Del Amanecer

スペインとフラメンコ、ビセンテ・アミーゴと映画とフィギュアスケートについて

ローラ・グレコとピアニスタの共演~アルベニスへのオメナヘ

2008-05-17 23:37:24 | コンサート&公演レビュー
木曜の夜、セルバンテス文化センター・スペイン大使館の共同主催によるアルベニスへのオメナヘのイベントが、学校の地下のオーディトリアムで開催された。
さすが国営・・このイベントは無料!
ただし抽選だったけれどね・・。私は抽選に当たったのだけど、2名で申し込んだのに受付をしたら1名しか予約がない!さすがスペイン・・・(^^;)
3名が2名に減ったひとがいるので・・・と2名分のチケットがもらえたけれど・・。いなかったらどうなったやら・・。席は端の方だったけれど、ともかくも立ち見でなくてよかった。
狭いので舞台が遠くて見えないということはない。

今年はイサーク・アルベニスが「Suite IBERIA」(イベリア組曲)を作曲してから100周年だとか。
このイベントはアルベニスに捧げられたコンサート。
マドリード生まれのピアニスト、ロサ・トーレス・パルドと同じくマドリード生まれのバイラオーラ、
ローラ・グレコという女同士の共演。
ローラはこのセルバンテスの小さな舞台のために特別に振り付けをした作品を踊るという。

簡単な挨拶とイベントの趣旨の紹介のあと、いよいよ開演。
暗くなったオーディトリアムには波の音が聴こえてきて、なんだかポエタのよう。
ふと気付くと、反対側の通路をローラが密やかに独特の空気を漂わせて舞台に向かっている。
ローラのバイレは本当に個性的。以前、初めて彼女のバイレを観たときもそう思った。その時は、
裸足で踊るローラのふわりと軽やかな舞が新鮮だったけれど、今宵はちゃんと靴を履いている。
舞台に到達したローラはゆったりと踊り始める。
アルベニスのイベリア・・・。昨年カニサーレスがギター用に編曲したイベリアを録音してライブでも
聴いて感動したけれど、アルベニスはもともとピアノの人。
ローラはロサの弾くピアノ・アルベニスでフラメンコを踊る。

前回ローラのバイレを観た時にも思ったのだけど・・・
彼女はなんというか独特の不思議な雰囲気を漂わせたバイラオーラだ。
空気の中にながれる「気」のようなものをとらえてそれと一体化する。
でも埋もれて透明になって消えてしまったりはしないのだ。
周囲と馴染んでいながら、強烈なオーラを放つ。
生きる輝き、感情の爆発、あまりにも生身でスリルに満ちていて・・・。

狭い空間なので、ローラの息遣いまでくっきりと聴こえてくる。
濃厚な空気に包まれたローラのアルベニスの世界。
ピアニスタ・ロサの凛とした演奏がアルベニスの魂を呼び覚ましてローラをいざなう。

ピアノなしの無音状態の踊りもあった。
ローラのサパテアードの音だけが舞台に響く。
ピト(指ならし)とパリージョスがリズムを刻む。
見事なマントン捌き。宙を舞う白いマントンがローラの情熱を煽る。
裸足で精霊のようにふわりと舞うローラも素敵だけど、大地を踏みしめて踊るローラも素敵だ。
鍛え抜かれた背中、指先にまで繊細に神経のはりつめた美しい手の動き。
観客も固唾をのんでローラの世界を見守る。

アンコールにはロサが「アルベニスのタンゴを・・・」と言い、ローラは花をもってピアニスタに近づいていく。即興でひとしきりタンゴを踊ってくれるローラ。
床に落ちているマントンを拾い、見事に空中に舞わせる。
観客の心をしっかりと掴んだローラ・グレコの踊りの世界。
そして可憐な花をピアノの上に置き、ほほえんだローラは、今熱い拍手につつまれていた。
女ふたりの素晴らしい舞台。
素敵な宵だったね。

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"IBERIA", recital de música y danza
 イベリア、音楽と踊りの祭典

2008年5月15日(木)19時30分開演~20時55分(休憩なし)
セルバンテス文化センター東京 Auditorium 


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2 Comments

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いいですね~ (Andrea)
2008-05-18 09:48:56
いいなぁ、東京はそういうのがあって!
こっちはそんな洒落たイベントは期待できない

アルベニス、いいなぁ。
アルベニスと言えば、サルコジ大統領の前の奥さんは
アルベニス家の人でした。
どーでもいいんだけれど・・・。
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アルベニス (Angelita)
2008-05-18 11:24:25
そうなんですよ。
去年セルバンテス文化センター東京が出来たおかげで
無料または1000円くらいの会費でいろいろなイベントが開催されていて、スペイン語のクラスも格安でいろいろ楽しませてもらってます!
秋には国王陛下がいらして図書館もオープンする予定とか。

>サルコジさんの前の奥さんがアルベニス家の人

なんかそういうのをきくと「ヨーロッパはひとつなのねぇ」とよくわからない感動(?)があります(笑)
今のスペイン国王はブルボン王朝の人だし、奥さん(レイナ・ソフィア)はギリシャ人なんですよね。
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