紗羅のアトリエ

Healing Art 美しいもの 楽しいこと 2007年春より食道がん患者 

コクリコ

2006-04-30 | 花・植物
ゆりの木通りにも、世田谷線の線路際にも、オレンジ色のコクリコの花がいっぱいです。

コクリコ・ひなげし
南仏に多い真っ赤なコクリコ
麦畑の中の可憐な赤

フランスの子供たちは、つぼみを剥いてはなびらを押下げ、赤いドレスのお人形に見立てて遊ぶそうです。

私が子供の頃は、れんげの花やクローバーの花で花輪を作って遊びました。
花で遊ぶことのし・あ・わ・せ。

オレンジ色のひなげしが日本で目立つようになったのは、最近のことではないでしょうか?。私がこの花に気付いたのは10年位前だったように思います。それとも、以前からあったのかしら。雑草の中に自生して、刈られても刈られても、次の年には花を咲かせています。

はなびらがはらはらと、すぐに落ちてしまうので、色付いたつぼみを摘んできます。花瓶に活けておくと次の朝には開花しています。毎朝摘んで次の花へとバトンタッチ。

この頃の草の花
アトリエ紗羅のテーブルでは
コクリコのはなびらが
やわらかく舞っています

朋あり

2006-04-26 | My Favorite Things
言葉少なに、多くを伝える
そんな表現が好きです

日曜の夜
雨の中を下高井戸シネマへ
ドキュメンタリー映画
太鼓奏者、林英哲の「朋あり」

生のステージを観たことはないのです。80年代後半、舞台でかかわったミュージシャンに、「英哲さんと演れば?」と言われて以来、ずっと気になっていました。今や私には天上人。テレビで何度か観たことがあるだけの林英哲。荒行に身を置く修行僧のようです。その在りかた、その音は、日常のレベルを超えて彼方へと、力強く駆け上がって行く。どうしてあそこまで出来るのだろう・・・。

美しい映画でした。
外国の音楽家との稽古風景。ダイナミックに躍動する筋肉のクローズアップ。光る汗。こころのあり方の断片が、一見無造作に切り取られ、重ねられていきます。そして、故郷で出迎える人たちの笑顔。演奏が終わった後の、感動に満たされた人々の、この上なく美しい、顔・顔・顔・・・。

彼がお寺の息子さんと知ってちょっと納得。
いや、これはこじつけに過ぎないかな。

「太鼓というものが何なのか、今でもわかりません。」
「なぜ生きているのかもわかりません。」

忘れてしまいましたが、もうひとつ<わからないもの>がありました。そして、本当は美術家になりたかった彼は、その時々の選択の積み重ねでここまで来たのだと・・・。

凄み・を、感じます。

エンディングに流れた音楽が、ラヴェルのボレロ。
山下洋輔のピアノと林英哲の太鼓です。
・・・感極まる。

山下洋輔も若い頃から憧れのピアニスト。思い込みだけで行動出来た二十歳のころ、屋外のコンサートでステージによじ登り、勝手に踊らせてもらったことがあります。客席で衣装を着け、化粧までして。・・・風が吹いていました。
後日ラジオで、山下氏がその時のことを喜んで話していた、と友人に聞いてほっとしたのですが、いやいや、今考えると恐ろしい。無謀であることは若さの特権でしょうか。

ロビーに出て、飯田さんに
「あのボレロのCDある?」
「あるわよー。これこれ!」
というわけで、「Ken-Kon」入手。

恋する乙女のように、ときめいた雨の夜でした。

下高井戸シネマ

2006-04-20 | My Favorite Things
優れたドキュメンタリー映画を観る会 VOL.16
ドキュメンタリーセレクション
山形・東京・サンパウロ

4月22日(土)→4月29日(土)
下高井戸シネマ

モーニング&レイトショーにて
ドキュメンタリー映画10作品上映


魅力的な作品ばかりです。
詳細は下高井戸シネマのホームページ参照。
もしくはtosukinaさんのブログ
アザミ子さんのブログもご覧ください。


「・・・日本の社会の在り方を問い、世界各国の抱える問題を見つめ直すことが出来たらと思い、10作品を選びました。・・・」(前後文とも略)
この会の代表、飯田光代さんは、豊かな感性とアグレッシブな行動力を併せ持つ素敵な人。
存在そのものが、やさしさとちゃめっ気のダンス。2年足らずのお付き合いですが、顔を見るだけで嬉しくなっちゃいます。

良さそうな作品がいっぱいです。
どれを観にいこうか迷いつつ、そわそわ。
というわけで、
「下高井戸シネマに行かなくっちゃ☆」

連日の My Favorite Things

2006-04-16 | My Favorite Things
JBL の大型スピーカーに張り付いて、コルトレーンのマイ・フェイヴァリット・シングスを聴くと便秘が治った十代の後半、「Jazz 喫茶」というものが大好きでした。
寄宿していた気仙沼の祖父の家から、嘘の外出許可証をしたためて、ヒッチハイクで一ノ関の「ベイシー」へ、しばしば遊びに行ったものです。困った高校生ですねー。

4月10日はリヴィオ・セグーゾの「ガラス彫刻と絵画展」へ。
ガラス作品の小品が数点とドローイング。絵は作品制作のためのデッサンかと思っていたら、さにあらず。最近は絵画にも力を入れているそうで、2004年の作品が多かった。アイボリー1色で仕上げられた立体感のある画がとても魅力的。
でもやっぱりガラス作品がすごい。ストイックに凝縮された世界が多くを語ります。映す風景を包み込み、角度のマジックが不条理を具現する。

篠崎里美と一緒に「リヴィオ・セグーゾ60年の歩み」と題されたレクチャーにも参加しました。60年もガラスと取り組んできて、今も作品を作り続けているリヴィオさんは「ガラスに逆らってはいけない」とさかんにおっしゃる。大きくて重たいクリスタルの作品を創るのは格闘技的作業ではないか、とイメージしていたのでちょっと意外。

どんな世界でもきっと極意は一緒なんですね。真摯に対象と向き合うこと。チカラでねじ伏せてはいけない。
現在、自分の大切な世界は「タイ古式マッサージ」なわけですが、これも同じだと思っています。技術は大事だけれど、それだけではダメ。人間としての大切な何かを、ほんのちょっぴりでも伝えたい・・・。

70代も後半のリヴィオさん。笑顔満開で迎えてくれて、大いに話しかけてくださるのだけれど、相変わらず挨拶止まりの私のイタリア語。「あー、ごめんなさーい」
あっという間にお別れの時間。「チャオ・チャオ・チャオ」「アリベデルチ、グラーツィエ」「チヴェディアーモ!」また会いましょうね・・・。

11日は「志水紀子洋画展」。娘のつゆちゃんもご主人と子供たちと一緒に来日。華やかな絵画とにぎやかな笑顔。家族っていいですね。絵も華やぎを増しているようでした。

その足で渋谷、公園通り「クラシックス」へ。
Meredith Monk はどうしているのか・・と考えていたこの頃、友人の友人、Theo Bleckmann のコンサートがあると聞きました。な、なんとTheoはMeredithのところでも歌っているというではありませんか!。これは聴きに行かなっくっちゃ♪。
いやいや、スバラシイ、面白い。メレディス世界を彷彿とさせるみごとなヴォイス・パフォーマンス。人間の出せる音(声?)の幅の広さに唖然。
そして、「My Favorite Things」。共演のジャズピアニスト、安田芙充央氏いわく、この曲は軽くやるか暗くやるかのどちらかしかない、と。そう言われてみればそうでした。元々の映画では、暗く追い詰められた状況下で歌われる切ない希望の歌。認識新たに耳を傾ける。

12日は仕事を終えてから、新宿「J」へ。
久しぶりに佐藤允彦(P)、加藤真一(B)、美山夏蓉子(Vo)のJazzを聴きに。
加藤、美山は古くからの友人です。允彦さんと真ちゃんのデュオがとってもいい感じ。数年前に聴いたときはちょっとつらかった・・・。連れ合いいわく、「真ちゃんのベースの創造性と心地よさが、より深く進化しているからだよ」。「ふーん」。

ここでも出ました。「My Favorite Things」。なんと、まあ♪。やっぱり、イイワ、深いわ~。允彦さんの演奏って、いくら暴れても品がある。真ちゃんの音は聴くたびにその味わいを深めています。
アンコール曲は「わたしの好きなもの」のひとつ、「美山夏蓉子のサマータイム」でした。
至極満足♪♪♪


3月11日の「ひとつぶの種」で紹介したナスタチウム、4月に入ってから花を咲かせ始めました。ただ今咲いている花は20~30輪。太い蔓がどんどんと伸びて、どこまで大きくなるのやら・・・。花いっぱいの全体像をお届け出来る日が楽しみです。

たまご・篠崎里美のこと

2006-04-09 | My Collections
たまご・のことを考えていました。
たまごについて、踊りを創っていました。
いのちの象徴としての、た・ま・ご。
死んでしまった母。
産むことを放棄した自分。
いのちについて、愛について。
まるく閉ざされた世界について。


1992年のそんなある日、朝日新聞で彼女の個展を知りました。牛乳パックの紙で灯りのオブジェを創っている篠崎里美。新聞に写っている作品は、「たまご」でした。

中野ポレポレ座での個展に足をはこぶ。
小枝で作られた巣のなかで、身を寄せ合って光るたまご。白く優しく光る美しいたまご。いろいろな大きさのたまごたち・・・。作品はたまごだけではなかったのですが、やわらかな光を放つ紙のたまごに魅せられてしまいました。
「脈動」と題されたその展覧会には、静かな愛が満ちていて、空間構成も美しく、流れている音楽にも好感が持てて・・・。

ソロで踊る小さな舞台の美術をお願いしたのが始まりでした。

有名人の名前には敬称を付けないけれど、お目にかかった事があると、呼び捨てにはしにくくなって「さん」をつけます。
縁が深まって「トモダチ」になってしまった人を紹介するときは、「さん」をつけるとなぜか恥ずかしい。

篠崎里美です。ライティング・オブジェを創っています。「光造形作家」っていうのかな?。いろんな仕事を一緒にやりました。彼女の世界はどんどん広がって、ずいぶんと大きな仕事もするようになりました。なんといっても「個展」をお見せしたいのですが、今のところ次の予定は聞こえてきておりません。私は友人兼「うるさいファン」を続けています。

今月の彼女は、原宿クエストで二胡のジャー・パンファンの舞台美術。ジャー・パンファンの二胡の音は、チャン・イーモーの映画「LOVERS」で記憶に新しい。篠崎里美がどう出るか、乞うご期待!

SEASONS CONCERT 春
ジャー・パンファン with 美野春樹トリオ
4月28日(金)開場18:00 開演19:00
4月29日(土)開場15:00 開演16:00
原宿クエストホール


この灯りは、2001年の「眠らない森」シリーズ、「ウユララ」という作品なのですが、わたしは「ららちゃん」と呼んでいます。セッション・ルームの枕元に置いてあります。「Atelier 紗羅」 のシーリングライトは、このライティング・オブジェに合わせて篠崎里美が制作してくれました。

はなびら

2006-04-07 | 花・植物
今年の桜、もうおしまい
ふるふると風に舞い
おちて地面をかざります
ほんのひとときの
さくら色の絨毯


こころおだやかに暮らすことのむずかしさ。
さくらの蕾がふくらみ始めると、なぜかそわそわ。毎年のことです。去年も今年も、仲間が集う新宿御苑でのお花見には参加できませんでした。残念。

今年は朝晩通る近所の桜並木を根性入れて堪能。なんだかちょっぴりイジマシイ。
羽根木公園の桜をちょいと見に行って、はなびらの写真を撮ってきました。地面に映る木の影と、舞い落ちたはなびら。指先で、薄くやわらかな感触をたしかめる。間もなく、茶色いごみになってしまいます・・・。

志水紀子 洋画展

2006-04-06 | My Collections
「あの猫の絵はどなたの描いたものですか?」
二月中旬アトリエ紗羅に初めていらした、もの静かなご夫婦からの質問でした。

「毎年、銀座プランタンで個展をなさるかたなので、次回のお知らせをしましょうね。絵がお好きなんですか?」
「はい、ふたりとも大好きなんです。」


なんだか、美術展の案内ブログみたいな今日この頃の「紗羅のアトリエ」。ま、いーか。このご夫婦の質問に背中を押され、ブログを始めたのです。あまりおしゃべりじゃないので(異議のある人もいる!?)、書いてみたいこともいろいろあるような気がするし・・・と。

Atelier 紗羅」はタイ古式マッサージとオイルトリートメントのサロンです。はい。
Healing Art を追求しております。・・・はい☆


Paris からの手紙。今度は志水紀子さんです。「初日にお会いするのを楽しみにしています。」まぁまぁ、これまた私の定休日♪ 楽しい忙しさです。

志水紀子洋画展
プランタン銀座本館7階 
ギャルリィ・ドウ・プランタン
4月11日~4月17日


踊る骨董屋だったころ、パリに行くと、息子さんに仕事を手伝ってもらい、娘さんとはクラシックバレエのスタジオが一緒でした。ちっちゃかった娘のつゆちゃんは女優になり、納豆の大好きなかわいい男の子の母になりました。リュック・ベッソンの映画、TAXI 2 で、勇ましく足を振り上げる東洋人美女がつゆちゃんです。あはっ。

この猫の油絵はやはり20年以上前のもの。オイルトリートメントルーム「ちゃるか」に飾ってあります。「志水紀子」でネット検索すると、五輪真弓さんとの詩画集がヒットします☆

マエストロ・Livio Seguso

2006-04-05 | My Favorite Things
「彼女はまだヴェニスに居るのだろうか・・・」
と、思いついて久々にメールしてみると、
「ヴェニスに骨を埋めることになるかも・・・」
との返答。そして、
「Livio の Website が、昨日できました!」

これは朗報です♪
探してみても良い紹介サイトが無くてがっかりしていた私。
3月3日に紹介した Dale Chihuly さんの対極にあると思えるガラス作家です。そのストイックで研ぎ澄まされた作風は、これまた大好きな世界。

ぜひ開いてみてください。
出来立てホヤホヤ、Livio Seguso のホームページ。
キュービックな作品と共に、ファンタスティックなインスタレーション。こころ洗われるような海の作品が特に好きです。

Livio Seguso さんのアトリエはムラノ島にあります。ガラスのバイヤーをしていた頃は、ムラノに行くたびに立ち寄らせていただきました。透明な光のあふれるモダニズム。静謐な空間に身をおいてほっと一息。コレクションの買い付けには関係せずにすんでいたので、しばらく仕事のことを忘れます。

日常のリヴィオさんはおだやかな優しい笑顔。作品に立ち向かう時の厳しさは感じられません。ピアノも置いてある静かなアトリエでした。


良いもの、好きなものが売れるわけではありません。フランス骨董を扱っている時から気付いていました。仕事としてものを買うときには別の視点が大事です。自分ではない誰か、それも日本の人、が好むものを探します。

ミュージアムショップを任されたバイヤーでした。自分の美意識はぎりぎりのところに置いて、売れそうなもの、利益の取れそうなものを選ばなければならない。かなり猥雑な世界です。好きなものを買うときは、<売りにくいもの>であることを覚悟します。
ヴェニスにあふれるガラス製品の混沌。おびただしい色の氾濫をかいくぐってエネルギー全開!・・・リヴィオさんのアトリエはひとときのやすらぎでした。


「来週、仕事でリヴィオと日本に行きます」
なんというタイミング!また懐かしい人たちに会うことができる。

4月10日(月)~21日(金)
オリエ・ギャラリー(北青山)
リヴィオ・セグーゾ
ガラス彫刻と絵画展

初日の6時からは<リヴィオ・セグーゾ60年の歩み>と題されたレクチャーがあります。
出展作品は少ないようですので、興味のあるかたはこれがいいかも。申し込み順とのことですが、問い合わせてみたらまだまだ余裕がありそうでした。月曜日なのでわたしも喜んで参上します。

彼女は同じ美術館のキュレーターでした。辞めて、ヴェニスに住み着いて、さてさて何年になるのでしょう・・・。今回は通訳としてやってきます。