舘野泉さんのお名前は聞いたことがあるかもしれない。最近テレビでも演奏したそうだから。

ピアノコンサートで世界中を飛び回って活躍していた舘野さんは5年前、脳溢血で右手の自由を失った。
落胆ののち、息子さんから贈られた左手のためのピアノ曲の楽譜を演奏してみてご自分に左手が残っていたのに気付かされた。以後、左手だけの演奏をするようになったそうだ。
今日はバッハのシャコンヌを初めに弾かれた。
目をつぶって聞いていると両手の迫力だ。左手で右手の部分と左手の部分を同時に弾いている!
次に3手連弾、つまり、舘野さんの左手とお弟子さんの平原あゆみさんの両手の連弾ーこれもすばらしかった。音がやさしく深い。これは吉松隆さんにわざわざ3手連弾の曲を書いてもらったものだそうだ。
人は前向きに生きようとすると、目の前に道が開けてくるのだ。
後ろ向きだと前に道は作れない。
今日は舘野さんの人生を重ねてピアノを聴いたせいか、目をつぶって聴いたせいか、ピアノの重い音から軽やかな音まで腹の底にたまって行くような音を聴くことができ幸せだった。
ありがとう、舘野泉さん。(ちなみに彼は今70歳、とても若々しかった。)