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「ガンダムユニコーン」が、第4話で、大失速

2014-05-25 17:55:25 | アニメ

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深夜にまとめてやっていた「ガンダムユニコーン」。

原作へのリスペクトあふれる出来で、毎話楽しみにみていたのですが、

4話で、まさかの急失速。・・・どうしちゃったんだ福井?

メッキがはがれたのか?忙しくて、仕事が雑になったんだろうか・・・?

 

というわけで、第3話までは文句なしに面白かった

(というか、ガンダムっぽかった)、「ユニコーン」の

第4話についての愚痴と不満を書いてみたいと思います。

 

 

展開が急すぎて、ついていけない



第3話では、お約束の、ガンダム大気圏突入があり、

大気圏突入オプションが無いユニコーンガンダムは、

どうなってしまうのか?というラストでした。

 

また例によって、ご都合主義で突破するのかと思いきや

(マニュアルをよく読んでみたら突入オプションがあったぞ!的な)、

今回は敵の戦艦につかまって摩擦熱を軽減した、という

ちゃんとした説明がありました(えらい!)

 

ただ、後述しますが、この部分が描写されていないんです。

いきなり主人公が敵に捕まっているところから、話が始まります。

なんで描いてないのか、よく分からないんですよね。

 

でまあ、そこはいいのですが、なにか主人公が、開始早々、

シンジくんか?というくらい、猛烈に落ち込んでいます

 

前回、食事を(1回)御馳走して貰ったおじさんを、

誤って殺してしまったからです。

おじさん自体は職業軍人で、

主人公(バナージ)が、フルフロンタルを撃とうとしたら、

おじさんがかばうように割り込んできた、という、

不可抗力みたいな話です。つまり

①大して親しくない

②職業軍人で、死を覚悟している人

③不可抗力

にもかかわらず、カヲルくんを殺してしまったシンジくん並に、

この世の終りのように落ち込んでいるのです。

正直、そこまでかあ?という気がして、

温度差を感じてしまいます。

俺たちは、そこまで、あのおっさんに思い入れは、

ないんだがなあ・・・、という感じで。

 

さらに、大気圏突入イベントといえば、

ガンダム的には、まだストーリーが始まったばかりの段階です

(4/50話くらい)。

最終局面で落ち込みだすのは(ララァとか)、

いつものガンダムなのですが、

はっきりいって、落ち込みだすタイミングが早すぎます

そして、落ち込むなら落ち込むでいいのですが、

もっとちゃんとした相手を殺したときに、

落ち込んでくれ、と思います(ミネバとか、

トゥエンティとか)。

 

まあ、ここら辺、ドラマ作りが、はっきりと下手です

主人公の感情とシンクロ出来ない、というのは駄目です

(おっさん関連の出来事なんて、全然、掘り下げてないんだもの)。

 

よく分からないと言えば、敵の山賊みたいなおっさんもそうで、

前回から、急激に「いい人」化が進んで、

今回はもう、「人生の師匠」か、みたいな、ポジションまで

行くのですが、

後半で突如として豹変します。

ここへんもまあ、意味が分からないというか、ついていけません。

一体、この人は、なにがしたいんだ?という感じで。

軍事的にいえば、バナージを殺すか、捕まえておくか

(フルフロンタルの命令で、ラプラスの秘密を解明するまでは

殺せないのかもしれませんが)、するのが普通だろうに、

ユニコーンもろとも手放します。

途中の描写も懐柔したかったのか、何なのかよくわからないし、

艦長が殴られているのに止めない、他のクルーも

なに考えてんのか、よく分かりません

(作戦に反対というなのか?だったら、どこかで一言くらい、

反対しているニュアンスのセリフがあってもいいと思いますが)。

 

そもそも今回、展開が急すぎて、何をやっているのかも、

ものすごく分かりにくいです

(ガンダムが分かりにくいのは「ユニコーン」に限らないのですが、

それにしても、3話までの分かりやすさとギャップがありすぎます)。

 

①金髪の男が、金持ちのお坊ちゃんということは分かりましたが、

 これまた、なにを落ち込んでいるのか、よく分からない。

 急激に落ち込んでます。

 そもそも、なにしに地球に降下してきたのかも、結局、よく分からない

 (地球に降りてから説明が入るのかと思ったら、全く入らない)、

 家がでかいのは分かるが、どういう家なのかも、いまいち不明。

 突如、ミネバに抱きついたりして、ものすごく情緒不安定

 (そもそも、どういう状況で、なにを落ち込んでいるのかも、

 こちらには、よく分かってないので、意味不明)。

 また、脱走同然に軍から脱け出てきているのに、軍法会議もなく、

 誰にも謝罪すらせずに、ブライト隊(ロンド・ベルのトップ)に再配属とか、自由すぎます

(甘すぎるだろ、福井。軍を何だと思ってるんだ?)。

 そして、突如として、大人になり、バナージに説教を開始します。

 キャラがぶれすぎ

 

②フルフロンタルが、ラプラスの後を追っているのは、なんとなくわかりますが、

 なにをしているのか、いまいち伝わってこない。

 なんか、ごちゃごちゃと地上部隊に指示を出しているのですが、

 なにが起こっているのか、と、目的が見えてきません。

 だから、バナージが、○○すればいいでしょう、そうすれば戦闘は終わるでしょう、とか言うが

(何言ってんのか、分からなかった)、なにがなにやら・・・。

 たのむから、目的とか、やろうとしていることくらいは、ちゃんと説明してくれ、と思う。

 そこは一番、大事なところなんで。

 

③突如出てきた1年戦争の生き残りが、とにかくよく分からない

 どういう奴らで、どこに潜んでいて、なんで、そんなに強力な軍事力を

 持っていて、なにを目的にしているのか、とか

(また、フルフロンタルが、彼らを利用して、彼らの目的自体とは、

 別の方向に誘導している節があって、ただでさえ分かりにくいのに、

 分かりにくさに拍車をかけている)

 とにかく、全然、説明が無い。

 で、わたしは、この時を待ち続けたんだ―、とか、

 これ以外に生きる目的なんかないんだー、とか叫んでいるのですが、

 もうね、知らねーよ、としか言いようがない。

 いきなり出てきて、なにを大声でわめいてんだ、こいつらは、という、

 感情移入度ゼロです。

 そんな奴らでも、出てきてさっさとやられるなら分かるんです

 (ガンダムの敵役なんて、毎回、そんなもんですし)、

 ところが、こいつらが、やたらとテーマらしきことを語りたがるので

 鬱陶しい。だって、知らないんだもん、こんないきなり出てきた奴ら

 出すなら出すで、ちゃんと説明してから出して

 新人がやりがちな(典型的な)、

 詰め込み過ぎて、ストーリーが消化できてないって、やつです

 (ほんと、どうしちゃったんだ福井?)

 

 

尺の調整がおかしい


 

 

今回、戦闘シーンは頑張っていて、面白いのですが、

色々と問題もあります。

 

冒頭は、私の好きな「F91」を彷彿とさせる、市街戦で、嬉しい

(他にも、博物館に入っていた変形ガンタンク風の機体が現役で動いていたり、

「F91」好きには、嬉しいのですが)。

 

サプライズゲストとして、MSVの、おもしろメカ、ジュアッグが登場しています

(リアルすぎて、なんか気持ち悪いです。そして、意外なほど強いです)。

MSVというのは、プラモデル屋さんが考えた、

作中には登場しない機体のことです。

リンク(MSVとジュアッグの説明が載ってます)

 

そのほかにも、色々な機体が登場して、楽しいです。

リンク(登場機体の説明が載ってます、4話のことは誉めています)

ヴァル・ヴァロとグラブロの中間みたいなやつは、なんだろう?と思ったら、

シャンブロという、オリジナル機体らしいです。

ジムⅢっぽいやつは、ジムⅢだそうです。

ガルスJみたいなやつは、ガルスK。

MSVからの、おもしろ組として、ジュアッグの他に、ゾゴックも参戦。

他にも、マリンザクとか、アクアジムとか、水中仕様のやつらと、

丸かっこいい、カプール。

デザート仕様のザクとか、ドム・トローペンか何なのか、デザート仕様のドム、

スナイパー仕様のザクなどなど、

盛り沢山で出てきます。

 

というか、まあ、途中までは面白いのですが、正直、途中から

出過ぎでうんざりしてきます。

MSの運用(整備とか)の面から言えば、

機体は、できるだけ同じ方が効率がいいのは常識です

(連邦は、一年戦争に、それで勝利しました。旧ソ連の戦車方式です)。

ジオンの残党側は自前のMS工場を持っていないので、

機体にある程度のバラツキが出るのは仕方が無いでしょう。

しかし、いくら工場が無いからと言って、

パレードをやってんじゃないんだから、

そんなにバラバラでどうすんじゃ、という気になってきます。

色々な機体を出す、というファンサービスの一環なのですが、

サービスしすぎて、さすがにリアリティが無くなってしまっているのです。

もっと、ほどほどでよかったのに。

 

後半の戦闘も、私の好きな「ポケットの中の戦争」を彷彿とさせる、

海と波打ち際の戦闘です。

ザクやドムや、高高度から狙い撃ちにするザクに、

連邦のネモみたいな機体が、バンバンやられていきます。

「MSスーツの性能の差が戦力の決定的な差ではない」と赤い人は言っていましたが、

やっぱネモだの、ガザCだのには、乗りたくないもんです。

「ガンダムVS」シリーズの、コスト的にいえば、

ネモがドムに負けるのは、まあ仕方ない状況です。

ここで、高コスト機体、バイアランが(連邦側に)登場。

ザクやドムなんて、敵じゃありません

コストバランス的に正しい、「ガンダムVS」ファン、納得の戦闘描写です。

 

しかし、このバイアラン、ものすごく活躍したので、さぞかし名のあるパイロットが乗っていて

(新キャラ登場か?)と思ったら、結局、出てきません。

え?この戦闘、何だったの?

この波打ち際の戦い、バナージをはじめとする、主人公サイドの人間が

参加していません。つまり、その他大勢が戦っているだけの、遠景の戦闘です。

一応、高高度のザクは、それなりに重要なキャラなのですが、

なんでここに、こんなにも尺と労力を使って描写しないといけないのか、

意味が分かりません。

そんな労力があるなら、他に描くべき重要なことが(尺を伸ばしてでも)、

いくらでもあるだろう、と思ってしまいます。

今回、ドラマパートが全部、未消化で、説明不足ですから。

 

ガンダムシリーズの中でも、パイロットすら出てこない、その他大勢の戦闘を、

ここまで延々と描いたのは、さすがに、はじめてのことでしょう。

それも別に福井的な(「戦争は虚しい」的な)テーマとは関係ありません。

パイロットすら、碌に出てこないことからも明らかなように、

テーマとか関係なく、ロボットプロレスというか、ただ単にMSが

ドンパチやってるところは、興奮するよね、というアニメの制作サイドの

都合で作られたシーンです。

だから、原作者である福井サイドが繰り返し訴えている、「殺したら、もっと悩んで」的な

テーマとは、見事にかい離しています

おかしいだろ

パイロットがまったく出てこないあたり、原作は読んでいないのですが、

本当に原作に、こんなシーンはあるのか?(こんなに尺を取っているのか?)と

疑問に思います。

 

 

伏線を回収する気はあるのか?


 

このシリーズ、毎回、伏線らしい、格好いいシーンがあります。

胸の部分(ハート)を大事にしろ、とか、

1話の、私の願いは叶った、とか(だったら、もっとガンダムを活躍させて、

戦争を終結させるべきだと思うが)、

この後の展開を期待させる、ヒキの伏線が上手いです。

しかし、シリーズも中盤となると、伏線を回収する気が本当にあるのか、と

徐々に怪しい感じになってきます。

 

この手の伏線は、2種類あって、1つは「あおり」のためだけのもの。

エヴァンゲリオンの8話(「アダムです」)とか、19話(「いよいよだな」)とか、

あと「蒼天航路」に、本当に多いです。

あおるんだけど、本筋としては描かれない、というタイプ

(たとえば、太史慈とか。登場は派手なのに、その後まったく出てきません)。

 

もう1つは「マニフェスト」タイプで、こちらはちゃんと回収されます。

振り返って、なるほどね、と思うタイプです。

「ヤマト2199」で、古代守は、沖田に「あなたは必要な人だ」といって、

おとりとなり、犠牲になって、沖田を逃がします。

その言葉通り、ヤマトの航海では、沖田の機転と経験で、再三ピンチを脱します。

もし、沖田がいなければ、何回沈んでるんだ?というくらい活躍します。

つまり、沖田は、ヤマトに、すなわち地球人類にとって「必要な人」だったわけです。

古代守の言っていたことは、間違っていなかったのです。

これが、ちゃんと伏線が回収されているパターンです。

 

今回も、「ミネバ・ザビである!」という、か~っこいい~、な、あおり場面があるのですが

(オードリーではなく、ミネバとしての覚醒です)、

しかし、本当に伏線が回収されるのか、というのが

なにか、そろそろ怪しくなってきています。

 

 

原作者のバランス感覚の悪さが垣間見える


 

今回のガンダム、やたらとテロリストが出てきます。

しかし、彼らの理屈が異常なのです。

いわく、自分たちが虐殺されたから、

敵側の市民も虐殺してやる。

 

オイオイ、そんな奴いるか?

 

東京大空襲をはじめとする、大都市の空襲とか、

広島、長崎の原爆なんて、明らかに一般市民を狙った

無差別虐殺ですが(あと、機銃掃射で、登校中の子供を撃ったり)、

だからといって、アメリカ側の市民を虐殺しようとか、

言いだす奴なんて、いないですよ。

そんなこと言い出したら、どこまでいっても戦闘が終わらない。

 

ソ連の満州侵攻とか、ドイツのソ連侵攻、逆にソ連のドイツ侵攻の際などなど、

虐殺なんて、いたるところで起こっていますが、

戦後まで、それをひきずる国なんて無いですよ

(抗議はするが、市民を無差別に殺したりしない。

 そんなことしだしたらキ○ガイである)。

 

ところがこれが、「当たり前の理屈」のように語られている

(自分たちが虐殺されたから、無関係な市民でも殺す、と)。

これを「当たり前」のように語る危険性を福井は分かっているんだろうか?

 

まあ、イラクとか、アラブ周辺のテロをモデルにしているのでしょうが、

あまりにも浅薄な認識だと思います。

彼らのやっているのは「宗教戦争」です

(だから無関係な市民を残酷に殺しても、神が許してくれるのです。悩みません)、

家族を殺されたから戦っている訳でもありません。

それは、タリバンがスローガンとして煽っているだけで、

実際はタリバンなどの宗教勢力や、おそらくはそのバックにあるであろう、

オイルマネー(武器、弾薬を配給するスポンサー)を中心とした、

アメリカとの勢力争いです。

家族が殺されたから、みたいな市民感覚で、まとめるべきことではないです

(もっと、根深く、ドロドロとしています。敵味方に容易に分かれることではなく、

 巻き込まれるアラブの人々こそ、被害者です。爆弾テロの被害者は、

 米軍よりも、仲間であるはずのアラブ人の方が多いでしょう。

 だからといって、彼らはタリバンに復讐したりしません。

 それこそ、アメリカが悪いから、というプロパガンダの成果であり、

 神に逆らってはいけない、という、宗教的なコントロールであり、

 あるいは、そこまで恨んでも仕方が無い、という普通の市民感覚です)

彼らは、コントロールされる人で、仲間から攻撃を受ける被害者で、

当たり前ですが、大抵は、争いを望んでいない人々です。

そういうドロドロな現状を、家族が殺されたから、という、

中学生が考えたような「分かりやすい」世界感でまとめてしまうあたり、

とても軽いものを感じます

(個人的に、アメリカを支持する訳ではありませんが、

 タリバンを支持する気にもなれません。彼らが「家族を殺されから」という

 理由だけで、戦闘をやめないと思っているのだとしたら、

 それは、浅薄すぎる認識だろう、という話です)。

 

また、アラブ周辺の例でも明らかなように、

宗教というのは、もろ刃の剣です。

しかし、「ガンダムユニコーン」では、あまりにも軽々しく、

宗教を肯定しています。

 

そして目に余るのが、ジオンの美化です。

やたらとエモーショナルな言葉で、ジオンは存在自体が、

希望だったのだ、とか、語られていますが、

動機がよければ結果がどうでもいいなどというのは、

もっとも危険な考え方です。

その理屈なら、オウムだろうが、連合赤軍だろうが、

毛沢東だろうが、スターリンだろうが、ヒトラーだろうが、

大日本帝国だろうが、あらゆる勢力を肯定できてしまうのです

(彼らが結果的に、何をやったにしろ、彼らはわれわれにとって、

 希望の星だったのだ!と、言ってしまえば、いいだけで)

そんな言葉で正当化されてしまっては、犠牲者たちは浮かばれません。

 

ジオンは、独裁を敷いて、大量虐殺をやっています。

これだけで、ダメなのです。

どんなイデオロギーを持って始められたことだろうが、

結果として駄目なことをやれば、駄目なのです。

どんな適当な、あるいは悪どい動機を持ってはじめられたことでも、

結果的に良いことをすれば、それは良いことです。

 

よりにもよって、こんな理屈を持ちだして、

ジオンをロマンチックに美化するなんて、福井はどうしちゃったんでしょう?

 

 

やたらとターンA的な方向に持っていこうとする


 

これはもう、ノベライズを担当しているので、仕方が無いのかもしれませんが、

やたらと敵味方を交流させたがります。

もっと、スカッと戦ってもらってもいいと思いますが。

 

結局、「ユニコーン」でも、暴力で解決してるだけなんですから。

 

 

ガンダムって、ロボットアニメですよ?


 

なにか、殺すの殺さないのということで、やたらと迷っているのですが、

そんな論文みたいなことを

(中学生の討論会みたいなことを)、

延々と語らせて、どうするんだろう?と思います。

 

アニメなんだから、それは、ドラマの中で表現して、

受け手に実感として受け取らせないと。

 

ガンダムだから、そういうテーマを入れないと、思ったのかもしれませんが、

過剰なんですよね。

元々富野監督のいう理屈なんて言うのは、方便みたいなもんなんですよ。

 

富野監督は、あの世代の人間として、「戦争アクション」って格好いい、

みたいなことは、たとえ思っていたとしても、口が裂けても言わないわけです

(それは、宮崎監督も、同じことです。安彦良和も。たぶん手塚治虫も)。

 

だから、ロボットアクションやドンパチがやりたくても、建前上は

「戦争はよくないよね」ということは、エクスキューズとして、言っておかないといけない。

それを、真に受けすぎてるんじゃないかと思います。

 

そういう状況をもっとも逆説的に表しているのが、

「ポケットの中の戦争」のラストのセリフ、

「泣くなよアル、戦争なんて、またすぐ始まるよ」(うろ覚え)という、

ここは、ガンダム史に残る名場面だと思います。

当初のアルというのは、我々な訳です。ジオンのMSカッケー、といっている子供です。

この場面では、相変わらず戦争を知らない子供(我々です)と、

戦争を垣間見た子供(アル)との価値観の差が、実に皮肉に描かれています。

そしてこれはまた、ガンダムという作品そのものも表しています。

 

「一年戦争」の終結から7年、ファン待望の「Zガンダム」

(「グリプス戦役」という名の戦争)が始まります。

その後も、「ZZ」「逆シャア」「F91」「Vガンダム」などなど。

今に至るまで、終結しても、終結しても、

ファンが望む限り、「戦争なんて、またすぐ始まる」のです

(なにも「ガンダム」に限った事でもありませんが)。

つまりまあ、「ガンダム」というのは、ロボットアニメなわけです。

 

建前やテーマも、ドラマに深みを持たせるためには必要なのですが、

そもそものコンセプトが戦争ロボットアクションアニメなのですから、

「戦争否定」「人殺し否定」テーマをいくら掘り下げた所で、

作品の根源コンセプトとの矛盾にぶち当たるだけなのです

(そういうテーマを掘り下げたいなら、「火垂るの墓」みたいな、

 被害者しか出てこない作品でやるべきなのです)。

 

それだけ、ごちゃごちゃやっても、市民が虐殺された(悪い奴が出た)から出撃、

という「北斗の拳」レベルの話にしかなってないんですよね

(主人公の暴力を肯定するために、より悪い奴を出す、という)。

ただ、さすがに安っぽすぎる展開を否定するためか、

なんとか「説得」で事を収めようとして、

より、深みにはまって、ごちゃごちゃしちゃってますが。

 

 

無理筋すぎる説得


 

 

今回、最大のポイントが、

女パイロットを、バナージが命がけで止めようとするシーンです。

 

この女、設定自体が前述のように、よく分からないのですが、

バナージって、ほぼすれ違っただけなんですよね。

 

だから、これまた、一体、何をそんなに思い入れているのかが

さっぱり分かりません

 

君はそんな人間じゃないはずだ、目を覚ませー、みたいな

説得を続けるのですが、

会ったばっかなのに、何言ってんだ?という感じです。

 

で、この説得が無理筋なのです。

なぜなら、この女、この時点で、すでに何千人規模で市民を殺しているから

いや、今さら、心を入れ替えました、とか言っても、

どう考えても、許されるレベルじゃないだろう、と思います。

止めるなら、市民を殺傷する前に止めてあげないと、バナージも。

 

だからもう、改心とか、そういうレベルじゃないんで、

ものすごくどうでもいいんですが(話の流れ上、確実に死ぬだろ、という)、

これを、延々と説得します

 

ここでまあ、テーマらしきことをやっています。

親の期待は子の呪い、とか(戦争中だと言うのに、そんな中学生みたいな話を・・・)。

一応、初代からのガンダムを絡めた話なわけですが。

ただ、基本的に、この女パイロット、出てきたばっかりで、

何の思い入れもないので(またまた、ドラマ的に下手です。

この回、本当に下手です)、

色々言ってても、本当に、ただ「言っている」だけで、

なにも心に響いてきません

(あんなことがあった、こんなことがあった、

 私はこう思っている、とセリフで説明するだけです。

 前述しましたが、ドラマで見せないとだめです)。

 

とにかくセリフに、なんの「実感」もありません。

初代「ガンダム」の例でいえば、

「ぼくもララァのところに行くのか」というセリフには、

とても実感がこもっています。そのあとの

「僕にはまだ、帰れるところがあるんだ」「こんなにうれしいことはない」

というセリフにも、実感がこもっています。

ドラマに組み込まれているから、実感を持ったセリフになっている訳です。

テーマをただしゃべって説明すればいいというものではないのです。

 

この女パイロットのセリフに実感を持たせたければ、

それこそ「ポケットの中の戦争」のように、状況を切り離し、

限定した、6話くらいの話にするしかないでしょう

(女パイロットか、その周辺人物を主人公にして)、

テーマをドラマに組み込むというのは、そういうことです。

それをしていないのに、作者の「思い入れ」だけを暴走させても

(女パイロットが、いかに男の軍人のことを思っていたか、とか)

受け手は、置いてけぼりくらって、ぽか~ん、とするだけです。

 

 

さて、長々と愚痴を書きましたが、

物語は、あと、5,6,7話(7話を見るのは、当分先でしょうが)を

残しています。

 

果たして、この先、V字回復はあるのか?

それとも、このままズルズルと、黒歴史の闇へと沈んでいくのか?

 

さすがに、金髪男は、乖離しすぎた気がしますし、

山賊男、バナージ、フルフロンタル、トゥエンティにも期待できません。

 

V字回復(話を面白い方向に持っていく)が期待できるとしたら、

ミネバくらいでしょうか(あと、黒いユニコーンも?)

 

 


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