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「ボーダー」第6話は、暗かった。

2014-05-16 12:57:02 | ドラマ

 

第5話は、ステキな金縛りかよ!?と思ったものですが、

6話のテーマは「自殺」。暗っ

 

しかし、偽装飛び降り死体ネタ。

さんざんやられたと思っても、まだやるんですね。

「20世紀少年」をはじめ、「クロコーチ」でも、

さんざんやってましたが

(偽装首吊り死体は、「SP」でも、出てきましたが)。

 

偽装飛び降り死体というと、元のイメージは、

やはり、伊丹十三の、不審な死かな、と思いますが

(それが、はじめてネタにされたのが、

「20世紀少年」のドンキーの偽装飛び降り死体で、

伊丹の死後に書かれています。

それ以前に、偽装飛び降り死体ネタというのは、

ほとんど無いと思うのですが、

以後は、かなり例がある気がします。

あのネタを見るたびに、

文化人たちの、事件を風化させないための、

無言の抵抗ではないかと思ってしまいます)。

 

今回は、犯人がダンテの「神曲」を引用していて、

セブンかよ、と思うのですが、

ダンテの「神曲」って、

伊丹の義弟の、大江健三郎が、

最もリスペクトする作品なんですよね

(まあ、だからどうという訳でもないですが)。

たまたまなのか、意図したものなのか、

真意は分かりませんが

(「神曲」だよ、「神曲」といえば、大江だよ、

 大江といえば、伊丹だよ、という

 ほのめかしをしているのか?まったくしていないのか?

 

そして今回、小栗旬(主人公)が、誰にも話したことのない過去、

兄の自殺について語ります。

ラストの場面、お墓の前で、出てきくれよ、という所は、名シーンです。

 

さて、今回の事件は偽装自殺であり、

言うまでもなく迷宮入り確率が最も高い犯罪です

(なにしろ日本の警察は、写真を撮ろうとしたら崖から落ちたとか

 証言している奴が、唯一の目撃者で、しかも落ちた人間の生命保険の受取人という、

 子供でも分かる怪しすぎる状況でも、

 捜査すらしない、という、恐ろしい実態が、前の監禁事件の際に、ばれてますし。

 やらなくていいと判断した捜査は、本当にやらないみたいです)。

 

ミステリーでは、この偽装自殺は、もっとも厄介で、

大抵、決定的な証拠を得られず、犯人のミスを待ち、

自白を取るくらいしか手が無いのですが

(ほとんどの場合、犯人は、まだ決定的な証拠が出ていないのに、

 ペラペラと事件のことを話しだす、不自然な展開になります)。

 

しかし、なにしろ、「ボーダー」の主人公は、死者と話せるので、

歴代の刑事・探偵の中でも、もっともこの手の事件にふさわしい人材といえます。

自殺か殺人か、一発で分かります。

設定を最も生かした回と言え、その活躍っぷりは痛快です。

 

とはいえ、最初の方は、ぐずぐずして、現場に行かないので、

とっとと行けよ、お前が行けば解決だろうが、と

つっこまずにはいられません

(おそらく、簡単に解決しすぎるので、仕方なく、

 引き延ばしていたのでしょう。なにしろ、一発で分かりますし)。

 

で、前半までは、二人の被害者が通っていた精神科の医者が

最も怪しいのですが、

解決は、もうひとひねりして、犯人は狂気の思考の持ち主でした。

小栗旬たちの活躍で、第三の被害者が出るのは防ぎますが、

結局、犯人の自殺で、事件は幕を閉じます。

まあ、最初から最後まで、自殺ばっか、という話でした。

 

で、飛び降り死体から、じくじく、という気持ち悪い音とともに、

血がにじんでくる、という演出なのですが、

まあ、実際飛び降りなんかしたら、そんな程度では済まず、

原型はとどめないと思います

(以下、詳しい説明を書きましたが、

 書いてて、<閲覧注意>みたいな、かなり気持ち悪い感じになってしまったので、

 削除しました)。

 

テーマには合っているし、独自性は出ていたのですが、

全体的に暗かった気がする回でした。

 


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