心が満ちる山歩き

美しい自然と、健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山と、時にはクラシック音楽や旅行のことも。

八ヶ岳・天狗岳(3) 箕冠山・根石岳から天狗岳の頂上へ

2021年07月24日 | 八ヶ岳


天狗岳(2,646m) ((2)のつづき)


 翌日はよく晴れました。朝食の前に外へ出てみると、気温は2度と書いてありましたが、数字ほど寒く感じません。
 夏沢峠から北へ向かい、森の中の箕冠山を過ぎると、一気に眺望が開けます。
 箕冠山と根石岳の鞍部には根石山荘が建っています。入口に、紅色をあしらった派手なラグマットが2枚天日干しされています。屋根に、大小織り交ぜて石が敷かれているのが、いかにも山小屋らしいと思いました。同じ屋根には太陽光発電のパネルも設置されていました。
 根石岳への道は山というよりも斜面でした。平面的な世界です。地形図を開くと、根石岳の南側に等高線の間隔が空いているエリアが広がっているのが面白いです。
 東天狗岳に向かう途中に、稜線が白砂の場所があります。鞍部まで下って行くと、確かにその一帯だけ足もとが真っ白になっていました。
 見下ろすと、森の中に本沢温泉があるのが分かりました。露天風呂は見つけられませんでした。意外なくらいに近いです。今日は本沢温泉から夏沢峠・箕冠山を通ってここまで、四角形の三辺をたどるような大回りをしています。
 

 緑色の大きな鉄橋を歩いて、スフィンクスのような岩塊を過ぎると東天狗岳です。西天狗は、大きなスフィンクスの石像がそのまま山になったような姿ですが、東天狗にあるのはその分身でした。
 西天狗へは、最後にザレ場の急坂が待ち構えていました。
 天狗岳の二等三角点は、より標高の高い西の方にありますが、その名前は「東岳」なのが不思議です。明治35年に観測された点の記では、「作業間棲宿ノ方法」の欄に、「本沢」か「渋礦泉宿ヨリ通勤スルモ可ナリ」と書かれているのが面白いです(国土地理院・基準点成果等閲覧サービス)。「本沢」からも「渋礦泉」からも、山頂まで日帰りで往復できます。
 温泉場から「通勤」とは優雅ですが、点の記を残した人たちにとって三角点を設置するのは仕事そのものだということを忘れそうになります。
 南には、大きな硫黄岳の向こうに赤岳と阿弥陀岳が顔を出しています。根石山荘の建つ台地は、西側に向かって大きく傾斜しています。
 東天狗岳まで引き返した後に、黒百合ヒュッテへ下ります。赤岳や阿弥陀岳の方向とは反対に、なだらかで大きな緑色の森が広がっていました。天狗岳は、八ヶ岳の南側と北側の雰囲気を一度に知ることのできる山でした。さらに唐沢鉱泉まで下山して、ぬる湯の炭酸泉にゆっくりつかりました。
 源泉は約10℃とのことで、ぬるいといっても加熱はされています。今日は透明なお湯でしたが、年に一度、6月頃に乳白色に変わることのある、不思議な温泉だといいます。
 








 (登頂:2011年10月上旬) 



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