あずまあそびのかずかずに

東日本橋で謡(喜多流)のお稽古をしています♪

成信会2012

2012-10-26 02:07:11 | 日記
習い事をやっていると、発表会というものがあったりします。
もちろん、謡にもあるんですね。
うちの場合は、主要なものが年に2回。
こじんまりと先生の自宅で行われる5月の青葉の会と、能楽堂を使って行われる10月の成信会です。
発表会では、うちらの会の他にもいくつか先生が教えてる他の会が参加します。個人で謡ったり、仕舞を舞ったりする人もいます。詳しくは後日説明することがあると思うのですが、謡や仕舞にも、書道や柔道剣道のように「進級」みたいな制度があって、それのお披露目みたいな側面もあるのです。
発表会ごとに、それまでお稽古してきたものを謡うんですが、時々、他の会の曲に地謡で参加することもあります。
規模は違えど、素人の発表会ですし、どっちも、なんというか、ちょっとユルい雰囲気で進行します。まぁ、やってる本人たちは大真面目でかなり緊張するのですけどね。
紋付袴のおじいちゃんたちが肩を寄せ合って謡ってる姿は、本当に和みますし、こうでなければいけない、みたいなこともあんまりなく、とにかく舞台にでて、謡ったり舞ったりする感じです。とはいえ、能楽堂を使う時は、きれいに着物や袴を着て謡い舞う人たちも多く、雰囲気は華やかです。
うちらは、どちらの発表会でも、ある程度の正装に足袋を履いて扇を持つ、というスタイルでして、和装はしません。着物、着たいんですけどね...時間とお金が...。まぁ、それでも許される発表会です。ユルいです。
自分たちの出番の前は、準備をしつつ楽屋でダラダラしてます。しゃべる声が大き過ぎて、安パパに怒られたりもして。でも、なんというか、それもまた嬉しいというか、若干、学生気分な面も。いくつになっても、先生がいる、何かを習う、っていうのは、いいもんです。

能楽堂を使う時は、成信先生のほかに、先生のお父上、安信先生(通称:安パパ)、佐々木多門先生が参加。そして、最後に先生方が仕舞をやってくださいます。これは、1年間お稽古をしてきたご褒美なんじゃないかなぁ、って、勝手に思って、ありがたく観さしてもらっています。
今年は「天鼓」でした。大好きな曲なので、喜び倍増。

でもって、どちらの発表会でも、終わった後の宴会が大事だったり。
いつもは会うことのない他の会の人たちとの交流が楽しいのです。
謡を習っているのは自分たちより年配の方が多いのですが、謡曲という共通の話題が世代を超える手伝いをしてくれて、同世代では味わえない会話が楽しめます。

実は、この発表会の場は、謡曲を習いたいという人にとってもいい機会なのですよ。
特に、成信会は、能楽堂を使ってやりますから、気軽に出入りして観ていただけます。会の合間や後に話をすることも可能ですし、ぜひ見に来ていただきたいのです。
って、本当は、ここで宣伝すれば良かったんですけどね...忘れてました。

今年、うちらは「賀茂」をやりました。
京都の上賀茂・下賀茂神社が舞台の曲です。神社の由来が曲のメインです。
出演は4人。それぞれが、シテ、シテツレ、ワキ、地謡です。もちろん、地謡はみんなで謡います。
今回、私はシテツレで、初めて一人で謡う部分があり、シテと二人で謡う部分も多く、いままでになく練習をして臨んだのです。
なんとなくお稽古に出て、なんとなく謡っていただけだったことが、いかにもったいないことだったのかを、つくづく感じました。練習をし、謡のリズムや節回しを身につけていくことの面白さを初めて体感。身につけて、初めて出せる声があるということにも気づきました。
まだまだ下手なわけですが、これからのお稽古では、最初からもっと意識的に取り組んでいこうという気になりました。

ある程度謡えると気持ちいいんですよ。
あの高揚感は、謡ったことのある人じゃないとわからないと思います。
カラオケで歌を歌う開放感に、金縛りというか、束縛されているような緊張感をあわせた、とてもおかしな感覚です。
これは、本当に気持ちがいいです。

本当にね。
もっと、謡を習う人が増えたらいいのに。

能楽は世界に誇れる伝統芸能です。
色々と楽しいことや面白いことにつなげて発展させていけるだけの度量を持った、奥深い芸能です。
古典でありながら、過去から現在へ、そして未来をもつなぐ力を持ち、極度にシンプルであるが故に、常に前衛的な新しさを感じさせる芸能であります。
能楽は難しくありません。
ただそこにある花を愛でるような芸能です。
その美しさに感嘆するも良し、そして、その花の持つ意味やその花のありようを深読みするのも自由です。

発表会で、色んな人と話しをすると、能楽のことをもっと知りたいと思うし、その魅力は、どうしたら、より多くの人に伝えられるのかを考えます。
能楽を、ただの古典芸能として廃れさせたくないのです。
そのためにも、日々精進しなきゃいかんのだなぁ、と、思いつつ、今年も成信会は終わりました。
私個人としては、やるべきことがある程度見えていて、それを、このブログを拠点に展開できればいいなと思っています。

シロトリエミ・筆

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2 コメント

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Unknown (にゃおみ(先輩))
2012-10-26 08:06:45
能楽堂で謡っている非現実的な空間で謡っている
という独特の緊張感がたまらない発表会ですよね♪

ピンク着物Hさんが可愛い
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Unknown (シロトリ)
2012-10-26 13:21:59
あそこに立てるってのは、なかなか出来ない体験だしね~。それに、あの銀座能楽堂はこじんまりしてて、いいよね。トイレの設備さえ除けば!

写真撮って、もっとちゃんと描けば良かったと後悔。Hさん他、すみません。
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