【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

めくるめく知のフロンティア・学究達 =154=/ 堀川大樹(06/11)

2021-03-27 06:15:00 | 浪漫紀行・漫遊之譜

ちょっと間抜けで憎めない、いや、愛すべき容貌をしたクマムシ

低温にも負けず、高圧にも負けず、乾燥にも放射線の照射にも負けず

2700メートルの海底から標高5000メートルくらいの山まで、頑健丈夫な体で生き抜く

華の都パリでそんな“かわいいけど最強”の生物・クマムシを研究する堀川大樹

【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/研究室にいって来た”を基調に編纂】

(文=川端裕人/写真=川端裕人・堀川大樹 & イラスト・史料編纂=涯 如水)

クマムシ/堀川大樹 : 第3回 ヨコヅナクマムシ登場 =2/3= ◆◇

  論文の主、鈴木さんは職人気質であり、過剰なまでの愛と技術で、飼育を可能にしたのではないか、というのが堀川さんの意見だ。堀川さんは、その愛と技術に少しでも近づくべく、心血を注ぐ。たしかに1日16時間顕微鏡を見て、餌のワムシをより分けたり、培地を変えたり、その上でクマムシに食べさせ、観察するというのを1人でこなす、というのは並大抵ではない。

  「愛情をそそがないと全然駄目だというのは間違いなくて、本当に没頭しました。放射線の影響を調べるために、1回に1000匹を見たんですが、ろくろく眠らないで、どのぐらい死んだとか、何個卵を産んだとか記録につけていったんです。

  1週間くらい続けたら、神経がやられちゃったのか倒れまして。もう何もできなくなっちゃったんですよ。それで、論文も最初は毎日、記録はつけてあるんですけど、その後は何か3日とか4日後に1度とか、1週間に1度とかになってしまって。でも、そういう論文って今までなかったんで、私としてはすごい不本意だったんですけど、出版後、結構引用されてるんですね」

 ちなみに、堀川さんのこの時の根の詰め方は常軌を逸しており、農業生物資源研究所の同じ研究室に同時期に在籍した人物から、「時々、血を吐いていた」という証言も聞いた。壮絶なる研究努力というか執念なのだが、ほんとお体は大切に、とぼくはしみじみ思うのだった。

 なお、オニクマムシの飼育系についての鈴木論文のインパクトは大きく、堀川さんは、世界中で、自分と似たことを試みようとした人がいたのではないかと感じている。本人としては不本意でも、たぶん同業者は事情を察してくれたのだろう、と。

  「たぶん、同じことをやろうとした人はたくさんいて、でも、みんなこけちゃったんじゃないかと。私も、ベッドの上で寝込みながら、オニクマムシやってたらほんとに心中してしまうな、緊急課題として博士号はまずとれないなと思って(笑)。

  3歩進んで2歩下がるどころか、マイナスになるかもしれないけど、オニクマムシよりもずっと効率のいい種類を探して、自分で飼育系を確立するしかないんじゃないか、と。博士課程2年の夏にデンマークで学会があって、その時たまたま鈴木さんと話したんですよ。オニクマムシはきついんですよねって。そうしたら、「ああ、それは当然だよ」とか言って(笑)。やるんだったら、草食のがいい。肉食でやってたら手間かかって大変だって──」

 というわけで、堀川さんは、助言にも後押しされて、これまで採集した国内外のクマムシ(樽型になった乾眠状態で保存中)を片っ端から水を与えて戻して、飼育に手間のかからないクマムシ探しを始めた。問題は、クマムシには「何を食べているか」レベルの情報がほとんどなかったことだ。

  人間に対して害もないし益虫でもないから、日常的には無視されてきた。野外観察は不可能で、研究室でコケから分離して顕微鏡で見るしかないわけで、分類学的な知見は蓄積していても、生態学的なことはなかなか分からない。だから、堀川さんの「手間いらずのクマムシ探し」は、手当たり次第、なものになった。

  「ある意味ヤケクソになっちゃったんですけど、とにかくいろんなもので試してみようと思って。まずは、金魚の餌とかですね。さらに、牛乳とか、米粒や米の研ぎ汁、米についたバクテリアが繁殖した溶液。あと、アクエリアスとかイオン飲料も試した気が……(笑)」

・・・・・・明日に続く・・・・・・

■□参考資料: クマムシに新たな伝説 月面に置き去り実験の行方は? (3/3) □■

クマムシだけじゃない「すごいやつら」

ネットで度々「最強生物」と話題になるクマムシですが、鈴木先生は「乾眠の能力を持つのはクマムシだけではない」と話します。
「コケの中で暮らすヒルガタワムシや、センチュウの一部のグループなども持っています。もっと身近に言えば、パンづくりで使うドライイーストも乾燥からの蘇生と言えますよね」
では、その中で「クマムシ」が取り立てて注目されるのでしょうか。「やはり見た目が面白いからでしょうね」と鈴木先生。
自身が専門に研究しているクマムシが注目されても、「生物学者はいろんな生物を紹介する義務がある」と話します。
「例えば深さ何千mの深海で繁栄してきた生物もすごいですし、すごいやつらはそこらじゅうにいるんです」
取材から、生物をリスペクトする鈴木先生の思いが見えた気がしました。
クマムシは現在、約1300種いるといわれています。この10年間でも数百種類の新種が発表されているほどで、まだまだ全貌が見えない生物です。

■□参考資料: 遺伝子が明かす、最強生物クマムシの強さと進化の道筋 (-/3) □■

2017.09.14  丸山恵 / サイエンスライタ

“地上最強生物”として、熱く注目されるクマムシ。地球上の生物とは思えないほどの過酷な環境に耐えるしくみが少しずつ明らかになってきた。慶應義塾大学先端生命科学研究所の大学院生吉田祐貴(よしだ ゆうき)さんと荒川和晴(あらかわ かずはる)同研究所准教授らのグループは、英国・エジンバラ大学マーク・ブラクスター教授らとの共同研究で、性質の異なる2種類のクマムシのゲノム情報を解読し、極限環境耐性を生み出す特徴的な遺伝子とその働くしくみについての新たな発見をした。その研究成果は、医療やバイオテクノロジーへの応用や、生物進化解明への貢献が期待される。クマムシ研究で「生命」とは何かに迫る研究者の思いとともに紹介しよう。

クマムシとはどんな生物か?

 そのネーミングから、大きくて迫力のある虫をイメージしそうだが、実際は肉眼では見えない程小さく、体長は0.1〜1ミリメートル位しかない。しかも“虫”ではなく、4対の肢(あし)を持つ「緩歩(かんぽ)動物」という部類に分類される。緩歩動物には現在のところクマムシしか属さないが、クマムシだけで約1,200種類も確認されている。節足動物(カニ、クモ、ダンゴムシなど)や線形動物(センチュウなど)と近縁だと考えられている。

Water Bears in HD 

動画のURL: https://youtu.be/aHsVyb_VfeA 

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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