氷雨と紛う冷たい雨が降り続く夕方、破れた段ボールのなかで、
凍えそうになりながら鳴いていたマリー。
氷のような体をバスタオルで包み抱いて寝た。夜明け頃、温かみを
感じたとき、ほっと安心した。それからミルクを飲ませ育てた。
マリーが来て10ケ月くらい経ったころ、大怪我で入院した。
痛みは感じなかったけれど、名状しがたい苦しさでベッドの上で
もがき続けた。
ある日、 ふ~っと朱色の世界の温かさ心地よさに誘われ、
起き上がろうとするとマリーが飛び出して行く手を遮られ
正気に戻った。
ほどなく冷水を浴びたような感触のなか猛烈な吐き気に襲われ、
何度も胃の腑をよじった。
濃緑色のドロドロの内容物まで間断なく吐き続け、数日間苦しみ抜いて
生還した。
それから10年、後遺症はあるけれど、日常がおくれていた。
それがちょっとした気の緩みか、転んで首に負担をかけた。
即、病院に駆け込み、大過なさそうなのでほっとしたけれど、
その痛みと、首に感じる負担、頭の重さにあの日がよみがえった。
痛みと後悔に眠れぬ夜にもまどろみは来た。明け方頃、生温かい息を
首筋に感じた。毛布のなかにひんやり、でも温かい何かが入ってくる。
痛みがやわらいだ。
そのまま寝たようだ。朝、随分と楽になっていた。
マリーの幻に助けられたようだ。
マリー!呼ぶと尻尾を振ってきてくれた。抱きしめると窮屈そうに目を細めた。
~~~夏木 友~~~
火・木・土に更新しま~す
凍えそうになりながら鳴いていたマリー。
氷のような体をバスタオルで包み抱いて寝た。夜明け頃、温かみを
感じたとき、ほっと安心した。それからミルクを飲ませ育てた。
マリーが来て10ケ月くらい経ったころ、大怪我で入院した。
痛みは感じなかったけれど、名状しがたい苦しさでベッドの上で
もがき続けた。
ある日、 ふ~っと朱色の世界の温かさ心地よさに誘われ、
起き上がろうとするとマリーが飛び出して行く手を遮られ
正気に戻った。
ほどなく冷水を浴びたような感触のなか猛烈な吐き気に襲われ、
何度も胃の腑をよじった。
濃緑色のドロドロの内容物まで間断なく吐き続け、数日間苦しみ抜いて
生還した。
それから10年、後遺症はあるけれど、日常がおくれていた。
それがちょっとした気の緩みか、転んで首に負担をかけた。
即、病院に駆け込み、大過なさそうなのでほっとしたけれど、
その痛みと、首に感じる負担、頭の重さにあの日がよみがえった。
痛みと後悔に眠れぬ夜にもまどろみは来た。明け方頃、生温かい息を
首筋に感じた。毛布のなかにひんやり、でも温かい何かが入ってくる。
痛みがやわらいだ。
そのまま寝たようだ。朝、随分と楽になっていた。
マリーの幻に助けられたようだ。
マリー!呼ぶと尻尾を振ってきてくれた。抱きしめると窮屈そうに目を細めた。
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