ご予約いただいているお客様からのメール。
明日のその時間、出張施術ということで、代々木八幡までご足労願えませんか?。「波多野睦美&つのだたかし」さんのコンサートがありまして席をひとつ確保してあります。タイマッサージの素晴しさと波多野さんの歌声に出会わせていただいた感謝の気持ちとしてプレゼントさせていただきたいのですが、いかがでしょうか?。
「こ、これって、もしかしたらデートのお誘い?」
一瞬うろたえた私は、一緒に仕事をしているルカを話に巻き込む。
「あら、きっとお食事もよ!」とルカはのたまう。
このお客様は、タイのバンコクでタイ古式マッサージに出会い、ネットの検索でアトリエ紗羅にたどり着きました。
私のセッションに感動してくださったらしいのですが、寡黙で多くを語らないシャイな方です。私の好きな音楽、波多野睦美さんの歌声にも惹かれたようで、CDをたくさん購入されたとか。
そして、7回目の来店にあたるこの日のご予約が・・・。
タブラトゥーラの長年のファンですが、まだ一度も生で聴いたことはありません。「波多野&つのだ」のコンサート!。演目はイギリス、16~17世紀のリュートのためのラブソング。演目<恋人よもう少しここにいて>等・・・。
あらまぁ。どうしましょ。デートに誘われるとは!。私めもまだ捨てたもんじゃない?!
ご一緒させていただきます・・・メールで返信。
家に帰って連れ合いに報告。
「明日はデートだからね。コンサートに誘われたの」
「おっ!異性か。珍らし珍らし」
「そうだよーん」
「ディナー付きかぁ~。うらめやましい」ルカと同じ事を言う・・・。
当日になって、すっかりその気。ハイテンション。いつもより化粧に気合が入る。うきうき、わくわく。ちょっぴりドキドキ。久々に、お気に入りの香水にも手が伸びる。
待ち合わせたホールの入り口。ロビーのソファーでひっそりと待っていてくれました。そして、ありきたりのあいさつ、他人行儀の無難な会話。
「お忙しいところをすみません」
「あら、どういたしまして。聴きたくてもきっかけが無かったんです。今日は喜んでまいりました」
「いいホールですねぇ・・・」
実にしっとりとした、こころのひだにしみこむようなコンサートでした。
ステージの波多野睦美さんは予想通り気品のある華やかな人。やわらかく優しい妙なる歌声。音空間にすっぽり包まれました。
つのださんのアコースティックなリュートのソロにも・・・うっとり・・・とろり。
「お疲れのところすみません」「あ、いえいえ。そ、そんな・・・」
舞台が終わり、そぞろ駅へと向かう人の流れに乗って、並んで歩く。会話がぎこちない。ゆっくり歩いているのだけれど、立ち止まる気配はない。
代々木八幡の駅に着く。
それぞれがパスネットを取り出し、ズルンと通してホームに並ぶ。夜風が寒い。
「・・・」
彼はポケットから白い封筒を取り出す。
「あの、これ・・・」
「えっ、なんですか?」
「あとで見てください。ラブレターです」
「あの、オカネじゃないでしょうね。それは困ります。仕事していませんから」「いえ・・・」「・・・」
なんですか、それ。そんな無粋な~。すったもんだの挙句、ではそのオカネで食事をしましょうと私から提案。
駅を出て街に舞い戻り、居酒屋の客になる。カウンターに肩を並べる。
これはもう、飲むしかありません。何か話があるはずです。甘いデートじゃなくてもいいけれど、一緒に音楽を聴いて、はいさようなら。それはないでしょう。
黙々と食べました。杯を重ねました。
ふと、彼が言いました。
「ホームページのリンクにITMってのがありますよね」
「ん?はいはい・・・」
「実は、そこで勉強を始めました」
「えッ? えッ! ええぇ~~~!?」
「何と言い出せば良いのかわからなくて・・・」
「やっだぁー! 早く言ってくださいよぉ、もー」
ビッシバッシと年上の男性の肩を叩き、急にタメグチになる私。
聞きました。彼はタイ古式マッサージのあまりの気持ちよさに驚き、来店の3回目あたりから自分でもやってみたいと思うようになったとのこと。
インターネットで検索し、たどり着いたのがITM東京の依田延子さんのところだったということ。
3年ほど前のことです。タイマッサージのサロンをやる、と決めた私は着々と準備を進めていました。
思い込み→まっしぐらに前進!タイプなのですが、日本に同業の知人は誰もおりません。
不安山積みのある日、古くからの友人、ゆっこが「いとこに同じことやってるのがいるけど会ってみる?」と言います。
これ幸いとお目にかかり、セッションを受けさせてもらいました。それが依田延子さんとの出会いです。
長年タイ古式マッサージの普及に努めている彼女は、私に安心感と自信を与えてくれました。と同時に励ましてくれました。
それ以来何かと相談に乗ってもらい、タイマッサージを習いたいと希望する人がいればITM東京をお奨めしています。
Atelier 紗羅への来店がきっかけでタイ古式マッサージを勉強することになった人は、これまで3人。なんとCさんが4人目ということになるのです。
偶然にも延子さんにたどり着いているのです、はい。楽しい嬉しい偶然。
デートはここから激変。会話がどんどん弾みました。だってねぇ、もう仲間ですもん。
Cさんがいいます。「ヨガはある程度までやったら、それからは自分自身で深めていくだけ。そこへいくとタイマッサージは2人でやるヨガでしょ。これは面白そうだと思ったんです」
ふむふむ、なるほど。
「病気療養中の妻を相手に練習してみたら、気持ちがいいと喜んでくれたました」と、ぽつり。
ステキ!です。いいお話です。
「プロになろうって訳じゃないのです。自分の老後のささやかな楽しみになれば、と」
Cさんは温厚でとてもとてもハートウォームな方でした。
というわけで、いい友達が出来た晩秋の夜。こころときめくデートの、意外な顛末でございました。
明日のその時間、出張施術ということで、代々木八幡までご足労願えませんか?。「波多野睦美&つのだたかし」さんのコンサートがありまして席をひとつ確保してあります。タイマッサージの素晴しさと波多野さんの歌声に出会わせていただいた感謝の気持ちとしてプレゼントさせていただきたいのですが、いかがでしょうか?。
「こ、これって、もしかしたらデートのお誘い?」
一瞬うろたえた私は、一緒に仕事をしているルカを話に巻き込む。
「あら、きっとお食事もよ!」とルカはのたまう。
このお客様は、タイのバンコクでタイ古式マッサージに出会い、ネットの検索でアトリエ紗羅にたどり着きました。
私のセッションに感動してくださったらしいのですが、寡黙で多くを語らないシャイな方です。私の好きな音楽、波多野睦美さんの歌声にも惹かれたようで、CDをたくさん購入されたとか。
そして、7回目の来店にあたるこの日のご予約が・・・。
タブラトゥーラの長年のファンですが、まだ一度も生で聴いたことはありません。「波多野&つのだ」のコンサート!。演目はイギリス、16~17世紀のリュートのためのラブソング。演目<恋人よもう少しここにいて>等・・・。
あらまぁ。どうしましょ。デートに誘われるとは!。私めもまだ捨てたもんじゃない?!
ご一緒させていただきます・・・メールで返信。
家に帰って連れ合いに報告。
「明日はデートだからね。コンサートに誘われたの」
「おっ!異性か。珍らし珍らし」
「そうだよーん」
「ディナー付きかぁ~。うらめやましい」ルカと同じ事を言う・・・。
当日になって、すっかりその気。ハイテンション。いつもより化粧に気合が入る。うきうき、わくわく。ちょっぴりドキドキ。久々に、お気に入りの香水にも手が伸びる。
待ち合わせたホールの入り口。ロビーのソファーでひっそりと待っていてくれました。そして、ありきたりのあいさつ、他人行儀の無難な会話。
「お忙しいところをすみません」
「あら、どういたしまして。聴きたくてもきっかけが無かったんです。今日は喜んでまいりました」
「いいホールですねぇ・・・」
実にしっとりとした、こころのひだにしみこむようなコンサートでした。
ステージの波多野睦美さんは予想通り気品のある華やかな人。やわらかく優しい妙なる歌声。音空間にすっぽり包まれました。
つのださんのアコースティックなリュートのソロにも・・・うっとり・・・とろり。
「お疲れのところすみません」「あ、いえいえ。そ、そんな・・・」
舞台が終わり、そぞろ駅へと向かう人の流れに乗って、並んで歩く。会話がぎこちない。ゆっくり歩いているのだけれど、立ち止まる気配はない。
代々木八幡の駅に着く。
それぞれがパスネットを取り出し、ズルンと通してホームに並ぶ。夜風が寒い。
「・・・」
彼はポケットから白い封筒を取り出す。
「あの、これ・・・」
「えっ、なんですか?」
「あとで見てください。ラブレターです」
「あの、オカネじゃないでしょうね。それは困ります。仕事していませんから」「いえ・・・」「・・・」
なんですか、それ。そんな無粋な~。すったもんだの挙句、ではそのオカネで食事をしましょうと私から提案。
駅を出て街に舞い戻り、居酒屋の客になる。カウンターに肩を並べる。
これはもう、飲むしかありません。何か話があるはずです。甘いデートじゃなくてもいいけれど、一緒に音楽を聴いて、はいさようなら。それはないでしょう。
黙々と食べました。杯を重ねました。
ふと、彼が言いました。
「ホームページのリンクにITMってのがありますよね」
「ん?はいはい・・・」
「実は、そこで勉強を始めました」
「えッ? えッ! ええぇ~~~!?」
「何と言い出せば良いのかわからなくて・・・」
「やっだぁー! 早く言ってくださいよぉ、もー」
ビッシバッシと年上の男性の肩を叩き、急にタメグチになる私。
聞きました。彼はタイ古式マッサージのあまりの気持ちよさに驚き、来店の3回目あたりから自分でもやってみたいと思うようになったとのこと。
インターネットで検索し、たどり着いたのがITM東京の依田延子さんのところだったということ。
3年ほど前のことです。タイマッサージのサロンをやる、と決めた私は着々と準備を進めていました。
思い込み→まっしぐらに前進!タイプなのですが、日本に同業の知人は誰もおりません。
不安山積みのある日、古くからの友人、ゆっこが「いとこに同じことやってるのがいるけど会ってみる?」と言います。
これ幸いとお目にかかり、セッションを受けさせてもらいました。それが依田延子さんとの出会いです。
長年タイ古式マッサージの普及に努めている彼女は、私に安心感と自信を与えてくれました。と同時に励ましてくれました。
それ以来何かと相談に乗ってもらい、タイマッサージを習いたいと希望する人がいればITM東京をお奨めしています。
Atelier 紗羅への来店がきっかけでタイ古式マッサージを勉強することになった人は、これまで3人。なんとCさんが4人目ということになるのです。
偶然にも延子さんにたどり着いているのです、はい。楽しい嬉しい偶然。
デートはここから激変。会話がどんどん弾みました。だってねぇ、もう仲間ですもん。
Cさんがいいます。「ヨガはある程度までやったら、それからは自分自身で深めていくだけ。そこへいくとタイマッサージは2人でやるヨガでしょ。これは面白そうだと思ったんです」
ふむふむ、なるほど。
「病気療養中の妻を相手に練習してみたら、気持ちがいいと喜んでくれたました」と、ぽつり。
ステキ!です。いいお話です。
「プロになろうって訳じゃないのです。自分の老後のささやかな楽しみになれば、と」
Cさんは温厚でとてもとてもハートウォームな方でした。
というわけで、いい友達が出来た晩秋の夜。こころときめくデートの、意外な顛末でございました。