
2016年、4月12日、火曜日。
ブライアン・ウィルソンの日本公演に行ってきた。
今回のツアーは、ビーチボーイズのあの名盤「ペットサウンズ」の再現ツアーだ。
なんでも、「ペットサウンズ」の再現公演としては、最後のツアーらしい。
まあ、ブライアンも、もうけっこうな年齢だしね。
私が前回ブライアンの日本公演を見たのは、「スマイル」再現ツアーだった。
「スマイル」再現を見たなら、「ペットサウンズ」再現も見ておきたい・・と思うのは、ファンとしては人情であろう。
実は私は今回のツアーを直前まで知らなかった。
ある時、仕事のために朝早く起きて、早朝のニュースを見てたら、ブライアンが来日したことを報道しており、しかも「ペットサウンズ」の最後の再現ツアーだという。
もう、気もそぞろになった。
その日のうちにコンビニでチケット入手。ギリギリだったので、チケット入手できるかどうか心配だったが、無事に取れて安堵した。
さあ、とにもかくにも「ペットサウンズ」再現公演だ!
こりゃ楽しみ。
実は私は「ペットサウンズ」の再現コンサートは、DVDで持っており、何度も見ていた。それはロンドン公演のDVDだった。
見るたびに、「「スマイル」再現を見たのだから、こりゃ「ペットサウンズ」再現も見ておきたいよなあ」・・・と思っていたもんだが、その願いがかなってしまうことに。
人生、たまには良いこともある。
この日は、今回の日本ツアーの初日。
会場は、国際フォーラムホールA。
会場に入ると、グッズ売り場が長蛇の列。
並ぶか並ぶまいか迷ったが、一応並ぶことにした。だが、途中で、このままだと公演開始に間に合わないかもしれません・・という係員の言葉が。
聞けば、私が買おうとしていたグッズは、もう売り切れ・・という情報も耳にしたので、グッズ売り場に並び続けるのはあきらめ、そそくさと席へ。
で、19時になった。開演の時間。普通、どんなミュージシャンも、定刻より遅れてステージに現れるものだが、この日のブライアンはほぼ定刻にステージに現れた。
で、力強い挨拶で、コンサートは始まった。
グッズ売り場に並んでいた人は、「どうせ定刻には始まらないだろう」とたかをくくって並んでいた人は多かったはず。ところが、ほぼ定刻通りだったものだから、グッズ売り場の後列に並び続けていた人は、公演開始に間に合わなかったのでは。
よかった、途中であきらめて。
グッズ売り場に並び続けて、公演開始の瞬間を見逃すなんて、本末転倒だもの(笑)。
コンサートを見に来たのであって、グッズを買いにきたわけではないし。
コンサートでは、冒頭部分は「つかみ」の部分だし、極めて大事な場面だと私は思っている。
私はいちいちセットリストはメモらなかった。だが、ネット上で、この日のセットリストを記してくれたページを発見。
それを参考に、まずはセットリストをここにも書いてしまおう。
この日のセットリストは以下の通り。
●ブライアン・ウィルソン「ペットサウンズ」再現日本公演●
2016年4月12日(火) ~セットリスト~
・ 第一部(Greatest Hits & Rare Cuts)
M1. Our Prayer / Heroes And Villains
M2. California Girls
M3. Dance, Dance, Dance
M4. I Get Around / Shut Down / Little Deuce Coupe
M5. In My Room
M6. Surfer Girl
M7. Don’T Worry Baby
M8. Wake The World / Add Some Music To Your Day
M9. Then I Kissed Her
M10. Darlin’
M11. One Kind Of Love
M12. Wild Honey
M13. Funky Pretty
M14. Sail On, Sailor
・ 第二部 (Performing “Pet Sounds” In Its Entirety)
M15. Wouldn’T It Be Nice
M16. You Still Believe In Me
M17. That’S Not Me
M18. Don’T Talk (Put Your Head On My Shoulder)
M19. I’M Waiting For The Day
M20. Let’S Go Away For Awhile
M21. Sloop John B
M22. God Only Knows
M23. I Know There’S An Answer
M24. Here Today
M25. I Just Wasn’T Made For These Times
M26. Pet Sounds
M27. Caroline, No
・ アンコール
En1. Good Vibrations
En2. All Summer Long
En3. Help Me, Rhonda
En4. Barbara Ann
En5. Surfin’ U.S.A.
En6. Fun, Fun, Fun
En7. Love And Mercy
はっきり言って、ほとんどお馴染みの曲ばかり。しかも、ほぼレコード通りのアレンジなので、分かりやすかった。
公演のオープニングは、必殺アルバム「スマイル」の冒頭部分で幕を開けた。
「アワプレイヤー」から「英雄と悪漢(原題「Heroes And Villains」)」と続くあたりは、本当にワクワクさせてくれる。最高の導入部だ。
前回の「スマイル」再現公演を思い出してしまった。
アカペラの分厚いコーラスによる短いナンバー「アワプレイヤー」が歌われ、続いて間髪いれずに始まるメドレーのような、アップテンポで御機嫌なナンバー「英雄と悪漢」の対比は、最高。
「カリフォルニアガール」は、もうそのイントロだけでゾクゾク。あの「空間をためた」ような浮遊感ある冒頭から、あの楽しいリズムに移行すると、もうハッピー感満点。この曲、ヴァンヘイレンのデイブリーロスもソロでカバーしてヒットさせていたっけ。
で、次々とビーチボーイズの名曲やヒット曲が登場してくる。ファンなら知ってる曲ばかりだ。
ノリノリ。いいぞ。
ビーチボーイズの初期のヒット曲の売りは、若かりし頃のブライアンの天使のような高音ファルセットだった。そしてその高音を活かした曲作りであった。
だがブライアンももう70代半ばの年齢。さすがに若かりし頃のようなエンジェルファルセットは、もうしんどい。
それを補うかのような、高音担当のボーカリストがいた。マット・ジャーディンだ。
マットのファルセットはきれいで、若い頃のブライアンが出してたエンジェル・ファルセットの高さをそつなくこなし、また声質も似ていた。
そのへん、あえて似せようとしていたのか、あるいは似ているから採用されたのか、なんにせよ重要で不可欠な存在だった。
あの高音部分はビーチボーイズ楽曲のトレードマークだったし、あれがないとビーチボーイズソングじゃないもの。
この、天をかけるような美しくメロディアスな高音ファルセットがコーラスにかぶさる時、そこにはビーチボーイズワールドが一気に花開き、あたりを包み込む。
「ドントウォリーベイビー」では、そのマットがステージ前面に出てきてリードボーカルをとった。立ち位置は、前面ではあるけれど、ちょっと遠慮がちに(?)ステージの端のほう。
・・そりゃ、この名曲をブライアンが歌ってくれれば一番いいけど、仕方ないよね。
でも、あの偉大な楽曲群の作者であるブライアン本人は、ステージの中心にいるのだから。
作者本人がその場にいる・・ということは大きいのだから。
たぶんブライアン本人も、昔のようなエンジェル・ファルセットで歌いたいに違いない。自分で歌いたいに違いない。だがファンは知っている。昔のブライアンは普通に出していたことを。
本人ももどかしいのではないかな。
曲によっては時々、昔のような高さを出そうと頑張る。でも、あの高さが辛いと、手をあげて、マットに合図する。
すると、曲の途中の特に高いパートだけマットが歌ったりする。
そのへんのかけあいが、見ていて面白かった。その光景は、コンサート中何度かあったような気がする。
マットとしては気が気ではなかったのでは。いつふられるかわからないから。
ブライアンの動きを絶えず見ていたに違いない。もしブライアンの合図を見落としたら、その曲の特に高音部のパートが抜け落ちることにもなりかねない(?)。
「出したいけど、今はちょっとしんどい。マット、頼む」とでも言っているかのようだった。
とはいえ、「ドントウォーリーベイビー」は全面的にマットがリードボーカル。きれいにまとめてくれた。やはり名曲・・・。
「Add Some Music To Your Day」は素晴らしかった。元々、私の大のお気に入りの曲。毎日学校の行き帰りにウォークマンで聴いてた時期もある曲。分厚いコーラスで生で再現されて、幸せだった。
この曲を聴くと私は、太陽が一面の花畑を明るく照らすような風景が、頭に浮かんでしまう。
この曲を好きでいて、よかった。しみじみ。
ゆったりとおだやかな曲調に、分厚いコーラスがかぶり、会場を明るく包み込む。
今回の公演で私が特に嬉しかったのは、ブライアン本人がそこにいてお馴染みの曲を次々と披露してくれた点であることはもちろんだが、アル・ジャーディンが参加してくれていたことも本当に嬉しかった。
アルは、正真正銘のオリジナルビーチボーイズメンバー。
しかも、アルは現役感たっぷりで、その声は力強く、しかもよく出ていた。
アルの存在感は際立っており、その存在による貢献度は相当高かった。頑張っていた。
クリスタルズの名曲「ゼンアイキストハー」をアルが歌ってくれたのは、嬉しかったなあ。この曲は、ブライアンが尊敬してやまないプロデューサーであるフィル・スペクターが自身の最高傑作とも自負する名曲。
初期のビーチボーイズがこの曲をカバーした時も、ボーカルはアルだったはず。
その印象的でキャッチーなイントロだけで、もうこの曲だと分かる。私の大好きな曲のひとつなので、イントロが始まった途端、「やった~!」と思ったのは言うまでもない。
ちなみに、前述のマット・ジャーディンは、アルの息子だ。
息子はこの公演で同じバンドにいて、重要なパートを任されている。若かりし頃のブライアンが歌っていた、ビーチボーイズナンバーの花形的なパートを。
アルは、なんてったってビーチボーイズのオリジナルメンバーでもあるのだ。父としても、ビーチボーイズオリジナルメンバーとしても、張りきらないはずがない。
「ダーリン」では、今やブライアンの片腕とも言えそうなダリアン・サハナジャがメインボーカルを披露。もう、ブライアンのコンサートでは、おなじみの人だ。
この曲は元々はカールが歌ってた曲。でも、カールはもう・・・この世にいないのだ・・。
ダリアンは声の迫力といい、のびやかさといい、文句なしのボーカルぶり。やはり、この人は、ブライアンやビーチボーイズを心から愛しているのだろう。全力でメインボーカルをとるこの曲にリスペクトが溢れている感じ。
一度、ダリアンのバンド、ワンダーミンツも見ておきたい・・と私は思った。
メンバーという意味では、ブロンディ・チャップリンが参加していたことも注目。
ブロンディは、一時はビーチボーイズの正式メンバーだったことがある人。長いビーチボーイズの歴史の中では、彼が在籍した期間は、さほど長くはない。なので、知らない人がいてもおかしくはない。だが、かつてビーチボーイズの一員であったことは確かなのだ。
ビーチボーイズを抜けた後は、彼はストーンズのツアーサポートもしていたらしい。
そのせいか、ブロンディが紹介される時、ストーンズの「ホンキートンクウイメン」が一瞬演奏されたのは、御愛嬌だった。バンドの茶目っ気だね(笑)。
この公演の第1部の終盤は、このブロンディがメインボーカルをとる数曲でしめくくられた。
ブロンディが参加してた頃のビーチボーイズは、カール・ウィルソン主導で新たな可能性を探るアルバムを発表していた頃。
なので、世間一般のビーチボーイズナンバーのイメージとは、やや趣の違う雰囲気。 でも、ブロンディは、このコンサートメンバーに呼ばれたことが楽しくてしょうがないかのように、ステージを動き回っていた。
「ワイルドハニー」は、テルミンのフレーズが印象的で、耳に残る。けっこう風変りな曲で、あらためて聴くと、面白い曲だと思う。
「セイルオンセイラー」は、私のお気に入りの曲でもあったので、ブロンディのボーカルでこの曲を聴けたのは嬉しかった。レコードでも、ブロンディがボーカルだったはずだから。
ブロンディがビーチボーイズの正式メンバーであったことがあることに敬意を表してか、パンフレット内のメンバー紹介ページでは、ブロンディはアルと同格の扱いでクレジットされていた。
で、ここで第1部が終わり、20分の休憩。
その間にグッズ売り場に急ぐ人もいれば、喫煙所やトイレに急ぐ人も。喫煙所では・・なんと、タバコを吸うために列が出来ていたらしいが、本当だろうか。
さて、いよいよ今回のコンサートのメインである、第2部。
そう、あの「ペットサウンズ」再現の部。
曲はもちろん「素敵じゃないか(原題「Wouldn’T It Be Nice」)」で始まる。当初、この曲のイントロは、生ではなく、音源を流しているのかな・・と思いきや、しっかり生で再現されており、はじまった。
ペットサウンズショー、開幕!
このアルバムはどの曲も大好きだが、特に2曲目「You Still Believe In Me」のコーラス部分は、私は涙が出そうなほど好きでたまらない。
なんて美しくて、品があって、チャーミングな旋律であることか・・。天使の旋律だと思う。
これを生で分厚いコーラスで聴かされたら、もう眼がしらが熱くなってきた。
ペットサウンズの再現は、ほぼレコード通りに進む。
・・・と言ってしまうのは簡単だが、このアルバムのサウンドは非常に緻密で、複雑で、凝りまくっているアレンジ。それを再現するのは、並大抵の作業ではない。
パートごとに楽器を持ちかえたり、忙しい。
時には、ベースがプログレのような進行を見せる。
緻密で複雑でありながらも、メロディの美しさや暖かさやキュートさは格別。そのへんがブライアンのすごいところだ。複雑なアレンジにすると、ともすると難解な曲になってしまう可能性もありそうなものなのだが、ブライアンの曲の場合は、そうならない。しっかり親しみやすい曲になっている。
もちろん、演奏者にとっては大変なのであろうが(笑)。
ともかく、万華鏡のようにカラフルで、展開の妙に聴きほれるサウンドで、リスナーを飽きさせない。すべてはレコード通りに進行していく。
再現・・のことばに偽りなし。
聴きほれる・・以外、手はない。
どの曲も大きな拍手がおくられ進行していくが、一際盛り上がったのが、やはり「スループジョンB」。私自身楽しみにしていた曲の一つで、ノリノリ。ビーチボーイズのベストアルバムには定番の曲のひとつ。
サウンドがどんどん厚くなっていき、リズムの変化が、曲をどんどん盛り上げていく過程は、圧巻。
もう、この1曲だけでも、この公演を見に来る価値はある。
「神のみぞ知る(原題「God Only Knows」)」を演奏する時、いつもブライアンは、「ポール(マッカートニー)も愛してくれてる曲だよ」とMCを入れるが、それは今回もそうだった。
ブライアンとポールは、一種の盟友なんだと私は思う。
互いにリスペクトしあい、互いの音楽を、時には嫉妬するぐらい愛し合っているのだ。
余談だが、ポールはどこかに車で出かけた時、帰路ではいつも同じカセットを車の中でかけてた時期があるらしい。あるいは今もそうなのかもしれない。
で、そのカセットには何が収録されていたかというと、片面にはビートルズの「サージェントペパーズ」が収録され。そしてもう片面に収録されていたのはビーチボーイズの「ペットサウンズ」であったという。
そのカセットは、かならず両面聴き終わってから家に入ったらしい。たとえすでに車は自宅の前に着いてしまっていても、そのカセットを両面聴き終わってから、家に入ったそうだ。
そんなポールのことを、ブライアンは「神のみぞ知る」を演奏する前、ポールが「神のみぞ知る」を気に入ってくれてることを嬉しそうに、少し自慢しながら語るのだ。
なんか、そんな二人の関係が微笑ましいし、どちらも大好きなファンにとっては、嬉しい。
「ペットサウンズ」収録ナンバーでは、インスト曲も重要。
インスト曲を演奏する時のバンドの熱気は沸騰するかのようだ。
ボーカルやコーラスにとらわれず、楽器演奏に専念する分、一際演奏が熱気を浴びる。
マーティン・デニーじゃないけど、「エキゾチックサウンド」という表現がしっくりくる。
どこか無国籍のようでもあり、異国のようであり。
カラフルで、まさに万華鏡のようなサウンド。
どこか魔法のようなサウンドを楽しんでいれば、時間を忘れ、ペットサウンズはいよいよ最後の曲を迎えてしまう。
いつまでも、その魔法のようなサウンドに浸っていたいのに、時の経過は無情だ。
いよいよペットサウンズは終わりを告げるのだ。
だが・・・その終わりに待っている曲がまた格別の名曲。
その名も「キャロライン・ノー」。
穏やかな海を思い起こさせる、美しい曲。
以前私がアメリカ西海岸に旅して、ベニスビーチに辿り着き、おだやかな海を見ていた時に自然に私が口ずさんでいたのが、この「キャロライン・ノー」だった。
この曲のサウンドには、アメリカ西海岸の海の景色がオーバーラップしてくる。
その時のベニスビーチの海は穏やかで、じきに沈んでいくであろう太陽に照らされた浜辺は美しかった。
海原の照りかえしの果ての水平線まで、ゆったりとこの曲が風となって流れていくかのように思えた。
そんなことを思い出しながら聴く、生の「キャロライン・ノー」。その余韻は・・深い。
そして一足早くズテージを去ったブライアン。その後、曲を最後まで演奏し終わってから、メンバーがステージから去った。
「ペットサウンズ」のアルバムは、アルバムの最後に効果音が入る。
その音は、音源で会場にしっかり流された。
ペットサウンズ、完全再現、完了。
その後、再びステージに戻ってきたブライアンをはじめとするメンバーたち。
アンコール劇場が幕を開けた。
このアンコールが、単に「アンコール」という言葉で表現するのがもったいないぐらいの中身。
これはもう、れっきとした「第3部」だ。
なんと、アンコールの部で7曲もの大サービスぶり。
しかも、ビーチボーイズの泣く子も黙る大ヒット曲のオンパレード。
アンコール劇場の幕開けは、「グッドバイブレーション」。
近年、ビートルズなどの楽曲を押さえて、評論家やミュージシャンなどからロックの優れた楽曲投票の第1位に選ばれた、強力な1曲。
で、その後は大ロックンロール大会。
「ヘルプミーロンダ」で、アルが盛り上げる、盛り上げる。
大合唱。
ちなみに・・「バーブラ・アン」のコーラス部分は、私には・・・昔から「バーブラアン」とは聞こえず、ひたすら「パープリン」と聞こえてしまう・・ってのは、ナイショ(笑)。
「パープリン」・・・昔「東大一直線」という漫画に、そういう言葉があったっけ(笑)。
「バーブラアン」のコーラス部分では、私はひたすら「パーパーパー パーパープリン」とハモっていた・・というのも、ここだけの話(笑)。だって、そう聞こえるんだから仕方ないでしょ(?)。
ともあれ、セットリストに記されたアンコールの部の曲名を見てもらえば、アンコール時の会場の雰囲気や空気は、わかっていただけるのでは?
ああいう曲をマシンガンのように続けられたら、会場はどうなるか・・・・おわかりいただけるのでは。
ひとしきりロックンロールナンバーが続いたあと、いよいよ本当に最後の曲がきた。
ビーチボーイズ・・というより、ソロのブライアンの名刺代わりの曲である。
「ラブアンドマーシー」。
長く続いた体調不良を克服し、音楽界にカムバックして発表した、初のソロアルバムに入っていた代表曲であり、最近製作されたブライアンの伝記映画のタイトルにもなった、意義深い曲だ。
この曲でのブライアンのボーカルは際立っていた。
ともかく力強く、声も張りがあった。
よかった。まだまだブライアン、やれそうだよね。そうであってほしいよ。
気合が入ったブライアンのボーカルで、至福の公演は、すべて終わった。
後に残ったのは、幸福感。それしかなかった。
幸福ついでに、グッズ売り場にかけこみ、まだ残っているグッズの中から、選んで買いこみ、私は会場を後にした。
緻密で、美しくて、キュートで、親しみやすい音楽の素晴らしさを改めて感じながら。
帰り路では、なにやら夜風までもが幸せそうに思えた。
↑ コンサート・パンフレット
ブライアン。
そして、アル、ブロンディ、ダリアンをはじめ、メンバーの皆さん、お疲れ様でした。
素晴らしい音楽を聴かせていただきました。
なんでも、2日目の公演では「リトルホンダ」もやったそうな。
それも・・聴きたかったなあ!
今回のコンサートを見て、ひとつだけ確実に言えることがある。
それは、、、
ペットサウンズもスマイルも、経年変化による「古さ」とは全く無縁の作品である、ということ。
新しいも古いもない。
それは、時間の外にある。
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