Akatsuki庵

日々と向き合って

茶道具の由緒・伝来

2021年07月29日 13時39分00秒 | 美術館・博物館etc.

★湯木美術館 サイト 
『茶道具の由緒・伝来』 ※8月9日(月・休)まで

夏場の短期間に開催される夏期展、実は穴場的なおもしろさがある。

五輪に伴う4連休を利用して、関西へ。

まずは唐物古銅桔梗口花入。
東山御物! 足利義政公から武野紹鴎、利休の手を経て江戸時代は佐久間将監へ。
黒塗と木地(←かなり古そう)の2つの箱に守られてきた。

大井戸茶碗「対馬」には覚書が2通。うち1通は嘉永年間(1849年)のもの。
対馬宗家から巡りめぐって、若狭酒井家へ。

仁清の色絵結文香合(平たく大きい)は東福門院に献上され、後に岡山の池田侯爵家へ。
(侯爵になってから~つまり明治時代に渡ったのか)

同じく仁清窯の水玉透皿(小皿)は後水尾院からの拝領ものという。

そして、遠州と不昧に愛された丹波焼茶入「生野」。耳が小さくて何度見てもカワイイ!

茶飯釜の本歌とされる和田国継作の茶釜、かっこいい。
片桐石州の彫銘がある土風炉。
彫銘がどこにあるのかわからなかったけど、それゆえに経緯がわかるそうで、これは珍しいそうな。
酒井日向守のための土風炉形だそうで、大西家14代浄中の鑑定書つき。

仙台伊達家ゆかりの信楽鬼桶水指、でかい!(バケツ並み)
信楽芋頭水指は本阿弥光甫作

楽茶碗は一燈作の黒楽茶碗「人丸」が面白かった。
くねっと腰をひねった形が柿本人麻呂の肖像画に似ているから?

掛け物は高野切(伝紀貫之筆)。
阿倍仲麻呂の「あまのはら~」の和歌が書かれていた。(ほとんど読めないけど)
古今和歌集は原本が現存しないので、高野切が最古の写本になるのだそうな。

遠州筆の達磨画賛には表装された消息が添っていて、そっちの方がスゴイなと思った。

茶杓では裏千家の仙叟と表千家の覚々斎の茶杓が対で出ていた。
仙叟の竹茶杓が「明歴々」 覚々斎が「露堂々」(なぜセットなのだろう?)

湯木美術館のチケットは最近、目にしていない(←年間会員になったので)けど
半券の写真にも使用されている重文の黄瀬戸福字鉢も出ていて、
黒塗りの丸い箱に感心した。

乾山の銹絵染付春草文蓋茶碗は10客セット。
この10客を納める箱が残っているらしく、長方形の蓋だけ展示されていた。
元の箱が遺っているのも珍しいのだそうな。

大正時代のもので、バカラ社に作らせたギヤマン丸鉢。
野村美術館にもあるけど、ほんと大正ロマンだよなぁ。

最後は利休所持と伝わる黄瀬戸建水「大脇指」。
建水というより小ぶりの水指で使えそうな。
なんともいえない迫力を醸し出していた。

ただ漫然と茶道具を鑑賞しているよりも
時代背景やら道具の由緒や由来を知識として持っていると鑑賞の楽しみが倍増するので、
いいなぁと思った。

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