一昨年の秋に訪れた、天狗原・金山。
その時はブナの黄葉が見事で、次は夏の時期にと考えた。去年は時期を逃してしまい、宿題が今年に持ち越しになった。
今の御時世、登山を足踏みさせる諸事情はあるが、行ける時に行っておかないと機会が更に遠のいてしまう。
上空の雲は取れないが、まずまずの天気。駐車場の対岸の山はスッキリと見える。
登山口からは薄暗い森が始まる。
この時期は木々の葉が茂り、ブナの緑が一層濃く感じる。
長雨のせいか、登山道の土がゆるく、場所によっては滑りやすい。
つづら折りの山道を登って行くと、木々の切れ間から目指す尾根が見える。まだ先は遠い。
約一時間弱で、水場のある広場に出る。
ここからまたブナの茂る坂道を登る。
順調に登ってきたのに、一度泥濘んだ谷に降りる。
登り返し、次の尾根に取り付く。
右側は切り立った崖。あいにくガスに包まれ、様子が分からない。
登山道は左側にトラバースする。
密度の濃い、背の低い木々の間を抜けて行く。
上空はというと、すっかりガスの中。
ジメジメとしたルンゼの道を上がる。
泥濘みはますます酷く、靴底に泥が付いて重くなる。
木々が切れ、薄日が差し込む。
しかしながら、目指す尾根はガスに、すっぽりと包まれ、この先の様子がつかめない。
崩落地を登り、振り向けば、大渚山の彼方に白馬から朝日岳の峰々が見える。この日一番の眺望だ。
(続く)