仙台市のツキノワグマ出没情報によれば、ほぼ毎日仙台市のどこかで出没しています。それも仙台駅から数kmのところに現れたりもします。原因はなんだろうか考えますが、私は山を歩いていてクマの数はここ10数年の間に飛躍的に増えたと実感しています。それはクマだなやクマハギ、クマのウンコ、クマの食痕など仙台近郊の里山のどこにでも見られるようになったことと、高速道路、一般道でのクマとの衝突事故や列車との衝突事故が毎年複数報道されるようになってきたことからもわかります。
ブナやドングリの不作による人里への秋の出没が昔は問題になっていましたが、現在は冬籠りシーズンを除いて、ほぼオールシーズンに出没が報告されていますが、これはツキノワグマの総数が劇的に増えていることを物語っていると思います。
原因はいろいろな説があるようですが、市街地や住宅地に隣接するいわゆる里山が未利用のまま戦後68年を経過して、奥山と同じような森林環境が整ってきています。わが住宅団地の裏山は自然林と杉、松、ヒノキの植林地から構成されていますが、昔はげ山、今まさに良くも悪くも、豊かな奥山の環境です。自然林、植林地を問わず、樹齢50-60年以上の木が繁茂しています。たとえば松の植林地なども、松以外の広葉樹(クマの好物のウワミズザクラやアオハダ、コナラ、クリなど)が間に入り込んではばをきかせているし、アケビや山ブドウ、フジ、サルナシなどの蔓性植物がまきついていて肝心の松は松くい虫にやられて、ところどころ倒木が転がっています。この倒木にクマの好物のカミキリムシの幼虫やシロアリが巣食っている・・・・と、まあこんな状況はまさに奥山とあまり変わりがありません。里山は林道から一歩、外れると大体こういう状況が多い、おそらく日本中で似たような現象が進行しているのではないでしょうか。 つまり奥山には当然クマの濃度は高いわけですが、住宅地や市街地に隣接する里山も生息環境が整ってきた分、生息数が増加したのだと推測します。生息できる面積の増加に比例してクマの総数が増えたということもありますが、オスとメスが出会う確率を考えると、ある閾値をこえたあたりから、生息密度も急増しているのではないかと推測するわけです。
日本の森林面積は人里周辺を中心に、これからも増えると予測する方もいます。農水省統計によると、耕作放棄地が平成22年度は390000ha存在するといいます。それとは別に休耕地と呼ばれる予備軍が200000haあるとのこと。過去の耕作放棄地は原野化の後、森林化しつつあるそうです。宮城県のイノシシなどの急増とも大いに関係していると思われます。
日本の農業人口は平成2年に470万人いたそうですが、たった20年後の平成22年には260万人でほぼ半減しているということですから、耕作放棄地が増えるというのはうなづけます。それでもUターンとかIターンで新規就農者が毎年1万人いるということですが、全体的には毎年10万人が離農しているとのこと。つまり、10年後にはさらに100万人農業人口が減少するということになります。現在の農業者の平均年齢は66歳といいますから、ほんとうに大きな問題なのです。
さて、もう20年以上も前に「日本の人口構成は4人に一人が高齢者になるよ」という現在の状況を野村総研はじめシンクタンクがこぞって予想していたにもかかわらず、年金問題をホッタラカシにしてきた政治は不毛です(というか不感症!!)。農業問題や林業問題もその場しのぎの対応だけですから、いずれツケが後世に回る。 ツキノワグマの増加は単なるクマの問題ではなくて、日本のこれからの社会問題に対する警告だと思いますが・・・・・失礼ちょっと、論点がずれてしまいました。日頃の愚痴とつい結び付けたくなるのは歳のせいでしょうか?