Del Amanecer

スペインとフラメンコ、ビセンテ・アミーゴと映画とフィギュアスケートについて

ギャラリーでギターコンサート ~村治佳織 en Cervantes

2011-09-02 17:42:24 | コンサート&公演レビュー
先日の小島章司さんの独舞に続いて、今宵は村治佳織さんのクラシック・ギター・コンサート。
これは通常、地下のオーディトリアムでやっている文化プログラムの公演とは違い、2階のギャラリーで、展示中の堀越千秋さんの作品に囲まれたスペースで行われるイベント。
小島さんの時は舞踊なので舞台にあたるスペースが大きめにとられていたけれど、今宵は演奏者ひとりなので、壁際に村治さんの座る椅子が置かれ、小島さんの時より客席のスペースが大きくなっていた。
椅子は半円形に1列のみで、それより前は前回と同じプチプチ、椅子席の後ろは立ち見だ。
それにしてもお客さんの数の多いこと!男性ファンも多い気がする。

例によって館長ウガルテさんと堀越さんの挨拶の後、村治さん登場。
黒い華やかなブラウスに黒いパンツ。その上に水玉のファルダというなんとなくフラメンコっぽい衣装だ。
でも彼女が奏でるのはフラメンコではない。純正クラシックギター。
クラシック・ギターのコンサートは久しぶり。それも最近はここのセンターで聴いたコンサートだけかもしれない。

1曲目は・・フェデリコ・モンポウのコンポステーラ組曲で3楽章から構成された曲。
音がちょっと小さい気がしたけれど、ギャラリーなので広くないし、いかにもギターの生音なので繊細な感じがする。でもホールでないから音響はよくないよね。
村治さんの演奏会には行ったことがなかったから、まともに生演奏を聴くのは初めてだ。

そもそもギターは男の楽器色が濃いし、女性のフラメンコギタリストなどはついぞみかけない。
クラシックでもプロの方は少ないと思う。
そんな中、見目麗しい上に凄いテクニックを併せ持つ村冶さんは稀有な存在かも。
私が昔ギターを習っていた頃は彼女はまだ子どもだったし、彼女の師匠・福田進一さんのファンだったので、特に注目していなかった。でもそんな佳織ちゃんももう33歳なのだから時の流れを感じるなぁ。

最初の曲を弾き終えて、にこやかにご挨拶してくれる。
張りのある素敵な声で、笑いも交えながらトークをする佳織ちゃんは何だか本当に大人になったなぁと言う感じ。演奏もそうかもしれない。ちょっと角が取れて大人の情感を漂わせるようになったみたいな気がする。テクニックは昔から凄いのだけどね。

2曲目はアルベニスの「アストゥリアス」私が一番好きな曲。
クラシックギターを始めたのもこの曲が弾きたかったから。
でも才能のない私は13年も習っていたのに、ついぞこの曲を弾くことはなかった。
難しいし、楽譜通りに弾いてもダメなんだよね。きっと。
でもなつかしくてその頃のことを思い出した。

続く曲は「スペインを離れてパラグアイの曲を・・」とバリオスの「大聖堂」を演奏。
こちらも3楽章からなり、祈りのような美しいメロディが印象的。
女性が弾くのを初めて聴いたけれど、すごく繊細で美しかった。
この曲は20歳の誕生日の日が丁度レッスン日で、先生にお祝いに弾いてもらった思い出の曲。そのときに初めてこの美しい曲を知ったのだった。

それから彼女の「旅」は再びスペインに戻り、ホアキン・ロドリーゴの「ヘネラリーフェのほとり」・・。これは初めて聴く曲。
佳織ちゃんはロドリーゴに会い、彼の娘さんとの親交が続いているのだという。
「アランフェス」以外の曲をもっと紹介したい。そんな想いを実現しているそうだ。
そしてヘネラリーフェから流れるようにタレガの「アランブラの思い出」を演奏。
確かにこれを聴くとグラナダに行きたくなる・・・。
それからまたロドリーゴの曲を・・・「小麦畑で」これも素敵な曲だ。

最後に弾いてくれたのはビゼーの「カルメン」をギター用にアレンジしたもの。
お馴染みのメロディが順番に登場するメドレーのカルメン。
これ弾くの大変そう!でも彼女の雰囲気にもよく似合うよね。
知っているメロディだと聴くほうも盛り上がる。
ギャラリーを埋め尽くした聴衆から大きな拍手が鳴り止まなかった。

アンコールはディアンスの「タンゴ・アン・スカイ」・・私も好きな曲。
これも難しそうね。彼女の師匠・福田さんのタンゴのCDに入っている曲だ。
でも何だか昔の演奏よりもよかった。
きっと佳織ちゃんもこの曲が好きなんだね。
キレがよくてカッコイイし、印象的だけど長くないからアンコールには丁度いいかも。

好きな曲ばかりだったこともあるけれど、久しぶりのクラシックギターのコンサートは心から楽しめた。(無料だしね!笑)
教室に通っていた頃を思い出したり、スペインを旅した気分を味わえたり。
そして村治佳織は本当に魅力的なギタリスタだ。
沖君のようなフラメンコギタリスタが日本人なのも嬉しいし、佳織ちゃんのような女性のギタリスタの存在も嬉しい。

先週の土曜日に聴いた渡辺香津美さんのジャズ、そして沖仁君のフラメンコ、佳織ちゃんのクラシック・・・ジャンルは違えどもギターはやっぱり一番好きな楽器だ。
胸に抱いて演奏する木のぬくもりを感じられる楽器。
そのギターのそれぞれのジャンルの紛れもない日本を代表するアルティスタたちの演奏が堪能できてとても幸せだ。

セルバンテスは国営だけあって、無料イベントが豪華なのがうれしい。
来週はスペインからフラメンコ・ジャズのコンサートがあるので楽しみ。
11月に来日予定のトマティートも呼んでくれないかなぁ(笑)!





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2 Comments

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それはそれは。 (Luzia)
2011-09-02 18:20:13
Angelitaさん、こんばんは。珍しく2度目のご登場お許し下され。

村治さんのコンサートチケットは未だに取るのが大変だそうですから(しかもほとんど大ホール)、小さな会場で聴けたのは超ラッキーだと思いまするぜ。
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なるほど・・・ (Angelita)
2011-09-02 18:30:53
Luziaさん
早速のコメントありがとう!

そうなんだ~。
昨日のイベントは通常のと違って先着順。
前回小島さんのときエアマットの上に座って疲れたので、今回は椅子席をGetするために早めに行ったら、すでにファンらしき男性二人がいました。
さすが人気のギタリストですね。
堀越さんの絵をバックに演奏とは、とても希少な機会でしたね。ラッキー!

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