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札幌・円山生活日記

砂澤ビッキの豊穣なる迷宮世界を探訪~【特別展】砂澤ビッキ展@北海道立近代美術館~

日本の彫刻界を代表する作家・砂澤ビッキ氏(1931-89)の創造世界の深奥に迫る『【特別展】砂澤ビッキ展』が「北海道立近代美術館」で開催中です。彫刻、工芸、絵画、書などそれぞれの分野で氏ならではの表現世界を構築し今なお異彩を放つ作品群約270点を一堂に展示しています。

今日は「北海道立近代美術館」で「特別展・砂澤ビッキ展」の鑑賞です。ご存じの方も多いと思いますが「芸術の森屋外美術館」に砂澤ビッキ氏の作品⦅四つの風》があります。設置当初は4本の柱だったものが現在は3本が倒壊し立っているのは1本の柱のみです。それでも現状のまま展示されているのは「自然は作品に風雪という名の鑿(のみ)を加えていく」という氏の神髄を感じるような想いからだとか。そんな氏の“豊穣なる迷宮世界を探訪する”という展覧会を楽しみにやってきました。会期は11月22日(火)から来年1月22日(日)までです。

「北海道立近代美術館」東門。

【特別展】砂澤ビッキ展のチラシ。
“砂澤ビッキ(1931~1989)。旭川に生まれ、阿寒、鎌倉、札幌で澁澤龍彥や五十嵐広三などの文化人らと交流し、独学ながら彫刻や絵画に自己表現の道を見出した異色の造形家です。1978年から、大自然に抱かれた音威子府の旧小学校をアトリエ兼住居として、巨木と向き合い制作の幅を広げ、83年には、カナダのブリティッシュ・コロンビア州に3ヶ月滞在し、当地の木材を使って抽象表現を深化させました。86年の野外彫刻《四つの風》をはじめとして、モニュメンタルな大作を展開するも89年、57歳で急逝。蠢動するようなエネルギーをはらむ旺盛かつ膨大な作品群は、彫刻、工芸、絵画、書などそれぞれの分野で、ビッキならではの表現世界を構築し、今なお異彩を放っています。
 本展では、未発表作を多く含む木彫作品とともに絵画、素描など約270点を一堂に展覧。多岐にわたる作品群により、砂澤ビッキの豊穣なる迷宮世界を探訪します。”

砂澤ビッキ氏と言えば印象的な作品が「芸術の森屋外美術館」にあります。
砂澤ビッキ氏・作《四つの風》。当初は4本の柱だったものが3本が倒壊しています。
「自然は作品に風雪という名の鑿(のみ)を加えていく」。作品の行く末を自然に委ねようととした砂澤ビッキ氏の言葉として残されています。氏は木材作品をあえて屋外に設置し自然の作用によって変化していくことを望んでいたそうです。その作家の意向で倒壊したままにして土に還っていくまで公開するそうです。作家の強い想いが伺える作品でした。

「北海道近代美術館」の展示会場入り口。そんな砂澤ビッキ氏のエネルギッシュな作品群を鑑賞できる絶好の機会です。なお会場内は写真撮影禁止なので下掲写真はネット等より拝借です。

【Ⅰ章 触れる、動く、動かす樹】

《鷲函》 1980年。 氏は20才頃から生活のため木彫を始め旭川市内のお土産物産店に卸していたそうです。第Ⅰ章の作品群は独自の文様で埋め尽くされた木彫りの昆虫、魚、鳥、樹函類です。 

【Ⅱ章 ビッキ芸術の起点 】

《TENTACLE(迷宮)》 1983年。氏は1978年に音威子府村に移住し廃校となっていた筬島(おさしま)小学校をアトリエに制作をはじめたそうです。木材の調達が容易というのも理由だそうですが、広大な原生林と天塩川の雄大な景色を有する音威子府村の自然環境が気に入り制作にも大きな影響をもたらしたとか。 
 
【Ⅲ章 木の巨塊に触れて】

《夜歩く顔No.11》1982年。第Ⅲ章では氏の作品で一般によく知られる巨木を用いたダイナミックな木彫作品群が展示されています。

《集吸呼A》1986年。はじめは《迷宮(女)》と題されていたそうです。
  
《風》1988年。ノミの跡が荒々しい木の巨魁による抽象彫刻。 

【Ⅳ章 生活のなかの彫刻】 
 
《夜行列車》1980年。氏は自宅で使うテーブルや椅子などの家具、時計や鏡の枠などの生活用具も多数制作しておりⅣ章ではそうした作品が展示されています。アトリエのリビングでは自分の彫刻を生活に取り入れたいと考えて制作されたイスなどで寛ぐ来客も多かったとか。

《四季の面》1988年。 

《熊狩りエカシ》1974年。人気のエカシ・シリーズの一つ。大作です。 

《午前三時の玩具》1987年。多くの作品を真夜中に制作したという氏は朝3時半にはアトリエを出て外気を吸うのを日課としていたとか。作品は未明にアトリエにどこからか入ってきた蛾がモチーフだそうです。

【終章】

《祈》1989年。筆を口に咥えて描いたという最後の書。「酒」の文字が力強く感じます。

当日の静かなロビーです。
前庭の落葉。もう晩秋というか初冬です。
前庭の野外彫刻・山内壮夫氏・作《子を守る母たち》。


《ヒメリンゴ(姫林檎)》のかかる西門。以上で本日の鑑賞終了です。大変良いものを見せていただきました。迫力で見応えがありました。ありがとうございました。

【特別展】砂澤ビッキ展

会期  2022.11.22(火) - 2023.01.22(日) 

主催 北海道立近代美術館

観覧料 一般:600(400)円、高大生:300(200)円
 ※( )内は以下の割引料金です。
 ・前売料金 ・10名以上の団体料金
 ・リピーター割引料金(当館または他の道立美術館・芸術館で開催した特別
  展の観覧半券をご提示の場合。有効期限は半券に記載。)

「北海道立近代美術館」
札幌市中央区北1条西17丁目
[電話番号] 011-644-6881
[開館時間] 9:30 - 17:00(入場は16:30まで)
[休館日] 月曜日(月曜日が祝日または振替休日のときは開館、翌火曜日は休館)/年末年始(12月29日~1月3日)/
https://artmuseum.pref.hokkaido.lg.jp/knb/
(2022.11.25訪問)

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