テニスと読書とデッサンと!

花道にて。

まるで桜田麩(さくらでんぶ)をばら撒いたみたい。

百日紅の散り花に彩られた散歩道。

道に落ちてもまだその鮮やかな色を失わず

華やかにぼくらの行く道を飾っていた。

なんだか艶やかで色っぽい。

百日紅の樹が常にツルツルの表面を

キープしているのはツル性の植物に

巻き付かれるのを防ぐためらしい。

 

余計なものに絡みつかれると

あとあと面倒なことになるし

私の美肌が見えなくなってしまうもの。

まさか百日紅がそんなことは

言わないでしょうけれど、

木肌に触れてみるとエステサロンにでも

通い詰めているんじゃないかって思うほど

本格的なツルスベ肌をしていた。

 

「ところでフレディくん、

なんでキミはここで立ち止まっているの?

なにか考えごとでもしているのかい?」

「ご主人様、あっしは毛むくじゃらだから

ツルに巻きつかれる運命なんでしょうか?」

「あはは、私のいうことを聞いていれば

その心配はないよ」

「聞かないとどうなります?」

「去年の夏は駄々をこねる何頭もの犬が

アサガオのツルに巻きつかれて

命を落としそうになったって

ニュース番組で大々的に取り上げられてた」

「マジっすか?」

「マジっすよ。キミは聞き分けのいい犬かい?」

「・・・よくない犬かも知れません。

あっ、いいこと思いつきました」

「なんだい?」

「タップダンスです!あれさえ踊りながら

歩けば巻きつかれる心配はないと思います」

「タップダンスかぁ。それ、いいね。

運動にだってなるしね。一石二鳥。

私の頭じゃ考えつかない発想だよ」

「あっし、アタマいいっすかね」

「いいよ、とってもいい!!!!

さあ、早速踊ってごらん。見ててあげるよ」

 

タッ、タラ、タッ、タッ、タッ、タッ!

 

「それ、ただ焼けたアスファルトの上を

歩いてアッチッチしてるだけにしか見えないよ。

タップダンスってものはさぁ・・・」

「ご主人様、たしか今日は朝から仕事が

詰まっていて忙しいって言ってたような・・・」

「おっと、いけない!そうじゃん!

こんなところでタップダンスなんか

踊っている場合じゃなかった!

急いで帰らなくちゃ。ぅわ〜、もう7時だ〜!」

「あっ、ご主人様、そんなに引っ張ったら

ダメですっていつも言ってるじゃないですか。

聞き分けのない人間はツルに巻きつかれますよ」


ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「diary」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事