Der König Hat Eselsohren

アルブレヒト・デューラー版画・素描展@西洋美術館/黙示録―デューラー/ルドン@芸大美術館



日程上、今しか行けなかったのが、芸大の方。
でも、西洋美術館の方が、もっと年代的にも広く取り扱ってるだろうから、まずこっちを見てからの方が良いんじゃない?

と思って、両方行ってきました。
っつーか、われながら情けないことに、黙示録の連作は、デューラーの版画作品の中では、比較的初期のものだと言うことをわかっていなかった。
西洋美術館の方の説明その他を見て、そこんとこがちゃんとわかった次第。
だったら、先に芸大だけでもよかったか…orz

まぁ、それにしても、今回オーストラリアから来ている版画は、ホントに、これが500年前の印刷物なのか?とびっくりするほど保存状態が良い。
こりゃホント、見るに値するよね。

でもって、面白いのは、開催前の時点から知ってはいたけれど、今回は日豪の美術館の学芸員同士の交流の中から企画されたものだということ。
だから、出品作がすべて白黒、というだけでなく、大手企業のスポンサーがついていないので、とても地味。
美術展にはつきものの、オーディオガイドすらない。
アレも、良いときは良いんだが、時々、有名な芸能人がナレーションをやっている、というだけであって、館内の説明ぶんっと何ら変わりない内容しか喋ってない、ということがあるからな。

そんなところに余分な制作費を掛けない代わり、入場料もお安い。
今回だって、十分に保険が掛けてあるんだろうことを考えたら、この程度の入場料でホントは出来る、っということを、図らずも示してしまった感じ(笑)

で、内容ですが、特に年代順にこだわらず、宗教・肖像・自然と作品のテーマに沿っての展示。
特に、デューラー本人が、宗教について人々に伝えるために自分は描くんだという目的を持っていただけに、宗教に関する作品がとても多い。
しかも、聖母伝や受難伝など、連作で展示されているので、なんつーか、繰り返し繰り返し、聖書の内容について、ここで教えられている感じ(笑)

それにしても、あまりにも描写が細かいので、てっきりエッチングか何かかと思ってみていたら、木版画だったりしてびっくり。
木版で、どうやってこれだけ細かく彫れるんだろう?
さすがに凸版ではないよね?いくら何でも凹版だよね?

でもって、ホントに同伴のものは、さらに細かかったり…f(^_^;

凄すぎる!!

これだけの凄い内容でありながら、やはり宣伝が地味なのか、看板や広告が地味な印象なのか、さほど混雑もしていないので、あの超有名な「メレンコリアⅠ」ですらゆっくり堪能できる。
これはもう、ホントに美術好き・美術オタだったら、行かなきゃ損。

つーか、昨今の美術ブームとやらって、結局、大手企業のスポンサーが、テレビや新聞で大々的に宣伝しているからに過ぎないわけだね。
そういうのに、あまりだまされないようにしよう。




さて、ところ変わって、芸大美術館。

こっちもそんなに混んではいない。
で、ここはデューラーの特別展というよりは、まぁ、それをきっかけにして、黙示録版画の歴史をひもとこう、といった感じ。

つーか、ホントに情けないことに、ちゃんと聖書を読んだりしたことがないまま、生きてきているんで、実のところ、この連作展示を見るまで、黙示録の内容をちゃんとわかっていなかった。
「黒い馬・白い馬・赤い馬・青ざめた馬」のところで、ようやく、そういや高校生の頃読んだ「日本人とユダヤ人」の中で、この「青ざめた馬」という訳がどーたらこーたら、ってのがあったなぁ、と思い出した次第。
これのことだったのか。
ちなみに、学校で休み時間中に読んでいたもんで、それを見かけた友人が、「だったらこれも読みなよ」と『にせユダヤ人と日本人』を貸してくれたのも、今となっては良い思い出です。
そんな環境が、今の私を形作ったよ(笑)

まぁ、それはともかくとして、参考として展示されている、9世紀辺りはこんなだわな、という感じだとしても、13世紀頃の黙示録に比べたら、デューラーとの300年の隔たりはあまりにも大きい。
デューラー凄すぎ。
今の時代に生きていても、結構売れてたかも(笑)
何しろ技巧的には、その後の作品は、何ら進歩していない。
さすがにルドンに至っては、時代の流れで、表現の仕方が変わってはいるけれど、なんか、デューラーの迫力には勝てないような…。

絶対にあの時代、デューラーの黙示録を見たら、怖くて眠れなかったんじゃないかと思うよ?(笑)
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