Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

露地清晨

2021年03月22日 06時02分00秒 | 美術館・博物館etc.

★北村美術館 サイト
 春季取り合わせ展『露地清晨』 ※6月6日(日)まで ※四君子苑の春季特別公開は4月13日(火)~18日(日)

今回のテーマは露地ということで、展示室に入って右手奥のスペースには露地を再現したような雰囲気。

扁額「かぢの屋」(←たぶん、いつもはなかったような気がする)は中川一政の筆(らしい)。

ほか、石清水八幡宮の灯籠や石塔(大宰府宝満山から出土)も。
掛物は対で向かい合う孔雀文の水鉢を拓本したもの。(実物が展示室まで移動できないから?)

寄付は円山応挙筆の蝶が描かれた短冊。(蝶がかわいい)
香合は時代菊紋錫縁(鎌倉時代)に硯箱は重文の夕顔蒔絵金具入(団家伝来) ←団伊玖磨も系統に連なるという「団」家とのこと。
南京赤絵の花蝶紋の汲出碗に時代縞柿の煙草盆、古染付の御所車の火入(能家所蔵) ←能家とは金沢の呉服商で幕末から大正を生きた能久治が所蔵していたらしい。

場所は離れていたけど、腰掛待合の設えを表現した展示もあった。
掛物が嘉禎3年銘の六角形の灯籠火袋大日如来(重要文化財)の拓本。
ちなみに嘉禎3年は西暦1237年らしい。鎌倉時代中期って、あたりか。
煙草盆も絵唐津の火入もシブかったなぁ。

なぜか大きなかけた鬼瓦のようなものが置いてあった。(露地=外をイメージしているから?)
「鬼瓦のようなもの」は方広寺の大仏殿の鎧瓦(文禄4年銘)とのこと。
豊臣秀吉ゆかりの方広寺。西暦1595年。秀吉の晩年。利休さんは切腹した後の時代。朝鮮出兵のあたりかぁ。
発掘調査とかされる前に掘り出したものなのだろうなぁ。こういうものがあるのが京都ダ。

そして、腰掛待合ということで真新しい円座も。(讃岐の材料で作ったらしい)

広間の掛物は近衛信尹(のぶただ)の夏日詠(牡丹花倭歌)
「いろもかもつきせぬ宿のふかみくさ ふる里ひさしく伊久世栄えん」。
信尹サンは安土桃山時代から江戸時代初期を生きたお公家さんで大河ドラマ『麒麟がくる』にも登場した近衛前久の息子。
(やはり秀吉つながりの道具組?)

花入は複雑な形と編み方がきになる唐物の色絵四神籠。
与次郎作の四方無地の釜に宗品作の奈良土風炉。
水指は菱馬手の林和靖図(形は馬が向かい合っている意匠が多い菱形。でも、表は馬ではなく松と聖人が描かれている)
茶器は唐物の驢蹄口(箱書は遠州) 仕覆は鶴ケ岡間道に富田金襴、笹蔓緞子。(仕覆で知る茶入の格の高さ)
茶碗は光悦作の黒楽 銘「東」。 白地唐草紋更紗の出帛紗がステキ。
茶杓は遠州。

ということで、この茶席は江戸時代になったばかりの頃、寛永の手前あたりをイメージしていて
安土桃山時代の栄華をしのびつつ、江戸の平穏な暮らしが到来したことを喜ぶ~という感じなのかなと想像した。

続き薄茶の趣向で、薄茶器は一閑作の溜中棗、替茶碗は中川一政作の行基焼(銘 卯の花)ということで、濃茶の雰囲気を一変させていた。

懐石は魯山人の備前焼の焼き物皿がどーん、永楽保全の染付半開扇形の向付、同じく保全作の青磁の蓼汁入と小さな匙。←カラフルでめちゃかわいい。

いつもながら、渋いというか難しい展示内容で、鑑賞している時間はそんなに長くないんだけど、
帰宅してから、目録を眺めながら、そこに書いた自分のメモを読んで一つ一つ思い浮かべながら、このblogを書くことがとても勉強になるなぁ。

今回は「能家」について、久しぶりに茶道大辞典を引いたし。

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