寺井尚子、ジャズ・ヴァイオリニスト
…生来の感性が紡ぎ出すそのサウンドは、ジャンルを超えて今、新しい伝説になる。
98年デビューアルバム。 それは次世代への静かなメッセージ!
本日は久し振りのジャズ・アルバムを…。
今や、ベテランの粋に達してしまったジャズ・ヴァイオリニスト、寺井尚子。 私の中では、もう遠い存在のような人となってしまった感があり、嬉しくもあり、寂しくもあり…。
というのも、実は私、彼女をデビュー前から知っていまして、メジャーデビューを果たしてから、ある時期までずっと彼女を追っていたのです(と言っても、”追っかけ”をやっていたわけではありませんよ…念のため--爆)。
ヴァイオリンの美しい音色とジャズ…この二つの融合は、初めて聴いたとき、私の中に衝撃が走りました。 私の頭の中の「ヴァイオリン=クラシック系」という概念を打ち破ったアーティストです。 初めて聴いて以来、彼女に魅了され、彼女を追いかけ続けました。 そして、まだ個人ホームページを作っていた頃でしたので、彼女の個人的なファンサイトも立ち上げたりしていました。
余談ですが、当時たまたまご本人も偶然私のサイトをご覧になられ、一度直接お会いしたこともありまして、そのときは何をお話したか全く憶えていない位、頭の中が真っ白になってしまいましたが…(笑)。
そんな熱かった頃を、彼女の2008年作品『小さな花』を聴いていたら思い出してしまい、思わず当時一番好きだったアルバム、『Thinking Of You』を棚から引っ張り出してきてしまいました。
この『Thinking Of You』は寺井尚子の初リーダー・アルバム。 彼女は日本デビュー前に海外のトップミュージシャンに認められ、1995年にケニー・バロンの 『シングス・アンシーン』、1996年、マル・ウォルドロンの娘、マラ・ウォルドロンの 『ララバイ』。 そして1997年に横山達治のアルバム『La Pasion』 のレコーディングに参加していました。 その評価は非常に高く、この彼女の第一歩でもある初のリーダーアルバムは、日本デビュー作であると同時に、それまでの彼女の集大成的な音作りとなっています。
この作品発表後、コンスタンスにアルバムを発表しますが、このアルバムほど、バラエティに富み、SWINGしているアルバムはないでしょう。
1曲目「ストールン・モーメンツ」は、オリバー・ネルソンの作品で、当時「この曲をヴァイオリンで是非弾いてみたい」と思っていた作品だそうです。 2曲目の「出会い」は、寺井尚子のオリジナル。”出会いによって自分の人生までもが変わることもある・・・それぐらい人との出会いというものは大切なもの。”そんなときに出来た曲だといいます。力強くも優しさに満ちた曲です。
3曲目の「ドナ・リー」は、チャーリー・パーカーの曲。それを寺井流にアレンジした作品で、ヴァイオリンとシンセのみの演奏になっています。中々スリリングなアレンジになっていて、個人的には結構好きなナンバーです。
4曲目「アイ・ラヴズ・ユー・ポーギー」は、いうまでもなくガーシュインの名作「ポギーとベス」の代表曲。 マイルス・ディヴィスの演奏に感銘を受け、レコーディングしたといいます。彼女のヴァイオリンはまるで歌を歌っているかのようです。 「パキラ」はバック・ミュージシャン坂井紅介のオリジナルで、観葉植物 ”パキラ” をイメージして作った作品。流れるような、躍動感溢れるリズム。そして寺井の熱いソロ。 まさしくこのアルバムのハイライト・ナンバーです。 後半のベースと寺井の声のユニゾンがカッコイイ楽曲となっています。反対に次の曲「パハロ(鳥)」は、大空を飛ぶ鳥のように優雅で、ゆったりとしたヴァイオリンが楽しめます。 「ダダ」は、彼女のオリジナルで、軽快なリズムが印象的な、スウィンギーなナンバー。
8曲目の「ハイウェイ・アット・ミッドナイト」は名古屋から東京に演奏に出かけ、ライヴが終わって真夜中の高速道路を帰る途中、車を止めて夜風にあたっていたときに浮かんだ作品だそうです。 「サマー・ナイト」はハリー・ワーレン、アル・ドゥービンによるスタンダード・ナンバーで、チック・コリアや、キース・ジャレットの演奏で有名な曲です。
そして、10曲目の「ストレート・ノー・チェイサー」は、ケニー・バロンとも共演した思い出の曲で、セロニアス・モンクの作品。この曲では思いっきりJAZZしています。 11曲目の「シンキング・オブ・ユー」。 このアルバムのタイトル曲。”これからが新しい出発”。という気持ちが込められた作品。 コンサートでもハイライトで演奏されているナンバーで非常に美しい曲です。
「リトル・サンフラワー」は、フレディ・ハバードの作品で、横山達治のバンドに在籍していた時によく演奏した曲のひとつで、サビの部分をフォービートでスウィングするといったアイデアを日野元彦が提案した作品。なかなかカッコイイ仕上がりになっています。
最後の「ウン・チコ・エン・ラ・プライア」 。 ベースの坂井紅介がこのセッションの為に作った曲だそうで、曲名は英語にすると「A Little Boy」 となるそうです。・・・・・
ついつい思い入れが強かったせいか、一曲づつ解説してしまいました(笑)。
この寺井尚子のデビューアルバムは、数ある彼女のアルバムの中でも個人的に一番好きな作品です。 このアルバムひとつで彼女の全てがわかるのではないかと思います。 ”静と動”、これが全体に上手く織り込まれていて、何度聴いても飽きません。 JAZZ好きな方にも、これから の人にもお薦めの一枚です。
ヴァイオリンの美しい音色とジャズの融合…あなたも是非体感してください。
--「寺井尚子」関連映像--
出会い
Donna Lee
Spain
*********************************
【Thinking Of You / Naoko Terai】
1/ Stolen Moments (Oliver Nelson)
2/ Deai (Naoko)
3/ Donna Lee (Charlie Parker)
4/ I Love You, Porgy (G & I Gershwin D.Heyward)
5/ Pachira (Benisuke Sakai)
6/ Un Pajaro (Benisuke Sakai)
7/ Da-Da (Naoko)
8/ Highway At The Midnight (Naoko)
9/ Summer Night (H.Warren A.Dubin)
10/ Straight No Chaser (Thelonious Monk)
11/ Thinking of You (Naoko)
12/ Little Sunflower (Freddie Hubberd)
13/ Un Chico En La Playa (Benisuke S.)
1998年リリース作品
寺井尚子(Violin,Vouces)
野力奏一(Piano,Synthe)
坂井紅介(Bass)
日野元彦(Drums)
--関連作品LINK--
…生来の感性が紡ぎ出すそのサウンドは、ジャンルを超えて今、新しい伝説になる。
98年デビューアルバム。 それは次世代への静かなメッセージ!
本日は久し振りのジャズ・アルバムを…。
今や、ベテランの粋に達してしまったジャズ・ヴァイオリニスト、寺井尚子。 私の中では、もう遠い存在のような人となってしまった感があり、嬉しくもあり、寂しくもあり…。
というのも、実は私、彼女をデビュー前から知っていまして、メジャーデビューを果たしてから、ある時期までずっと彼女を追っていたのです(と言っても、”追っかけ”をやっていたわけではありませんよ…念のため--爆)。
ヴァイオリンの美しい音色とジャズ…この二つの融合は、初めて聴いたとき、私の中に衝撃が走りました。 私の頭の中の「ヴァイオリン=クラシック系」という概念を打ち破ったアーティストです。 初めて聴いて以来、彼女に魅了され、彼女を追いかけ続けました。 そして、まだ個人ホームページを作っていた頃でしたので、彼女の個人的なファンサイトも立ち上げたりしていました。
余談ですが、当時たまたまご本人も偶然私のサイトをご覧になられ、一度直接お会いしたこともありまして、そのときは何をお話したか全く憶えていない位、頭の中が真っ白になってしまいましたが…(笑)。
そんな熱かった頃を、彼女の2008年作品『小さな花』を聴いていたら思い出してしまい、思わず当時一番好きだったアルバム、『Thinking Of You』を棚から引っ張り出してきてしまいました。
この『Thinking Of You』は寺井尚子の初リーダー・アルバム。 彼女は日本デビュー前に海外のトップミュージシャンに認められ、1995年にケニー・バロンの 『シングス・アンシーン』、1996年、マル・ウォルドロンの娘、マラ・ウォルドロンの 『ララバイ』。 そして1997年に横山達治のアルバム『La Pasion』 のレコーディングに参加していました。 その評価は非常に高く、この彼女の第一歩でもある初のリーダーアルバムは、日本デビュー作であると同時に、それまでの彼女の集大成的な音作りとなっています。
この作品発表後、コンスタンスにアルバムを発表しますが、このアルバムほど、バラエティに富み、SWINGしているアルバムはないでしょう。
1曲目「ストールン・モーメンツ」は、オリバー・ネルソンの作品で、当時「この曲をヴァイオリンで是非弾いてみたい」と思っていた作品だそうです。 2曲目の「出会い」は、寺井尚子のオリジナル。”出会いによって自分の人生までもが変わることもある・・・それぐらい人との出会いというものは大切なもの。”そんなときに出来た曲だといいます。力強くも優しさに満ちた曲です。
3曲目の「ドナ・リー」は、チャーリー・パーカーの曲。それを寺井流にアレンジした作品で、ヴァイオリンとシンセのみの演奏になっています。中々スリリングなアレンジになっていて、個人的には結構好きなナンバーです。
4曲目「アイ・ラヴズ・ユー・ポーギー」は、いうまでもなくガーシュインの名作「ポギーとベス」の代表曲。 マイルス・ディヴィスの演奏に感銘を受け、レコーディングしたといいます。彼女のヴァイオリンはまるで歌を歌っているかのようです。 「パキラ」はバック・ミュージシャン坂井紅介のオリジナルで、観葉植物 ”パキラ” をイメージして作った作品。流れるような、躍動感溢れるリズム。そして寺井の熱いソロ。 まさしくこのアルバムのハイライト・ナンバーです。 後半のベースと寺井の声のユニゾンがカッコイイ楽曲となっています。反対に次の曲「パハロ(鳥)」は、大空を飛ぶ鳥のように優雅で、ゆったりとしたヴァイオリンが楽しめます。 「ダダ」は、彼女のオリジナルで、軽快なリズムが印象的な、スウィンギーなナンバー。
8曲目の「ハイウェイ・アット・ミッドナイト」は名古屋から東京に演奏に出かけ、ライヴが終わって真夜中の高速道路を帰る途中、車を止めて夜風にあたっていたときに浮かんだ作品だそうです。 「サマー・ナイト」はハリー・ワーレン、アル・ドゥービンによるスタンダード・ナンバーで、チック・コリアや、キース・ジャレットの演奏で有名な曲です。
そして、10曲目の「ストレート・ノー・チェイサー」は、ケニー・バロンとも共演した思い出の曲で、セロニアス・モンクの作品。この曲では思いっきりJAZZしています。 11曲目の「シンキング・オブ・ユー」。 このアルバムのタイトル曲。”これからが新しい出発”。という気持ちが込められた作品。 コンサートでもハイライトで演奏されているナンバーで非常に美しい曲です。
「リトル・サンフラワー」は、フレディ・ハバードの作品で、横山達治のバンドに在籍していた時によく演奏した曲のひとつで、サビの部分をフォービートでスウィングするといったアイデアを日野元彦が提案した作品。なかなかカッコイイ仕上がりになっています。
最後の「ウン・チコ・エン・ラ・プライア」 。 ベースの坂井紅介がこのセッションの為に作った曲だそうで、曲名は英語にすると「A Little Boy」 となるそうです。・・・・・
ついつい思い入れが強かったせいか、一曲づつ解説してしまいました(笑)。
この寺井尚子のデビューアルバムは、数ある彼女のアルバムの中でも個人的に一番好きな作品です。 このアルバムひとつで彼女の全てがわかるのではないかと思います。 ”静と動”、これが全体に上手く織り込まれていて、何度聴いても飽きません。 JAZZ好きな方にも、これから の人にもお薦めの一枚です。
ヴァイオリンの美しい音色とジャズの融合…あなたも是非体感してください。
--「寺井尚子」関連映像--
出会い
Donna Lee
Spain
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【Thinking Of You / Naoko Terai】
1/ Stolen Moments (Oliver Nelson)
2/ Deai (Naoko)
3/ Donna Lee (Charlie Parker)
4/ I Love You, Porgy (G & I Gershwin D.Heyward)
5/ Pachira (Benisuke Sakai)
6/ Un Pajaro (Benisuke Sakai)
7/ Da-Da (Naoko)
8/ Highway At The Midnight (Naoko)
9/ Summer Night (H.Warren A.Dubin)
10/ Straight No Chaser (Thelonious Monk)
11/ Thinking of You (Naoko)
12/ Little Sunflower (Freddie Hubberd)
13/ Un Chico En La Playa (Benisuke S.)
1998年リリース作品
寺井尚子(Violin,Vouces)
野力奏一(Piano,Synthe)
坂井紅介(Bass)
日野元彦(Drums)
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最近また聴きだしました。
久々に堪能しています。
新作の「アダージョ」も気になりますね。
なんていっても「ニュー・シネマ・パラダイス」が
収録されているのですよ!
近日中にゲットの予定ですよ。
しかし、いつもながら思うのですが、
あの華奢な身体からよくあんなダイナミックな
音が出せるものです。
この辺が寺井尚子の魅力なんですけどね。
寺井尚子さんのバイオリンは
とても心地いい音色ですよね。
私も好きです。
ぼのさんの記事見てびっくりです。
ご本人から連絡があったなんてすごいですね。
私もコンサートに行ったときに
演奏後のサイン会でお会いし、握手しましたが、
そんなことよりも特別にお会いできて
お話されたなんて、うらやましいです。