徒然ウォッチング

エリアマネージャー日記。Q.O.L.がテーマです。

アンジェスMG

2007-06-19 | 医療
産学発のベンチャーって、これを実際に運営するのはかなり難しい事みたい。
大学には「商売のための予算を組む機能」がそもそも存在しないし、一方R&Dの会社の実務のかなりの部分は研究開発費の調達。研究者たちは資金集めに費やす時間なんてそうそうありません…。これを相互に補完しようというのが「産学ベンチャー」。医療で一儲けしようとした野口英世なんてかなり特殊な例なのだ。…おっと、まあ、この話はおいといて…

そもそもR&Dとマネジメントは融合しないものなのだ。(と思う…)だから日本の産学ベンチャーはマネジメントを分離したり経営人材を外部から調達したりという完全分業制をとることになるのだけど…。大阪大学発のアンジェスMG(マザーズ4563)もそうしたバイオベンチャーのひとつです。
日曜日、関西から戻る飛行機の中の読売新聞で、「閉そく性動脈硬化症」の遺伝子治療薬の開発に取り組んでいた同社が、それを今年度中に厚生労働省に申請するという記事を見ました。
遺伝子治療薬の承認申請は国内で初めて。同社は米国で既に先天性代謝異常疾患「ムコ多糖症VI型」の治療薬の開発に成功してて、米バイオマリン・ファーマシューティカル(加州)からの販売権を得ているけれど、日本国内では遺伝子治療薬の承認はおろか申請が許可された例も今回が初とあって個人的には興味津々。
…なのだけど、株式市場は意外と冷ややか。もちろんリリース前に比べると上方向き高値圏内ではあるけれど、目立つほどの動きはなさげ。やっぱり「日本で遺伝子治療創薬は時期尚早でしょー」という静観姿勢が株価にも出てしまいます。

マスコミの冷ややかさは記事の取り扱いにも出ていました。新聞は機内の備品でしたから返却し、オフィスに戻って東京の新聞(電子版だけど)を開いても、同じ読売なのに東京には出てこない。まあたしかにバイオベンチャーのニュースリリースは「ここ一番、資金調達したい!」タイミングに発するというのが通例になったりもしているので、「またかよー」みたいな対応をされてしまうこともあるみたいね。

「閉そく性動脈硬化症治療薬」っていうのは、糖尿病とかで壊死した血管を再生するっていう、いわば「最後のカード」的なお薬。QOL最優先を主張するアタシとしては、やっぱり厚労省さん、許可して欲しい!…派なんだけど、はたしてターボはかかるのでしょうか。
こうしている間にも患者さんたちの足の血管の壊死は進んでいるわけだし、副作用があったとしても(現在のところは発表なし)私なら生活の質は自分で選びたい…。…なわけで、早期の承認を望んでます…。

さてアンジェスMGの本社は阪大に程近い彩都バイオインキュベータというインキュベーション施設のなかにあるそうですが、マネジメントは東京なのね。ふうん。
機内でこの記事をみた翌日のこと。締め切り間際のレポートを仕上げて、いつもの田町のクライアントのところへ。
エレベーターホールで、なんとなくディレクトリを眺めてびっくり。なんとアンジェスMG東京支社のプレートが!
クライアントの入っているこのビルには三年前からほとんど毎日のように来ていたけど、アンジェスは大阪の会社という思い込みが強くて、(名前パクリ?なんて思ってた)ぜんぜん気づきませんでした。そっかあ…



なんとなく身近感も手伝って応援のキモチが膨らむ私なのでした。

あっところで、大阪にラボ、東京にマネジメントを置いたのは、これは正解かもしれませんね。絶対互いの都合を理解できないラボとマネジは、顔をあわせると往々にしてまず喧嘩になるのです。アンジェスがということではなくて、それはどこの産学ベンチャーもおなじなのよね。この深い川をどう乗り切るかが成功の可否を握っているのかも。

最新の画像もっと見る