蟷螂の独白

世に背を向けた蟷螂です。喜怒哀楽を綴って18年、モットーは是々非々の団塊世代です。

続々僧帽弁閉鎖不全の顛末

2021-12-29 19:16:58 | 徒然

やがてオーダーした家庭用心電図計が届きました。

早速計測すると『心拍数異常無し』と出ます。
何度測っても同じなので、もしかしたら手術をする必要がないと言われるかもしれないと、またしても淡い期待を抱き始めます。
当時の葛藤は、人生最大の決断を迫られていると言っても過言ではありません。
このまま抗生剤を舐めながら一生を終えるのもいいかと思ったりもしました。
それでもリットマンの聴診器を胸に当てると『ゴーゴー』という凶々しい心音には変化はありません。
心電図は正常なのに心音は異常。
どちらの結果を信ずるか、蟷螂には判断がつきかねます。
そうこうしているうちに、都内西部の心臓専門病院の受診の日がやってきました。
日頃は車による移動が多かったのですが、受診当日は会社勤め時に毎日乗っていた都営新宿線を利用しました。
同行したのは同居人です。
寒い日でした。
『もし、このまま即入院しろと言われたらどうしよう』
病院までの道を歩ながら、コンビニを探したりしました。
細い鎌倉街道に出ると、車の往来が多く、その殆どが外車です。
後で聞いた話では、その病院はポルシェのビルを買収して改装したそうで、辺り一帯は外車ストリートと呼ばれ、海外の有名メーカーのディーラーが軒を並べていました。
まさか、国産新車1台分の費用をかけて心臓の手術をする羽目になろうとは、夢にも見たことはありませんでした。
 
鎌倉街道を少し井の頭通りに向かって歩くと、その病院が見えてきました。
『でかい』
というのが最初の印象です。
また、窓に格子ががあり、ちょっと異様な雰囲気です。
近づいて駐車場を見ると、青森ナンバーや長野ナンバーなど、他県の車が目立ちました。
『なるほど、日本中からここを頼って患者が押しかけてくるんだ』
病院のホームページでは海外から手術を受けにくる人もいるそうで、まんざら誇大広告ではないということがわかります。
 
駅から行くと裏口が玄関になります。
制服を着たガードマンが出迎えます。
『予約してある蟷螂です』とガードマンに伝えます。
ガラス張りの扉の向こうで受付の女性がにこやかに出迎えます。
ここでもまた予約してある旨を伝え、院内に入るとなんだか構造が入り組んでいて、経路がどうなっているのかわかりません。
受付の女性に聞いてエレベーターまで案内されましたが、エレベーターがやたらと狭い。
2階まで行き、新患受付のカウンターで保険証を提示します。
あちらでお待ちくださいと言われたスペースは白を基調にした、清潔そうなソファーがほぼ満席状態で並んでいます。
隅のソファーに空席を見つけて深々と腰掛けると、5分もせずに職員がやってきて目の前にひざまづきます。
『え、病院らしくない!』
 
 

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