Der König Hat Eselsohren

「奇跡」



何を隠そう、是枝監督のファンである。
初期の作品から見続けてきた。

…と、思ったら、「誰も知らない」までで止まってるf(^_^;

いや、だって、その後「花よりもなほ」とか、うまくタイミングが合わなくて、見ていないだけで…。
メジャーになっちゃってからの方が、絶対観る機会を作りやすいはずなのに、なぜか見に行けない。

でも初期の作品は全部見ている。
それも映画館で。
大抵いつも、シネマライズ渋谷で上映されていたような記憶があるので、シネマライズ閉館のニュースはちょっとショックだった。
単館上映花盛りの頃は、よく行く映画館というのが大体決まっていて、映画の好みや当たり外れと上映館には、ちゃんと相関関係があったものだ。


で、今回は、物語が九州の話で、ほとんど九州ロケ、ということで、九州では先週から先行公開をしていたというのに、結局こんな日に(笑)
水曜日に行ってもよかったのだけれど、どうも時間がうまく合わなくて。


いや~、映画紹介なんかに書かれているストーリーを読んで、ありがちな泣ける映画を期待してきた向きを大きく裏切る、いかにも是枝映画な作品でした(笑)
しかも珍しく明るいタッチの映画だし。

大体において、九州新幹線の1番列車がすれ違うときに祈ると、奇跡が起きる、って言ってる割に、映画の中の設定は10月だ(笑)
3月開業という(撮影時での)未来を描くのではなくて、何か内容に齟齬があったり、フィクションが破綻したりしてようが、そんなのお構いなしに、撮っているその場を重視する是枝流、炸裂!

これ、たぶん、子供が主役だから、尚更こうなったんだと思う。
それも、必要以上に演技をさせず、生身の子供達のドキュメンタリーを撮っちゃう、という。

だから、途中で子供達が将来の夢を語る場面、あれは台詞じゃなくて、あの子達自身の生の言葉だ、というのが見ていてわかっちゃう。
それとストーリー上作り上げた内容とがうまく混ざり合って、虚実ない交ぜになったドキュメンタリー映画ができあがった、てな感じ。
完全な順取りではないんだろうけれど、映画の最初と最後では、子供達の顔つきも成長しているし。

ついでにいうと、あの夢を語る場面を頂点として、子供達の素のままが存分に映し出されているので、よくある天才子役の演技がいかに気持ち悪いかがわかってしまう(笑)

それ以外だと、オダギリジョーのダメおやじっぷりが最高!!
もっと出番欲しかったなぁ!!


ストーリーそのものは単純で、いかにも、九州には特に思い入れがあるわけではない監督が、九州と言ったら?福岡と言ったら?鹿児島と言ったら?みたいな記号を元に、パズルを当てはめて作ったような物語だけど、それは、そういう土台の上に、子供達の表情を撮りたかった、という目的にはほどよい感じ。
九州に思い入れのある人だと、きっとこういう映画は撮らない。

そういう点で、私も所詮はよそ者なので、このくらいがちょうどいいのだけれど、それでも10年以上も住んでいると、それなりに福岡に愛着がわいていることがわかって、興味深かった(笑)

あ、それから、最初の方で龍之介が出掛けにゴミを出している場面、あれはダメですよ!
福岡市は夜間収集です!!(笑)
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