カプアン通信

令和元年度犬猫殺処分データ図解(犬編)

5年連続となるシリーズです。

「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」という
環境省が発表している統計資料を毎年追って、変化を調べています。

最新の「令和元年度」のデータはこちらのページでご紹介したように
昨年12月下旬には発表されてました。
もっと早くに作業をすれば良かったのですが・・・
4ヶ月近く経ってしまいました・・
締め切りがある仕事ではないですが、伸ばし過ぎです。面目ありません

さて、環境省の統計ページは、詳細資料についてはアーカイブに残さず
新しい統計資料が発表になるときに上書きされてしまいます。
なので、どれくらい犬猫を取り巻く環境が改善しているかわかりませんし
目標も立て難いと思います。
かって、「地球生物会議ALIVE」さんという団体が
「全国動物行政アンケート結果報告書」という資料集を発行していて
毎年詳しいデータを知ることができましたが、平成25年度版をさいごに
発行をやめたようです。

知る方法がなければ自分で調べてしまえと、平成27年度のデータから
統計の計算をしたうえで図表を作って、カプアン通信で公開しています。

統計の計算とは何の事かと言うと、
環境省の発表では、犬猫を収容し、処分を行っている自治体ごとの
生データが羅列されるだけですが
これだけでは、どの地域が一番殺処分が多いかなど分かり辛いので
ひと目で違いがわかる方法を模索しました。

今回発表になった「令和元年度」のデータは、都道府県47箇所、
指定都市20箇所、中核市58箇所の計125自治体のものです。

茨城、三重、徳島、佐賀の各エリアには収容施設が1箇所ずつ(県の施設)しかありませんが、
大阪エリアには、大阪府、堺市、高槻市、東大阪市、豊中市、枚方市、八尾市、寝屋川市
の9箇所もの施設があります。

また一般に「県」の施設の方が処分が多そうですが、そんなことはありません
例えば、令和元年度、神奈川県の犬の殺処分数は1頭でしたが、
横浜市の犬の殺処分は31頭でした。
このように、環境省の生データだけでは、地域の状況がわかりにくいので
日本を都道府県47のエリアに区切って、各エリアごとにある施設のデータを合計しました。
前回は、集計にミスがあったので、今回は秘密兵器(大袈裟)を用意しました。




47エリアに分けた記入シートです。




どのエリアにどんな自治体(収容施設)があるかがひと目でわかります。
犬・猫・合計にわけて、地色の薄い枠には収容数、濃い枠には殺処分数を入れれば
間違いが起きにくいです。
検算をしてみたら、殺処分の合計数は合ってました!
収容数については犬については3頭少なく、猫は5頭多くなってしまってましたが
犬は合計3万頭台、猫は合計5万頭台なので、統計処理上大きな影響はありません。

前置きが長くなりましたが、まずはこの5年分連続して
殺処分数で色分けした日本地図を発表します。
※今回は犬についてのみ発表します。
※自治体としての都道府県の数値ではなく、都道府県エリア内の自治体全てを合計したものだということをご注意ください












平成27年度から28年度には西日本を中止に大きな変化がありましたが
その後、28から29年度、29から30年度はあまり変化がありませんでした。
しかし、今回は動きがありました。

関東の千葉、茨城、栃木、群馬の4エリアは平成30年度は犬の殺処分が
200〜599頭のブルーの色分けでしたが、一段改善して
50頭〜199頭の薄紫の色分けになりました。
同様に、九州の大分、熊本、鹿児島のエリアも改善されました。

そして殺処分数が1,200頭以上のエリアは無くなりました。
0頭〜9頭の処分数がゼロもしくは1桁台の少ないエリアは
平成30年度は日本海側の山形、新潟、石川、福井、鳥取だけでしたが
長野、静岡のエリアが加わりました。(新潟エリアはランクが落ちました)

上記、地図の元になった、統計データは以下のとおりです。
まずは、エリア別の犬の殺処分数のベストランキングです。




エリア別ランキング1位は石川です。
自治体としての「石川県」は殺処分1頭、「金沢市」は殺処分0ということで1位になりました。

ちばわんの関係が深い千葉エリアは、平成30年度の217頭から182頭と
殺処分が減ってはいますが、他エリアの改善も多く、エリア別順位は
前回同様34位と変わりませんでした。

エリア別ワーストは、残念ながら令和元年度も香川エリアでしたが
前回1,501頭から904頭と2/3以下に改善しています。
大きな努力があったと思います。

たぶん統計史上初めてのことだと思いますが、
年間1,000頭以上犬を殺処分したエリアはなくなりました。

47エリアのおよそ半分である23位までは100頭未満2桁台です。
このまま改善していって欲しいです。



続いて、殺処分数ではなく「生存率」のランキングを発表します。

「生存率」とは何か
その前に「引取り」と「処分」について説明します。
犬でも猫でも、飼い主が「飼えなくなった」などとセンターに連れてきたり
捨てられたり、迷子になったり、放浪しているところ捕獲されるなどして
センターに収容された動物は全て「引取り」になります。

実は動物行政は大きく分けて「引取り」と「処分」しかありません

ただし「処分」と言っても種類が3つあり、全てが殺処分ではありません。
「返還処分」これは飼い主への返還のことで、迷子犬猫の飼い主が見つかった場合
飼い主に返還された数です。
「譲渡処分」これは、センターの譲渡会での譲渡や、動物保護団体への譲渡のことです。
3つ目が「殺処分」です。

つまり「引取り」されたうち「殺処分」の割合が「殺処分率」で
殺処分以外「返還」「譲渡」でセンターを出られた割合が「生存率」です。

簡単に図式化すると
殺処分率(%)=殺処分数÷引取数×100
生存率(%)=100−殺処分率
※翌年度への繰り越しがあるので、この図式は厳密なものではありません。

では、令和元年度の犬の「生存率」が高い順のランキングを発表します。




生存率1位も石川エリアでした。生存率99.39%。すごいです。
殺処分の1頭も、センターのガス室などで殺処分されたのではなく
引取り後に亡くなったケースのようでした。

殺処分数が多いので、殺処分ランキングでは低い
山口エリア(殺処68頭、22位)、広島エリア(殺処233頭、37位)は
引取り数が、山口(1,651頭、生存95.88%)広島(2,186頭、生存89.34%)と生存率が高いです
後日、改めてデータを示しますが
山口エリアが譲渡数日本1位、広島エリアが譲渡数2位なんです。
引取り数が多いのは残念なことですが、譲渡の努力が数字に表れています。

千葉エリアは生存率85.81%から87.36%と改善しましたが
こちらも殺処分数同様、他エリアの改善が著しく
22位から25位にランクダウンしてしまいました。

全国平均は、平成30年度の80.83%から84.16%と改善しました。
実は平成29年度から平成30年度は生存率がほとんど改善が見られなかったのですが
「動き出した」と思います。

最下位になった愛媛エリアは40.02%ですが、それ以外のエリアは
全て50%以上です。つまり、愛媛以外のエリアでは「犬」については
令和元年度に収容されたうち半数以上は生きて施設を出られた。ということです。

かって、多くのエリアで、収容されれば、ほとんどが殺処分されてしまう。
という時代もありましたので、大きな改善だと思います。


次回は、「猫」のデータを発表する予定です。







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