わたしの散歩道

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晩秋の古刹を巡り朝比奈切通しへ

2016-12-09 09:56:34 | Weblog
 11月24日朝、関東を中心に初雪が降った。11月とし
ては54年ぶりという。雪の影響でモミジの落葉は進むだろ
うか。

 11月29日(火)、天気は午前中曇り、午後晴れる。金
沢街道沿いの古刹を訪ね晩秋の紅葉狩りへ。


          円覚寺の門前の紅葉

横須賀線は朝の通勤帯で混んでいる。列車が北鎌倉駅を出発
すると、円覚寺山門のモミジがあかあかと燃え錦繍をまとう
。一瞬のまたたきに、鮮やかな紅葉が目に焼き付く…。

鎌倉駅には9時に着いた。久しぶりに朝の若宮大路を歩き鶴
岡八幡宮の太鼓橋を渡る。源氏池の小島の木々も紅葉し晩秋
らしい。池に映るモミジにも風情がある。


        鶴岡八幡宮の源氏池のモミジ

東鳥居から小道を通り金沢街道へ。肌寒い朝の街道は人影が
まばらだ。岐れ路から古い街並みを眺めながら杉本寺へ。

天平6年(734)に行基が開いたといわれる、鎌倉で最も
古い寺。坂東三十三所観音霊場の第一の札所、本尊は3体の
十一面観音、その一体は行基の作という。


         杉本寺仁王門の紅葉

磨り減った急な石段を上る。古びた仁王門の周りはモミジが
赤く染まり奥ゆかしい。のぼりが立ち並ぶ有名な苔の石段は
通行禁止だ。

左側の石段を上り本堂へ。素朴な茅葺の本堂は観音霊場を巡
る白衣の巡礼者たちでにぎわう。山に抱かれた本堂は「十一
面観音菩薩」と墨書されたのぼりが林立し信仰の篤さを感じ
させる。


      のぼりが立つ杉本寺の茅葺の本堂

霊験あらたかな観音信仰に触れ街道にもどる。狭い舗道をし
ばらく歩く。浄妙寺入口の参道を進み、総門をくぐると広い
境内に質素な本堂が建つ。文二4年(1188)足利吉兼が

創建した、鎌倉五山第5位の臨済宗建長寺派の寺。塔頭の多
くは失われ、現在は総門、本堂、客殿などが残るだけ。境内
は国指定史跡という。

手入れの行き届いた植え込みに梅の古木がならぶ。寺の人に
よれば、春は紅梅白梅が咲き誇り風情があるという。

境内のモミジは深紅に染まり限りなく美しい。紅葉も極まり
散りゆく寂しさもただよう。本堂脇の茶室喜泉庵を一見する


        浄妙寺茶室喜泉庵の枯山水


静寂な石庭は巧妙な石配りに白砂が敷きつめられ流れている
ような優美さだ。枯山水のそれぞれの石にも禅のこころがこ
もる。借景のモミジがグラデーションに照り情趣を添える。

石窯ガーデンの道から散策路へ。小さな庭園には冬サクラが
咲きツバキが赤くほころぶ。彼方には鎌倉の山々が紅葉して
赤や黄色、茶色、緑が織りなし秋が深まる。


        浄妙寺からの鎌倉の山々

静寂さに浸り紅葉を堪能し街道へ。泉水橋からは、明王院、
光触寺、十二所をまわり滑川沿いを上る。明石橋から明王
院の道へ。狭い道をたどると茅葺の不動堂が見える。

かぶき門をくぐと明王院だ。嘉禎元年(1235)、鎌倉幕
府4代将軍・藤原頼経が創建し五大明王を祀る。

谷戸に抱かれた茅葺の不動堂は素朴な温かみを感じさせる。
秋日が古いお堂に差し淡い光の陰影がうまれすばらしい。

滑川に沿った道から街道へ。十二所バス停から光触寺橋を渡
り光触寺へ。時宗の寺で境内には一遍上人の像が立つ。塩嘗
蔵には供物の塩を嘗めたという伝説が残る。本尊は運慶作の
阿弥陀如来像を祀る。

光触寺から道なりに歩き街道へ。目前の十二所神社に立ち寄
る。光触寺境内にあった熊野十二所神社が現在地に移されて
明王院の所管に。明治維新時に十二所神社に改称、明治6年

(1873)に十二所の鎮守となった。境内のイチョウは見
事に黄葉しすばらしい。参拝し街道へ。

十二所神社前の信号を渡り、「朝比奈切通し」のガイドに従
い滑川沿いに上る。やがて、支流の大刀洗川を遡る。人家も
つきて、木々が茂る山道をしばらく歩く。


        朝比奈切通しの三郎の滝

やがて、鎌倉五名水の一つ、梶原大刀洗水だ。川に沿ってさ
らに上流へ。朝比奈切通しの標識が立ち小さな三郎の滝があ
らわれる。

説明板に「朝比奈切通しは、いわゆる鎌倉七口の一つに数え
られる切通しで、横浜市金沢区六浦へと通じる古道です。鎌
倉時代の六浦は、鎌倉の外港として都市鎌倉を支える重要な
拠点でした。以下(略)…。」

鎌倉七口で最も険しい朝比奈切通しを行く。落葉がつもる山
道は水が滲み出てぐじゃぐじやの悪路。頭上は雑木の茂りが
おおう。だんだん傾斜がきつくなり滑る岩の道がつづく。

崖の隅には供養塔が見られる。水浸しの難儀な坂を登りきる
と、垂直な岸壁に磨崖仏が彫られて当時が偲ばれる。峠の頂
上は鎌倉市と横浜市の境界になっている。


        朝比奈切通し崖の道

頂上の分岐がある。右の杉木立の道を行けば熊野神社。その
まま直進すればゴールの県道23号線の朝比奈バス停だ。

横浜市に入ると杉木立が広がりなだらかな下りに。やがて、
両側が切り立つ断崖がつづく。苔むした崖の道は古の人々が
苦労して掘削を進めたのだろう。

切通しが過ぎると整備された歩きやすい散策路だ。快適に歩
けば横浜横須賀線の橋梁だ。バス停まで10分ほどか。


      円覚寺山門で紅葉を楽しむ人びと

朝列車から見た円覚寺の紅葉が見たくなり往路を戻る。十二所
神社前から鎌倉行のバスに乗る。国大前で下車し八幡宮で大休
止する。

鎌倉街道を下り北鎌倉へ。巨福呂坂洞門を抜けると建長寺だ。
青空が広がり絶好の写真日和になった。円覚寺の門前は黒山
の人だかり。カメラの放列だ。

秋の日が差し込みモミジがあかあかと照り目の覚めるような
美しさだ。紅葉の錦に染まり感慨無量だ!