記念切手「第11回IAAF世界陸上競技選手権大阪大会」

　今日、日本郵政公社から記念切手「第11回IAAF世界陸上競技選手権大阪大会」の報道発表がありました。事前の噂として驚くような図案になると聞いてはいましたが、実際にこの切手の図案を見て、本当に驚かされました。

　まず、切手図案が現役陸上選手であること。現役スポーツ選手を切手図案にしたケースは世界でもいくらかありますが、いずれも栄誉ある国際大会で勝利した選手か、国際的な人気を誇るスター選手。日本では「20世紀シリーズ」でオリンピックのメダル獲得選手や、ベーブ・ルースをはじめとする現役大リーガーを凡退させ、伝説となった沢村栄治や長嶋茂雄、王貞治といったプロ野球選手、1998年フランスＷ杯出場に多大な貢献をした岡野雅行などでしょうか。しかし、現在も現役で活躍する岡野以外、いずれも切手が発行された時点では故人となった方か、現役を引退されているか、という選手なのです。
　しかし、今回の切手になったのは８月の「世界陸上」で活躍を期待されている選手。失礼な言い方だと思いますが、敢えて言わせてもらえれば、何人かの選手を除き、世界的に栄えある実績を残してきたとは言い難い選手です。しかも、現段階で「世界陸上」に出場する選手は発表されていません。そう、「世界陸上」に出場するかどうか分からない選手が、切手図案として採用されているのです。まあ、切手になる10人は間違いなく選出されるであろう、現在の日本を代表する陸上競技選手ばかりですが、ケガなどで出場できなくなる可能性もあるわけで、その辺は博打的です。

　今回の記念切手については、民営化後の切手発行政策を垣間見る気がしました。この切手はいわば「世界陸上大阪大会」のプロモーションでしょう。報道発表でも切手になる10人のうち４人が登場して、マスコミからのインタビューを受けてましたし、切手発行自体が、プロモーション活動の一環だと思うわけです。
　そうなると民営化後、スポーツの国際大会やイベントなどに日本郵政がスポンサーになれば、今回のようなプロモーション切手が発行される可能性は非常に高いと思います。ましてや日本郵政がプロ野球やＪリーグといったプロ・スポーツのオーナー企業になれば、そのチームの選手を切手として発行するかも知れません。
　今回の「世界陸上・大阪大会」記念切手は、民間会社が切手を発行する意味を思い知らされた切手となりました。