JAZZ PIANO で行こう

ヤノテルの音楽ブログです。ジャズピアノの研究・指導・作曲・ライブをしています。音楽が人生の喜びです。

カプースチンはジャズですか?

2019年03月30日 | ジャズピアノ教室

少しずつ春めいていきましたね。


最近わたしのジャズピアノ教室への


問い合わせが立て続けにありました。 


その問い合わせを頂いた人の中で、


クラシックのピアノの先生をしている方で、


カプースチンを弾いているのですが・・・


というお話しをされ方がおりました。

 

カプースチンの曲を弾くことが

ジャズの練習になるかというと

それは難しいんじゃないのかな

というお話しをしました。

 

確かにカプースチンの曲のテイストは

クラシックというよりは、ジャズに近い。

それは間違いないことです。

また、カプースチンの使うコードや

和声の進行を聴くかぎりにおいて、

間違いなく、ジャズのテンションコードを

多用しています。

 

また彼の作品をすべて

聴いたわけではないですが、

ここ数週間、彼の曲を数十曲

精力的に聴きました。

大半の曲はまるで、

音楽大学の作曲科に籍を置く学生の

習作のような香りがします。

 

でも、時折カプースチンの作品の中に

これはという叙情的な素晴らしい作品が

あることは認めなければなりません。

それを聞くと、現代作曲家として

カプースチンは一流の作曲家だと

言っても過言ではありません。

 

明らかに、彼のファンの多さや、

カプースチンの作品が現代作品の

コンクールの課題曲として採用されている

事実を見れば、カプースチンは

作品はクラシック界から、

高い評価を得ているのは

間違いがありません。

 

それはそれとして認めた上で、

ジャズ曲として彼の作品をみれば、

彼の音楽的アイデアは多種多様ですが、

明らかにジャズではないと言い切れます。

 それは、彼の音楽感の中に

ジャズ音楽を成立させる

ドライブ感がないのです。

ジャズとしてよりも、

現代音楽に近いものが

彷彿としてきます。

 

カプースチンの曲には、

演奏家に委ねられている

隙間はまったくありません。

 

確かに技術的には

華麗な響きですが、

ジャズとしては物足りません。

 

カプースチンの曲はある一定上の

ピアノ的なテクニックがなければ

弾きこなすことは困難です。

完全に弾きこなす時間と労力をかけても

多くのピアニストは、カプースチンの

もっているスケールの大きな音楽を

弾きこなすのは至難の業だと思います。

 

 おそらく多くのジャズピアニストが

譜読みに時間を掛けるくらいなら、

スタンダード曲のアドリブに

精を出す法が懸命だと思うでしょう。

 

ですから、カプースチンの曲を練習するなら、

純粋にバッハやモーツァルトやショパンを

弾くようにとにかく楽譜に忠実に

そして、作曲者の意図を理解して

演奏することが大切になってくるでしょう。

 

 

次回は、作曲家としての

カプースチンについて語ります。

 


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ロシア代表10.0 (suberihu)
2020-11-02 16:10:48
jazzワールドカップがあったとして、カプースチンはロシア代表で、金メダル獲るのではないでしょうか。しかも10.0のパーフェクトで最高度の品質感で。でもそこまで、と思います。なぜかはteruさんのお考えに近いです。破綻があってもバドパウエル、ビルエバンスの世界観に持続性を感じます。テクニック自慢のクラシックピアニストがjazzを演奏したときに残る未消化感が、カプースチンを演奏すると中和されるのかも。彼らにとってjazzの代用品にされている気さえしてきます。カッコイイjazzのカッコイイところってこれでしょ。って感じですかね。

話はそれますが、マツーエフの即興演奏なら、キースジャレットが数倍良いですね。

と偉そうに言う資格も素養もない私ですのでご容赦ください。
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コメントにお返事 (矢野照也)
2020-11-15 16:18:50
suberihuさん、
とても楽しいコメントありがとうございます。
カプースチンを正しく評価されています。きっとカプースチンも喜ぶと思いますよ。ただジャズ風なクラシックはあくまでジャズ風なので、印象派のラベルやドビーッシがガムラン音楽に影響を受けたように、カプースチンもジャズに影響されて、自分の曲をジャズの彩りを添えたのかもしれません。
実際にビル・エヴァンスが「思ってもみない即興フレーズを出す醍醐味が、ジャズには大事なんだよって。」(ビル・エヴァンスのインタビューでそんなことを言ってたような気がします。)
ただ即興と言っても、本当に未知なる境地に踏み出せるジャズプレイヤーはほんの一握りしかおりません。

suberihuさんがおっしゃるように、キース・ジャレットなんか聴いてると、キースの演奏の全てではないですが、そういうすごい演奏を聞くことが出来ます。
この演奏法は今のクラシック指導法にはありませんので、だからこそのカプースチンなのでしょうね。
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