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ばくっちの巣穴 ドット blog

熱しやすく冷めやすい。新しもの好き、ばくっち

ついに観た、鴛鴦歌合戦!

2007-04-15 | 映写室
映画「鴛鴦歌合戦」(1939年/マキノ正博)をついに観ることができた。
片岡千恵蔵と志村喬のオペレッタで、たま~に渋谷あたりの映画館でレイトショウにかかると若者たちにも結構評判で、いつか絶対に観ようと思っていた。
主演はもちろん浪人の千恵蔵だけど、全篇唄いっぱなしなのは、骨董狂いで傘貼り内職に精を出す志村喬。でもこれがまた素晴らしくて、クロサワの「生きる」で茫然と「ゴンドラの唄」を歌っていたのと同じ人は思えない。この上なくポップでコミカルな様子なのだ。リズム感が抜群で、ギャグの間の取り方も見事。「志村狂斉」という役名で、映画の中でフツーに「志村さん」と呼ばれているのもおかしい。関西弁も初めて聞いたし、歌だって、バカ殿役のディック・ミネに負けてない。古武士・志村喬も根は明るい人と見た。
モテモテ浪人・千恵蔵をめぐる恋のゴタゴタ、殿様と志村の骨董自慢、そしてラストにはちゃーんとレビューもついてるし。時代劇ながら、小唄・ジャズ・タンゴ・ラテン・・なんでも有りのてんこ盛り。しかも脚本から撮影までたったの1週間で撮り上げたというのだから、これまたビックリなのだ。戦前の日本、スゴいぞ。
♪さぁてさてさてこの茶碗~
あー、楽しかった。麦焦がし食べたくなったー。

↓照れる娘をちゃかす「志村さん」

ドリームガールズ

2007-03-11 | 映写室
ゆうべ、近所のシネコンのレイトショーで「ドリームガールズ」を見た。無名の3人娘が歌手としてスターダムに駆け上がっていく様子と、その裏の様々な人間模様をソウルのミュージカル仕立てている。とにかく全篇ソウル。
ストーリーはフィクションながら時代背景とシンクロしていて、その上、脚本・音楽・映像の3つがピタリと合っているのが素晴らしかった。ミュージカル特有の気恥ずかしさも少ないし。1つの曲をソウルとディスコの2アレンジで聴かせることで、60~70年代の濃厚なソウルが段々とビート中心で華やかなディスコミュージックに取って代わられていく過程が具体的に分かる仕掛けも面白かった。個人的には「シカゴ」より断然いいと思う。

映画のラスト「別れはつらいけど、新しい始まり」という意味の歌に心を打たれて、、今日は部屋の片づけ。ものが捨てられないのは、物と別れるのがいやだからだ。「え?僕たち捨てられちゃうの?」と、物たちに言われるような気がするから。しかし。別れなければ次は始まらないのだ。そうだ。ダンボール1箱で始めた独り暮らしを思い出して、思い切って捨てよう。明日はゴミの日だ。

年男、亥之吉

2007-01-01 | 映写室
あけましておめでとうございます。

今年最初のイチ推し映画は『用心棒』に決定。せりふを丸暗記するくらい(してないけど)何度も見た、私の超お気に入りです。要は、二組のヤクザが対峙するすさんだ街にスゴ腕の浪人が通り掛かって、結果的に両方を片付けた。という、ごくごく単純な筋書きながら、なんでここまで面白いんだ!クロサワはよく脚本さえうまくできていれば誰が撮っても面白くできあがる、というようなことを言ってますが、この映画は脚本もカメラワークも音楽も、全てがうまくできていて、それがオープニングを見ただけでも分かります。

タイトル『用心棒』⇒広い肩をゆすりながら登場する三船の後姿(耳の後ろをポリポリ掻いたりしている)と、むこうには雪山⇒佐藤勝のジャジーでラテンで、なおかつ和風なテーマ曲に乗って歩き出す三船。⇒カメラは背中をずーっと追っていて、それをバックにキャストの紹介⇒分かれ道の道祖神まで来たところで曲が終わって、ここで初めて三船の全身が写る。⇒さーて、どっちに行くかなあ、と迷っている様子⇒高く放り投げて落ちてきた桑の枝が指した方向に、また歩きだす三船。

もうこれだけで、その男が豪快で、だけど行く当ても無い浪人だということが分かるし、「で、で、どうなるのかなぁ」とワクワクしてしまいます。桑の枝というアイテムもあとのシーンの伏線になっている。いよいよヤクザの用心棒に雇われたその男は「先生のお名前は?」と聞かれ、「桑畑・・三十郎でよかろう、もうそろそろ四十郎だがな。」と答えています。ぷっ!(いっつもここで噴き出してしまう。)しかもこの一言で、名前なんか構わん、という型破りな人柄と、年は40ちょい手前らしいということが分かる。だいたいこういうちょっとしたギャグを日本語以外の字幕でどうやって表現するんでしょうか。ほかにもまだある。

◎もう一人の用心棒「本間先生」(藤田進)がケンカの前に逃げ出したのを見ていて、それを清兵衛一家に伝えるシーン。「あの先生は逃げたゼ!昼逃げだ!!(夜逃げではなく)」
◎八州廻りが接待の席でお茶を出されているが中身はどうやらお酒らしいと分かって、権爺(東野英治郎)に向かって「見なよ。・・・おちゃけだ。」

こういうおやじギャグ系のシーンで笑う時は日本語が分かってよかった!と心から思うのです。

一方、ヤクザのキャラクター設定も見どころで、どのキャラも捨てがたいけど、わたしが一番好きなのは、丑寅一家の真ん中の弟、新田の亥之吉。権爺は「(脳みそが)少し足りねぇが、暴れ出したら手が付けられねぇ」なんて言っているけど、とても気のいいところもあって、すごくかわいい。それを加東大介が本当によく演じています。「少し足りねぇ」ので数に弱いらしく、いつも計算に時間が掛かったり間違ったりしてしまいます。棺桶が一方に2つ、一方に4つ売れたと言われても指で数えてしばらく考えないとどっちが優勢なのか分からないし、ケンカの最中に「3人やられたから俺が2人叩っ斬ったぃ!」などとわざわざ兄貴に自慢しに来て叱られたり。でもめちゃくちゃ強い「桑畑先生」にはすっかり心酔しているようで、弟の卯之助(仲代達矢)にも「こいつ、とぉっても強ぇんだゼ!」と、ヒーローみたいに紹介しています。

と、いちいち書いているとお正月も終わってしまうので・・既に見た方も、初めての方も、年男・亥之吉の一本眉を縁起物とでも思ってぜひぜひご覧ください!

てなわけで・・今年もよろしくお願いいたします。

あ、もちろん、映画史に残る、ラストの10秒10人斬り(正確には9人ですが)も必見!
・・必見シーンが多過ぎてキリが無いなぁ。

せ・い・め・い・・

2006-11-23 | 映写室
ケーブルTVで「陰陽師」を見る。
野村萬斎の一人勝ち。狂言師の家に生まれて3つのときから舞台に立っているから年齢と芸暦が大して変わらない。和服の時の振る舞いが自然だし、わずかな体の動き、かすかな面(顔)の傾きだけでものすごい表現力だ。1000年以上も前のことなんて知るはずもないのに、なんだか彼だけがタイムマシンに乗って今の撮影セットに入ってきちゃったんじゃないか?という気すらした。濃厚で不思議なキャラを飄々とこなす、ほんとに貴重な役者だと思う。
というわけで、対する伊藤英明はこちらが恥ずかしくて正視できないほど・・ヘタに見えた。「せいめい(清明)・・」って呼んでるだけなのに、学芸会っぽい。萬斎相手じゃ気の毒だと思っていたのだが・・そのヘタぶりが次第に気になりだして、結局最後までズルズル見てしまった。おそるべし、英明マジック。
あ、この時間なのにⅡが始まっちゃった。どうしよう!!

※ちなみに萬斎のチャームポイントは子リスのような2本の前歯。写真で少し分かってもらえるかしらん・・

オペレッタ勧進帳

2006-11-13 | 映写室
ケーブルTVで黒澤明の『虎の尾を踏む男達』を見る。
黒澤唯一の♪ミュージカル(?)作品。60分の短編ながら、「安宅」(お能)、「勧進帳」(歌舞伎)のエッセンスが散りばめられていて、なおかつ洋風オペレッタ、なんでも有りの五目麺ってかんじ。大河内傳次郎独特の重厚でモゴモゴな弁慶と、エノケン扮するおちゃめな強力の組み合わせも可笑しい。「このカボチャめっ!」(自分にゲンコツをくれるエノケン)
そしてそして・・何より富樫がかっこいい~!私が藤田進に想いを寄せるようになったのは、姿三四郎より『虎の尾~』を見てからなのだ。なんという爽やかな笑顔!&腹芸。く~っ!!しかし改めて見ると、、ちょっと加藤茶に似てるな。
ご多分に漏れず腹芸好みの私。もし自分が俳優だったら弁慶より断然富樫が演りたい。・・日本人だなあ。

ラストは置いてけぼりのエノケンが夕陽をバックに飛び六方。白黒なのに夕焼けを表現するって・・すごい。

恋せよぉ乙女~

2006-10-12 | 映写室
というわけで、今夜は『生きる』を見た。
何度も見たっつのに。もちろん志村喬の歌声にはぐっとくるが、むしろ、遺影を前にして「断じてやるぞっ!」「私行を滅して万民の公僕たれだっ!!」などと気焔を上げる連中にこそ、心から愛着を覚えるのだった。。

しかし『七人~』を見たばっかりで・・キャラがかぶるのー。勝四郎は医者の卵、平八は「ハエ取り紙」(=あっちへベタベタこっちへベタベタ)とあだ名されるショボい市役所職員、そして七郎次と久蔵は・・ヤクザになっていた。(実際に作られたのは『七人~』より前ですが。)

録画するつもりが結局最後まで見てしまって、こんな時間。寝なくちゃ。

多々良純、亡くなる

2006-10-10 | 映写室
七人の侍を堪能した翌日の訃報。
多々良が扮するのは、口は悪いが気のよい人足。スカウト宿で同宿の利吉や与平が武士のスカウトに行き詰って、勘兵衛[志村喬]にもいよいよ断られようとしたまさにその時、この人足が「自分たちはヒエ食って、お前さんたちにゃ白い飯食わしてんだ!百姓にしちゃ・・精一杯なんだ!!」と食って掛かって、ついに承諾させます。
「この飯、おろそかには食わんぞ」(勘兵衛)
野武士撃退・大プロジェクトの始まりを告げる、重要なシーンなのだ。
泥酔した菊千代を連れてくるのもこの人足。こういう脇役がいてこその傑作なのですね。
ご冥福をお祈りします。

ちなみに・・子供を人質に取って立てこもり、勘兵衛に刺される盗っ人は・・改心する前の?黄門様[東野英治郎]です。超~ちょい役だけど、勘兵衛の人柄や腕を紹介する、これまた大事な場面。

あなたは・・

2006-10-09 | 映写室
「あなたは・・すばらしい人です! わたくしは、前からそのことを言いたかったのです!!」 (単身敵陣に乗り込んで'種子島'を奪ってきた久蔵[宮口精二]に向かって、勝四郎[木村功]。)
というわけで『七人の侍』を見ました。どんな感想も批評も書きつくされていて書くことが無いなあ。侍・百姓どのキャラも捨てがたいし、全体が長すぎるという人もいるけど、私はあの独特の「間」が好きだし、どのエピソードもみんな話の筋やキャラクター描写に絡んでいるから、長くても無駄が無いと思う。コメディセンスも素晴らしい。じゃあ、お気に入りの「笑えるシーン」でも発表しますか。

・スカウト宿で入り口の陰から打ち込むように言われた勝四郎の「へ?」の表情
・花を持った男の子を見つけて「花など摘んでいる時かっ!」と一喝した勝四郎だが、自分の右手にも花を持っていて・・「俺か!?」の表情
(結局この男の子は男装させられた女の子(津島恵子)で、あとで恋におちるのだ。)
・雨の夜、女の話になったとたん「ひと汗かいてくる!」とか言って山へ飛び出して行って居合い抜きする久蔵。(・・うそ~、いやーん、久蔵さまも男!!)
・菊千代の落馬シーン。裸馬に跨ってかっこよくあぜ道を行ったものの、家の陰で見えなくなった後、馬だけが出てくるのがおかしい。このときの久蔵の笑顔がまたいい!!(結局この馬は菊千代様専用になるのだが、乗りこなせなくて逃げられている。「待ってくれ~」)

あー。キリが無いなあ。
そういえばいつかユキヒロが、「ライディーンはYMOが海外に出て行くときの「七人の侍」のファンファーレ的なイメージもあった」と言っていた。確かに曲の途中で馬の蹄みたいな音がするんだよねー。

いやはや。とにかく。内外に絶大な影響を与えた大傑作を、母国語で楽しめることを喜ぼうではありませんか。

青ジャケ以外は認めん!

2006-10-01 | 映写室
ケーブルテレビで待ちに待った「ルパン三世」の第一シリーズが始まりました。あの、大人向けの「青ジャケ」です。赤ジャケは子供用、ピンクジャケ・・論外。あたしにとっちゃ~青ジャケこそが本物のルパンなのだ。
ハードボイルドな雰囲気があって、大人の恋の駆け引きがあって、山下毅雄の曲、チャーリー・コーセーの歌も、最っ高~にかっこいい。
もちろん幼稚園時代からスペシャリスト・次元のファン。紙に「じげんだいすけ」と書き付けたら母親に「あれぇ?じげんダイスキぃ~?」とチャカされて、「いやーん、おかあさん、ちがうもーん」とクネクネしながらマジで照れまくっていた6歳の私、マセすぎ。
大阪でも「キッズステーション」映ってますでしょうか。
あとこちらのCDシリーズもクールでおススメ。どれもいいけど、あたくしは2番が好き。
パンチ・ザ・モンキー1~3


オシャレ映画

2006-09-09 | 映写室
「女性上位時代」・・小西康陽絶賛の映画。以前から見たいと思っていたけどケーブルTVでついに見ることができた。1968年イタリア。こんなオシャレな映画があっていいのか!?
カトリーヌ・スパークのかわいらしさ、シーンのたびに変わるスタイリッシュな洋服、モダンなインテリア、イカしたBGM(パーティのシーン最高!)、軽くてコミカルなエロティシズム・・。なにをとってもとにかくオシャレ。そして・・主人公ミミ(カトリーヌ)を見事に落とす、お医者で教授のデ・マルキ(ジャン・ルイ・トランティニャン)!うぉ~っマルキ先生こそ私が理想とする男性なのだあぁぁぁ~!!!(と、誰もが思うように作られているのだとは思いますが。)
すっかりやられて半月で5回くらい見たです。。まだのかた、必見です。特にピチカート・ファイヴが好きな人は卒倒まちがいなし。