖用のハサミを使い、接着部分にそってゆっくりと開けていった。 葉の間には、ジャスミンライスのような白い卵がたくさん。

  葉の上の卵から孵った幼虫たちは、地面に落ちて、土の中に潜り、植物の根を食べるとのこと。他のゾウムシの仲間に比べると、クチブトゾウムシは特定の植物だけを好んで食べるわけではないようだ。

  上の卵を飼育していると、約2週間後に幼虫が孵った。7匹がくっついてひと塊りになっているところを撮影(下の写真)。1匹の大きさは1.8 mm、植物のある土の場所に放してやった。

 次のページに、鱗片やダニでさまざまに着飾ったクチブトゾウムシの仲間を紹介しよう。派手好きもいれば、シックな装いのゾウムシもいる。

ゾウムシ-5

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 今週のピソちゃん ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

  最近、ハナグマのピソちゃんをあまり見かけなくなった。 たぶん、ここのバイオロジカルステーションに滞在したり、出入りしたりする学生たちの数が増えたからだろう。 その数、50人以上!

  人の気配を常に感じるため、ピソちゃんは建物から少し遠ざかって活動しているのかもしれない。 写真は、2カ月ほどまえ、学生たちがいなかった時に、ラボの横の階段を上っていくオスのピソちゃん。

  気づかれないように、窓ガラス越しに隠れて撮影した。 でも、異変を感じたピソちゃん。置物のようにじっとして、こちらに神経を集中させているようす。この状態が1分以上続いた。 カメラだけをラボの壁の端から出して撮影。 こちらに警戒している。  ピソちゃんは、野生動物なのである。

piso-a

 =参考資料・文献=

コスタリカの歴史概要・2/3 

 独立

1789年にフランス革命が起こり、ヨーロッパの政情が不安定になるとその影響はインディアス植民地にも及んだ。1808年にナポレオンのフランス軍がスペイン本国に進駐、国王フェルナンド7世を退位させ、フランス皇帝ナポレオン・ボナパルトの兄ジョゼフ・ボナパルトがスペイン王ホセ1世に即位すると、スペインでは反フランス暴動がやがてスペイン独立戦争へと発展し、インディアス植民地は偽王への忠誠を拒否した。

 その後、各地のクリオーリョ達がラテンアメリカ解放のために立ち上がり、メキシコミゲル・イダルゴホセ・マリア・モレーロスらによって、南米大陸シモン・ボリーバルホセ・デ・サン・マルティンらによって解放戦争が続けられ、多くの共和国が独立を果たすと、中米でも1821年9月15日にグアテマラ総監領は中央アメリカ連合州として独立した。この国家は1821年9月16日に独立したアグスティン・デ・イトゥルビデ皇帝の第一次メキシコ帝国により、1822年に他の中米諸国と共に併合された

 中央アメリカ連邦共和国(1823 - 1839

しかし、1823年のメキシコ帝国の崩壊に伴ってチアパス州を除く旧グアテマラ総監領の五州は再び中央アメリカ連邦として独立した。コスタリカ州代表だったフアン・モラ・フェルナンデススペイン語版英語版)は連邦への積極的な加盟を勧めたが、この過程の中で、それまでコスタリカの中心だったカルタゴが内戦の末にサン・ホセ軍に敗れたため、以降サン・ホセがコスタリカの中心となった。連邦においてはエル・サルバドル出身のマヌエル・ホセ・アルセスペイン語版英語版)が中米連邦初代大統領となるが、自由主義者のフランシスコ・モラサンをはじめとするエル・サルバドル派と、保守主義者のラファエル・カレーラをはじめとするグアテマラ派の内戦の末に、1838年に諸州が独立を宣言して中米連邦は崩壊。

ゾウムシ-6

 ・・・・・つづく

 _  Costa Rica diving at Guanacaste Coast Pacific _

 ・・・・・・https://youtu.be/vKduIggPd38 ・・・・・・

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「バックマン」と呼ばれる西田賢司 =064=

2019-04-08 06:05:00 | 浪漫紀行・漫遊之譜

〇◎ 命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇

= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者” 西田賢司 =

【この企画はWebナショジオ_“「コスタリカ 昆虫中心生活」” に追記・補講し、転載した】

 中米コスタリカで新種の昆虫を見つけまくる男! 「バックマン」

曰く 『昆虫は、僕たちに自然の変化を教えてくれる一番身近な存在です』

◇◆ =064= ゾウムシの“鼻”はマジックバンド ◆◇

  コスタリカは雨季の終盤にさしかかり、ようやく雨がたくさん降り始めた。外の湿度は90%。洗濯物が乾きにくい。でもやっぱり雨季はこうでないと。

  さて今回もゾウムシのお話。前回は「鼻(口吻)」の主な使い方として、植物を掘って中身を食べたり、卵を産みつけたりすることを紹介したが、鼻の使い道はそれだけではない。それぞれに独自の使い方を持っているのである。

  たとえば、上の写真。キクイサビゾウムシの一種のオスだが、よく見ると、鼻にブラシのような毛が生えている。裏から見るとこんな具合だ。

ゾウムシ-7

  このようにびっしり毛が生えているのはオスだけ。メスの鼻は短く、ブラシはない。オスはこのブラシを何に使うのかというと、実はメスの体をなでる。

 メスがヤシの倒木に産卵用の穴を鼻で掘っているとき、オスはメスの鼻から背中の翅にかけ、横から優しく鼻ブラシでなでて、求愛するそうだ。そこへ別のオスたちがメスと交尾しようとやって来ると、元からいたオスは長い鼻で下からすくいあげるように後から来たオスたちを投げ飛ばすのだ*。

  ちなみに南米のアマゾンの先住民は、このゾウムシの幼虫を食べる。ヤシの木を切って、ゾウムシのメスが産卵できる場所を確保し、丸々と大きく太った幼虫を収穫し食べるのである。

 *参考文献:Eberhard, W. G. 1983. Behavior of adult bottlebrush weevils (Rhinostomus barbirostris) (Coleoptera: Curculionidae). Revista Biología Tropical 31: 233-244.

ゾウムシ-8

 ゆりかごを作るゾウムシ

 子育てのためのゆりかごを作るゾウムシの仲間もいる。オトシブミだ。

  作り手はメス。長い前脚と鼻とアゴで器用に葉を切り取り、しんなりさせてから筒状に折りたたんでいく。折りたたむ初めのほうで、筒に穴を開け産卵する。そうしてできたのが右のようなゆりかご。 幼虫は、このゆりかごの中で孵り、発酵したゆりかごの葉を食べて育つ。

 そうしてこのゆりかごから出てきたのが(4匹も)、下の茶色と紫色を混ぜたようなメタリックカラーのオトシブミ。ゾウムシ-10

 マジックハンドをもつゾウムシ

 お次は、マジックハンドのように長い鼻の先に、がっしりとしたアゴをもつゾウムシ。

  これはミツギリゾウムシと呼ばれる仲間の一種。このグループの昆虫は、コスタリカに200種ほど生息していることがわかっている。特徴はすらっとまっすぐ伸びた触角で、下の写真もこの仲間。剣先のようにまっすぐ長く伸びた鼻をもつ種のオスは、その長い鼻を使って産卵中のメスを守るそうだ。

ゾウムシ-9

 鼻のないゾウムシ

  鼻がなく筒状のゾウムシもいる。

 キクイムシの仲間だ。上の写真は、自ら掘った穴から「顔」が見えているところ。下の写真は穴から出てもらって、横から見たところ。

  「顔」は平らで、伸びた鼻はない。立ち枯れした木の幹に円形の穴を開け、外に木クズを出しながら掘り進む。いわば、からだ全体が「掘るゾウムシの鼻」になった具合だ。キクイムシやナガキクイムシの仲間には、こうして作ったトンネル内に菌を植え付けて栽培する種が多くいて、増殖した菌を幼虫が食べて育つ。

  外にも「個性が強めの」ゾウムシたちを紹介しよう。

ゾウムシ-11

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 今週のピソちゃん ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 一頭のオスのピソちゃんが、家の横にある土手を掘り起こしていた。 前あしと、「ゾウムシのような長い鼻」で掘りほり・・・。 何か美味しい昆虫でも嗅ぎつけたのか? 鼻の先のどろんこが、お似合いだ♪

 何をそんなに一生懸命に掘っているのか。 少~しずつ近づいていくことにした。  よほどの好物でもあるのか、ピソちゃんはチラチラとこちらを警戒しつつも掘るのをやめない。

 ぼくは、さらに近づいて、とうとうピソちゃんのほぼ真上に! というところで、ついにピソちゃんは行ってしまった。 何をしようとしていたのかは、結局わからずじまい・・・。 何ごとも間合いが肝心かな(笑)。

 動画: 掘り続ける」ピソ」ちゃん( https://youtu.be/IfqhvV5tNQ8 )  

 

 

 =参考資料・文献=

コスタリカの歴史概要・1/3

 先コロンブス期

 紀元前900年から紀元前300年頃の遺跡が確認されている。メソ・アメリカの一部であり、チブチャ系民族やナウアトル文化の交錯する地帯であった。13世紀までには神官を中心とする階級制社会が築かれていた。その後アステカ帝国に服属し、緩やかな支配を受ける形で中央アメリカと南アメリカの交易の仲介地点となった。また、カリブ人も定住していた。16世紀初め頃には約40万人の先住民が居住していたと推測されている。

 スペイン植民地時代

 1502年9月18日、クリストーバル・コロンがリモン湾付近に上陸し、ヨーロッパ人としてはじめてこの地に渡来した。1524年征服者フランシスコ・エルナンデス・デ・コルドバにより、内陸部もスペインの支配下に入った。1538年にパナマ市アウディエンシアの管轄下に置かれ、1542年にヌエバ・エスパーニャ副王領の下位行政組織だった、グアテマラ総督領の辺境の地として編入された。1564年に中央盆地にカルタゴが建設され、以降独立までコスタリカの政治と経済の中心となった。

 征服の過程での疫病などにより、先住民人口は17世紀初頭には約1万人になり、労働力や金銀等の鉱物資源が足りなかったためにスペイン人入植者の数は少なく、コスタリカはスペイン植民地の最辺境の地として孤立した。カカオプランテーションが築かれ、時折海賊の襲撃があったものの、植民地時代に大きな変化はないまま時を過ごすことになる。また、時期は定かではないが、中央アメリカで最も早く19世紀初頭までには確実にコーヒーが持ち込まれていた。

ゾウムシ-12

 ・・・・・つづく

 _  コスタリカ サンホセ San Jose Costa Rica _

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「バックマン」と呼ばれる西田賢司 =063=

2019-04-06 05:58:18 | 浪漫紀行・漫遊之譜

〇◎ 命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇

= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者” 西田賢司 =

【この企画はWebナショジオ_“「コスタリカ 昆虫中心生活」” に追記・補講し、転載した】

 中米コスタリカで新種の昆虫を見つけまくる男! 「バックマン」

曰く 『昆虫は、僕たちに自然の変化を教えてくれる一番身近な存在です』

◇◆ =063= ゾウムシの“鼻”はなぜ長い? ◆◇

  ゾウムシは、昆虫の多様性を象徴する虫である。

  ゾウムシ上科に属する虫は世界におよそ6万種が知られており、知られていないものも含めれば20万種を超えると推定されている。おそらく地球上の生物の中で一番多様性が高い生物である(ライバルはハネカクシという甲虫の仲間)。

  もちろんコスタリカでも、たくさん見つかる。たぶん1万種はいるとみているが、その多くにはまだ名前が付いていない。生態も、わかっていないものがほとんどだ。

ゾウムシー2

  そこで、今回から何度かに分けて、ぼくが10年以上のコスタリカ生活で撮りためたバラエティ豊かなゾウムシたちを紹介したい。飼育・観察してわかった、これまで知られていなかった生態などの一部もお伝えしようと思う。

  さて、ゾウムシというとなんといっても特徴は、長く伸びた鼻のような部分(口吻と呼ばれる)。なんであんな長い鼻をしているのだろう?と思われるかもしれない。

  主な役割は二つある。

ゾウムシー3

 ひとつは、花の奥や実やタネ、枝などの中央にある組織を食べるため。ゾウムシの鼻の先端には、アゴ、つまり口がついていて、ほかの昆虫では届かない植物の“中身”を食べられる。

  二つめは、メスが卵を産む穴を用意するため。ほとんどのメスは、長い鼻で植物に穴を掘り、卵をその中に産み、その後セメントのような物質で穴を埋めるという行動をとる。たとえば、こんな感じで。

  今回紹介したのは、ほんの一部の一部。ほかにも、風変わりな形をしたゾウムシや鼻が短いゾウムシなど、ホントにいろいろなゾウムシたちがいる。次回もどうぞお楽しみに!

 =正面から軟らかい筆で触れると、前脚と中脚を使って逆立ちし、後ろ足を大きく広げる。ゾウムシの

同定は、Dr. Jens PrenaとDr. Henry Hespenheideにお願いしました。ありがとうございます! =

ゾウムシー4

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 今週のピソちゃん ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

piso-1

=参考資料・文献=

ゾウムシ 

 ゾウムシ(象虫)は、甲虫類のグループの一つ。狭義のゾウムシはゾウムシ科オサゾウムシ科などに分類される甲虫の総称だが、広義のゾウムシはコウチュウ目(鞘翅目)・ゾウムシ上科(Curculionoidea)に分類される昆虫を指す。口部が伸びた形をゾウに見立てての名であるが、いわゆるゾウムシらしい体型をしていないオトシブミキクイムシなども含まれる。

 成虫の体長は数mmから数cmくらいの小型の甲虫である。丸みを帯びた体表は、硬くて頑丈な外骨格に覆われている。頭部から(口先)が長く伸び、その先に口を持つ種類が多く、和名の「象虫」はこれを象の鼻に見立てたところに由来する。この口吻は植物組織に穿孔して産卵するのに適応した器官であるが、二次的にこうした産卵習性を失って口吻が短く退化したものも存在する。動きは遅いが頑丈な外骨格で身を守り、敵に出会うと擬死(死んだふり)をすることが多い。

 一部のゾウムシは、外骨格の形成に必要なチロシンを体内の共生細菌ナルドネラに生産させている

幼虫・成虫とも、すべての種類が植物食で、食物とする部位は樹液果実朽木種子など種類によって異なる。成虫が植物組織に口吻で穿った孔に産みつけられたから孵化した幼虫が、そのまま穿孔生活に移るものが多く、中には虫こぶを形成するものもある。こうした丁寧な産卵習性のため、大型の卵を少数産卵するものが多いが、コフキゾウムシシロコブゾウムシといったゾウムシ科の短吻群と呼ばれるグループは二次的に口吻が退化して太く短くなり、小さな卵を多量に土壌中に産み落とし、幼虫は自由生活をする。中には農作物に重大な被害をおよぼす害虫となるものもいる。

 森林や草地に多くの種類が生息するため、木の枝の下に布を広げて枝を叩くと、多くのゾウムシが落ちてくる。夜間に灯火へ飛来する種類も多い。コクゾウムシなど、穀物の貯蔵庫に生息する種類もいる。

 ゾウムシー5

 ・・・・・つづく

 _  Manuel Antonio Costa Rica _

 ・・・・・・https://youtu.be/zBrDVQ0WNjg ・・・・・・

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「バックマン」と呼ばれる西田賢司 =062=

2019-04-04 06:14:57 | 浪漫紀行・漫遊之譜

〇◎ 命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇

= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者” 西田賢司 =

【この企画はWebナショジオ_“「コスタリカ 昆虫中心生活」” に追記・補講し、転載した】

 中米コスタリカで新種の昆虫を見つけまくる男! 「バックマン」

曰く 『昆虫は、僕たちに自然の変化を教えてくれる一番身近な存在です』

◇◆ =062= 謎だったサナギから羽化、もしかして新種? ◆◇

 今年の雨季は雨が少ない。と思っていたら、先日、激しいスコールとともに雷がズドーンと近くに落ちた。

 だが、それ以来ネットが不通に。雷が近くに落ちると、いつもこんな感じだ。この原稿も、バイオロジカルステーション従業員のおばさん宅におじゃまして送っている。

  さて、あるガの羽化をきっかけに、ここ1カ月ほどデータ収集に標本作り、専門家とのやりとりなどで多忙になり、同時に「多望」にもなりつつある。

 羽化したのは、第79回で少し紹介した、剛毛の生えたサナギのガ(下左)。そこから右の写真のようなフサフサの成虫(メス)が現れた。

蛾-2

  幼虫はカレハガっぽかったのに、なぜか成虫はヤママユガのような姿。調べてみると、グロベリア(Gloveria)というカレハガのグループに属していることがわかった。しかし、さらに調べても、このガの詳しい情報、写真も飼育記録も見当たらない。

  そこで、コスタリカで昆虫の標本を最も多く保有する生物多種多様性研究所(INBio)の専門家に標本の写真を送って、調べてもらうことにした。INBioには約270万もの昆虫の標本があるので、これではっきりするだろうと思っていたら、意外な返事が届いた。

「写真で送ってくれた種の標本は、1個体もない。アメリカ国立自然史博物館の標本を調べる必要があるが、新種かもしれないぞ? とにかく、採集できるだけ採集しておくんだ!」

  こんなに大きなガなのにINBioに標本がひとつもないとは、とにかく不思議だ。これは面白くなってきた。 翌日、家のそばで写真撮影をして戻って来ると、玄関前がエライことになっていた。

 たくさんのガが飛び交っているではないか!

蛾-3

  もしかして・・・と玄関前の飼育ケースを見ると、案の定、飼育していたメスのカレハガが羽化していた。成虫になったメスが、オスたちを引き寄せていたのである。その数20匹ぐらいだろうか。

 翌日以降も、このオスの「襲来」を5回ほど観察することができた。いずれも午後2時前後。大型の夜行性のガが、こんな明るい昼間に飛行するという話はあまり聞かない。

  飼育ケースの蓋を開けると、オスが翅をぶるぶる震わせながら、すぐにメスのところまでたどり着き、交尾が始まった。1匹が交尾を始めると、他のオスたちはあれよあれよとどこかへ行ってしまった。メスのおしりからフェロモンが出なくなったのだろうか、この急展開には驚いた。交尾から2日ほどすると、メスは卵を塊で産み、その後数日で死んでしまう。

 このガは、いったい何ものなのか?

 これからは、生態をより詳しく調査しつつ、アメリカ国立自然史博物館やINBioにある標本と、この種を詳しく照らし合わせたり、古い文献を調べる必要がありそうだ。

蛾-5

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 今週のピソちゃん ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

piso

 =参考資料・文献=

フェロモン

 フェロモン(pheromone)は、動物または微生物が体内で生成して体外に分泌後、同種の他の個体に一定の行動や発育の変化を促す生理活性物質のことである。 蛾の雌が雄を誘引する様がファーブルの『昆虫記』にも記されており、フェロモンの存在は当時から推測されていた。 フェロモンは、極めて低濃度でその効果を果たすものが多い。それはホルモンなどと共通の性質である。その意味で、いわゆる臭いによる情報伝達とはまた異なったものである

 昆虫」から発せられるフェロモンの研究もよく進められている。昆虫の行動は、いわゆる本能行動であって、ごく限られた刺激に対して限られた反応を返すように組み立てられている傾向があり、その中で、フェロモンの果たす役割は大きい。下に述べるような多くの型のものの、ほとんどすべてが昆虫には見られる。

 社会性昆虫においての、社会構造を維持するための役割など、その詳細がわかってきている。 哺乳類や爬虫類についても、一部臭腺からのフェロモンの存在が確認されている。また、ヒトに対してのフェロモンの存在も見つかり、研究がなされている。 一般には、性的に発情(興奮)を誘発させる性フェロモンが知られるが、他にも幾つか種類がある。

 ハチやアリなど社会性昆虫は階級分化物質や女王物質と言われるものによって、階級社会の形成と維持をしている。女王バチが発する女王物質queen substance)は、他の雌の卵巣の発育が抑えられて、働きバチとしての行動を起こすようにするよう働く。もし、女王が死んだ場合、この物質の供給が途絶えるので、働き蜂や幼虫の中から生殖能力のあるものが現れ、新たな女王となる場合もある。 なお、蛾の誘引フェロモン類似物質を分泌して雄のガを誘引し捕獲するナゲナワグモという蜘蛛が存在する。

蛾-4

 ・・・・・つづく

_  コスタリカ サンホセ San Jose Costa Rica _

・・・・・・https://youtu.be/l1NxWHCo3Ak ・・・・・・

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「バックマン」と呼ばれる西田賢司 =061=

2019-04-02 06:10:58 | 浪漫紀行・漫遊之譜

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◇◆ =061= 森の不気味なモーニングコール ◆◇

コスタリカのサラピキ地方は、熱帯雨林の広がる低地だ。 そこは熱帯のジャングルというイメージ通りの場所。

  ぼくはハワイへ侵入した植物を制御する役割を持つ昆虫の調査をするため、このサラピキに滞在することがあるのだが、滞在中、朝5時前に起こされてしまうことがよくある。

 森から、おそろしげなモーニングコールが響きわたるからだ。

  この時間、辺りはまだ真っ暗。虫たちの鳴く音が静かに流れるなか、突如、こんな声が轟き始める。
(編者注:下の動画を再生してみてください。 真っ暗な中、音だけが聞こえてきます。 正直、こわいです)

ホエザル-2

 

これは、マントホエザルのオスたちの遠吠え。 遠くからの声も交じっているので、いくつかの群れが周辺にいるようだ。  森にすむ生きものたちに夜が明けることを知らせているのだろうか。合唱が終わるころ、辺りは薄らと明るくなり始め、ジャングルは鳥たちのさえずりで包まれていく。


屋根の上にポロポロと何かが落ちる音が。外へ出てみると、ホエザルの群れが家の真上に! クンクンと犬があまえるような鳴き声(おそらくメス)を出していた(小さな鳴き声で、聞えない場合は音量を上げてください)。 撮影地:モンテベルデ、コスタリカ

 マントホエザルは、標高2500メートルを超える高山地帯をのぞく、コスタリカ全土の森林で見られる。コスタリカには昼間に活動するサルが4種いるが、そのなかで一番よく見かけるおサルさんだ(ほかにセアカリスザル、ノドジロオマキザル、アカクモザルがいる)。

  吠えるのは、夜明け前だけではない。スコールの降り始めや、ほかの群れが近くにいるときに吠えるようだ。口を丸く大きく広げ、喉から腹部にかけて体を動かしながら声を出す。声の大きさの秘密は、喉の部分にある舌骨(ぜっこつ)にある。ほかのサルの25倍もの大きさがあり、そこで音量を増幅させているのだそう。

ホエザル-3

 真上のホエザルにご注意

 林道を歩いていると、ときどき葉や小枝、果実なんかが落ちてくることがときどきある。そんなとき上を見上げると、食事中のマントホエザルたちに出会う。 群れがこちらに気づいたときなどは、警戒して糞やおしっこをドボドボと落としてくることがある。真下にいないほうがよい。

  このサルは木の高いところで、10~20頭の群れをなして暮らしている。主食は木の葉っぱ。サルにしてはちょっと珍しい食事メニューである。若葉をとくに好んで食べ、あとは果実や花を食べる。 夜明け前から活動を始め、昼間の大半を木の枝の上で休んだり寝たりして過ごす。消化しにくい葉っぱをきちんと消化するために時間をかけているのだという。

  夜も樹上で眠りについている。 翌朝の遠吠えのためのエネルギーを蓄えているのかもしれない。

ホエザル-4

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 今週のピソちゃん ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

ピソー1

ピソー2

ピソー3

 ・・・・・つづく

_  コスタリカ アレナル火山 Arenal Volcano Costa Rica _

・・・・・・https://youtu.be/EM-hPmREkZY ・・・・・・


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