久住山(1,787m)・中岳(1,791m) (つづき)
久住山の山頂は、すごい人出でした。多人数のグループが多いのかいっそう落ち着きません。眼下には崖が落ち込んで、いかにも火山らしい景色が展開されています。硫黄岳から噴気が出ているのも見えます。
九重連山のピークは、最高峰の中岳にはじまり、星生山・三俣山、少し東側に離れると大船山と平治岳が見えます。どれも、ほとんど同じ高さです。ここに挙げた山のうち、平治岳だけが1,643m、あとはみな1,700m台の山々です。
中では、三俣山の頂上が三つに分かれて見える(実際には4つ)のが特徴でした。それ以外は、これらの山々には突出したものがあまりありませんでした。しかし、同じような山の集まりであることが貴重なところだし、それがくじゅうの山並みに広がる、何とも言えない開放感のカギになっていると感じられます。山頂からの眺望は、どこをとっても本州の山とはまったく違うものでした。
「~現在では山群の総称を九重、その最高峰を久住と呼んで、もう誰も異議を挟むものはない。最高峰といっても断然抜きんでているわけではなく、山群中の大船山もそれとほぼ同じ高さを持っている。それにつづいて、稲星山、星生山、天狗ヶ城、中岳、三俣山、白口岳など、主峰と五十米とは違わないのだから、これはまさしく久住独裁国ではなく、九重共和国である。しかもそれが同じような鐘状火山なので、うっかりするとどれがどれだか分らなくなってしまう。~」
(深田久弥『日本百名山』新潮社版)
(登頂:2015年10月中旬) (つづく)