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『花のお江戸で粗茶一服』

2017年12月21日 06時12分32秒 | 書籍
花のお江戸で粗茶一服
松村栄子
ポプラ社 2017年11月刊


やっと出た!

待ちに待ったシリーズ。

松村栄子さんによる粗茶一服シリーズ、第3弾。

「坂東巴流」という架空の茶道&弓道&剣道の流派の家元を舞台に
前髪に青いメッシュを入れた長男・友衛遊馬の成長物語。

真面目に修業~というわけではないけれど、
弓道も剣道もがんばり、茶道も弟子をとり、教えることを通じて戸惑って試行錯誤。

でも、師匠としても成長していき。

最初の2冊が1冊につき1年間というスパンで描かれていたものが、
ここにて、一気に季節が次々と流れて、ラストに至っては6年後?7年後?

思えば、第1弾『雨にもまけず粗茶一服』がマガジンハウスから出たのが2004年の夏。

もともとは京都新聞に2003年から2004年に連載された新聞小説だった。
『友衛家の茶杓ダンス』というタイトルだったっけ。

内容の時代設定も2003年だったようだ。

2004年夏に比叡山に入って、2005年秋に東京に戻り、そこからの話。

友衛家は浅草の近くにあるようで、スカイツリーからも近い。

スカイツリーが上へ上へと伸びていくのと連動するように話が進むのが面白い。

最終的には東日本大震災が描かれ、その後ちょっと飛んで、、、華燭の典?

それが2017年のことだろうか?

しっかり描かれているのは2011年まで。

小学生だった弟が大学生になり、高校生だった彼女が大学を卒業して公務員になり、
と周囲が順調に成長していく中で、
遊馬だけは「我が道を行く」的な成長をしているところが面白かった。

13年前、『雨にも~』を開いた時は

おかしな茶道愛好者が出てくるわ、巨大流派の跡継ぎ問題は出てくるわで、
結構なドタバタ劇だった。

松村さんにサインしてもらって購入した本ではあったけど、
毒気がありすぎて、ちょっとついて行けないものも感じていたっけ。

もっとも、昨年暮にラジオドラマ化されて聴いた時には少し感想も違った。→こちら

ただ茶道って、楽しい、ステキ、面白いではない、むしろ厳しくて、難しいものなのだと
自分が知ってしまったものだから、「そりゃ二十歳前の男の子が反発するのも当たり前かなぁ。でも、その中で魅力や大切さを人と交わることで気づいていく様がよく描かれている」
と気づいたからだ。

で、読み返した。こちら


それから7年、第2弾『風にもまけず粗茶一服』を読むにあたって、また読み返した。

さらに7年。
とりあえず、新刊本を読み、そして『雨にも~』続いて『風にも~』を読み返して、
今、『花のお江戸で~』を再読中。

この13年間で私自身も成長した。

○○部の活動でいろんな人と一緒に茶道に励み、自分の足りない部分に気づいて
そして、灰と炭を勉強することにした。

風炉とにらめっこして灰形の練習に励み、夏はフラフラになりながら湿し灰作りに励んだ。

そして今、自宅には篩っていない炉灰の山がある~
(とりあえず、教室に行かなくても自宅にて自力で炉灰を整える手順は覚えた~)

茶事も何度か経験したし、奥の点前のことも十段とかやってないけどどういうものなのかは
なんとなーくわかる。

だからこそ、興味深いと思えるくだりもあって、とてもいい茶の湯小説だなと思った。

三部作でこれが完結? 残念。

いつか、続編が読みたい。



(P[ま]1-2)雨にもまけず粗茶一服<上> (ポプラ文庫ピュアフル)
松村栄子
ポプラ社


(P[ま]1-3)雨にもまけず粗茶一服<下> (ポプラ文庫ピュアフル)
松村栄子
ポプラ社


(P[ま]1-4)風にもまけず粗茶一服 (ポプラ文庫ピュアフル)
松村栄子
ポプラ社


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