検察審査会の議決案件
◎検察官が不起訴処分にした事件を民間から選ばれた11名の審査員により審査します。その際に、以下の3つの内容の判断を審査員の議決により下すことになっています。
🔻不起訴不当
(審査員のうち6名以上が賛同して成立)
🔻起訴相当
(審査員のうち8名以上が賛同して成立)
🔻不起訴相当
(それ以外)
不起訴不当並びに起訴相当の議決が出た場合は、検察は再捜査することになります。その場合、二つの結果が考えられます。
◎不起訴不当⇒再捜査⇒不起訴処分⇒事件終結
◎起訴相当⇒再捜査⇒不起訴処分⇒検察審査会が再審査⇒起訴相当(8名以上の起訴議決)⇒強制起訴
安倍派幹部7名と会計責任者を審査請求
申立人は「検察庁法改正に反対する会」の代表二名<岩田薫 早川芳夫>
令和六年一月二六日付です。
ーーー
🔳審査請求書
「申立日
令和6年(2024年)1月26日
①申立人
岩田薫
(住所、電話番号、生年月日略)
早川芳夫
(同)
②罪名
政治資金規正法
(不記載、虚偽記載、不提出罪)
刑法
(共謀罪)
③不起訴処分(立件見送り)年月日
令和6年1月19日
④不起訴処分(立件見送り)した検察官
東京地方検察庁特別捜査部
検事
氏名不詳
⑤被疑者
・松野博一
(衆議院議員、前内閣官房長官、住所、生年月日略)
1051万円
・高木毅
(衆議院議員、自民党前国会対策委員長、同)
1091万円
・世耕弘成
(参議院議員、自民党前参議院幹事長、同)
1542万円
・萩生田光一
(衆議院議員、自民党前政務調査会長、同)
2728万円
・塩谷 立
(衆議院議員、元文部科学大臣、同)
234万円
・西村康稔
(衆議院議員、前経済産業大臣、同)
100万円
・橋本聖子
(参議院議員、元五輪担当大臣、同)
2057万円
・川村太祐
(世耕弘成の政治団体・紀成会の会計責任者、同)
・牛久保敏文
(萩生田光一の政治団体・国想う在野議員の会の会計責任者、同)
・岡本直哉
(塩谷立の政治団体・塩谷政治経済研究会の会計責任者、同)
・平野勝敏
(西村康稔の政治団体・総合政策研究会の会計責任者、同)
・長崎博
(橋本聖子の政治団体・橋本聖子後援会の会計責任者、同)
申し立て理由
還流された金額が大きい点から国民が本件には重大な関心を寄せている。よって、検察審査会として職権で被疑者らを不起訴処分としたのかを調べ、もし不起訴処分にしたのであれば、不起訴が妥当かを審査し議決案件とするよう求める。また、6億円を超える過去5年間の還流に関し派閥幹部だった下村博文元文部科学大臣及び本件被疑者松野、萩生田、塩谷、高木、世耕、西村の刑事責任を不問とした件について職権で審査を求める。なお、地検広報は「一般論として起訴されない者は不起訴になる」と申立人に伝えている。本件の被疑者が不起訴なら審査対象になると考える。
🔶所得税法違反で岸田首相ら14名を告発
本件の被疑者7名とそのほか自民党各派閥のパーティー収入からの還流金を受け取った議員らについて、所得税法違反容疑で告発したものです。パーティー収入からの還流金が、政治資金の扱いでない(政治資金規正法に基づく収支報告書に記載していない収入)ならば、議員個人の所得という扱いになるはずです。この還流金を議員が税務申告して納税していないならば、脱税に該当するはずです。私たちは、時効にかからない過去5年間にさかのぼり告発することにしました。
🔳告発状
「東京地方検察庁特別捜査部直告班御中
2024年(令和6年)1月19日
告発人
「検察庁法改正に反対する会」の共同代表
岩田薫
(住所、電話番号略)
告発人
同会共同代表
早川芳夫
(同)
告発人
同会顧問
浅野健一
(同)
被告発人
岸田文雄
(内閣総理大臣、住所、電話番号、生年月日略)
被告発人
麻生太郎
(衆議院議員、自民党副総裁、同)
被告発人
茂木敏充
(衆議院議員、自民党幹事長、同)
被告発人
二階俊博
(衆議院議員、同)
被告発人
大野泰正
(参議院議員、同)
被告発人
池田佳隆
(衆議院議員、同)
被告発人
谷川弥一
(前衆議院議員、同)
被告発人
橋本聖子
(参議院議員、元五輪担当大臣、同)
被告発人
松野博一
(衆議院議員、前内閣官房長官、同)
被告発人
高木毅
(衆議院議員、自民党前国会対策委員長、同)
被告発人
世耕弘成
(参議院議員、自民党前参議院幹事長、同)
被告発人
萩生田光一
(衆議院議員、自民党前政務調査会長、同)
被告発人
塩谷立
(衆議院議員、元文部科学大臣、同)
被告発人
西村康稔
(衆議院議員、前経済産業大臣、同)
第1、告発の要旨
被告発人らの下記行為は、所得税法第238条第1項(無申告、脱税の罪)に該当するので、捜査の上、国税庁に御庁として告発することを求める。
第2、告発事実
1、被告発人の岸田は、自らが代表をつとめる『宏池会』がパーティー収入として入金した2019年から2021年の2501万円について、政治資金収支報告書に記載せず、その一部について2020年から2022年に所得として申告せず納税しなかった、
2、被告発人の麻生は、自らが代表をつとめる『志公会』がパーティー収入として入金した2018年から2022年の3億1000万円について、政治資金収支報告書に記載せず、その一部について2019年から2023年に所得として申告せず納税しなかった、
3、被告発人の二階は、自らが代表をつとめる『志帥会』がパーティー収入として入金した2018年から2022年の3億7000万円について、政治資金収支報告書に記載せず、その一部について2019年から2023年に所得として申告せず納税しなかった、
4、被告発人の茂木は、自らが代表をつとめる『平成研究会』がパーティー収入として入金した2018年から2022年の1億3000万円について、政治資金収支報告書に記載せず、その一部について2019年から2023年に所得として申告せず納税しなかった、
5、被告発人の大野、池田、谷川、橋本、松野、高木、世耕、萩生田、塩谷、西村らは、2018年から2022年まで所属する『清和政策研究会』のパーティー収入からの還流金6億5884万円がそれぞれの政治団体に分散して入金したにもかかわらず、個人での入金分について2019年から2023年に所得として申告せず納税しなかった、
ものである。
このことは、納税の正しい義務を課した所得税法に違反する。
第3、告発に至る経緯
告発人らは、2023年(令和5年)12月13日に被告発人の松野ら10名と会計責任者らを御庁に政治資金規正法違反容疑で告発している。
しかるに、会計責任者のほかに議員本人が立件されたのは、告発人らが告発した中では、逮捕者を含めて3名だけである。そのため、議員本人に対する刑事処罰を求め、本状を提出する次第である。
政治資金規正法違反容疑の事件では議員との共謀を立証することが難しく、先の安倍派のパーティー収入還流事件でも、会計責任者の立件が主になっている。このことに納得できず、所得税法違反容疑での告発に至ったものである。パーティー収入の還流金が政治資金でないなら議員個人の所得になるはずである。御庁において、立件するよう求める。
証拠資料
甲1、本件を報じた新聞記事の写し」
ーーー