アスベスト・ニュース

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<アスベスト被害>ニチアス元従業員らに団交権 奈良県労委

2008年07月31日 | 健康被害
 奈良県労働委員会は31日、大手耐火材メーカー「ニチアス」(旧日本アスベスト、本社・東京都港区)が、アスベスト(石綿)被害救済を求める元従業員や遺族らでつくる労働組合との団体交渉を拒否したのは不当労働行為にあたると認定し、団交に応じるよう命令した。解雇などの効力を争って退職者組合が団体交渉権を得た例はあるが、退職から約25~50年以上経過した組合に団体交渉権を認めた命令は極めて異例。発症までの潜伏期間が20~60年のアスベスト関連疾患の被害者にとって画期的な判断となる。

 組合は、石綿を製造していたニチアス王寺工場(奈良県王寺町)の元従業員らが06年9月に結成した「ニチアス・関連企業退職者労働組合」(庄田誠治執行委員長、組合員10人)。申立書などによると、組合はニチアスに対し、健康被害への補償や従業員と周辺住民の被害実態解明、健康対策などを要求。団交を2度申し入れたが、拒否されたとして07年4月に県労委に不当労働行為救済を申し立てた。

 命令書は、元従業員について、大量の石綿粉じんを吸入し、症状悪化に不安を抱いていると認定。「雇用関係がある時に生じた事項による紛争が現在も未解決のまま存在しており、雇用関係が完全に清算されているとはいえない。石綿被害については被害に関する要求が退職時から相当経過した後に求められるのもやむを得ない」と判断した。

 また、下請け企業の元従業員について、「雇用する労働者」に含まれると判断。元従業員の遺族の補償については、団体交渉の対象になりうるとした。

 今回の命令後、15日以内に再審査を申し立てた場合、中労委で再審査をする。または、行政命令を不服とする取り消し訴訟を奈良地裁に起こすことができる。

 組合は石綿産業の元従業員らが初めてつくった労働組合。企業側との交渉を続けている他の被害者にも大きな影響を与えそうだ。【泉谷由梨子】

◇内容吟味し検討

 ニチアス本社は「命令書の内容をよく吟味し、今後の対応を検討する」とのコメントを出した。

◇解説 救済阻む個別交渉

 元従業員らが団体交渉での解決を求めた背景には、ニチアス側が、独自の制度に基づく補償金について、額の実績や算出方法などを非公表とし、個別交渉にしか応じないことがある。このため元従業員らは、団体交渉を通じて実態を明らかにし、誠実な補償・救済制度を確立させることを目指している。

 ニチアス元従業員の石綿による死者(じん肺含む)は224人(今年3月現在)で、被害規模は国内最悪だ。しかし、石綿を知り尽くしたかつての石綿製造の最大手企業と一個人では、対等な話し合いは到底望めない。

 個別交渉について、ニチアス側は「元従業員側の要望があるため」としている。しかし、周辺住民との救済金交渉で、交渉の存在自体を口外しないことを条件に救済金を支払うとした「口止め」工作も明らかになっている。

 ニチアスには、被害者のため、納得できる補償と被害実態の情報公開が求められている。【泉谷由梨子】

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7月31日11時14分配信 毎日新聞

工場の石綿 15年放置

2008年07月31日 | 調査状況



天井の梁などには吹き付けられたアスベストが白く見える。ここで子どもたちがバスケットボールなどをしていた=26日、夕張市清水沢清栄町

■夕張、飛散の恐れ
■所有者「対策費用ない」

 夕張市内で15年以上も放置されていた工場の建物の屋根や壁の鉄骨部分に、多量のアスベスト(石綿)が含まれていることが分かった。破れた屋根からアスベストが飛散している可能性が高く、子どもたちが入り込んで遊んでいることもある。市は所有者の会社清算人(70)に対策を取って撤去するよう説得しているが、清算人は「年金生活で資金がない」と話は平行線。財政再建団体の市にも財源はなく、国の助成制度も見つからないため、対策は暗礁に乗り上げている。


(本田雅和)


 建物は、同市清水沢清栄町でマットやじゅうたんの製造をしていた旧「デフィノス北海道」の工場。築35年で、鉄骨平屋建て約2千平方メートル。敷地約4200平方メートルは同市土地開発公社の所有だが、6年後には市が買い取る予定になっている。


 同社は清算人が社長となり83年に操業開始したが、事業不振で93年2月に解散。清算人は「建物を競売にもかけたが、売れなかった」として、荒れ放題になっている。
 鉄骨にアスベストが吹き付けられているとの情報があったため、資力がないという清算人に代わって公社が06年4月に分析調査を実施。国の規制含有量0・1%の20倍以上の2・3%のクリソタイル(白石綿)が検出された。


 法的には市や公社に管理責任はないが、近隣住民に健康被害が及びかねないため、市は清算人に浮遊量も調査するよう説得。先月24日になってようやく調査が実施された。


 工場敷地境界線では国の規制基準以下だったが、現地を視察した専門業者らは「自由に出入りできる建物内の継続的調査こそが必要。内部はアスベストを吹き付けた鉄骨がそのまま露出しており、極めて危険だ」と警告。国交省建築指導課も「関係者は最低限、建物を封印して立ち入り禁止措置にすべきだ」と指摘している。

asahi.com
2008年07月29日

アスベスト:県有施設で使用、6棟で確認 /香川

2008年07月30日 | 調査状況
 県有施設で国の基準(0・1%以下)を超えるアスベスト(石綿)を含んだ吹き付け材が使われていないかを調べていた県が29日、調査結果を発表。県営住宅や警察署など6棟で使用が確認された。飛散の有無の調査や除去作業を進めている。
 県は05年度に、吹き付け材を使用した県有施設をすべて調査。しかし、「トレモライト」など3種類の石綿が調査対象から漏れていたため、今年度に入って再調査していた。
 再調査で使用が判明したのは、県営宇多津団地の集合住宅「U―2号棟」▽県営西春日団地の集会所▽同団地の機械室だった建物▽県立体育館▽丸亀署▽観音寺署――の6棟。県営団地の3棟は、大気中の石綿濃度を測定して飛散の有無を調査中。宇多津団地では、棟内の全21世帯に転居してもらう方針だ。
 残り3棟は、いずれも大気1リットル当たりの石綿繊維が0・3本未満という測定結果が出た。大気汚染防止法が定める基準(大気1リットル当たり繊維10本)を大きく下回っており、県は「飛散はない」と判断している。
 ただ、将来的に吹き付け材が劣化して飛散する可能性があり、県は早期に除去する考え。県立体育館では、9月末までの完了を目指して除去工事が進んでいる。二つの警察署でも、今年度中には取り除くつもりだという。【大久保昂】


7月30日17時3分配信 毎日新聞

アスベスト:県有施設を再調査 来月から3カ月間--対策会議 /佐賀

2008年07月30日 | 調査状況
 今年に入り、国内では使われていないとされていた3種類のアスベスト(石綿)が東京都内の建築物などで確認された問題で、県や県教委の各課でつくる県アスベスト問題対策連絡会議は29日、8月から約3カ月間で県有施設を再調査する方針を申し合わせた。アスベストが検出された場合、今年度内に除去などの対策を行う予定。
 厚生労働省がアスベストの含有率の基準を1%超から0・1%超と厳しくしたことも、再調査の理由の一つ。
 県有施設で再調査の対象となるのは、県立学校を含め、前回調査でアスベストの吹き付けが確認された131施設。新たに検出された3種類を加えた計6種類のアスベストについて、含有率の基準を0・1%に変更して追加分析する。
 基準値を超えたアスベストが検出された場合、県は11月定例県議会に補正予算案を提出し、年度内に除去などを終えたいという。市町の施設や延べ床面積1000平方メートル以上の民間施設も再調査の対象となる。【姜弘修】


7月30日16時1分配信 毎日新聞



大手駐車場で石綿検出 年度内に除去工事 福井市

2008年07月30日 | 調査状況
 福井市は29日、厚労省が今年新たに調査対象に加えたアスベスト(石綿)3種について公共施設での使用状況を調査した結果、市役所に隣接する大手駐車場旧館で該当するアスベストが検出されたと発表した。環境濃度測定で、空気中への飛散はないことが確認された。年度内に除去工事を行う。

 今年2月、東京都や神奈川県などの公共施設で国内では未確認だったアスベスト3種が発見されたことから、厚労省が全国自治体に調査を要請。市は5月から、昨年度までにアスベストが検出され封じ込めなどの措置を施した39施設を除く86施設で調査した。

 アスベストが見つかったのは、大手駐車場旧館の柱や、はりの吹き付け部分。調査対象アスベストのうちトレモライトとアクチノライトが質量比で0.7%含まれ、基準値0.1%を上回っていた。

 同旧館は1階が公用車と市議向け、2階が来庁者向けに使用されている。車の接触で柱の表面が削れるなどアスベストが飛散する恐れがあることから、市では年度内に除去工事を実施する方針。工期は4カ月で、約40日間は全館閉鎖が必要となる見込み。

福井新聞
7月29日午後8時53分

おおいた評論:姑息な官僚発想 /大分

2008年07月29日 | 健康被害
 先月の国会で成立した法律13件のうち8件は議員立法だった。海外移住した被爆者が来日しなくても被爆者健康手帳が取得できるようになるなど被害者救済色が強く、議員が果たした役割は大きい。ただ、石綿(アスベスト)健康被害者救済法の改正案作りで厚生労働省が小細工しようとした話を聞き、腹が立った。
 同法が施行されたのは06年3月。死後5年の労災申請時効を過ぎた場合は、01年3月以前に亡くなった人の遺族には一時金か年金が支給される。ただ、それから法施行までに死亡し、申請時効を過ぎていれば救済対象外。新しい被害者が救われない矛盾を改めようと与野党が合意していた。
 それなのに、厚労省は「やむを得ない事由がある場合のみ(時効延長を)認める」という一文を与党案に挟み込んだという。微細な石綿繊維を大量に吸い込むと、肺がじわじわ侵される。潜伏期間は20~60年といわれ、体調不良の原因が石綿と分かるまで長い年月がかかる。わずか19日の差で時効に阻まれた人もいた。理不尽な壁を取り払う改正なのに、救済範囲をできるだけ広げようとしない姑息(こそく)なやり口だ。市民団体や議員が気付いて削除したのだった。
 もともと厚労省は「権利があるうちに行使しないのが悪い」との考え。大きな社会問題になっているのに被害者心情を考えない官僚的発想に、救済運動のパイオニアである石綿対策全国連絡会議の事務局長は嘆く。
 石綿禍は、扱った事業所や工事現場で働いた人だけでなく、周辺住民にも及ぶ。厚労省は重い腰を上げ、労災認定事業所を公表した。昔の居住地や勤務先で被害が起きているかを知ることが大きな意味を持つからだ。
 大分県の認定・弔慰金などの申請者は37人と全国的には少ない方だが、ある日突然分かるかもしれない石綿禍の苦しみを少しでも軽減するため、無関心ではいられない。<大分支局長・嶋岡倫志>

7月28日16時1分配信 毎日新聞



石綿肺の新法救済検討、患者の事例調査へ 環境省

2008年07月29日 | 健康被害
石綿健康被害救済法(石綿新法)で石綿肺を救済対象疾患として追加するかを検討するため、環境省は来年度、この病気と診断された患者の事例を集めて、アスベスト(石綿)の暴露歴や症状などを解析する調査に乗り出す方針を固めた。10年度中に実施する制度の本格見直しに結果を反映させる。

 石綿肺はじん肺の一種で、アスベストが原因。ひどくなると重度の息切れや呼吸不全のため酸素吸入が必要となり、肺炎などを合併する場合もある。労災補償の対象だが、一般住民などそれ以外を救済する石綿新法では中皮腫と肺がんに疾病が限定され、対象となっていない。職場での暴露歴が判明しやすい労災と違い、医学的な所見だけではアスベスト以外が原因の場合との判別が難しいためだ。

 全国にどれぐらい患者がいるか不明だが、環境省は「長期間の暴露による代表的な職業病で、一般環境での発症例の報告はない」としてきた。

 だが、06年の新法施行当初から、患者や支援団体などが「労災で救われない建設業の『一人親方』などの個人事業者で重症患者がいる」と救済対象に含めるよう求めてきた。石綿を扱う施設が多かった大阪府泉南地域や兵庫県尼崎市など6地域で環境省が昨年度に実施した調査でも、労働現場と関連する暴露歴が確認できなかった803人中、石綿肺の可能性がある所見が34人(4%)で見つかっている。政府・与党内にも「重度の石綿肺患者は救済すべきだ」との声が上がっていた。

 このため環境省は、全国の医療機関で石綿肺と診断された事例を集めて、アスベスト以外の原因の場合との判別方法など救済対象に追加するにあたって検討すべき課題を2年がかりで整理し、認定基準をつくる上での参考にする。事業費を来年度予算の概算要求に盛り込む。

 環境省は石綿肺のほか、良性石綿胸水やびまん性胸膜肥厚などのアスベスト特有の病気についても、症例はさらに少ないとみられるものの、救済対象として追加すべきか検討する。(桜井林太郎)


asahi.com(朝日新聞)
2008年7月27日3時1分


<兵庫>強制わいせつの元西宮市議に有罪判決

2008年07月29日 | 犯罪
アスベストの検査と偽って女子高校生の胸を触ったとされる元西宮市議会議員に対し、神戸地裁尼崎支部は執行猶予のついた有罪判決を言い渡しました。

準強制わいせつなどの罪で判決を受けたのは、元西宮市議会議員の坂野成志被告(27)です。判決によりますと坂野被告は今年3月、兵庫県尼崎市の住宅にアスベストの被害調査を装って侵入し、「身体検査をする」と言って応対した女子高校生(当時16)の胸を触りました。判決で神戸地裁尼崎支部は、「現職の議員がハレンチ罪で逮捕され、社会に与えた衝撃や有権者の失望感は計り知れない」とした一方、「示談も成立し、議員辞職するなど社会的制裁も受けている」として坂野被告に懲役1年6ヵ月・執行猶予3年を言い渡しました。

ABC NEWS (7/29 12:53)

アスベスト吸引 どうすれば?…環境省が保健指導手引作成へ

2008年07月29日 | 健康被害
環境省は、アスベスト(石綿)を吸ったことを示す病変の胸膜肥厚まだらなどが見つかった人向けの保健指導マニュアルを作成する方針を固めた。禁煙や定期的な検査の呼び掛けなど、肺がんや中皮腫になるリスクを抑える注意点を記す。

 マニュアルを基に全国の保健師の研修も実施し、健診結果を受けてアドバイスする際の参考にしてもらう。概算要求に関連経費を盛り込む。

 専門家による検討会で(1)肺がんのリスクを高める可能性のある喫煙を控えることや食事内容など日常生活で留意すべき点(2)異常の早期発見のため胸部エックス線やコンピューター断層撮影(CT)などをどのぐらいの頻度で受けるのが効果的か-などを議論してもらい、平成21年度中の作成と研修実施を目指す。

産経ニュース
2008.7.26 09:06
 

千葉県の施設で石綿調査へ

2008年07月29日 | 公共施設等
 県は25日、アスベスト(石綿)の一種、トレモライトなど3種の調査を179施設を対象に行うと発表した。これらは国内ではこれまで輸入も使用もされなかったと考えられていたが東京や神奈川で相次いで見つかった。調査は年度内にすべて終える方針だ。


 179施設のうち26施設は調査済みで、2施設でトレモライトなどが確認された。このうち高浜第1県営住宅(千葉市美浜区)は9月に住民説明会を実施後、10月から工事に入り、南房総県民センター安房事務所は8月末までに対策工事を終える予定。

2008年07月26日 asahi.com

アスベスト:千代田区の立体駐車場放置 使用可能性を44カ所に絞る /東京

2008年07月29日 | 調査状況
 ◇中間結果
 千代田区で、建築基準法の基準量を超えるアスベスト(石綿)が使われた立体駐車場が無対策のままになっている問題で、区は現状調査の中間結果を公表した。対象となるタワー型機械式立体駐車場が計79カ所あるうち、石綿使用の可能性があるものは44カ所に絞られた。【真野森作】

〔都内版〕

毎日新聞 2008年7月28日 地方版


アスベスト:潮岬青少年の家体育館など県有3施設で 2カ所使用停止へ /和歌山

2008年07月29日 | 公共施設等
県は25日、県民文化会館(和歌山市)の大ホールロビー天井▽職員会館(同)の1~3階のロビー天井や会議室▽潮岬青少年の家(串本町)の体育館1階ホール天井--で、アスベストを検出したと発表した。県民文化会館は劣化がなく、飛散の恐れがないとして使用継続。職員会館は使用を停止し、潮岬青少年の家は詳細な調査が終わるまで使用停止する。

 05年の調査時と異なる検査法で、5月から県有74施設を調べた。13施設が分析中で、今月中に結果が判明する見通し。

 潮岬青少年の家は07年度、1万2880人が利用した。体育館は81年3月の完工。県青少年・男女共同参画課は使用停止の間、地元に協力を依頼することなどを検討している。

 職員会館は地上4階、地下1階で70年5月完工。県職員のサークル活動や会議などで使用している。吹き付け部の封じ込めなど、対策を検討する。【最上聡】

毎日新聞 2008年7月26日 地方版


アスベスト:「救済金額2000万円」 竜田工業の被害遺族、秘密交渉を拒否・公開

2008年07月29日 | 健康被害
 耐火材メーカー・ニチアス(本社・東京都港区)の子会社、竜田工業(奈良県斑鳩町)の周辺住民で、アスベスト(石綿)による中皮腫で死亡した女性の長女(51)=同県橿原市=が24日、既に受け取っている弔慰金を含め救済金額は2000万円という、竜田工業との交渉内容を明らかにした。竜田工業側からは「交渉過程・金額は秘密に」と要求されていたが、「秘密交渉が被害者を差別し、救済を妨げている」と公開した。

 長女は06年から同社と交渉を続け、この日の交渉前に奈良県庁で記者会見をして明らかにした。この日も竜田工業側は交渉過程・救済金の金額について「公開できない」と長女に回答、最終妥結には至らなかった。竜田工業周辺で死亡した被害者の遺族のうち、同社と救済金制度で交渉が妥結したのは判明分だけで2遺族。いずれも金額を公表しない条件で合意している。

 女性は石綿製造をしていた竜田工業から約400メートルの場所に1965~76年ごろ居住。01年3月、悪性胸膜中皮腫で75歳で死亡した。個別交渉では企業側に、交渉過程や金額の公表を再三要求してきた。

 関西労働者安全センターの片岡明彦事務局長は「今後も公開を求めていきたい」と話している。【泉谷由梨子】

 木野茂・立命館大共通教育推進機構教授(環境学)の話 被害者の弱みにつけ込む秘密交渉が通用していたとは驚きだ。遺族が公表に踏み切ったことは、今後の被害者救済のため一歩前進と言える。

毎日新聞 2008年7月25日 大阪朝刊

アスベスト:民間未処理125件 福岡市有施設、ほぼ対策済--市調査 /福岡

2008年07月29日 | 調査状況
 福岡市は23日、市内の主な建築物の吹き付けアスベスト使用状況調査結果を発表した。市有建築物の未処理は昨年から4減って1件、病院施設は3減って5件、民間建築物は4減って125件だった。

 調査は、96年度以前に建てられた市有建築物1554▽社会福祉施設など348▽病院施設95--を対象に、アスベスト3種類の含有量が0・1%を超えているかどうか3月末現在でまとめた。

 市有建築物ではアスベストの使用が確認された86件のうち、85件が除去か対策実施済み。未処理の1件は市民体育館の1・2階ロビー天井に使用されていた。11月中旬から来年6月中旬にかけ休館にして除去し、併せて耐震改修工事もする予定。

 社会福祉施設は25件すべてで除去されていた。病院施設のアスベスト使用は28件。未処理5件のほとんどは機械室で健康被害の恐れはないという。

 民間施設は89年以前施工の大規模建築物(延べ1000平方メートル超えるもの)約6000棟が対象で、所有者などの自主調査により4208件の回答があった。アスベスト使用は324件、うち対策済みが199件、対策を取っていないのが125件だった。普段は立ち入らない機械室がほとんどという。

 市は今後、国内で使用されていないとされたトレモライトなど別のアスベスト3種類について再分析調査をする。【早田利信】

〔福岡都市圏版〕

毎日新聞 2008年7月24日 地方版


アスベスト:石綿被害初弁論、国など争う姿勢--東京地裁

2008年07月29日 | 健康被害
 建設作業中に吸い込んだアスベスト(石綿)で健康被害を受けたとして、東京、埼玉、千葉の建設作業員と遺族ら約180人が国と建材メーカー46社に賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が23日、東京地裁(松本光一郎裁判長)であった。国とメーカー側は争う姿勢を示した。

 原告側は、配管に保温用の断熱材を巻き付ける作業員だった瀬川勝隆さん(当時53歳)を10年前に腹膜中皮腫で亡くした妻初江さん(65)が意見陳述。「夫も私もアスベストの恐ろしさを知りませんでした。腹水で夫のおなかは、ぱんぱんに張り、壮絶な痛みと苦しみの中で息を引き取った。被害根絶のために国と企業の責任を明らかにしていただきたい」と訴えた。【銭場裕司】

毎日新聞 2008年7月24日 東京朝刊