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16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

2016年夏  神奈川の夏はというと・・・・

2016年07月31日 | 高校野球



≪第98回全国高校野球選手権 神奈川大会≫

【準決勝】

第1試合  慶應義塾 10-5 桐蔭学園

第2試合   横浜   8-4 桐光学園


【決勝】

 横浜 9-3 慶應義塾


今年も、神奈川の熱き夏が終了しました。

盤石の戦力で、横浜高校が3年ぶりの夏制覇。
いよいよその巨大戦力で、神奈川県2度目の『県勢2連覇』に挑みます。

横浜高校はこの夏、
ドラフト候補として注目される投の2枚看板・藤平と石川の投手力で注目されました。
しかしこの大会を通じて、
この投手力がかすんでしまうほどの県大会新記録となった14本塁打を放った打力、
そしてほとんどのピンチを素晴らしいプレーの連発でしのぎ切った万全の守備力、
更に相手のミスを決して逃さない素晴らしい走塁など、
本当に『こんな完成度のチームがあるのか?』というぐらいチーム力を上げて、
今大会を駆け抜けました。

今や『チームで心配があるとすれば、投手力かな?』というぐらい、
走攻守のレベルが上がりました。

平田新監督は、
選手の個性を尊重するというか、能力に決してふたをしないという、
大阪桐蔭型のチーム作りに若干シフトしたのではと感じる戦いぶりでした。

そのうえで渡辺監督が築き上げてきた『横浜高校の野球』というものもしっかりと受け継がれているので、
これは強いですよ。

なんだか今年のチームを見ていると、
『横浜新時代』というのを強く感じることができ、
『相変わらず、新時代においても横浜は神奈川の、いや、全国のトップランナーなんだな』
ということを感じます。

ワタシが信奉する、智弁和歌山・高島監督の『高校野球チームのピーク10年説』(高校野球チームの最も強いピークは、10年間ぐらいであるという説。)に、
全国のどんなチームも結局当てはまってしまうという中、
横浜高校は70年代から80年代、90年代、00年代と4つの年代にわたり全国制覇を成し遂げ、
珍しく全国トップレベルの力を長年維持している稀有なチームだと思っています。

その要因は一つには、
渡辺監督が時代に即した変化を続けてきたということが一番大きいと思っていますが、
そこに『神奈川で戦っているという厳しさが、常に彼らをトップに維持させている要因』だという思いもあります。


やっぱり神奈川の高校野球は、
ちょっとほかの地区とは違うなあということを、
今年も感じました。


土曜日の準決勝。

ワタシは観戦をするため、
11時開始の2時間30分前に球場に到着しました。

するとそこには、
本当に驚くような光景が。。。。。

JR関内駅の改札を出て信号を渡ると横浜スタジアム。
土曜日は信号待ちしていると、
目の前に広がる光景にびっくり。
なんとそこには、
もうあふれんばかりの高校野球ファンが、
球場の周辺を幾重にもぐるりと囲う姿が。。。。

  

『列の最後尾はどこか?』
と思って探して歩くものの、
行けども行けども『最後尾』の看板は見つからず。

そして球場を半周以上したところで、
ようやく『列の最後尾』の看板が。。。。

その時点でげんなりしてしまうほどたくさんの人が詰めかけていました。


ちなみにテレビでこれでもかと報道されていたのが、
西東京大会での清宮人気。

『こ~んなにすごい人たちが、球場に押し寄せていま~す。前代未聞です!!!』

なんてレポートをしていましたが、
甘い甘い。

先週出かけた神宮球場での西東京大会の準々決勝。
清宮の早実は第2試合の登場でしたが、
第1試合の試合開始前にチケットを買いに並んでいた人は、
ざっと目分量で数百人といったところ。
(まあ、300~500人ぐらいってところでしょうか。)

それでも西東京大会としては『異例の出足の早さ』でしたが、
土曜日の神奈川大会は、
試合開始2時間前にはすでに5,000人が並んでいたそうです。
30分前倒しにして、なお東京の10倍もの人たちが、
熱く神奈川県大会の試合を待っていたというわけです。

高校野球好きの人は、
一度神奈川県大会の準決勝、決勝などのすごさを、
体験してみるといいかもしれません。

ちょうど土曜日にも、
結構人気のある県の県大会を観戦して、
その後この神奈川の準決勝に来たという人たちが話をしていました。
曰く、『すごいなんてもんじゃないね、この大会。信じられないぐらい野球熱がすごいね、神奈川って』
と言っていました。
ワタシもまったくその通りだと思います。

東京、埼玉、千葉・・・・・

ワタシもよく観戦に行きますが、
神奈川県大会の熱気とは、
まったく違います。

それだけに、
神奈川県で戦う球児たちも、そして監督等の指導者も、
この大会で上位に進出してハマスタで戦うことに、
本当にプライドをもっているというコメントが多いですね。


そんな大会ですが、
今年は本当に横浜の力が抜けていました。

他の3校もなかなかのチームを作ってきていましたが、
横浜は春の時点と比べても『よくこれだけチーム力を上げてきたな』
と思うほどに、戦力アップしていました。

チームとしての完成度は、
あの98年の松坂を擁して春夏連覇したチームに近いものがあるかもしれません。

まあそれは言い過ぎかもしれませんが、
涌井を擁した04年のチームに似ている気がします。
全国の上位、
本気で狙ってきています。

ここ数回の横浜高校の中では、
もっとも大型かつ緻密なチームですね。
期待できそうです。


さて、
この熱い大会は今年も名残惜しくも、
最後を迎えました。

どこが優勝して甲子園をつかんだとしても、
この神奈川県大会が終了した後は、
一抹の寂しさを感じてしまいます。

それだけワタシにとっても、
特別な大会です。

来年また、
各チームには素晴らしい戦いを繰り広げてもらいたいです。


最後になりますが、
昨日の準決勝で王者・横浜に敗れた桐光学園の中川颯投手のことを少し。

長身を折り曲げて、
今では珍しいアンダースローから素晴らしい投球をする中川投手。



一昨年の選手権神奈川大会でデビュー。
一躍注目の選手となりました。

彼は投げるだけではなく、
通算本塁打30本を超える強打の左のスラッガー。

足と小技を得意とする桐光学園の打線にあって、
チームで唯一といっていいほどの長打が期待できるバッターとして、
常に中軸を担ってきました。

1年秋からは、
『神奈川の注目選手』として名前が常に上がるようになっていましたから、
ワタシも『何とか1度、甲子園で彼の投球、そしてバッティングを披露させたい』
と強く思っていました。

松井投手に続く『桐光学園の輝ける星』の2年間でした。


しかしこの2年間、
本当に『年代が悪かった』としか言いようがないぐらい、
神奈川には素晴らしい強豪チームが。。。。。。

そう、
昨年は全国制覇する東海大相模、
そして今年も全国制覇を狙う横浜。

中川クンのライバルになる『倒すべき投手』は、
昨年の東海大相模・小笠原に吉田、
今年の横浜・藤平と石川は、
いずれもドラフトでプロ野球が狙う超高校級投手。

彼らを倒さなければ全国の舞台はないという中、
打線など総合力では劣る桐光学園にあって、
本当に奮闘したと思います。


『最後の夏の最後の一戦』
となった土曜日の横浜戦では、
2点を先制された1回裏、
横浜の石川投手から特大の逆転3ランを放ち、
右手を天に上げながら
『俺が桐光の中川だ!!』
とダイアモンドを一周。

そのカッコよさに、
本当にしびれました!!!

全校応援となった3塁側スタンドは、
”3000の青”
が揺れに揺れました。

しかし横浜の本物の強さに打ち砕かれ、
悲願の甲子園出場はならず、
彼の『長い3年間の夏の物語』は終わりを告げました。



その瞬間、
グラウンドに崩れ落ちて大粒の涙を流した彼の姿、
忘れることはできません。

本当に素晴らしい選手でしたので、
一回でいいから甲子園のマウンドに、打席に立たせてみたかった!!

3年前の松井クンの時に感じた喪失感、
またも感じてしまいました。



彼はこの2年間、
『あと2勝で甲子園』というところまで、
チームを4たび引っ張り上げていました。

15年度 秋関東大会  1回戦 ● 0-1 浦和学院 (関東大会優勝)
     夏神奈川大会 準決勝 ● 3-4× 横浜 (優勝した東海大相模は全国制覇)
16年度  秋関東大会  1回戦 ● 1-2 木更津総合 (関東大会優勝)    
     夏神奈川大会 準決勝 ● 4-8 横浜 


とにかく、
敗れたチームはいずれも全国でも超一流の力を持ったチームばかり。

そういった意味では、
彼の高校生活、最後のところでツキもなかったといえるのかもしれませんね。

考えてみればそのどの試合も、
ワタシはグラウンドで見ています。

しかし土曜日のような悔しそうな中川クンのを見たのは、
初めてです。

それだけこの最後の夏にかける思いは、
強かったのだと思いますね。
悔しかったことでしょう。


それでも、
彼の野球人生はまだまだ続きます。

投手としてか、それとも打者としてか。

いずれにしても、
次のステージで彼の『輝く姿』を見るのを、
今は楽しみにしています。

それにしてもいい選手だった。

放心状態から、
ようやく立ち直ったところでこれを書いています。


横浜高校

優勝おめでとう!!

頼んだぞ! 神奈川勢の選手権連覇!!


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