わたしの散歩道

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フランス近代絵画の巨匠「ルノワール展」へ

2016-07-07 09:48:53 | Weblog
 印象派を代表する画家のひとりルノワールの「バラ色の裸
婦像」に会いたくなった。

6月21日(火)、浅草寺の参詣のかえりみち、「東京国立
新美術館で開催中の「ルノワール展」に立ち寄ってみた。

パンフに「世界でも有数のルノワール・コレクションを誇る、
オルセー美術館とオランジュリー美術館が所蔵する、100
点超える絵画や彫刻、デッサンなどの貴重な資料によって、

画家ピエール・オーギュスト・ルノワ-ル(1841-19
19)の全貌に迫ります。同時に、革新的な印象派の試みか
ら、伝統への回帰、両者の融合へと至る軌跡も浮かび上がる
でしょう。

画家がたどった道のりは、常に挑戦であり、終わることのな
い探究でした。なかでも、ルノワールの最高傑作『ムーラン
・ド・ギャレットの舞踏会(1867年)』は日本ではじめ

て展示されます」。

 すばらしい作品のなかから代表的なものやバラ色の裸婦像
などルノワールの傑作を取り上げてみました。

《陽光のなかの裸婦(エチュード、トルソ、光の効果)》
 1876年頃 油彩/カンヴァス 81×65cm
 オルセー美術館



 コメント
「モンマルトルのアトリエの庭でポーズを取る女性。第2回
印象派展に出品された本作は、肌の上にまだらに置かれた緑
と紫が物議をかもした一方、みずみずしい色彩には好意的な
批評も集まりました」。

 緑の木陰にたたずむ裸婦はやや小首をかしげ憂いのまなざ
しを投げかける。木漏れ日を浴びたバラ色の肌はやわらかく
みずみずしい。ふっくらとした乳房もういういしく魅惑的だ。

大好きな作品の一つ。

《草原の坂道》
 1875年頃 油彩/カンヴァス 60×74cm
 オルセー美術館



 コメント
「『風景画なら、そのなかを散歩したいと思わせるような絵
が好きだ』と語ったルノワール。鉄道の発達により田舎の散
策が身近になったことで、画家はあてもなく歩き、自然を観

察しながら、新しい画題に出合うようになりました。表情豊
かな色彩がちりばめられた本作は、印象派の試みが最も果敢
であった時期の作品です」。

夏の光りあふれる野原を、親子ずれが坂道を下りてくる。上
の方にも2人の人物がいる。木々の緑のなか子どもずれの女
性がさす赤い日傘や、前景の赤いヒナゲシの花がアクセント

になり画面が引きしまってる感じ。散策したい涼風が吹く夏
の草原のようだ。

《ムーラン・ド・ギャレットの舞踏会》
 1876年 油彩/カンヴァス 131.5×176.5
cm オルセー美術館



 コメント
「画面手前で、私たちを絵のなかに招き入れるのは、ルノワ
ールに頼まれてモデルをつとめた、モンマルトルに住むお針
子や画家仲間たち。

一方奥にひしめく群衆は、空間に広がりを与えています。楽
団が奏でるポルカの音や、笑え声、ざわめきまで聞こえてく
るようです。ルノワールは人々の生きる喜び、着飾った姿、

彼らを包む光を、かけがえのない『歴史の1ページ』として、
この絵に結晶させました」。

 木漏れ日の降る昼下がりのダンスホールは、着飾った常連
の若者たちがダンスを楽しみ、ワインを飲みながらくつろぎ
おしゃべりに興じる幸せな光景だ。19世紀後半のパリの市

民生活を見事に描いた作品といわれる。絵の前に立つと、大
画面から、華やかなホールの熱気や、くつろいだ人々の明る
く幸福そうな情景が時代を超えて伝わってくるようだ。

印象派時代の最高傑作と称され大作だ。

《田舎のダンス》
1883年 油彩/カンバス 180.3×90cm
オルセー美術館



 コメント
「(田舎のダンス)でポーズをとる、木綿の晴れ着姿の女性
はルノワールの生涯の伴侶となるアリーヌ・シャリゴ。(都
会のダンス)でシルクの夜会服をまとうシュザンヌ・ヴィラ

ドンはのちに画家ユトリロの母となり、自身も画家として活
躍した。背景から浮かび上がるような人物やドレスの描写か
ら、ルノワールは印象派を超える表現へ進もうとしていたこ

とがうかがわれます」。


      《 都会のダンス 》

 この対位作品は「田舎のダンス」の明るさと「都会のダン
ス」のすました様子が描き分けられている。あえて、明るく
楽しげな「田舎のダンス」を取り上げてみた。

緑の木陰で踊る女性はふくよかで健康的な笑顔がすばらしい
。花柄のドレス、赤い帽子に扇をかざし踊るおおらかな笑顔
がほほえましい。見ていても楽しくなる。

《ピアノ弾く少女たち》
 1892年 油彩/カンヴァス 116×90cm
オルセー美術館



 コメント
「本作は国の買い上げとなったあと、ルノワール自身は、最
後と思われるこのヴァージョンに手を入れすぎたと感じてい
たようですが、穏やかな色彩や絹のような質感は、画家とし
ての成熟を感じさせます」。

 豊かな中産階級の少女たちだろうか、無我夢中でピアノに
興じるフォルムがすばらしい。オレンジや黄色、赤を主体し
たあたたかな色彩が溶け合い見る者を幸せにする。

親しみやすさのなかに奥深さが潜む名作だろう。

《バラを持つガブリェル》
 1911年 油彩/カンヴァス 55.5×47cm
オルセー美術館



 コメント
「女性の肌とバラの花。画家はそこに特別な関連性を見出し
ました。バラは裸婦で用いる色合いを実験するためのもので
す。緑がかった背景がバラ色をひきたてる本作において、そ

の探究はみごとに実を結びました。ガブリェルが羽織を透け
た衣の白いタッチにも、ルノワールの工夫が光ります」。

 黒髪にバラをさし、大きくはだけた胸元から張りのある乳
房が艶やかに匂う。バラ色の肌は若さに満ち溢れる。緑色を
基調にした背景から白い透けた衣のガブリェルのつややかな
肢体に魅了する。

ガブリェルは妻アリーヌの従姉妹で家事手伝いのため彼女が
16歳のとき雇われた。その後、ルノワールのお気に入りの
モデルの一人となった。

《浴女たち》
 1918-1919年 油彩/カンヴァス 110×160
cm オルセー美術館



 コメント
「画家が人生最後の数ヶ月を費やした大作です。リュウマチ
で動かなくなった手をくくり付けられた絵筆は、その苦闘を
思わせないほどに鮮やかに、自然を謳歌するバラ色の裸婦を

えがきだしています。本作を目にしたマテイス『最高傑作』
と称え、ルノワール自身も『ルーベンスだって、これは満足
しただろう』と語ったそうです」。

 陽光あふれる緑の楽園に、女性たちは衣服を脱いでくつろ
ぎ、豊満な肉体を見せる。バラ色の肌は官能的で艶めかしい
…。大地の母のような裸婦像もやわらかな筆遣いで自然に融

合しすばらしい。裸婦は「芸術に不可欠な形式のひとつ」と
考え、バラ色の裸婦に取り組んだ。裸婦のデッサンもリアリテ
ィーがあり実にすばらしい。

晩年は不幸に見舞われる。出征した2人の息子は負傷、見舞
いに行った妻も旅先で急逝、リュウマチの悪化して苦む。

苦しみを乗越え制作した「浴女たち」の傑作は、見るものを
幸福の世界へ誘う。