心が満ちる山歩き

美しい自然と、健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山と、時にはクラシック音楽や旅行のことも。

八ヶ岳 縞枯山荘から雨池へ

2020年10月05日 | 八ヶ岳


 「~ 雨池は雨がつくった湖である。山の中にできた巨大な自然の水たまりである。つまりこの湖は、湖水を涵養する、沢という水源をもっていない。 ~」
 「~ 湖水を排水する沢も無いから、池の水位もたえず変化する。満水して岸辺の草地の一部が水の中につかりかけていることもあるし、東岸の中心部がひろい砂地になるほど減水しているときもある。水が少ないとき、水面に頭を出した飛石づたいに池を一周するのは、いかにも愉しい。 ~」
 (『北八ッ彷徨 随想八ヶ岳』山口耀久(平凡社)) 


 北八ヶ岳ロープウェイで、標高2,237mの山頂駅へ向かいます。乗り場も、山頂の坪庭自然園も、とても賑わっていました。
 冬の坪庭は雪で真っ白ですが、今日は無数の溶岩が緑の中から露わになっています。
 三角屋根の縞枯山荘から、岩混じりの道を下ります。進むたびに陽の差し方が少しずつ変わっていきます。
 下り切ると大石川林道とぶつかり、林道を15分ほど歩きます。車も通れるように整備されたと思いますが、車が通らなくなって久しいのか、両側から笹が茂って道幅が狭くなっていました。
 再び登山道に入って間もなく、雨池の水面が姿を現しました。
 山では、どうしてこの池は干上がらないのだろう?と不思議に思うことがあります。八ヶ岳の雨池は、面積が大きいのでなおさらです。水面と地面の境目ははっきりせず、岸には「飛石」があちこちに散らばって、海岸とも河岸とも違う感じになっています。
 突然雲が出て、空が暗くなりました。霧のような、煙のようなものが湧き立って、風に流されていきます。流れ込む川がないだけでなく、水分が蒸発するとなると、いよいよ不思議です。

 「~ 大方は天から直接降った水だけが、山の斜面にできたこの平らな水盆にたまるのである。 ~」(『北八ッ彷徨 随想八ヶ岳』山口耀久(平凡社))

 自然の地形が生み出した「平らな水盆」は、流れ込む川がなくても、自分で水量を維持する仕組みを持っているようでした。短い時間の目まぐるしい変化を、偶然にも目にすることができました。水をなみなみ湛えた湖にはない変化だと思いました。
 ここが八ヶ岳のパワースポットと言いたくなる雰囲気でした。
 その後森の中を南下し、雨池よりずっと小さな「茶水の池」を見て、麦草峠に出ました。








 (写真:2015年8月中旬) 



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