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Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

敦煌写経と永楽陶磁

2020年09月14日 11時40分54秒 | 美術館・博物館etc.

☆三井記念美術館 サイト
 『敦煌と永楽陶磁』 ※11月8日(日)まで 開館時間は11:00-16:00(入館は15:30)

12日に開幕したばかりの展覧会。
永楽保全をみたくて、さっそく行ってきた。

入ってすぐに珍しいもの!

絵高麗写細首備前花入 妙な名称だが、その名の通り。
金属の塊のようにも見えるゴツっとした備前焼にストローを刺したように絵高麗柄の細い花入。

 めちゃユニーク。さすが保全!

次も絵高麗写の水指。

 いずれも、絵高麗というよりペルシャデザインのサビ絵っぽい図柄だけどねぇ。

このように、展示室1は永楽保全の陶磁器オンパレード。

交趾に金襴手、湖南焼(保全が晩年、琵琶湖畔で作陶した窯)。

 湖南焼の祥瑞の茶碗が6個。(一緒の箱に納められている)
 形や柄のバリエーションが豊かで祥瑞茶碗の見本帳みたい。

桐木地の茶箱(紀州徳川家から拝領したものだっけ?)に納められた一式道具もいい。
 古赤絵写の茶碗に古三島写の茶碗、飴釉篭目写の茶器、古染付写の茶巾筒。
保全の器用さと技術の高さがよっくわかる。

交趾も見事だけど、呉須赤絵写も精巧だなぁと感心。

精密で色鮮やかな瑠璃釉金彩若松文食籠。
解説文には「善一郎時代は優品多く、その典型」とある。

ん? 善五郎じゃなくて、善一郎を名乗っていた?
いや、たしか、善五郎も名乗っていたハズ。 あれ?

気になって、帰宅してから茶道大辞典をひもといた。
それによると、保全は西村家第十代了全の養子だった。

へぇ~。養子だったとは知らなかったワ。
最初は「善五郎」を名乗り、その後で「善一郎」に改めたという。
さらに紀州徳川家から「永楽」印を拝領し、姓も改めた。
(了全も西村から永楽に姓を改めたという)

だから、永楽家の歴代を紹介する展覧会は10代からスタートしていたんだぁ。

第一展示室の後半から第二展示室に続く華麗な茶道具は
パトロンの三井家のために、ノリノリに作りました~という感じ。
(第二展示室の金襴手の天目茶碗と重茶碗は象徴的)

第三展示室(茶室・如庵の写し)は御本写の茶碗に交趾の風炉(茶釜は浄益の富士山釜)、祥瑞写の水指とため息が出そうな取り合わせ。

白蔵主の掛け軸も下の軸芯が保全。

で、第四展示室は、、、、敦煌から出土した貴重な写経の数々~
以降、ただただ写経が並んでいた。

永楽陶磁というよりは「永楽保全陶磁」だったなぁ。

和全さん、かわいそ~。

以前もここで「保全と和全」という展覧会をみたけど、華麗さが印象に残って
正直、保全と和全の違いがわからなかった。
(その半年後に香雪美術館で和全以降の永楽家の作品もみて、歴史を知った)

金襴手は和全もなかなかの技術だったという。
トーハクの本館の陶磁器の展示室へ行くと、和全の作品が多く展示されている。

三井家は特に保全の技術に惚れて多大な援助をしたから、特に保全の作品が残っていて
だからこそ、他ではお目にかかれない作品を多く収蔵されているのだろうなぁ。

だけど、保全だけなのに「永楽陶磁」と総称的な展覧会名称にしてしまうことに違和感を感じてしまった。

敦煌から出土したという写経の展示も素晴らしかった。
敦煌莫高窟の発掘って、1900年だったのね。わりと最近だったんだ~。

敦煌は家族ぐるみでわりかし好きで、1988年の奈良シルクロード博も家族で訪れたし、
高校時代に井上靖の『敦煌』を読んで、映画化された時も両親と観賞した。

納められたのは唐時代の写経だったのねぇ。(『天平の甍』を思い出す)
中には玄奘三蔵訳というものもあり、ビックリ。

どの写経も文字が本当に美しく、意味は理解できなくても漢字はどの字もわかる。
最近は自ら字を書く行為をしないので、手書きでこんなにきれいに文字を記すことに感動。
そして、その文字が書かれてから1200年経っているのに、それを読めることに感動。

そして、明治中頃に出土したものを昭和初期に入手した三井家にも感心した。

それにしても、今回の展覧会ポスターはシンプルだなぁ。
チラシに華麗な保全の陶磁器や敦煌写経の写真が写っているかしら。
記念にほしいわ~、と帰りにチラシコーナーに寄ったら、、、

残念っ!

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