紗羅のアトリエ

Healing Art 美しいもの 楽しいこと 2007年春より食道がん患者 

友ちゃんからの手紙

2009-07-16 | がんとのお付き合い
ふたりとも名前が友子。ふたりの友ちゃんは親友の間柄です。
わたしは親友つながりです。

この間、遠距離移動をしてフジコ・ヘミングのコンサートに行った美容師の友ちゃんとは高校一年生からの親友。
「Happy Birthday to You 近いうちにじゃがいも送るね 」とのメールが届いた。

愛知県で廃バス{Bus House}に住んで、陶芸をやっている友ちゃんからは手紙をもらいました。こちらは美容師の友ちゃんの親友。
読みながらなんだかしんみりしてしまい、ここでちょっと紹介させてください。

「・・・夏のさかりが もう はじまっているような 陽ざしと 虫の音
ブログを読んだみんな しん とした気持ちになったことでしょう」

しん とした気持ち・・・なんとも・・・。

このブログは、私のがんとのお付き合いを同時進行で綴っています。
朗報であったり、そうではない報告があったり・・・前回は後者でした。

でも、友ちゃん、そしてみなさん。わたし自身は「しん」としていません。
今日も夕刻に散歩して蝉しぐれの夏をたっぷりと味わいました。
体調次第ですが、楽しみごとを探してゆるゆる暮らしています。

みなさんに重たい心配をおかけしています。


友ちゃんはその昔わたしのダンスを見たときの印象を手紙に綴ってくれました。
「感情や意志を持った紗羅という惑星が
何mか何kmか それとも もっとはるかにか 
自由の ころも というのか 
無重力の ころも というのか 
それをまとっているように見えた」

過ぎし日の舞台を評価してくれてありがとう。
そして、友ちゃんからの手紙のしめくくり。

「大変だと思うけれど、その ころも の中で
ゆったりいろんなこと楽しんですごして下さいね。
みんな同じ船に乗り合わせた旅人たちだと思うと切ないけど
誕生日おめでとう よい一年になります様」

友ちゃん、ほんとだね。みんな同じ船に乗り合わせた旅人だよね。

わたしなりに自然体で「ころも」を紡いだりまとったりしながら、ゆっくりとした船旅を楽しむことにします。

次のステップ

2009-07-11 | がんとのお付き合い
7月9日、外科のD先生に会いに柏へ行く。

摘出手術をしないことを確認。
「そうですか」D先生の反応はおだやかでした。
ということは国立ガンセンター東病院に通院して治療を続ける必然がないことを意味します。

痛み止めの投薬など、今後のケアについてソーシャルワーカーの窓口で相談するようにとD先生。

窓口で都心部の緩和ケアシステムのある病院を紹介してもらう。
受け入れてもらえる病院があるかどうか・・・。

翌10日、さっそく電話連絡が入りました。「7月22日、広尾の日赤病院に行ってみるように」
ここは第一候補でした。もちろんお願いするつもりです。

出来ることなら、なるべく自宅から近い病院に通い、快適な日常をキープしたい・・・。これがこれからの私の「次のステップ」です。

自分なりに、これはと思った代替療法を色々と試みています。
と同時に、体力をつけて前向きに、楽しい時間を増やしていきたいと思っています。

木漏れ日

2009-07-03 | がんとのお付き合い
梅雨の晴れ間の
緑道の散歩
日陰のベンチでごろり
連れ合いの膝に頭をあずける
木漏れ日に目を細める
静かに貪るおだやかな時空感
ふんわり雲に乗っかっているような


こんな日がいつかは来ると思っていました。
唐突にやって来たその日・・・昨日です。

結論から言えば・・・朗報ではないのです。
私がお世話になっている病院(国立がんセンター東病院)の医師スタッフの診断。
私のがん治療に出せるカードは、そろそろおしまいみたいです。

拡張術を受けに行く予定だったので、主治医のY先生に患部が大きく、痛くなっている現状をメールで知らせておいたのです。
Y先生は内視鏡での食道(もう切除してしまって無いのですが)拡張術が終わってから私の肩(頚部下)を触診しました。
それから・・・外科のD先生に連絡を取りました。

「D先生に会って、手術するかしないか相談してください」
「・・・・・」

やっぱりね・・・、手術しても仕方のない状況になる可能性はあったんですね。
何十人も待っているD先生の受付を済ませてからの待ち時間、最上階にあるレストランで好物の冷やしたぬき蕎麦を少しずつすすりながら考えました。

いつも紋切り型の口調でお話なさるD先生。
この日先生がおっしゃったのは、MRI検査の結果、患部は確かに大きくなっており、さらに浸潤があるのでどこまで切ればよいかわからない。
切っても再発の可能性が非常に高い。左手が使えなくなる可能性もある。
切れと言えば切るけれど、どうするかは自分で決めてください。7日にPET-CTを受けて、9日の外来に来てください・・・

「手術しない場合・・余後はどこか紹介していただけるんですか?」思い切って聞いてみました。
「はい。もちろんです」・・・この短い会話の意味合いは黙って「理解」するしかありません。

痛い思いはもう結構。切除するメリットが少ないとこれだけ言われて、それでも手術を受けたい。そんな気持ちは自分にはまさに「さらさら」ありません。

食道がんの患者なって以来、私なりにいろんな情報収集をしました。耳から聞き、目で活字を追い続けました。
医者に治療の限界を知らされて、それから~というケースは、この2年でずいぶん読みました。自分なりに「理解」しているつもりです。
さてさて、これからどうしましょう。・・・一応、現段階の報告です。

ピナ・バウシュ

2009-07-01 | My Favorite Things
ショックです。
6月が終わり、7月・・・。
今朝、7月1日の朝刊で知ったのは、ピナ・バウシュの訃報でした。

詳しいことは何も分かりません。6月30日、死因はがんだったこと。68歳だったこと。
6月21日に新作を発表してから体調不良を訴えていたとのことでしたが、HPを見てみたら、新作公演の楽日が21日だったのですね・・・。

出会いは1977年、フランス東部のナンシー演劇祭。
世界中から集まった代表劇団(ダンスを含む)が街中の劇場のみならず、教会でも工場でも広場でも、ありとあらゆる所でパフォーマンスを繰り広げる数週間です。

当時22歳の私も日本からの参加メンバーのひとりだったわけですが、自由な時間は、参加者は何でも無料で観ることができます。

たまたま入ることの出来たピナ・バウシュの舞台。これが初めての彼女の世界との出会いです。

オトナの美男美女の迫力に完全に圧倒されました。摩訶不思議な作品構成とエネルギッシュなダンス。「こんなのあり?!」という驚愕が私を包み込みました。
演劇もダンスも美術も音楽も、垣根なんかいらないんだ☆。

何処の国の何だったのかも分からず、その後は何年も「ピナ・バウシュ」「ヴッパタール」と呪文のようにつぶやいていたのです。

数年たって世界的に名声を得た彼らの情報は私の耳にも入り、納得!。東京公演があれば夢の舞台の追っかけです。

パリ公演などはあっというまにチケット完売で、観る事は不可能。東京公演なら空席ありというのが何とも皮肉です。

数多い彼女の作品の全部を観たわけではありません。せいぜい半分・・・かな。
特に初期の作品の直情的、かつ、コミカルな作品は私の好みです。

あの人の存在が、どれだけ私の人生を、そして感性を彩ってくれたでしょうか。
もちろん、私自身の表現行為もいろんな形で触発されました。
感謝と哀悼の意を表します。
さようなら。ピナ!

梅雨空

2009-06-25 | がんとのお付き合い
5月28日から気を揉んでいたMRI検査のために、梅雨空の今日は国立がんセンター東病院へ。

転移がんが縮小傾向にあるとのことでの経過観察期間だったわけですが・・・。
私の実感では5月末から転移部分は再び育ち始めています。自分の指で触診しても主要部分がはっきり大きくなっているのが自覚できて、その上この2週間、痛みも日々強くなっています。

小さくして手術、のはずがまたまた大きくなったらどうするのだろう?

3月から4月・・・。転移がんを小さくするための入院治療。あの苦しかった放射線と抗がん剤治療は何だったんだろう・・・。更に5キロも痩せおちて、戻らないのはどういうわけ・・?

5月末にはD先生が、2週間前にはY先生が、私の不安に対して、気のせいだろうとおっしゃいました。当事者としては「気のせい」ですまされない現在の症状なのです。

先生方を信頼するしかないのです。でも・・・。不安です。
今日のMRIの結果を踏まえてのD先生との面談は2週間も先の7月9日。
その間、私の肩(頚部リンパ節、転移部分)はどうなるのか?。やはりとっても不安です。

痛み止めのくすりで痛みをやり過ごして、症状が治まるともたもたしていますが、近所の散歩、買い物。
プラス志向で日常生活を過ごしています。

このブログでいいお知らせを出来ればと思いつつ、現状報告です。

ライヴのお知らせ

2009-06-19 | My Favorite Things
53歳で乳がんの見付かった母は54歳で亡くなりました。

53歳で食道がんの発覚した私は、来月15日で55歳になります。
母が大好きでした。だったからといって、そこまで同調しちゃいけないよっ、てわけで・・・?

母の没年齢を超えました。発病して2年をクリアしました。これを機にセレブレ-トしましょう。この際、楽しいことをやりましょう。
親しい友人、仲間が企画して・・・創作料理のディナ-付きのジャズ・ライヴ・パーティーを開くことになりました。

7月19日(日)17時開場18時開演
Blue-T
京王線下高井戸北口前・丸シフルーツ3F
TEL03-3325-8981 
チャージ(豪華ビュッフェ・ワンドリンク付き)4500円
(17時~18時ビュッフェタイム)

加藤真一(Bass)
太田恵資(Violin/Voice)
スガ・ダイロー(Piano)

いろんなミュージシャンがあちこちで競演していますが、敬愛するベースの加藤真一と超ユニーク・ヴァイオリンの太田さんは今回が初顔合わせ!。どうなることやら?!?!、とってもとっても、と~~~っても楽しみです。
いまジャズ界注目の異才スガ・ダイローくんは、スタンウエィのグランド・ピアノと共にトイ{おもちゃ}・ピアノを持参してオモロイ演奏を聴かせてくれるというし。

ユニークな空間と料理。
ミュージシャンはもちろん!スバラシイこと折り紙ペッタンコです。

席数に限りがあるので完全予約制。
お手数ですが、お越しいただける方は6月30日までに、実行委員長の篠崎里美までご連絡下さいませ。よろしくお願いいたします。
予約先  Mail s_satomix712@nifty.com
      FAX 03-3361-1737

突然の食欲

2009-06-12 | 美味しいもの
昨年10月の食道の摘出手術以降、食欲が無くて困っています。加えてこの春の化学療法で、いよいよの食欲減退。

イメージとしては何も食べたくないことが多いのですが、口にしてみれば案外美味しいと感じられることもあります。とにかく食べなくてはと頑張って食べる日々・・・。

闘病生活を始めて以来、いろんな方から様々な情報が寄せられ、民間療法、サプリメントなどもご紹介いただいたり頂戴したりすることが多くなりました。

ご縁があるかなぁと感じるものはしばらく試してみたりします。止めてしまった物も多々あります。

最近、9月の舞台の打ち合わせのために(出来るかどうかわからないと言いつつ去年引き受けた振り付けの仕事)常田富士男さんが我が家を訪ねてくれました。

一通り舞台の話を伺った後、同行の奥様がおっしゃいました。
「紗羅さんの体力回復に光線はどうかしら?」

お話を伺ってみると、医者嫌いの常田さんが30年も使っている健康器具があるとのこと。カーボンを燃やして、光と熱でからだを温めるもののようです。

気持ちが良いし楽だし副作用が無いから使ってみれば良い、と、その場で話が盛り上がり、即、送ってくださることになりました。

その2日後、器具の到着と共に奥様も来て、組み立てと使用説明をしてくれました。
レトロで奇妙な・・・、潜水服の頭部のような形です。

最初は1日置きに使うようにとの説明。寝転がって、足の裏、膝、お腹、腰などを5~10分暖めます。

2回目の昨日のことです。お腹を暖めているとじわりと腹部に汗が噴出し、突然果物が食べたくなりました。猛烈な渇きと食欲!

冷蔵庫にあるメロンを思い、頂き物の巨峰とマンゴーに思いを馳せる。熱烈に食べたいと思う!。一体何時から見失っていたのか?こんな感覚は実に久しぶりのこと・・・。

転がるように台所へ行き、メロンをジュースにして、飲みながら巨峰を洗う。喉に詰まらないように、はやる心を抑えつつ、ぶどうを噛みしめながら、マンゴーを剥く。全身が美味しいと絶叫するような、感動的食欲!!!

生きているんだなぁーとしみじみ感じる、飢えたゴリラみたいなわたし・・・。なんという喜び!

突然わいた食欲が持続しているわけではありません。でも、至福のひとときが過ぎ去った後も、ちょっと悪くはない感じ~。こうして少しづつでも食欲が戻るといいですねぇ。食べることは、そう。喜びだったはずなのです。


散歩の途中のどくだみ。名前が気の毒な花・・・?

6月の空

2009-06-02 | がんとのお付き合い
紫陽花が色付き始めて、6月。
闘病生活も丸二年になります。

今日の天気の心地よさ!6月の空!
暑くも寒くもなく、穏かな日差しでそよ風が心地よい。こんな日が続くといいのになー。

自然の爽快さを感じる時間。心穏かに楽しい散歩。そんな時間もちゃんとあります。

でも体調はまだまだ安定せず・・・。
食欲はいくらか出てきましたが、時折ぜんぜんダメになる。

体重は前回退院してから変化無し。40日も経ったのに全然増えない。
立ち上がるたび立ち眩み。のろのろと動かねばならない。
本を読む気力すら無いことが多い。

急いで動くと動悸がずごい。
吐けないのにカラ嘔吐に襲われること時々。
ゆっくり良く噛んで食事するのに、週に一度は食事のトラブルで2~3時間苦しむ。

調子の良い時は結構けろっとしているんですけどね・・・。

そんなわけで、まだ外食する勇気なし。お茶だけなら2度ばかり試して大丈夫でした。

回復が遅くてじれったいけれど、よくよく考えてみれば、はい。
確かにすこーしづつは良くなっているのだと思います。
自棄にならずにゆったりと時間を重ねましょう。やり過ごすことにしよう。6月のテーマです。

経過観察

2009-05-29 | がんとのお付き合い
「縮小傾向にあります。ですからもうしばらく様子を見ることにしましょう。もっと小さくなれば手術も簡単に済むし、放射線で痛んだ皮膚も回復してからのほうが手術にはいいでしょう。」

昨日の国立がんセンター東病院、D先生との面談です。
3月から4月、放射線と抗がん剤で入院治療した頚部リンパの転移がんが、治療効果でずいぶん小さくなりました。これからもっと小さくなるかもしれないので経過を観察し、時間を置いてから手術しようと・・・、そういうことのようです。

前回のMRIは5月19日でした。その結果を反映したのが昨日28日の話。
次回のMRI検査を6月25日にして、その結果を7月の9日に話し合いましょうとのこと。

朗報と言えば朗報・・・確かに。

でも少々不安な私です。頚部リンパ節に転移がんが見付かったのはこの2年間で4回目。育つのが早いんです。
そんなに放って置いて大丈夫なのでしょうか・・・。不安症状がつのります。

「私だけではなく、画像診断の専門家が縮小傾向にあると言っているのですから大丈夫」
と、D先生は明快におっしゃいます。信頼するしかないですね。

6月手術の覚悟をしていたのでちょっと肩すかし。

朗報を朗報と、プラス思考で受け止めて、体力増強に励むことにいたしましょう。


冬もベランダに出しっぱなしだったのに・・・今年も健気に咲きました。我が家の南国、ブーゲンビリア!

旬の野菜

2009-05-26 | 美味しいもの
野菜の甘さ・・・野菜の旨み・・・旬の野菜!

食欲も体調も安定しない、冴えない日々が続いておりました。
何を食べれば良いのかが分からなくて途方にくれる日が続いておりました。
それが・・・採りたての野菜を友人知人から届けてもらう幸せに、立て続けに恵まれました。

香り豊かなグリーンアスパラ。
甘い甘い葉玉葱。
翡翠のような空豆。
とろける新玉葱・・・エトセトラ。

「美味しい」と言葉に出せることが、しみじみ嬉しい。

色々な治療の後遺症ですね。食いしん坊の私の味覚がずいぶん変化してしまいました。
大好きだった香辛料は概ねダメだし、好みが菜食主義者みたいになりました。
添加物や化学調味料の多いものは受け付けません。

という訳で、手の込んだ料理をするパワーもなく、食生活に頭を悩ませるだけで毎日が流れていきます。

旬の野菜のやさしい甘さ。大地の滋養とそのちから。
味覚はまだまだ安定しませんが、旬の野菜にからだが大喜びしたのは確かです。
ありがとう。ごちそうさまー!