Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

お茶で季節感

2008年11月02日 08時03分13秒 | 講座・講演・研究会
 公開講座『お茶に学んだ豊かな季節』
 講師はエッセイストの森下典子さん。
 朝日カルチャーセンター・横浜教室にて。

 当ブログでもたびたび紹介するエッセイ『日日是好日』の著者による講座を聴講。
 
 教室に入ると、ちょっとした茶席に似た設え。


 短冊がちょっど霜月になったばかりの11月1日にピタリとハマる。
 「楓葉経霜紅」(楓葉は霜を経て紅なり)
 少し季節を先取りした吹き寄せの茶碗と蔦紅葉の蒔絵が施された棗。
   

 講演会というよりは、気楽なアドバイスといった感じ。
 26人した受講者は1名を除いて女性。
 たぶん、全員が『日日是好日』を読んで感動したから聴きにきたと思われる。
 意外だったのは、ほとんどが茶道を習っていないということ。

 お茶の稽古に行くと、茶花や掛け軸、道具や和菓子で季節を取り入れられる。
 そのうちに道を歩くと野の花に目が行き、季節を感じられるようになります。

 さぁ、今日は野の花を採ってきましたから、生けてみませんか?
 という流れ。 
 挙手した数人が茶花を生けられるということで果敢に挑戦してみた。
 
 姫沙羅(夏椿)の照葉に小菊。
 2種でもよいけど、ちょっと寂しいからアクセントに梅もどき。

 五感を酷使できて、季節感を味わえるのはやっぱり和菓子です。
 上生菓子を4店舗から8種類、干菓子をお取り寄せで2種類用意して下さった。
 
 今日(11月1日)という日の季節を考えて選んだ菓子。
 説明を聞いていて、いちいち感心。

 上生菓子は1つだけいただけるので、「埋み火」を選んだ。
 

 外側は黒豆のきんとん。炭をイメージし黒いんだけど、割ると“火”が。


 お味もよし。
 (こんど、このお店に行ってみよー!と即思った)

 干菓子は仙台の九重本舗玉澤の「霜ばしら」
 ちょうど霜が降り始める今時分から冬季限定で販売されるそうだ。
 
 口にして、サクッとした食感に「うん!」。
 霜柱を踏んだ感覚が鮮やかに蘇った。

 もう一種は富山の五郎丸屋の「薄氷」 
 
 こちらもパリンと割れる食感がね、記憶を読み戻す。

 そして最後に薄茶を点て出しでいただく。
 楽しい90分間だった。
 
 隣に座っていた年配の上品な御婦人。
 大切そうに本を脇に置き、茶花も入れて、
 「本に載っているお菓子を同じ」とうっとりしながら、日本橋・長門の柚子饅頭を召し上がっていた。
 思わず、「お茶をされているんですか?」と聞いてみる。
 そうしたら、「いえ。若いときにお嫁入り前に少し。でも、午後のお茶の時間は和菓子に抹茶と決めていますの」

 確かに、今回はそんな感覚の受講者がほとんどの模様。
 ちょっと意外に感じた。

 というのは、『日日是好日』が出版された2002年1月のことで、飛鳥新社から出て、書店では茶道の棚に配置されている。
 だから、お茶をやらない人の目には触れにくい。
 常々、「もったいないな」とは思っていた。

 それが昨日(11月1日)に新潮文庫として、再発売になった。
 これで、一般の方にも読んでもらえる機会が増えてウレシイ。

 講座を終えて、下の書店に寄って、つい購入。
 (単行本持ってるけど、499円だったし、解説もついてるし)

 解説を執筆した柳家小三治師匠も同じことを書いていた。 
 2年前、朝日新聞の読書面に「たいせつな本」と題して、このエッセイを書いていらした。
 発売から時を経て、書店も見つけにくくなっていたし、「へぇ~。落語家さんが」という違和感もあって、意外に感じながら読んだっけ。
 高座でも朗読されることがあるらしい。

 改めて、『日日是好日』を読み返してみたい。

 ☆おまけ
 講座で入れた茶花、そのままいただいた。
 立冬まではまだ「秋」だから、籠でもよいらしいとのこと。
 帰宅して、有馬温泉で買ったミニ宗全籠を取り出し、ちょっちょっと入れた。
 (そのままだとバランスが悪いので、花鋏を入れて調整)
 
 華道の稽古は10年近くやったけど、茶花はまだまだやなぁ。
 (そっちの稽古までは手が回らず、せいぜい花月稽古の時にやるしかないのが現状)
 
 
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おいでくださって、ありがとうございました! (森下典子です。)
2008-11-10 14:03:40
朝日カルチャー横浜教室の講座を受講してくださり、ありがとうございました。たまたまこのブログを拝見し、ご感想ありがたく読ませていただきました。
 お茶の経験のない方を対象にした講座でしたので、Akatsuki庵さまには物足りなかったのではと思いましたが、90分を楽しんでいただけたとのこと嬉しうございます。
 お花の写真もきれいですね。
 帰りに文庫本を買ってくださったとのこと、本当に本当にありがとうございます。
 このところ急に寒くなりました。風邪など召しませぬよう、ご自愛くださいませね。
            
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こんにちは (Akatsuki)
2008-11-11 06:59:47
森下典子さま
 こちらこそ、ブログにいらしていただき恐縮です。
 とても楽しく、興味深い講座でした。
 ブログには「意外」が3度も登場していますが、『日日是好日』は茶の湯仲間での間でも絶大な人気がある本だから。
 今回参加してみて、お茶をやっていない人が読んでも共感できる内容だったということに、感動しました。
 いただいたお花、小菊はまだ元気ですよ。
 本当に自然の草花の底力?はスゴイ。
 続編、期待しています☆。
 今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。
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