アスベスト・ニュース

アスベストに関するニュースとコメントをカテゴリー別に

アスベスト:横須賀の石綿訴訟 初弁論で原告2人が意見陳述 /神奈川

2008年09月30日 | 健康被害
横須賀市の住友重機械工業(本社・東京)の造船工場などで働いていた下請け会社の従業員5人が死亡したのはアスベスト(石綿)疾患を防ぐ措置を怠ったためだとして、遺族が同社に2億3530万円の賠償を求めた損害賠償請求訴訟の第1回口頭弁論が29日、横浜地裁横須賀支部(栄春彦裁判長)であり、同社は請求棄却を求めた。

 訴状などによると、5人は01~07年、悪性胸膜中皮腫とじん肺で死亡した。この日は原告2人が意見陳述し、夫を中皮腫で亡くした米山よしえさん(55)は「00年3月に入院し、片肺をすべて取り除く手術を受けたが、6カ月後に亡くなった」と説明。「何の落ち度もない夫が56歳でこの世を去らなければならなかった無念さを思うと、悔しさでいっぱい。下請け労働者への差別をなくし、被害者すべてが救済される制度ができるよう願っている」と訴えた。【吉田勝】

2008年9月30日【毎日新聞】地方版








アスベスト不法投棄、解体業者容疑逮捕 廃材3・7トン畑に/群馬

2008年09月30日 | 犯罪
発表によると、田中容疑者は今年4月、自宅近くの畑で、アスベスト(石綿)が含まれる建設廃材などの産業廃棄物約3・7トンを埋めた疑い。

 県や県警によると、埋められた建設廃材は、田中容疑者が2007年5月、高崎市八幡町の「八幡八幡宮」の敷地内にある建物の解体工事を行った際、屋根裏から出たもので、田中容疑者は、解体作業中にアスベストが含まれていることに気づき、廃材をビニール袋に包み、自宅に運んだという。解体作業には複数の人がかかわっていたとみられている。県警の調べに対し、田中容疑者は「邪魔になって埋めてしまった」と容疑を認めているという。

 不法投棄については、県廃棄物政策課が今年6月、情報を入手、7月に県警に通報。県警が同月、廃棄場所から廃棄物を掘り出すなどして捜査を進めていた。

 県廃棄物政策課によると、アスベストは発がん性が指摘されている特別管理産業廃棄物で、通常は溶融して無害にしたり、コンクリートで固めるなどした後に耐水性の袋に二重に包んで埋め立て処理をしたりすることが義務づけられているほか、処理や運搬作業などは許可を得た業者しかできないという。

 同課の調査によると、アスベストを含む産業廃棄物が見つかった場所からは、大気中のアスベスト濃度は法で定めた基準を下回り、人体などへの影響はないという。

 今回のケースでは、県環境保全課が、県廃棄物政策課から、アスベストが含まれる建物の解体作業が行われたとの情報を得て、所管の高崎市にもそうした情報を伝えながら、同市に情報が正確に伝わっていなかったことがわかった。結果的に、高崎市は今回の逮捕でアスベストが含まれる建物の解体があったことを知ったといい、作業にかかわった人や近隣住民の健康被害への対応はこれからの状態となっている。

 県環境保全課によると、アスベストが使われていると思われる建物の解体では、作業者に大気汚染防止法に基づく届け出や環境測定などが義務づけられている。この事務を所管するのは、通常は県だが、高崎市の場合は、特例市であることから、その事務を所管している。同課は、高崎市から、大気汚染防止法に基づく昨年度の届け出分について情報を得ていた。一方で、県廃棄物政策課から、アスベストが使われていると思われる建物の解体が昨年5月、高崎市内で行われたとの情報が寄せられ、矛盾することから、担当者が6月に電話で「確認をしてほしい」と伝えたという。その後、同市からは連絡はなく、再度の確認もしないままそのままにしていたという。

 県環境保全課の担当者は「だれに伝えたかは覚えていないが、伝えたのは事実。結果的に情報が伝わっておらず、申し訳ない」としている。これに対し、同市環境政策課の担当者は、「課長を含め、だれも聞いていない。初めて知った」と話している。

 県は、今後の健康被害などについて、所管する高崎市に調べてもらうというが、高崎市環境政策課は、「業者への聞き取りが可能かどうかも含め、どんな調査をするかどうか検討中」としている。

 一方、八幡八幡宮周辺の住民は、アスベストが使われた建物の解体作業が行われていたことに驚き、不安の声を漏らした。

 近くの50代の女性は、「去年の5月ごろに古い結婚式場を取り壊していたのは知っているが、アスベストが出たとは全く知らなかった。もし飛んできていたとしたら怖い。県や市から、アスベストに関する通知はなかった」と話し、近くの主婦(68)は、「近所でアスベストのことを知っている人は誰もいないと思う。県や市が知ってて黙っていたとしたら、住民の健康にとってひどいことをしたと思う」と話していた。

 八幡八幡宮の神主は、「工事の際には、アスベストについて全く知らなかった」と語った。

2008年9月30日【読売新聞】





松下電工:17年間、無届け廃棄 瓦や外壁材、伊賀の旧工場敷地に埋設 /三重

2008年09月29日 | 民間企業
松下電工(大阪府門真市)は26日、同社の旧伊賀上野工場(伊賀市三田)内の敷地約4万9250平方メートルで、約17年間にわたり廃棄物処理法に基づく届け出をしないまま、建物の外壁材や屋根瓦を埋設していたと発表した。環境への影響はないという。

 同社の自主調査で判明した。同社や県廃棄物対策室によると、同工場では79年の操業開始から96年ごろにかけ、生産した外壁材の不良品などを県に無届けで敷地内に埋設した。同法は77年の改正で、一定面積以上の廃棄物埋設に届け出が必要となっていた。埋設量は土砂を含め、推定で10万立方メートル程度という。

 屋根瓦にはアスベストも含んでいるが、外部への飛散はないという。同工場は現在、同社の関連会社が使っている。

 同社は「認識不足で法に抵触してしまい、反省している。再発防止策を徹底したい」としている。【傳田賢史】

2008年9月27日【毎日新聞】






県内2施設からアスベスト検出/福島

2008年09月26日 | 健康被害
県有施設の衛生研究所(福島市)といわき中央署(いわき)の2カ所でアスベストの一種のクリソタイル等が検出された。

県が25日、発表した。

衛生研究所では階段裏側で発見されたが、状況は安定しており、はく離の危険性が低い上、一般県民が使用しないため、状況を見守ることにした。

いわき中央署では、大規模改修工事中に見つかったが、工事の過程で飛散防止か、除去の対策を取る。

県は現在、従来は国内で使用されていないとされていたトレモライトなど3種類のアスベストの緊急調査を進めている。

クリソタイル等は従来型の種類だが、調査の中でさらに発見される可能性があるとみている。
2008/09/26【福島放送】



臨海部公共用地からアスベスト含有スレート/市が除去工事へ

2008年09月25日 | 調査状況
川崎市は二十三日までに、川崎区水江町の公共用地で土壌環境基準値を超えるダイオキシン類を含有する焼却灰やアスベスト含有のスレート(成形板)が見つかり、除去工事を行うと発表した。

 同所は市が先端企業を誘致した場所で、リチウムイオン電池などを量産化する企業など二社の進出が決まっている。二月には、同用地から市の環境基準を超える鉛(基準値の三九・三倍)やフッ素(基準値の六・五倍)に汚染された土壌が見つかり、四月から約二万二千立方トンを洗浄して埋め戻す工事が行われている。

 今回の焼却灰などは、汚染土壌対策工事中に新たに見つかったもの。約一カ月間の調査で、焼却灰に含まれるダイオキシンは土壌環境基準の一・四倍、スレートは規制対象となる含有率0・1%の約十五倍に当たる含有率1・5%のアスベスト含有だったことが分かった。

 市は九月末までに焼却灰百トンを除去し臨海部のセメント工場で高熱処理しセメントの原材料とするほか、スレートは約八百トンを横須賀市内のかながわ環境整備センターに埋め立て処理する。域内の対策工事は十月末までに終了予定。

2008/09/24【神奈川新聞】







柳川市議会9月定例会を振り返って/福岡

2008年09月22日 | 政策
ピアス社跡地問題については、過去10数回に亘って書いてきた。しかし今尚この問題は解決を見ることが無い。「堂々めぐり」「過去のほじくりかえし」と親市長派議員は主張しているが、この問題についての基本的な認識や解決に向けての方針が明確な形で出ていないから議論が永遠に続いている。これが現実だろう。
 市長周辺をめぐるいろいろな噂が駆け巡っているのも市長自らが明確な意思表示をしていない、と議員や市民にうけとめられているからであろう。

 9月議会で、O議員の一般質問で明らかになった不動産鑑定会社からの証言は今後の解決に向けての材料になる可能性が生まれてきた。同時に、これに対する市側の態度いかんによってピアス社跡地問題がさらにねじれたものになる可能性もある。事実経過や現状認識について議会多数派と親市長の間での違いはあるものの、跡地が「塩漬け」どころか「アスベストまみれ」「土壌汚染まみれ」で柳川市の活性化にとって大きな支障をきたしていることである。

 この現実に対する現状の危機意識が本当に共有化できているのかどうか。トップにその意識があれば解決へ向かっていくことになろうが、これまでの議論ではそこがどうもスッキリとしていない。ここに不信感が生まれてくる原因があるだろう。問題解決に向けては、その前提として情報をすべて速やかに公開していくこと。ここから始めるべきであろう。信頼を取り戻す努力をトップが自ら示すことで解決への途が開かれる、とだけ指摘しておきたい。
 26日の議会終了後、この問題で全協が開催される。ここがひとつのポイントになってくる。調停への対応をどう構えていくのか、市側の明確な対応が求められている。同時に開会中の「ピアス、全日本会補助金、旧柳川ホテル」の特別委員会の議論の推移もからみながら、そして来春の市長選挙も射程にいれた攻防になっていく。議会と執行部が本気になって解決の途をさぐる議論になっていくのか、議論の進展と水準が求められる。

 9月は、ピアス社と「有印公文書偽造」だけに明け暮れたわけではない。登壇した13名の議員は、農漁業、防災、医療、少子化問題、観光振興、企業誘致など真剣な提起もあったことを柳川市民と議員の名誉のためにも言っておかなくてはならないだろう。
 それにしても、議会開会中の休憩時間に、ある現職の職員が私に言った言葉が耳に残る。

「市長はボタンのかけちがえだ。ここからおかしくなった。」


2008年09月22日【九州企業特報】





健康被害可能性低い 諸富中学校、保護者に説明会 /佐賀

2008年09月22日 | 健康被害
佐賀市立諸富中学校(同市諸富町)の音楽室の天井から基準を超えるアスベスト(石綿)が検出された問題で、佐賀市教委は21日、同中の保護者を対象に説明会を開いた。

 市教委はこの日、アスベスト検出後、音楽室を封鎖したことや、音楽室の空気中のアスベスト濃度が基準値より低かったと報告。保健所などは健康被害の可能性は低いとみており、健康診断はしないことも明らかにした。

 保護者からは「はがれた音楽室の天井を子供がふさいだと聞いた。被害が心配」という声が出された。これに対して佐賀大医学部の市場正良教授は「問題があれば、まず20年前の在校生に(影響が)出るはず」と答えた。

 アスベストの撤去は09年夏に行う方針。【高芝菜穂子】

2008年9月22日【毎日新聞】 地方版




アスベスト:救済への決意新た 石綿被害患者家族の会が3周年、神戸で集い /兵庫

2008年09月22日 | 健康被害
アスベスト(石綿)被害者らを支える「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」(東京都)のひょうご支部が20日、神戸市兵庫区で設立3周年の集いを開催。患者や家族らが、被害者救済への決意を新たにした。

 同支部は05年8月に発足。石綿対策基本法制定を求める署名活動や労災の集団申請などを行ってきた。

 この日は、石綿被害に詳しい「ひまわり診療所」(東京都)の名取雄司医師が講演。石綿は長時間、空気中を浮遊し見えにくいことから「石綿関連病になっても「『アスベストを使っていない』と言う被害者が多い。何気ないビル改築や解体現場も危険だ」と指摘した。また、家族や被害者らが石綿被害の体験を発表。「生きる権利は誰にもある。一緒に頑張ろう」と決意を語った。

 石綿被害に関する相談、問い合わせはNPO法人「ひょうご労働安全衛生センター」(078・251・1172)へ。【竹内良和】

〔神戸版〕

2008年9月21日【毎日新聞】 地方版






「100校のうち88校からアスベスト検出」/韓国

2008年09月19日 | 調査状況
教育科学技術部(教科部)は18日「昨年全国100校を対象にサンプリング調査を行ったところ、88校からアスベスト(石綿)が検出されたのを受け、今年12月まで全国のすべての幼稚園と小中高校を対象にアスベスト汚染の実態を調べる方針を決めた」と明らかにした。

アスベストは耐熱性、耐久性、電気絶縁性などの特性に優れ、建築資材、保温材、耐火材など、さまざまな用途に広く使われてきたが、アスベスト肺(石綿の粉じんを吸引することによって肺の繊維組織が増殖する肺繊維症を生じ、肺がんなどを起こす病気)や肺がん、悪性中皮腫(胸膜、腹膜に生じるがん)の病気を引き起こす物質とされている。

今回の調査では▽アスベスト含有建材の使用実態▽児童・生徒との接近性--を調べる。各校別にアスベストが使われた位置などを分かりやすくする「アスベスト地図」を作成し、該当施設は優先的に改修、補修工事も行う予定だ。工事は所轄する教育庁から承認を受けた後、警告板を設置した状態で行うことになる。

教科部のパク・ヒグン学生健康安全課長は「全国小中学校の87.45%がアスベストの使用が多かった90年代以前に建設されたため、対策が必要とされる」と話している。

2008年9月19日【中央日報】








大林組とタケエイ、アスベストなど再利用する新会社設立

2008年09月19日 | 技術
大林組とタケエイは18日、アスベスト(石綿)などの廃棄物や焼却灰を無害化・リサイクルする新会社「エコプラント」を共同で10月に設立すると発表した。資本金は1000万円で、出資比率は大林組66%、タケエイ34%。処理能力はアスベストが年間2万―3万トン、焼却灰が同1万5000トンで、アスベスト処理施設として国内最大級となる見通し。関係官庁の許認可を得て、2011年春の操業開始を目指す。
 新会社は東京都港区に本社を置き、社長には大林組の汐川孝執行役員が就任。処理施設は静岡県賀茂郡への設置を前提に事業化に向けた作業を進めており、初期投資額は数十億円を見込んでいる。
 処理するアスベスト、焼却灰は1500度C以上の高温で溶融し、スラグとして固化。このスラグを路盤材やコンクリートの骨材として再利用する。これにより埋め立て分量を大幅削減できる。

2008年09月19日【日刊工業新聞】








石綿肺:労災認定 元基地従業員の県人男性/沖縄

2008年09月18日 | 健康被害
県内の米軍基地で長年ボイラー作業を通じて石綿(アスベスト)肺を発症した県人男性(78)が沖縄労働基準監督署から4日に労災認定を受けていたことが17日までに分かった。石綿被害者を支援する神奈川労災職業病センターが明らかにした。男性は現在も県内の病院で酸素治療をしながら療養中。

 男性は2007年3月1日に同監督署に労災申請を行ってから約1年半後に労災認定されたことになり、関係者からは「なぜこんなに時間がかかったのか」などと憤りの声が上がっている。

 男性は1954年から92年までの38年間、トリイ通信施設など県内の米軍基地で機械工として勤務した。その間ボイラー修理などの際に断熱材として使われていた石綿にさらされたとみられ、06年9月にじん肺管理区分4として沖縄労働局から認定されていた。男性は労災認定を受けたことについて「沖縄での石綿被害者はまだまだ数多くの犠牲者が出ると思う。みんなが一致団結して勝利することをお願いする」とコメントを出している。

 横須賀のアスベスト問題にかかわってきた神奈川労災職業病センターの西田隆重さんは「この問題はまだまだ沖縄では進んでいない」と指摘し、今後も県内で同様な被害者を救済し労災認定につなげていくことが必要とした。また「男性が元基地従業員ということで日米地位協定に基づいて補償を求める可能性もある」と述べた。

 一方、沖縄労働基準監督署は今回の労災認定について「さまざま事例がある中で今回の件が特別遅れたとは言えない」と説明した。

2008年9月18日(琉球新報)









石綿調査に国が全額補助 未実施の民間4万棟

2008年09月18日 | 調査状況
国土交通省は17日、ビルや工場など大規模な民間の建物のアスベスト(石綿)使用実態調査で、未実施の約4万棟の費用について国が建物の所有者に全額補助する方針を決めた。石綿の飛散による肺がん発症などの健康被害の拡大を防ぐため、本年度から3年以内の調査完了を目指す。

 費用は本格調査で1棟当たり20万-30万円程度。これまでは建物の所有者が全額か、行政から補助金を受けられる場合でも一部を自己負担しなければならず、所有者が調査要請に応じないケースがあった。

 同時に、国交省は安全で効果的な石綿の除去・飛散防止対策の確立に向けたモデル事業も始める。本年度は実態調査とモデル事業の費用を合わせ約10億円を、総合経済対策に伴う補正予算案に盛り込む方針。

 同省は都道府県を通じ、建物の所有者にあらためて調査を要請、所有者からの申請に応じてかかった費用を全額支給する。石綿の使用が分かれば、除去・飛散防止措置を求める。モデル事業の詳細は今後詰める。
2008/09/17 【共同通信】






中皮腫の認定審査4人やり直し、公害不服審査会命じる

2008年09月17日 | 健康被害
環境省の公害健康被害補償不服審査会は、アスベストで中皮腫(しゅ)になったとして、石綿健康被害救済法(アスベスト新法)に基づき、「環境再生保全機構」(川崎市)に救済を求めたものの認定されなかった東京都北区の女性患者(39)ら4人について、認定審査をやり直すよう同機構に命じる裁決を出した。

 裁決は10日付。同省が16日、明らかにした。アスベストによる救済給付で、同審査会が医学的判断に踏み込んで審査のやり直しを求めたのは初めて。裁決は現行の認定が厳しすぎると批判しており、今後の審査に影響を与えそうだ。

 裁決の対象は、北区の女性のほか、大阪府吹田市の男性患者(66)、高槻市と名古屋市の患者遺族で、2006年3~7月、同機構に救済認定を申請した。こうした場合、環境省に置かれた専門家による小委員会が中皮腫かどうかの医学的判定を行うが、小委は4人について、医学的根拠が不十分として中皮腫と認めず、これに従い、同機構も救済認定をしなかった。4人はこれを不服として、同審査会に不服審査請求を行っていた。

 同審査会は、4人のうち2人については、レントゲン画像や臨床所見などから、中皮腫の可能性が高く救済すべきだと結論づけた。北区の女性など2人については、同機構が不認定とした後に新資料が提出されたとして、改めて医学的判定を行うよう求めた。裁決を受け、同機構は4人についての認定審査をやり直すことになる。

 同審査会は裁決書で、小委の判定について「確定的に中皮腫と判断できる場合以外はすべて『中皮腫と判定できない』という判定になり、迅速に健康被害を救済するという法の趣旨にそぐわない事例が生じる恐れがある」などと批判した。

 裁決について環境省は「医学的な判断基準を変えるものではないが、裁決の趣旨を踏まえ改善すべき点は改善したい」としている。

[解説]厳格な証明より漏れのない救済
 臨床現場でも診断が難しいとされる中皮腫について、公害健康被害補償不服審査会は、医学的な証明の厳密さばかりにとらわれず、すき間のない救済を目指すべきだという判断を示した。

 アスベスト新法は、労災保険で救済されないアスベストの健康被害を受けた一般住民や事業主らを対象に医療費の自己負担分などを支給し、病状が深刻な中皮腫や肺がん患者・遺族を迅速に救済するのが目的。2006年3月の施行前に死亡した人については、診断書で中皮腫との記載があれば救済対象としていた。しかし、施行後に申請した中皮腫患者は、環境省が設置した医師らでつくる小委員会に対し、レントゲンや病理検査の資料などを提出し、厳格な医学判定を受けてきた。法施行後から今年7月末までに中皮腫だとして救済を求めた患者は1943人(取り下げを除く)に上るが、救済認定されたのは1348人。提出した資料の不十分さを理由に不認定とされた人も少なくないとみられる。裁決は「確定診断のための十分なデータがないことについて申請者に責任を帰すのは酷」とも指摘した。環境省は、漏れのない迅速な救済という法律の趣旨を今一度、見つめ直す必要がある。(小坂剛、木田滋夫)

2008年9月17日【読売新聞】



アスベスト:松江生協病院と石東病院、飛散の恐れ--県調査 /島根

2008年09月16日 | 調査状況
県は11日、病院のアスベスト使用実態調査の結果を発表した。国立病院機構、国立大学法人開設の病院と97年度以降に建築した病院を除いた県内43病院のうち、松江生協病院(松江市)と石東病院(大田市)の2病院で「アスベスト飛散の恐れがある」と報告された。2病院とも一般患者が立ち入るような場所ではなく、「健康被害も聞いていない」(県医療対策課)という。県では今後、国の通知などに基づいて2病院を指導していく。

 厚生労働省の要請に基づく調査で、対象となるアスベストの種類が前回(05年度)より増加している。「アスベスト飛散の恐れがある」と報告した松江生協病院と石東病院のほかにも、「現在分析中」としているのが1病院ある。松江生協病院では、エレベーターの昇降路の壁面1475平方メートル。石東病院では、機械室の天井128平方メートル。ともに一般患者が入れるような場所ではなかった。前回の05年度の調査では2病院とも「アスベスト飛散の恐れ」は報告されていなかった。【小坂剛志】

2008年9月12日【毎日新聞】


新潟・十日町市の小中学校からアスベスト検出/新潟

2008年09月16日 | 調査状況
学校施設のアスベストの再調査で、十日町市の小中学校各1校からアスベストが検出された。県教委によると、再調査で県内の市町村の学校施設からアスベストが検出されたのはこれが初めて。
再調査は、吹き付け材から国内で使われていないとされていた種類のアスベストが検出されたり、含有量の基準が1%から0・1%に厳しくなったことなどを受けた措置で、県内でも昨年度から進められてきた。十日町市教委の再調査は7月25日から12施設16カ所で行われ、仙田小学校音楽室と中条中学校機械室の天井の吹きつけ材からアスベストが検出された。

 今年2~3月に県教委が県立の学校施設28カ所を対象に実施した再調査では4カ所からアスベストが検出されたが、これまでに再調査が終わった10市町村の学校施設でアスベストが検出されたのは十日町市が初めて。このほかに県内の13市町村が再調査を実施中あるいは予定している(8市町村は該当施設なし)。

2008年9月13日【産経ニュース】