見出し画像

札幌・円山生活日記

坂本龍馬が夢見た北海道の自然をこよなく愛した山岳画家・坂本直行氏~「土佐国山内侯家臣坂本家累代之墓誌」~

土佐藩に生まれた幕末の英傑・坂本龍馬。龍馬の遺志を継ぎ一族を挙げて北海道に移住したのが龍馬の甥で郷士坂本家5代目当主の直寛氏。NHKの番組で特集された山岳画家として著名な坂本直行氏は直寛氏の孫で郷士坂本家8代目当主です。直行(ちょっこう)さんと親しまれた画家は龍馬が夢見た北海道の自然をこよなく愛し多くの風景画を残しました。その坂本一族の墓碑が円山の麓「円山墓地」に安置されています。

先週後半の朝のNHKニュース番組『おはよう北海道』(7:45 ~ 8:00)で日高山脈の絵画や六花亭の包装紙デザインで著名な山岳画家の坂本直行氏の特集を放送していました。坂本直行氏は画家としての名声とともに幕末の英雄・坂本龍馬の実家である土佐郷士坂本家の8代目当主でもあります。その坂本家の累代の墓が「円山」の麓の「円山墓地」の一角にあります。本日は雪の無くなった「円山墓地」にボランティア清掃かたわらフキノトウ摘みする妻に同行して久しぶりに「土佐国山内侯家臣坂本家累代之墓誌」を拝見してきました。同墓誌を見ながら改めて坂本龍馬はじめ一族と北海道の係わりに思いをはせます。

NHK番組『おはよう北海道』。平日の朝7時45分からの番組です。
2023年3月28日(火)~31日(金)までシリーズ「画家・坂本直行の人生」を放送。
郷士坂本家の7代目当主である坂本彌太郎の次男として1906年(明治39年) に生まれた直行氏。十勝で牧場経営とともに北海道の自然をモチーフとした風景画や植物画を書き始める。当時は画材の購入にも事欠く困窮ぶりだったそうですが1957年(昭和32年)に札幌市で開いた第1回個展での成功を受け画業に専念することになります。
「六花亭製菓包装紙」。昭和36年(1961年)には帯広千秋庵(現六花亭)が直行氏のデザインした花柄の包装紙を使用開始。

「新緑の原野と日高山脈」(1978年、中札内美術村所蔵)。直行(ちょっこう)さんと親しまれた氏が数多く描いた日高山脈の絵画は特に人気です。今も展覧会では多くの人が集まります。
直行氏は1982年(昭和57年)に膵臓癌のため札幌市で亡くなります。

その坂本一族の墓が「円山墓地」にあります。

坂本一族の墓。

最も左手にあるのが郷士坂本家7代目当主である坂本彌太郎氏の建立した「土佐国山内侯家臣坂本家累代之墓誌」。
誇らしげに「土佐国山内侯家臣」と刻まれています。
郷士坂本家3代目・坂本八平直足の次男として「龍馬直柔」の名が読み取れます。当主以外に名が刻まれているのが龍馬だけなので一族にとってその名がいかに大きいのかが見てとれます。
郷士坂本家3代目・直足の次男の坂本龍馬直柔


坂本家系図(「北海道坂本龍馬記念館」より)。

坂本家が主君に差し出した『先祖書指出控』では「先祖、坂本太郎五郎、生国山城国、郡村未だ詳らかならず、仕声弓戦之難を避け、長岡郡才谷村に来住す」と記されています。戦乱を避けてやってきた土佐・長岡郡才谷村(高知県南国市才谷)で坂本家の先祖は農業を営み、6代目直益が郷士の株を買い長男・直海を初代として分家させたのが郷士坂本家の始まり。郷士坂本家3代目・坂本八平直足の次男が坂本龍馬になります。

その坂本龍馬と北海道の縁は龍馬が死の直前に至るまで北海道開拓への情熱を持ち続けたと言われること。その想いは龍馬と共に海援隊で活躍し、後に龍馬の跡目を継いだ甥の坂本直(高松太郎)から、郷士坂本家5代目・坂本直寛へと引き継がれていったそうです。
郷士坂本家5代目・坂本直寛氏(龍馬の甥)は明治28年(1895年)にキリスト系移民団である「北光社」を設立し、明治31年(1898年)に龍馬の夢を継いで一家と共に浦臼へ移住。以後、開拓と伝道にその生涯を捧げたそうです。
「円山墓地」にある坂本直寛氏の墓。

坂本直行氏は直寛の孫で郷士坂本家8代目にあたり、龍馬が新天地として夢見た北海道の自然をこよなく愛し、生涯にわたってその姿を描き続けたそうです(上掲載の岩崎家家系図、各氏写真ならびに坂本家の歴史に関しては「北海道坂本龍馬記念館」より拝借しました。同館は「函館旅行」の際に訪問しましたが見応えがありました。坂本直行氏のコーナーもありました)。

「土佐国山内侯家臣坂本家累代之墓誌」は郷士坂本家7代目当主で坂本直行氏の父である彌太郎氏が建立したもので名が刻まれているのは彌太郎氏まで。
それ以後の坂本家の一族は隣の「坂本一族ここにねむる」に安置されています。
「坂本一族ここにねむる」の墓誌。右から二人目に昭和57年(1982年)5月2日に75歳で亡くなられた直行氏の名前があります。そして墓誌に刻まれた最も新しい左端の名前は令和2年(2020年)に103歳で亡くなられたのは直行氏の令夫人ツル氏です。なお直行氏のご子息で郷士坂本家9代当主の坂本登氏、同10代当主・坂本匡弘氏は「北海道坂本龍馬記念館」の名誉顧問と顧問に就任されており東京在住とか。坂本龍馬家は後継者が途切れていますが郷士坂本家の血は脈々をつながっているようです。

以上、誰もが知る幕末の英雄と北海道との物語でした。ありがとうございます。

「環状通」沿いの「円山」の麓にある「円山墓地」。
「円山墓地」前から見た「環状通」の北方向。マンション群の右手奥が地下鉄東西線「円山公園駅」です。

「北海道坂本龍馬記念館」
所在地函館市末広町8-6  
電話番号0138-24-1115
開館時間8:00~18:00
休館日無休
料金協力金:一般(大学生含む)800円、学生(小学生~高校生)300円、未就学児無料

「円山墓地」
札幌市中央区南4条西28丁目
(2023.4.3)

最新の画像もっと見る

最近の「散策」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事