
★国立近代美術館工芸館
『The備前-土と炎から生まれる像芸美』 ※5月6日(月・祝)まで
知っているようで知らなかった備前焼。
今回はその魅力を堪能させてくれる展覧会だったと思う。
構成は2つの章からなっている。
第1章は源流としての備前焼。
展示されている多くは桃山時代から江戸時代にかけての作品だったが、
古いものでは室町時代の陶板もあった。
陶板はそのものが作品ではなく、作品を焼くための下に敷いたものらしいが、
これもれっきとした備前焼。
その古さゆえか、めちゃ迫力があった。
MIHO MUSEUMや林原美術館、人間国宝美術館からの出品もあった。
MIHOの舟形花入、形は薬研。
江戸時代(17C~18C)のもので、まぁ本来は薬研で使われていたのかなぁ。
あ、でも薬研は鉄製かぁ。硬くないと使い物にならないものねぇ。
でも、それだけ備前焼は固くて、そういうものでも使えたということ?
で、古くなって見立てで花入に?
なんて、想像が膨らんだ。
種壺水指とか緋襷水指、矢筈口耳付水指といったお馴染みのものも。
茶入もよかった。
特に印象的だったのは緋襷茶入 銘「雷神」 尻膨の形。
細川コレクションの尻膨がパッと浮かんだ。(作成の際に参考にしたかも)
轆轤で作ったと思われる均整のとれたものも美しい。
緋襷四耳茶壺。(大きいのに、すごく円が美しい)
緋襷鶴首徳利もよかった。
たぶん、私は焦げ茶色の備前焼よりも緋襷の方が好きなのかもしれない。
だけど、桃山時代の徳利に釘付けになってしまった。
腹の膨らみの部分に釉薬がアワアワがくっついて、まるでカイラギみたい。
それは黄胡麻と呼ばれる珍しい現象だとか。
(胡麻は黄色以外にも種類があるらしい)
第二章は近代の陶芸家による備前焼。
(そこは近代美術館だから)
近代といっても、金重陶陽、藤原啓、山本陶秀といった早々たる顔ぶれ。
その後の世代、そして現役の作家さんも。
桃山時代の形の写しもさることながら、
新しい時代の四角く、型にはめて作ったような、キューブみたいな?ものもあり、
備前焼の広がりに感心した。

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