欲望の翼

「1960年、4月16日の3時1分前。君は僕といた。君との１分を忘れない」
1960年代の香港。ヨディは、養母の複雑な愛情に苦しみながら、屈折した日々を送っていた。ある日彼は、売店の売り子スーと運命的に出会う・・・。

前回の『シクロ』に続き、もうひとつアジア映画を。
10年ほど前でしょうか、一時期かなりアジア系映画にハマりこんだことがありまして、中でもこのウォン・カーウァイの監督作品は『恋する惑星』を観て以来、惚れ込んでしまい、日本で公開されたものは、ほぼ全作品を制覇いたしました。
今回取上げる『欲望の翼』は「ウォン・カーウァイ監督の作品の中で初期の傑作と言われています。
ひとりの青年を中心に、その周囲で友人、恋人関係などで結ばれる6人の若者達の出会い、愛憎、孤独、別れを描いた ”青春群像”。公開時、世界中で大絶賛の嵐だった作品で、ここからウォン・カーウァイのばく進は始まったといっても過言ではないでしょう。

　　　　

当時は3時間余りもある上映時間になる予定だったそうですが、あまりにも長くなるとのことで、「パート1」 と 「パート２」 に分けて公開することになったそうです。ちなみにこの 「パート1」 は、1960年の香港。「パート２」 では、1966年という設定だそうなんですが、未だに 「パート２」 は公開されておりません。
なんでも2000年に公開された『花様年華』がこの作品の続編（「パート２」）との噂も流れましたが、真意はわかっていません。 しかもその『花様年華』の続編といわれるのが、キムタクとフェイ・ウォンが出演した『2046』だとのこと。 そういえば、『花様年華』に出てくるホテルのルームナンバーも ”2046”だったなぁ…。



話が大幅に横へずれてしまいました。本題に戻りますが、この物語のテーマは「時間」 と 「記憶」。冒頭のレスリーのセリフ、「１９６０年、４月１６日の３時１分前。君は僕といた。君との１分を忘れない」・・・なんか、歯の浮くようなセリフですが、これがこの作品のテーマなのです。 唯一無二の「一瞬」。これこそが人生において大切なことなのです。 過ぎてしまえば二度と戻らない。 その記憶、思い出を持つことの素晴らしさ。 これをカーウァイ監督が描きたかったことなのですね。 少々バイオレンスっぽい描写等ありますが、中々の秀作です。
キャストも今から考えれば、想像もつかないほどの凄いメンバーです。 これに出演した役者は、皆現在は大スターですよ。 さすがはウォン・カーウァイですね。 見る目が違う。

因みに原題『阿飛正傳』の ”阿飛” とは中国語でチンピラ、あるいは社会的に属するものがない破落戸（ゴロツキ）の意味を持っているとのことです。

--「欲望の翼」関連映像--
Days of Being Wild [Trailer]


Days of Being Wild (Trailer)



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【欲望の翼(阿飛正傳) / DAYS OF BEING WILD】
監督/ ウォン・カーウァイ　
出演/ レスリー・チョン　カリーナ・ラウ　マギー・チョン　
1991年 香港

香港電影金像奨：作品賞、監督賞、主演男優賞、撮影賞、美術賞
台湾中時晩報奨：グランプリ
アジア太平洋映画祭：審査員グランプリ、監督賞、助演女優賞、撮影賞
フランス・ナント国際映画祭：主演女優賞

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