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栃木発「ちゃりあん」ブログ2

日常の「あたりまえ」を、より深く。

「沼原湿原」へ散策してきました。 那須塩原市・年に一度の植物観察(後) 2016.7.31 

2016-08-05 23:03:42 | 植物
ここは沼原湿原。


いま流行している「ポケモンGO」とやらとは無縁の場所。


まぁ、ポケストップにはくれぐれもなってほしくないですが。


那須は温泉の街。


そして自然が豊かな街。


那須に移住して新しい仕事を始める人は多く


メディアで紹介される有名人といえば那須町以外の出身者が多いイメージがある。


・・・・もちろん地元出身で有名な方も存じあげておりますが。




やはり移住してこの地で商売を始める理由・・・それは


「那須の自然が気に入ったから」という方が多いはず。



現在、全国各地で「地域おこし」という名で様々な活動がされている。


例えば、那須町や矢板市等は「自転車」をテーマに掲げたようですが


まず「誘客」としての「地域おこし」はそれで満たされることでしょう。


けれど


その先の「定住」を促す、というこれから自治体が掲げる「生き残り」政策として


「誘客」という、それだけを重点に置いてしまうと


きっと人口の減少の歯止めにはならない、と考えています。



先の「那須の自然に魅了されて移住した人」というのは


それこそ「定住」に貢献しているわけで


私が思うのは


那須の地域おこしを促進するには


「那須に魅了されるなにか」が必要なわけです。


それが「自然」だと考えます。


もちろん「自転車の街」は進めるべきです。


ただし、「自転車」は


那須の自然を肌で感じるツールでなければならないのです。


自転車で那須をもっと走りたい・・・


そこで自転車に関する商売を始めたい・・・


そう思う人が増えなければ


「地域おこし」にはならないのです。


いまは


他地域で成功している事例をマネする自治体が多く


その自治体のオリジナリティあふれる「地域おこし」を探すのは難しいかもしれません。



それでも


那須という観光地と自転車を組み合わせれば


ここでしかないツーリングが楽しめるわけですが


そこに欠かせないのが「那須にしかない風景」ではないでしょうか。



風景は自然とともに人が創るものです。



お金をかけて人工的に自然を身近にさせる必要はありません。


いまある自然をいかに損ねないか・・・


そういう意味からすれば


ここ「沼原湿原」は那須塩原市には属しますが


那須高原の手つかずの自然が味わえる数少ない場所なのかもしれません。



社会人になり


ここへ毎年足を運ぶようになって


改めて「栃木に住んでてよかった」と思います。


なかなかの山道の先にありますから


そうそう頻繁には出向くことはできませんが


好きなものに逢えること、


人が少なくてまったりできること


景色が気持ち良いこと



確かに「沼原湿原」に惚れて定住した、なんて方はいないかもしれないけれど



こういう自然をいたるところで体感できる場所・・・それが那須であってほしい。



那須や塩原は自治体こそ別々であるが



こういう定住施策を進める上で「境界線」はありません。



手と手をとりあい、連携を進めてゆけば


もっともっと「那須」や「塩原」に魅了されて


定住される方も増えるかもしれない。


そんなことを切に想いながら・・・






一瞬だけ「ふたりぼっち」になった木道を歩く。


ニッコウキスゲやコバイケイソウは既に終わってしまった。


だから


カメラマンもほとんどいない。


7月も末。


世間では「夏休みシーズン」到来であるにもかかわらず


ここは


穴場のまったりできるスポットであることに変わりはなかった。


・・・・当然、僕らはそのほうがいいのであるけれど。




水がない、干上がった湿原に「お目当ての植物」はいない・・・二人はあきらめかけていた。


でも


せっかくここまで来たのだから、一つでも見つけたい・・・


必死に土を凝視する。


・・・


何分経過しただろう、半ばあきらめかけていた、その時!




「あっ、あったー」



お目当ての植物をまず見つけたのは彼女だった。



木道に座り


顔を土に近寄らせる・・・


女性ではなかなかできない体勢。


あまり視力のよくない彼女が


なぜか僕よりも先に見つけてくれた。





ここにお目当ての植物があります。わかりますか?


ズームで拡大すると・・・





小さい白い花。



その正体はコレ







太陽が出ていると同化して見えにくいですが





食虫植物である「モウセンゴケ」。











黒いのは捕食された虫のようですが・・・


このモウセンゴケに


僕らは逢いに来ました。






遠く離れた展望デッキからは人の笑い声が聞こえます。


肉眼ではすっごく遠いですが


遮るものがなにもない湿原です、いつでも身近に人がいる安心感は時折感じます。


※クマが怖い・・・そういう意味です。



彼女に続いてモウセンゴケを撮っていると


移動した彼女は


また、新たなモウセンゴケを見つけたようです。





今度はわかりますか?





この白い花。


これが


モウセンゴケの花です。


実は・・・


モウセンゴケ本体は7月くらいから見つけることができるのですが


その「花」というのは短いようで


とにかく情報がなく


いままでの訪問時期といえば・・・


開花時期よりも「早すぎ」「遅すぎ」をくりかえしてきたのです。



その間をとって



僕らが見出した「モウセンゴケの開花適期」というのが


7月の末から8月の頭、というわけ。


ですから


どんなに下界で魅力的なイベントがあっても


どんなにクマが怖くても


ここへ足を踏み入れるのです。








まず花を見つければ



その下には本体があります。


















白い花とモウセンゴケ






雲が多くなりました。


けれど


昨年のような「雷鳴」はありません。


多少なりとも雲が多くなると


歩くものとしては暑さが和らぐので安心です。


そして


モウセンゴケをくっきり見ることもできます。





彼女が見つけた「2輪目」のモウセンゴケの花のある場所はここ。


この状態で


見つけるのです。





大きさはこんなに小さい。


数ミリという世界。











僕らが開花を確認してから、時間にして約30分。


白い花は閉じていました。


ギリギリ開花に出逢えたのです。



このモウセンゴケの花の魅力は


やはり「開いて、すぐその日のうちに閉じてしまう」短命さも、その一つ。


早く来ないと閉じてしまうのです。








太陽は出たり入ったり。


遮るものがないので


晴れるとやはり暑いです。


帽子や日傘、水分は必須。


あと、日焼け、虫刺され対策で「長袖」の服装は重要。














一見、なにもない湿地帯に居座る二人。


ときおり通り過ぎる人々が「なにかあるのですか?」と声をかけてくる。


みなモウセンゴケは名前こそ知っているが


あまり興味がある人はいないので


たいてい「へぇー」と言って行ってしまう。


当然、僕らは自慢することもしないし


広めたいとも思わない。



好きな人が好きであれば、それでいいのだ。






トンボはやたらと多いが


アブなどの蜂のなかまも多い。





モウセンゴケの花。一輪目は完全に閉じてしまいました。





















湿地に水はほとんどないが


モウセンゴケは土のなかのごくわずかに残る水分で生きているのだろうか。


ヨシに似た植物が大繁殖。


そのなかにモウセンゴケはかすかに見えた。








モウセンは緑色が普通だが


たまにこういう紅い体のものがある。


枯れているのか、と思ったら


どうやらそうではないらしい。



3か所目。





今度は自身で見つけた。


この写真のなかに「3つ」の白い花が咲いています。わかりますか?





左の1つ目。





真ん中の2つ目。





そして


右の3つ目。



・・・・


さすがに長時間、土を眺めていますから


目は慣れて


しだいに見えるようになってくるようです。


同時に彼女も別の場所で新たな花を見つけてましたから。





花とモウセンゴケ。


どちらかにピントがあってしまうので


片方がブレテしまっているのはご了承ください。














それにしても水がありません。










羽がちぎれているチョウを見つけました。


※望遠で立ち入り禁止エリア内を撮影。










この樹には





穴を開けて樹のなかで生活する鳥がいます。













ほぼ1周したところで


展望デッキへ。



























昨年は水があってオタマジャクシがたくさんいましたが


今年はさらに渇水。






隣接する沼原貯水池へ通ずる水路。


立ち入り禁止のその先の水たまりでは


カエルの鳴き声が盛んに。








展望デッキから。










来た道を戻ります。








再び周回路。











・・・で


もう1周進み・・・













まだ通ってなかった「ショートカットコース」へ。







ここに森のトンネルがあります。





カエルの卵塊も。









右奥の木道以外は立ち入り禁止の「湿地帯」






唯一水が残っているところでは


わかりますか?


真ん中の大きい塊が「オタマジャクシ」です。


水深の浅い部分に這い出てきたときの様子です。










モウセンゴケの花はしぼんで再び「蕾」に戻ったことを確認。









山道を歩き


湿原とはしばしお別れです。






相変わらず湿度は高く汗がたくさん吹き出てきた。






おもちゃのような倒れたキノコ。









駐車場に戻る前に貯水池の見える「沼原園地」へ。





上池は発電のため、下池のある深山ダムから吸い上げられた水が蓄えられている。














午後になり


さすがにクルマは少なくなった。





哀しいかな、ここにもゴミを捨てて行く人が。






この写真を撮る前


道を横切るサルの親子の群れがありました。


意外と木の実などエサは豊富に見え


人がいる場所に近づくことはあまりないように感じられました。



・・・・


県道まで下る山道の途中、


見つけたのはヤマユリとアジサイでした。












結局、モウセンゴケの花は


過去最高の5輪を確認。


歩き疲れて足はパンパンになってしまったけれど


那須の自然を僕らなりに満喫してきました。



モウセンゴケの花。


次はまた来年、この場所で。。。
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