大学の受験もそろそろ佳境。
国立大学の入試が始まった。
去年は我が家がそうだった。
ひとつたりとも合格をとっていない息子。
がんばれ!!!
と、私自身を励ました。私も折れそうになっていた。
息子も私もそれぞれの立場で受験なのだ。
思えば、息子が幼い時、某国立大学付属の幼稚園を
受験した。
本人は覚えていない。
じっとしていない彼は(なのに受験をさせた私は何を思っていたのか不思議)
待つことができない。
だから、落ち着きもない。
おもちゃがいっぱいの受験会場でおもいっきり楽しく一人で遊んで受験は終わった。終わっても終わったことすら納得しないでいつまでも遊んでいた。
だめだ~~~こりゃ~~~~。
そう思った。
そんな受験にかまけていたら、普通の幼稚園の応募に遅れてしまった。
知人の婦人が願書をもらってきてくれて、遅まきながらも幼稚園に入園できた。
それがあなたの初受験なのよ。
本人はまったく記憶がない。当たり前だろう。
三歳になったばかりのことだったからだ。
幼稚園が楽しかったのか、機嫌よく通った。みんなと一緒にいることが楽しかったようだ。しかしなかなかほかの子供とコミュニケーションがとれなかった。
それでも積極的に話しかける様子を見て娘がいった。
「あの子はすぐに友達ができる・・・・」
すぐに友達ができるけど、友達を大事にしない。だからすぐに離れていく。友達がいないと寂しい、つらい・・・・そんな話をするようになったのは、大学に入ってからだ。
去年のこと、合格した大学に入学手続きに行って自治会の学生さんにさそわれた新入生歓迎キャンパスツアー。
「友達ができます」「早く大学に慣れます」との口コミに息子は考えるまもなくさっさと「参加します」といった。
その日は朝から夕方までイベントだった。
そして暗くなってから帰ってきた。
「どうだった?」「まあまあだった」
・・・・そう言った。
今になってあの時は話し相手もなく回りはさすが教育学部だけあって女性ばかり。6年間男だらけの男子校ですごした息子は話し相手がいないことに寂しく思った。
否・・・・
寂しく思ったぐらいではなかったそうだ。
おれ・・・・・このままだと・・・不登校になるかも・・・・・・・・・・・
あまりの寂しさと情けなさと恥ずかしさと不安だらけの気持ちが一気に弾丸となって息子を襲ったようであった。
打ちのめされたのだった。
受験のときも知り合いはいなかった。みんな話し相手がいるのに俺だけ独りだった・・・。
そのときのつらさがよみがえったのだろうか。
そして迎えた入学式。暖かな春のお天気は入学式を祝福をしているかのようだったが、息子は不安の曇り空を心に抱えていた。いつこれが土砂降りの雨になって崩れるか・・・・そんな状況だったそうだ。
私も本当は友達がいないことに不安を持っていた。
塾も予備校も大手に行ったわけではないので知り合いはいない。同じ学校の友人もいない。
今度こそがけっぷちだ!!
彼の中学には同じ小学校からだれひとり入学しなかった。誰も知り合いがいないねって、いって励まそうとしたら同じ塾の友人が何人もいた。
ありがたい!!!大手の塾!!!(笑)
そう思ったのは6年前。しかし、今度こそ一人だった。
入学式が終わって説明会も終わって、帰る時間になった。息子のところに行くと誰かと話をしていた。さすが女性の多い学部だ~~~と思っていても、男子学生もいるのだ。
「入学式で並んだらとなりが男だった。うれしかった。」
息子はそれで元気になって何人かの学生さんに携帯の番号を聞いた。
彼らも息子の番号を聞いてくれた。
ただ・・・・・・・
「メアドを聞くと赤外線送信するって言われたけど俺の携帯赤外線通信の機能がないから・・また学校でメモを渡すっていわれた・・・・」
私はがんばっている息子になんとしても赤外線通信機能のついた携帯を買ってやりたくなった。
欲しい機種を聞いてショップを捜し歩いた。人気商品のゆえなのか、どこもなかった。しかし私は昔からたまごっちに始まってポケモン、マリオなどあの商品はどこに売っているのだろう?といいながらゲームのソフトやハードを探した過去がある。
やっとあるショップで最後の一台を見つけて手に入れた赤外線通信の携帯を持たせて、「みんなと仲良くね」・・・と、そう願った。
いま多くの受験生は、受験が終われば、4月はあたらしい生活のスタートになる。
だれしも友人ができるかな~~~~と不安を抱えている。
社会人になっても友人ができるかなと不安を抱えている。
誰もが不安であることを知って勇気を持って話しかけてみよう。
「電車は何線?」「どこの学校からきたの?」「ちょっとみんなでお茶しませんか?・・・あの自販機のそばで」
春の暖かさは、緊張や不安で硬くなっている心をリラックスさせるやさしさだと思いませんか。