もう戻れない、失われてしまった時・・・ これは、ある男の人生を20年にわたって遡る、切ない物語り・・・。 何もかも失ったキム・ヨンホがすべてを捨てる決意をした時、彼の脳裏に様々な思い出が甦る・・。 5年前、自ら放棄してしまった家庭。15年前、互いに思いを寄せながらも、別れを決意した初恋の人への愛。純粋な青年だった彼の人生を狂わせたものは何だったのか? 一人の男の人生を通して、韓国の聖治状況にも冷静に見据えながら、選ばなかったことで失ってしまった大切な時間を一つひとつ辿っていく。 輝く未来を信じ、初めて恋しい人と心通わせた二十歳のあの頃には、もう二度と戻ることは出来ない・・・。
先日 「殺人の追憶」 を観てから、久しぶりにこの韓国映画を観たくなりました。ヨンさまのおかげで、"韓流ブーム" になって(もう、そろそろ落ち着いたかな?)、ここ日本でも沢山の韓国映画がロードショーの映画館でも上映されるようになったのですが、その韓国映画、5~6年前くらいまでは小さな単館系映画館で、一週間だけ上映という扱いをされていましたっけ。ま、韓国映画が一般的に広まったきっかけの作品はとなると、南北問題を取り入れたアクション大作、「シュリ」が大ヒットしたことからだと思いますが、それ以前もクォリティの高い作品は沢山あったんです。韓国の国民的男優と女優、ハン・ソッキュとシム・ウナが初共演した心温まる・・・でもちょっぴり哀しい物語、「八月のクリスマス」や、今回投稿する問題作、「ペパーミント・キャンディ」。ちょっぴり恐くてかなりイタイ作品、「魚と寝る女」など・・・。
今現在、公開される韓国作品は、どんなものでも大抵ヒットしてしまうのですが、内容はというと、あまり濃い内容のものは少なくなったような気がします。この頃(1998年頃から2002年頃)のものが韓国映画は素晴らしい作品が多いと私は(個人的にですが)、思っているのですが・・・。
さて、今回レビューするのは、その個人的に韓国映画が好きだった頃に公開された作品、「ペパーミント・キャンディ」です。
2000年元旦、当初ソウルの少数の映画館で封切られた本作は、瞬く間に感動の口コミが広まり、一気に上映館を広げる逆行現象を起こしました。物語の確かさと人生に対する深い洞察は、観客の熱い支持と評論家たちの絶賛に支えられ、大ヒットを記録し、そしてなんと「シュリ」の動員数を超える大ヒットをも記録。そして、世界各国の映画祭から出品要請が相次ぎ、全世界の人々に深い感銘を与えた作品となったのです。
この作品は、ある男の人生に起こった出来事を、時間を遡りながら描いた物語です。自ら脚本も執筆した監督は、主人公の半生を、現在から過去に向かって語るという手法を用い、人生のある時間を逆戻りさせるなかで、妥協と堕落に身を落とすことになった人間の、その選択を描きました。
輝く未来を信じ、希望に満ちた青春時代を送った若かりし頃・・。時間の経過の残酷さが、観終わって浮掘りにされるのです。過ぎてしまった時間の中で、一番大切なものはなんだったのか? 観ている私たちに、そう問い掛けられたその答えは・・??
また、本作の主軸ともいえる主人公の ”初恋” の背景に、韓国の歴史的、社会的な政治情勢が絡んでいます。
1999年の ”今” 主人公キム・ヨンホが全てを失って自殺寸前の瞬間から遡る事20年。 1979年・・・この年こそ、韓国が今日のような経済成長、民主化を達成する原点となった年なのです。 そして翌年の光州事件・・・・ヨンホは、多感な思春期を朴政権崩壊後の激変期の中で過ごしてきたのでした。
丁度徴兵されたての新米だった彼は、その光州へ送られ、そこで彼の人生は大きく変化してしまうのです。
いてもたってもいられない。 もうどうしようも出来ない。ニ度と戻れないあの日・・・。男の誰だって持ってる苦い、辛い思いが、ここに痛切に描かれていました。
オープニングのヨンホの悲痛な叫び・・・。そしてエンディングの若かりしヨンホのあの時の表情・・。脳裏に焼き付いて離れません。 こんなにも心がイタイ・・・・。壮絶で、哀しい人生の物語。・・・凄い映画です。
この作品、はっきり言って 非常に重い内容ですが、人間味のある素晴らしい作品です。
一度ご覧になってみてください。そして、なにかを感じとってください。
過ぎてしまった時間の中で、なにが一番大切だったのかを・・・。
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【ペパーミント・キャンディ / Peppermint Candy】
監督/ イ・チャンドン
製作/ ミョン・ケナム 上田信
脚本/ イ・チャンドン
撮影/ キム・ヒョング
音楽/ イ・ジェジン
美術/ パク・イルヒョン
主演/ ソル・ギョング
ムン・ソリ
キム・ヨジン
1999年韓国・日本合作
1999年釜山国際映画祭オープニング 2000年カンヌ国際映画祭 バンクーバー国際映画祭
カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭 アジア・フォーカス・福岡映画祭 韓国・大鐘賞主要5部門受賞
◆関連作品LINK
イ・チャンドン監督作品
先日 「殺人の追憶」 を観てから、久しぶりにこの韓国映画を観たくなりました。ヨンさまのおかげで、"韓流ブーム" になって(もう、そろそろ落ち着いたかな?)、ここ日本でも沢山の韓国映画がロードショーの映画館でも上映されるようになったのですが、その韓国映画、5~6年前くらいまでは小さな単館系映画館で、一週間だけ上映という扱いをされていましたっけ。ま、韓国映画が一般的に広まったきっかけの作品はとなると、南北問題を取り入れたアクション大作、「シュリ」が大ヒットしたことからだと思いますが、それ以前もクォリティの高い作品は沢山あったんです。韓国の国民的男優と女優、ハン・ソッキュとシム・ウナが初共演した心温まる・・・でもちょっぴり哀しい物語、「八月のクリスマス」や、今回投稿する問題作、「ペパーミント・キャンディ」。ちょっぴり恐くてかなりイタイ作品、「魚と寝る女」など・・・。
今現在、公開される韓国作品は、どんなものでも大抵ヒットしてしまうのですが、内容はというと、あまり濃い内容のものは少なくなったような気がします。この頃(1998年頃から2002年頃)のものが韓国映画は素晴らしい作品が多いと私は(個人的にですが)、思っているのですが・・・。
さて、今回レビューするのは、その個人的に韓国映画が好きだった頃に公開された作品、「ペパーミント・キャンディ」です。
2000年元旦、当初ソウルの少数の映画館で封切られた本作は、瞬く間に感動の口コミが広まり、一気に上映館を広げる逆行現象を起こしました。物語の確かさと人生に対する深い洞察は、観客の熱い支持と評論家たちの絶賛に支えられ、大ヒットを記録し、そしてなんと「シュリ」の動員数を超える大ヒットをも記録。そして、世界各国の映画祭から出品要請が相次ぎ、全世界の人々に深い感銘を与えた作品となったのです。
この作品は、ある男の人生に起こった出来事を、時間を遡りながら描いた物語です。自ら脚本も執筆した監督は、主人公の半生を、現在から過去に向かって語るという手法を用い、人生のある時間を逆戻りさせるなかで、妥協と堕落に身を落とすことになった人間の、その選択を描きました。
輝く未来を信じ、希望に満ちた青春時代を送った若かりし頃・・。時間の経過の残酷さが、観終わって浮掘りにされるのです。過ぎてしまった時間の中で、一番大切なものはなんだったのか? 観ている私たちに、そう問い掛けられたその答えは・・??
また、本作の主軸ともいえる主人公の ”初恋” の背景に、韓国の歴史的、社会的な政治情勢が絡んでいます。
1999年の ”今” 主人公キム・ヨンホが全てを失って自殺寸前の瞬間から遡る事20年。 1979年・・・この年こそ、韓国が今日のような経済成長、民主化を達成する原点となった年なのです。 そして翌年の光州事件・・・・ヨンホは、多感な思春期を朴政権崩壊後の激変期の中で過ごしてきたのでした。
丁度徴兵されたての新米だった彼は、その光州へ送られ、そこで彼の人生は大きく変化してしまうのです。
いてもたってもいられない。 もうどうしようも出来ない。ニ度と戻れないあの日・・・。男の誰だって持ってる苦い、辛い思いが、ここに痛切に描かれていました。
オープニングのヨンホの悲痛な叫び・・・。そしてエンディングの若かりしヨンホのあの時の表情・・。脳裏に焼き付いて離れません。 こんなにも心がイタイ・・・・。壮絶で、哀しい人生の物語。・・・凄い映画です。
この作品、はっきり言って 非常に重い内容ですが、人間味のある素晴らしい作品です。
一度ご覧になってみてください。そして、なにかを感じとってください。
過ぎてしまった時間の中で、なにが一番大切だったのかを・・・。
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【ペパーミント・キャンディ / Peppermint Candy】
監督/ イ・チャンドン
製作/ ミョン・ケナム 上田信
脚本/ イ・チャンドン
撮影/ キム・ヒョング
音楽/ イ・ジェジン
美術/ パク・イルヒョン
主演/ ソル・ギョング
ムン・ソリ
キム・ヨジン
1999年韓国・日本合作
1999年釜山国際映画祭オープニング 2000年カンヌ国際映画祭 バンクーバー国際映画祭
カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭 アジア・フォーカス・福岡映画祭 韓国・大鐘賞主要5部門受賞
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レビュー読んで
あ~笑顔がすてき~
あ~きれぇ~
っていう最近の韓国映画ではない様子。
自分の人生に沢山の選択肢があって今振り返るとあの時あっちにしておけば~と思うことはたたあるわけで、
…てなわけで貸していただけますか?
よろしくです
でも、相当覚悟いるかも??です。
連休の初日、若しくは休みの前日に
観ることをお薦めします(苦笑)。
今度持って行きます。
では
では
考えてしまいました
この映画、一言では言い表せないでしょ?
率直な印象・・それでいいのだと思います。
私も、レビューを載せるときにかなり悩み、かなり時間がかかりましたもの。