サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付」。オルガンだけでなく、ピアノまで登場するという独創的なシンフォニーです。第二楽章・第二部のメロディーが、映画「ベイブ」に出てくるので、知っているという人もいるでしょう。かっちりした構成で、迫力もありながら、フランス音楽らしいノリも感じるという、いい曲だと思っています。
去年一度だけライヴで聴いたことがあります。井上道義指揮・日本フィルの演奏で、会場はサントリーホール。壮麗な曲がこのホールでどうやって響くのか興味津々です。
オルガンの音はそれほど大きく感じず、オーケストラの他の楽器としっかりなじんでように聴こえました。それ以上に凄かったのが、最後のティンパニでした。いくら強く叩いてもホールの空気になじんでしまう。じゃあもっと強く、全身全霊の力を込めてもなじんでしまう。包容力の大きなこのホールは、どんな迫力も上から吸い込んでしまうかのようです。これでもか、これでもかとしているうちに音楽全体が大きくなっていく。たった十数秒の出来事ながら、オーケストラの情熱を身体全体で感じました。演奏も素晴らしかったですが、音響がとても良いサントリーホールだからこその凄みだったと思います。
この日のコンサートでは、開始前に演奏曲の解説がありました。パイプオルガンとは、いきなりスイッチを入れて使えるようなものではなく、オルガニストは何時間も前からホールに来て、楽器をあたため、調節をしますということでした。
・スヴェトラーノフ指揮・スウェーデン放送交響楽団(ウェイトブリック・SSS0132-2)
・ミュンシュ指揮・ボストン交響楽団(RCA・「LIVING STEREO 60CD COLLECTION」)
ウェイトブリック・レーベルから、スヴェトラーノフ指揮・スウェーデン放送交響楽団の、ライヴ録音のCDがいくつも出ています。ロシア人で何だか豪快な演奏をしそうな指揮者と、北欧のオーケストラの取り合わせは意外な感じがしましたが、147回も共演したということが分かって、さらに意外でした。何となくの印象で演奏を聴いてはいけないということだし、両者の相性も良かったのでしょう。
聴いた感想は、驚いたものからよく分からなかったものまで色々でしたが、一番感動したのがガーシュウィンのピアノ協奏曲・次がこのサン=サーンスでした。
短い序奏が終わって主題が始まると、ヴァイオリンのリズムがすごくはっきり聞き取れるテンポです。全体を遅いテンポで通しているのが、このCD最大の特徴です。慣れるとこれが好きになってしまいます。
(つづく)