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島野製作所vsアップル訴訟経緯

2019-09-06 08:20:03 | 日記

荒川区在住弁理士としては、ずっと気になっていた訴訟です。

通勤に利用している常磐線三河島駅、私が電車に乗る位置から見えるところにその会社があります。

特許訴訟に負け、新聞報道から知る事実からは独禁法なら、と期待していましたが、残念です。

以下は備忘録も兼ねて(新聞等の報道からの抜粋です)。

2014年8月
島野製作所が、アメリカのアップル社に対して、特許侵害と、債務不履行及び「優越的な地位の乱用」に当たるとする独禁法違反等の2件の訴訟を東京地方裁判所に提起。
 
2016年2月
独禁法違反等訴訟の中間判決(東京地裁)で、「裁判管轄の合意は、国際事件であれ国内事件であれ、一定の法律関係に基づいた訴えに関して結ばれたものでない限り無効」と指摘。「両社の合意は『契約内容との関係の有無などにかかわらず、あらゆる紛争はカリフォルニア州の裁判所が管轄する』としか定められていない」とし、合意は広範すぎるため無効と判断。
 
2016年3月
東京地裁は、特許侵害訴訟において、本件特許は違法な分割出願によるものとして無効理由を有することが明らかであり、被告製品は本件発明の技術的範囲に属しないと判断。島野製作所は控訴。
 
2016年10月
特許侵害訴訟の控訴審(知財高裁)において、分割出願違反だけでなく、被告製品と本件発明とは、押付部材とプランジャーピンとの接触に関し、技術的意義を異にするとして、島野製作所の控訴を棄却。島野製作所の敗訴が確定。
 
2019年9月4日
東京地裁は、独禁法違反等訴訟において、両社は基本契約で米カリフォルニア州法を準拠法と規定しており、国際間のトラブルをどちらの国の法律で解決するかを定めた「法の適用に関する通則法」に照らし、米カリフォルニア州の法律が適用されると指摘。
債務不履行については、州法に基づけばアップルが発注予測として示した数量を注文する義務はないと判断。独禁法違反については、原告側がカリフォルニア州法に基づく主張や立証をしていないから、「不法行為の成立は認められない」とし、島野製作所側の請求を棄却。