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Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

三溪園

2008年08月09日 08時52分23秒 | 茶室
夏の特別公開中(建物)※8月17日(日)まで

ここを作った原三溪さんは明治・大正から戦前の昭和にかけて活躍した実業家でもあるけれど、数奇者・近代茶人としても有名。
だから、三溪園にも味のあるお茶室がいくつかある。
先月来、ちょっと古い建物を見物することに楽しみを見い出し始めていることもあって、炎天下だけど行ってきた。

実はここを訪れるのは3度目。
初めて訪れた時は、たしか春の建物公開の時期だったと思うのだけど、「へぇ~」だけで終わり、退屈して早々に退散した。

2度目は5年前の春の横浜大茶会。
5席すべてに入るために大忙しだった。
着物だったこともあり、とにかく「次へ次へ」の気持ちが先行して、建造物を注目する心の余裕はまったくなかった。
※参考 思い出の茶会

今回、まず踏み入れたのは横浜市有形文化財の「白雲邸」。
最初に入ったお席だったわ~。
へぇ~。通常では入れない場所だったんだぁ。

次に入ったのは、重要文化財「臨春閣」。
ここで濃茶席と、3席分待った薄茶席に入った。



「古いなぁ」とは思ったけれど、紀州徳川家の開祖の徳川頼宣さんのものだったとはねー。
こんな文化財で、よくまぁ大茶会をやるもんだ。
太っ腹~と感心。


続いて、山を登って「月華殿」へ。
ここもお茶会で入った席だけれど、茶会以外で一般公開されるのは初めてなのだとか。
「へぇ~」と、改めて当時は“猫に小判”状態だったなぁと苦笑した。
(間取りはこちら

月華殿の隣には小間の草庵が。
一畳台目の「金毛窟」。
外から中をのぞき込んで、狭さに驚く。

原三溪さんが建てたもので、文化財指定は受けていないとはいえ、味のある茶室で、それなりの年数は経っている。
が、これは「有料貸出施設」。間取りはこちら

うわっ。
こんな狭いトコロを借りるヒトがいるんだろうか~?
などと思いつつ、坂を下る。
聴秋閣春草廬は春と秋の公開なので、外観を観るのみ。

徳川家光と春日局ゆかりの聴秋閣はいい感じだけど、茶の湯とは関係ないから、未練なし。
ただ、春草廬は織田有楽斎の茶室だからねぇ。
観たかったなぁ。

(左側が春草廬)

続いて蓮華院を見物。(間取りはこちら

土間も待合にちょうどよく、使いやすそう。
六畳も横に使って、「へぇ~。これなら10人前後のお客様をゆったりともてなせるな」と使い方に感心した。

おっと。
小間の茶室が二畳中板で逆勝手向切だぁ。


八炉の稽古で頭の体操がてら稽古したこと、あったかなかったか。
本当にこういう配置の茶室があったんだね。

あまりにも熱心に観ていたせいか、ここでシニアボランティアのおじさんと仲良くなる。
なんでも、この小間の茶室は原三溪さん一番のお気に入りだとか。
すごーく親身にしている、もしくは気に入った人しか、この小間でもてなさなかったそうで、故に招かれたお客は大変な名誉(?)だったとか。

話が弾んだついでに、「今回は春草廬が見学できなくて残念だった」ともらすと、「なら~」と一緒に戻ってくださって、春草廬を見せて下さった~。
ラッキー。
三畳台目だぁ。
如庵とはまた違ったユニークさでいいねぇ。


別名「九窓亭」ともいうようだが、確かに9枚窓がある。
配置がユニークで面白かった。

ちなみに、「腰掛待合もいい感じだなぁ」と思ったら、「あれは後から付け足したもの」だとか。


いったん、内苑入り口に戻る。
鶴翔閣では点心食べて、立礼席に入ったなぁ。

ちょっと休みたくなったので、記念館に入り呈茶をいただく。

御園棚はあったが、お点前はなし。
 

特別公開の建物は見物し終わったが、案内図を見ると、ほかにも横笛庵とか林洞庵など茶室もあるので、一応外から見る。
(いずれも貸出施設)

もともとほかにも移築した貴重な建造物はあったようだけど、戦災で焼けてしまったようで、残念。
(なにも庭園まで爆弾落とさなくてもいいのに)

などと思いつつ散策して、半日たっぷり使っての見学となった。

原さんはお茶人だけあって、茶道の催しも多いみたい。
今月も夏休みの子ども対象のイベントが予定されているが、既に予約は満杯。
(担当はお裏さん)

8月17日には横浜大茶会(10月24日、25日)の茶券予約が開始される。
詳細はこちら

なお、今晩(8/9)の夜10時から、テレビ東京「美の巨人たち」で三溪園が取り上げられるので、お見逃しなきように。 番組サイト
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楽さんの茶室

2008年08月06日 06時38分09秒 | 茶室
佐川美術館(滋賀県守山市)内の楽吉左衛門館

きっかり1ヶ月前の9時半に電話をかけ、予約を取った。
(私はすんなり通じたけれど、友人はなかなか繋がりにくかったらしい)

大阪方面から青春18きっぷを使って、新快速に乗り込む。
守山駅からはバスで。
1時間に1本しかない。
(事前に時刻表を調べて綿密に計画を立てることが大事)

10時の回に予約していて、9:40頃に現地到着。
うだるような暑さにぐったり。
遠目に水没するような茶室が見えた。


15分の待ち時間で大急ぎで楽さん以外の展示を見る。
特別展で葛飾北斎の『富嶽三十六景と富嶽百景』がとてもよかった。
(今までも風景画の浮世絵はよく観てきたけれど、量が多くて質もよく堪能)

で、楽さんの茶室もチラッと“予習”。

わくわく。

いよいよ時間に。
集まったのは9名。
団体予約ではなく、2名ずつの個人申し込みの方ばかり。
お茶をやっている人はいなそうで、単なる興味。建築関係とおぼしき人。
年齢層もバラバラで、総合的な人気の高さを伺えた。

正月に来た時は素通りした茶室入り口に足を踏み入れた。

「守破離」の扁額がまぶしい(?)

思えば、このブログでも随分取り上げたなぁ。
テレビを観たとか、雑誌に特集されたとか、コマーシャルに登場したぁ!とか。

でも、夏と冬とじゃ風景がガラリと変わる。

夏はこんな感じ
 

冬来た時はこんな感じ


冬に来た時に「次は茶室を見たい!」と思って、夏を待っての再訪だった。

お茶室についてのリポートは悠さんがとても詳細に書いているので、こちらも参照されたし。

オーストラリアの枕木を敷き詰めた露地とか、やたらと暗い一番底にある寄付は最初はちょっとびっくりした。
思わず、「“落とし”は炭を継ぐ仕様になっていますが、換気は大丈夫なんですか?」と質問しちゃうほど。
水屋も見学したかったけれど、そちらは立入禁止。

水露地を経て、腰掛待合へ。
水底から見上げる空間は外から見るとこんな感じ。


地べたの蹲にはちょっとびっくり。

(チケットを見たときは炉に釜が懸けてあるトコロかと思ったヨ)

履物を脱いで、くぐり戸を抜け、小間の茶室「盤陀庵」をにじり口から見学。

鱗板が見えたので、すぐに如庵と同じ構成だとわかった。
(三畳半、下座床、本勝手切。ただし、有楽囲いはなし)

採光の妙が美しい。
ちょうど朝茶事が終わるくらい時間帯だったのだけど、真夏なのに優しい光が心地よい感じ。

コンクリートの打ちっぱなしは木目をつけて、外から内部へ入るまで幅をだんだんに細くして“厳しさ”を表現したという壁もいい効果。
越前紙の壁とのコントラストもステキ。

そして、地上の広間「俯仰軒」へ出る。


冬は草が枯れていたので、外からでも内部が見えたけど、夏場は葦(あし)と蒲(がま)が繁っていて、あまり内部が見えない。
内部からも“外野”の煩いところは見えず、いい景色だけが見えた。

八畳の外側を四枚の畳で囲った計十二畳分のスペースしかないのが、意外だった。
外から見たら、建物の大きさからして、もっと広いのかと思えたからだ。
小間の部分の上部は採光のための吹き抜けになっているためかもしれない。

天井を覆う煤竹も圧巻。
八畳を囲う持ち上げの襖も。
ただ、「現代の茶室」とうたいながら、高さのサイズは利休時代と同じにしてあるので、随分と高さが低い。
そこが使い勝手的にどうなのだろうか。。。と思った。
(「現代」と強調するならば、サイズも現代人の使い勝手に合うようにしたらいいのに)

外にも伸びるアフリカ・ジンバブエ産の石の道。
この道を伝って、一般の人が茶室に入れるのはいつの日か。


私も茶人の端くれなので、面白い、しかも現代に造られた茶室を見ると、やはり見るだけではなく、「ここで茶の湯をしたい!」と感じるし、使い勝手の方に興味が行く。
今はまだ佐川の関係者しか使うことがないこの茶室、一般の人でも参会できる催しをやってほしいなぁ。

茶室見学の後で展覧会を観賞。
1月に来た時はものすごーく感動して、このブログでも2回に分けて紹介した。

前編はこちら
後編はこちら

前回、あまりにも集中してよく見たせいか、今回は「あれ? 展覧会名は変わっているのに~」と拍子抜け。
ほとんどが見覚えのある茶碗で、ラインナップはあまり変わっていないのではないかと思われた。
(数個は新作出ていたけど。特に水指は菱形だったので、これは明らかに違っていた)

あと、下に鏡を置いて、高台も観賞できる工夫が加わっていたかな。

場所も遠いし、茶室見学もなければ、そうそうリピーターできるトコロではないかなーと思いつつ、外側を散策して帰路についた。
(守山から関東までは鈍行を乗り継いで、半日がかりの帰京)
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旧朝倉家住宅

2008年07月25日 10時18分33秒 | 茶室
※東京都渋谷区(代官山近く) 見学料100円 サイトはこちら

都心に大正時代の木造和風建築が現存!?
関東大震災と戦災をくぐり抜けたなんて、奇跡~。
平成16年に国の重要文化財指定を受け、区が管理することになり、最近一般公開された。
(朝倉サンは元はあの辺りの豪農だったみたい。戦後に売却され、いろいろあって某省庁の会議所として使われていた)

先日の旧高取邸と雰囲気が似ている。
高取サンの方が豪華。
たぶん、文化財指定受けるまでは“現役”だったせいか、広間は照明やクーラーなど設備はあって、ちと残念。

お目当ては茶室。
縁側から見学したが。
うーん。
間取り図には「茶室」って書いてあるが、おそらく違うなぁ。
確かに、中庭には飛び石や手水鉢があるけど、むしろ隣の和室がお茶をいただく部屋だったのでは?
と思えた。

むしろ二階の端の二間が茶室と水屋の関係。
茶事に使われていたのではないかと推測。

こうして、実際に人が住み、茶の湯を楽しんだ空間を見て、使い勝手を想像するのって、楽しいナ。
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茶室のある邸宅

2008年07月20日 01時40分06秒 | 茶室
先日、唐津を訪れた際、旧高取邸(国指定重要文化財・旧高取家住宅)も見学した。

明治・大正時代に数々の炭鉱を開いて財をなした高取サンの邸宅。
海岸沿いにドーーンと風格を漂わせて建っている。
1905年(明治38年?)に建設され、昭和初期まで増改築が繰り返されたという。

中庭を中止にくるりと取り囲むように建物があるのだが、中庭がすごい!
大玄関の裏側が腰掛待合になっていて、中門があり露地になっている。

見取り図を見て、「茶室」があったので、これは観に行かなくちゃ!
と順路をめぐるも、入り口とは対角線上で反対側。
辿りつくまでが長い長い~。

途中、座敷の次の間で“水屋にある炉”(←名称ド忘れ~)らしきものを発見。
友人が板をめくり、一同「おぉ~炉だぁ」と感心。

見取り図上では「居間」となっている四畳間も「茶室」として使えるようだ。
廊下の反対側は押入れが水屋になっていた。
(ただし、水場はなく、甕に水を貯めて使う仕様?)

さらに進み、本当の茶室「松風庵」に到達した。
こちらは四畳半に床の間に脇床。
円窓あり、にじり口あり、貴人口ありと“盛りだくさん”。

廊下が水屋になっていた。(水道らしきものあり)
「こういう間取りも効率的だなー」と感心した。

茶室内には入れず廊下から見学するだけ。
隣の縁側からは腰掛待合と飛び石と露地が見えた。

「優雅でいいなぁ」と思った。

ちなみに、友人の一人が「公開されるまえ、2階の大広間で開かれた大寄せの茶会に参会したことがある」と話してくれた。

2階は風も通って、眺めも素晴らしく「いい時代にいい経験したね~」てな感じ。
ほかにも能舞台もあるし、装飾品や細工もステキだし、洋館もあるし~。
ただただ感心して、スタート地点に戻ってきた。

京都の町家に宿泊した時も感じたけれど、築100年くらいの日本家屋って、本当に味があっていい。
明治・大正・昭和初期の味わいが実に良く出ていた。

また、明治維新で一時は廃れた茶の湯をこの頃の素封家たちが盛り立てていく雰囲気がなんとなく実感として、味わえてよかった。

東京では素封家たちが買い漁った茶道具類のコレクションを観るのが専ら。
実際の暮らしの中に息づいてないというか。

次に東京の五島美術館や畠山記念館あたりで茶道具を観賞する折は。この旧高取邸の優雅なお屋敷をイメージして観たら、当時の茶の湯の世界が想像できるかも。
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暮らしの中の茶室

2008年07月17日 09時44分10秒 | 茶室
昨日のNHK「スタジオパークからこんにちは」にエッセイストの麻生圭子さんが出演されていた。
「京都での町家暮らし」をテーマに夏に涼を求める工夫を語っていた。

内容に関しては、昨年出た著書『茶わん眼鏡で見た、京の二十四節気』で既に知っている。 ※こちら
映像も過去の番組で見たことがあったが、改めて話を聞くと「こういう生活もいいなぁ」と思ってしまう。
もちろん、たいへんなことはわかる。
実際、自分には務まらないことも、よっくわかっているけれど。

荒れていた四畳半のお茶室を一生懸命にきれいして、登録文化財に指定されるまでに再生したエピソードには感動。
見事に侘びた雰囲気がステキ☆
庭には腰掛け待合につくばい、露地もあって超理想的。

やっぱ、こういう暮らしに憧れる。

現実とは真逆の暮らしだしなぁ。

★麻生圭子さんのブログはこちら
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貞恭庵

2008年05月25日 06時57分20秒 | 茶室
徳川家の菩提寺の一つでもある芝・増上寺の墓所の隣に、皇女和宮ゆかりの茶室「貞恭庵」がある。
ひょんなことから、月釜が懸けられていることを知り、さっそく伺ってきた。
MIHO企画

増上寺では2005年11月に催された大寄せ茶会の折りに訪れた。
お客様誘導として、広い境内を石段上の受付クローク→大殿(男性スタッフだけによる立礼席)→景光殿(濃茶席)→貞恭庵の脇を通って→増上寺会館内の光摂殿(茶箱席。壮麗な天井絵の下で女性スタッフだけで行われる茶席はまるで江戸城大奥のような雰囲気だった)→点心席→受付クロークへとご案内した。
一席あたり約50人を誘導して歩くので、ツアコン気分だったが、それもよい経験だった。
一通り案内すると3時間近くかかる“大ツアー”なので、午前中は1回添乗して終わり。午後は貞恭庵の前の立ち誘導として、最後の組が通過するまで立ち続けた。
茶席内は床荘はしてあるものの、お客様が立ち入らないように番をするのがお役目。
なので、まだ“現役”で使える茶室とは思っていなかった。

そんな興味本位もあって、2年半ぶりに再訪した増上寺は改修工事中。
勝手知ったる(?)境内ゆえ、近道をして懐かしい貞恭庵へ。
四畳半切りの上座床。
にじり口はなく、貴人口のように一面が縁側のように開放されている。
かわいらしくて明るい茶室だな」と思った。

工事中の上、天候の影響もあってか、昨日はお客様の数も少なかったようで、私が訪れた時は一人で一服いただいた。
(点前座の設えはしてあったが、一人ゆえ点前はなし。大勢だと点前があるようだ)

席主さんの「茶室に風を通すためもあって月に一度、お茶を差し上げています。ここでゆっくりしていただければ」という言葉通り、ゆったりした時間を過ごした。
都会のオアシス。

ところで、立ち誘導していた時から疑問だった事をお尋ねした。
「そもそも、この茶室はどこから移されたのですか?」

明治維新後、和宮様が江戸城を出て一度は京都へ戻った後で再び東京へ居を移した際の邸内にあったものを移築したのではないかとの事。
もともと、歴代将軍の霊廟はもう少し北の敷地にあったのだが、戦災の影響もあり、戦後に発掘調査をした後に、墓所など移転しそうで、その際にこの茶室も一緒に移築された記録はあるのだそうだ。
かと云って、最初から霊廟脇にあったとは考えにくく、その前の場所を辿っていくと~。と、その記録はないみたい。
いずれにしろ、戦火の中を残った貴重な遺構であることには変わりがない。

2年半前も誘導チーフさんに同じ事を質問したら、「江戸城じゃないの?」と適当なことを云われてしまい、やっと積年のギモンが少しは氷解した。
実際、中に入ってみるととても生活観が感じられる空間なので、おそらく和宮様はここで日常生活の場の一つとして、ここで時間を過ごされたことが推察できる。

来月は6月21日(土)。
余裕があったら、再訪してみたい。
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透明な風炉

2008年05月18日 00時02分27秒 | 茶室
※ここしばらくは日記的な内容です。

昨日の話。
夕方近くに六本木の某茶室にて“本番”に臨むため、3時過ぎに六本木に降り立つ。
ちょっと時間があったため、ギャラリー間へ。
杉本貴志さんの『水の茶室・鉄の茶室』をもう一度観たくて。
もう一度、水の茶室を見たかった。

前回観た時は平日昼間でしかも土砂降りの天候。
見学者は極めて少なく、本当に静寂の中を(ほぼ)一人でこの茶室と向き合った。
BGM代わりに激しい雨音を聞きながら茶室の水の流れを見たため、余計に感動したのかもしれない。
が、今回はとても見学者が多かった。
しかも、茶の湯の世界とは全く関わりのない方々がほとんどの模様。
(あちこちで展覧会が紹介されたから、あの幻想的な水の壁を見に来た人が多かったみたい)
だから、前回ほどの感動はなかった。

鉄の茶室も含め、両方の茶室に入り、正客の席に座ってみる。
前回は「鉄の茶室」の茶会に参会できた。
(ちなみに、残りの茶会は「水の茶室」のみの開催となるらしい。見学者の人気も断然「水の茶室」の方が多かった)

ところで、気になったのは“広さ”について。
いずれの茶室も「和室の二畳よりは、たぶん広い」と感じた。
先日、一畳台目の小間に入った感覚もまだ頭に残っている。
京間の二畳よりも確実に広いはず。
やはり、圧迫感を感じさせないための設計なのだろう。

そして気になるのは、何といっても灰形!
水の茶室に据えられた透明の道安風炉は相変わらずステキ。
耐熱ガラスかアクリルか。
灰形を整えた方もプレッシャーだったろうなぁ。
今回は炭が入っていなかったのが残念。

よくよく目に焼き付けて、茶室を後にして“本番”の場所へ向かった。
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小間の茶室

2008年05月15日 00時34分09秒 | 茶室
先週のこと。
京都へ行った時、「ちょっと惜しいことしたかなー」ということがあった。
それは野村美術館から蹴上駅に向かうため、南禅寺を通った際にたまたま金地院の前を通りがかった。
と、「小堀遠州の八窓席 特別拝観中」の張り紙が。
「おっ!」と思い、一旦は入りかけた。
しかい、次の拝観時間まで1時間近くある。
後のスケジュールとか新幹線との兼ね合いもあり、結局パスした。

この日は既に橋本関雪記念館で遠州好を写した茶室を拝観していたしね。
気分的には「今日はもう遠州はもういっか~」。

あれ?そういえば、、、
少し前、小堀遠州展で現家元が作ったプラチナ茶室の利庵(三畳台目)を観た時、「八窓席と同じだなー」と思ったっけ。
そっか、遠州作だったのか。
先祖に倣ったのか。。。(と、今更ながら思う)
と、気が付けば「やっぱ、観ておけばよかったなー」と思ったりして。
(毎年、GWには公開しているようなので、来年見に行こう)

ちなみに、八窓席の間取りを覚えていたのは、写しの茶室に入ったことがあるから。
最初は正客の位置に座り、次の機会は亭主として点前座に座った。
それ故に、頭で考えずに体全体で茶室が理解できたのだろう。

外から見るだけだったり、本で参照するだけでは、本質は理解できないのかな、とも思う。
茶室は入ってこそのものなのかもしれない。
(特別拝観をパスしたのも、「見るだけだしなぁ」とも考えたから~)

先日、大佛次郎記念館春の茶会の帰り、横浜の元町通りの茶道具屋へ寄った。
(あるビルの3階にある。2階は紅茶専門店「SAND GLASS」で私の元町通りフリークの際には定番の立ち寄り処となっている)
店舗面積は広くはないのだが、脇に茶室がある。

なぜかここへ来ると、店主と話が弾んでしまい、茶室に上がってしまう。
この前は手前の一畳台目の茶室が片付いていたので、中へ入らせてもらった。
同行の友人が点前畳、私が客畳に座った。
一畳台目の茶室に入ったのは初めての経験で、なにやら不思議な世界。

狭いけれど、圧迫感はなく、なぜか落ち着く。
向切の炉は既に閉じられていた。
「これって、風炉で使う茶室じゃないよねぇ」と、友人と話しながらも、でも風炉を据えても茶の湯を楽しみたいような。。

やはり、「入ってこその理解。座ってこそわかる良さ。(そして、茶事をしてこその真の深み)って、あるよなぁ。。。。と痛感?

これから先の茶の湯ライフにおいて、様々な小間の茶室と出会うはず。
有名な席ほど、実際に入る機会は少なくなるだろうけど、想像力を働かせながら、その深いところを理解していきたいと思う。

※オススメの本
 『すぐわかる茶室の見かた』 前久夫著 東京美術 2002年 ¥1,890
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水の茶室・鉄の茶室

2008年04月22日 00時05分00秒 | 茶室
『水鑯 杉本貴志展 水の茶室・鉄の茶室』
ギャラリー・間(南青山)
※5月31日(土)まで(日曜・月曜、祝日は休館)

☆補記はこちら

杉本さんはかつて、裏千家の故・伊住宗匠と茶美会の活動をされていた方。
内田繁さんも参加された鼎談も聴いたことがあるので、興味深く出かけた。

まず、「鉄の茶室」。
内田さんの受庵と同じ二畳で「雰囲気がよく似ている」とまず思った。
が、茶会に参会できる機会を得て、中でしばらく時間を過ごして印象が変わった。

初めての二畳茶室体験でもあったが、不思議と落ち着く。
わずが二畳に客が5人と亭主、半東の計7名が入ったのだが、不思議なことに狭く感じなかった。

鉄の壁も細工が施してある効果もあるだろうが、圧迫感も感じなかったし、鉄風炉に炭で沸かした釜で点てていただいた一服の茶は本当に美味しかった。
雲龍釜も渋かったし、了入作の黒楽でいただけたのは超ラッキー。

「茶室」とは中で茶の湯の時間を過ごしてみて初めてその良さがわかるものなのだなぁと、感じた。
(カメラを忘れてしまったので、観たい方はこちら

次に「水の茶室」。
今まで見たことがない、不思議な空間。
天井から滴り降りてくる水の雫が壁を作っている。
思わず「これはどういう構造ですか?」とスタッフさんに質問してしまった。

ピアノ線を張り、特別な“水”を一滴ずつ流している。
一度、ピアノ線に吸い付くを塊となったまま下まで伝って下りていく。
(下におちた“水”を巡回させている)
目の錯覚もあり、ピアノ線が動いて水滴を上から下に運んでいるようにも見え、それが何十本、何百本もあるのだから、圧巻だ。

そして、中の道具組にも驚いた。
風炉が透明なのだ。(耐熱ガラスなのか、アクリルなのかは不明)
灰形が丸見えで、すごい。
その中で赤々と燃える炭がとてもきれいだった。
(炭の継いである景色も丸見えだから、これもスゴイ)

水指も側面が照明による光を発していて、不思議。
(この中でも茶の湯の時間を過ごしてみたかったナ)

カメラを忘れてしまったことが悔やまれる。
(なので、余所様のブログを参照して下さい↓)
 その1
 その2
 その3

一見されることをお勧めしたい展覧会。

※日祝日は休みなので、お勤めされている方には行きにくいかもしれないが。
行くならばお茶会がある日がオススメ。
 今月中はもうない。来月は5月10日(土)、5月16日(金)、5月23日(金)
5月28日(水)の午後に開催される予定。なお、会費は無料。
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自宅に茶室!?

2008年04月17日 08時00分00秒 | 茶室
『自宅に茶室をもつ贅沢』
週刊朝日4月25日号 グラビア(P151)

多少なりとも茶道をたしなむ者にとっては、「自宅に茶室」は誰でも考えるもの?
貧乏茶人にとっては、高嶺の花、憧れの存在。
5つの茶室が紹介されているが、どれも素敵で「はぁ~」とため息が出る。

二畳分の畳を敷くことで、なんとかなるかもしれない。
だけど、理想としては三畳台目出炉の上座床がいいなぁ。

このグラビア、残念なのは間取り図がないこと。
ここら辺が「お茶をやらないヒトの机上の空論」的なオチになってしまうんだよなぁ。

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銀閣寺・東求堂同仁斎

2008年04月04日 00時38分22秒 | 茶室
銀閣寺「春の特別拝観」
※5月18日(日)まで

 http://www.shokoku-ji.or.jp/information/news/080315.html

 銀閣寺へは高校時代に一度行ったきり。
 正しくは東山慈照寺(とうざんじしょうじ)ということを初めて知った。
 通称名ともなっている、かの銀閣(観音堂)は現在修復中。
 約2年かかるのだそうな。
 その代わり?なのだろうか。
 初の試みで東求堂の同仁斎で室町時代(創建当時)の書院飾りが再現された。
 そして、公開中。

 同仁斎は小間(四畳半)茶室の原型だもの。
 「これは見逃せない!」と急遽、フリークに組み込んで見物しに行った。

 もともとは室町幕府八代将軍の足利義政公が書斎として使用した部屋。
 畳で塞がれていたが、炉も切ってあり、湯を沸かして茶を喫んだのこと。
 付書院は机として使われていた。
 実際に義政公が愛用していた2本の筆(堆朱と鎌倉彫)、墨台、水滴、硯などが並べられ、まるで部屋の主がちょっと中座したかのよう。
 ひょっこり義政公が戻ってきて、付書院の前に座って筆をとって文でもしたためそうな、そんな雰囲気だった。
 (国宝級の品々を剥き出し状態で陳列していることから、同仁斎の中には入れてもらえず、隣の間から拝観するに留まった)

 この空間には村田珠光もよく出入りしていたそうで、炉を囲んで茶の湯を楽しむを2人を想像したりもした。

 付書院の隣の違い棚の上段には台天目、中段?に四方盆上に曾呂利の花入、下段に食籠が飾ってあった。
 光線の加減でどんな天目台がわからず、写真を見せてもらったところ、人形の螺鈿細工が施された豪華なもの。
 食籠の螺鈿細工はもっと手のかかったもののようだった。

 もちろん、写真撮影禁止だったので、配置を目に焼き付けるのに一苦労。
 
 『君台観左右帳記』をもとに書院飾りを再現したという。
 もらったリーフレットに絵図のコピーがあったが、今ひとつピンとこない。

 そこで、今回の情報元の新聞記事データベースを検索したところ、プレス披露時に撮影された写真つきの切り抜き記事を閲覧した。
 斜めから撮影されたものだが、充分に配置と雰囲気がわかる。

 ついでに、手持ちの資料で同仁斎について理解が深まるものはないかを探した。
 昨年購入した『よくわかる茶道の歴史』(谷端昭夫著。淡交社、2007刊)には期待した記述や図説がなかった。
 仕方なく、某資料室の書庫に入り、『週刊朝日百科 日本の歴史 15 中世2-4 金閣と銀閣』を開く。
 (この資料は復刻版も出たが、オリジナルともども既に絶版となっている)

 絵図をもう少しリアリティのある絵に再現したものが載っていた。
(拝観した配置とほぼ同じ)
 その他の解説文や画像にも目を通し、改めて茶室の原型について復習することができた。

 茶室や茶の湯の創成期に触れてみたい人にとってはお勧めしたい場所。
 (ただし、工事中の銀閣は抜きにして)
 拝観料がちょっとお高めなのと説明時間が決まっていて、所要時間は約40分あることを留意してください。

 ちなみに、創建当時は銀閣と東求堂の目の前は大きな池だったらしい。
 あの白くて硬い砂のような枯山水もなかった。
 復元図を見て、少しびっくりした。  
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好文亭の茶室

2008年03月13日 05時16分17秒 | 茶室
日本三大庭園の一つである『偕楽園』は、水戸徳川家の第九代め藩主の徳川斉昭が藩主一族のみならず、家臣や領民の遊息の場として造園した庭園だ。
園内の建物は奥御殿を含めて『好文亭』と呼ばれている。
『好文』は梅の別名だとか。
先の戦災で消失して、戦後に復元されたもの。
パンフレットの見取り図で茶室と水屋を見つけたので、中に入って見た。
ひどく混んでいて、列に並んで少しずつ進み、奥御殿から見て回る。
やっと水屋前に到達。
と、急な階段前で渋滞。
しかも、にじり口のように出入り口が低くなっているので、そこが見学ポイントだと気がつくヒトが少ない。
列を離れて、屈むようにして水屋に入る。
江戸間で一畳前後か。
なかなか、使い勝手がよさげ。
結界があり、茶室の何ろう庵へは入れず、茶道口から拝見。
たぶん、江戸間の四畳半くらい?
コンパクト。
床柱が屋久杉。←これも復元。
島津家のお付き合い度がチラッと見えた。
ぐるっと見回して、あれ?
にじり口がない。
外に出て、腰掛け待合(←やたらと贅沢な造り!)と露地から茶室を見たら、やはり貴人口のみの作り。
つくばいが小さくて、かわいい。

表側の広間は家臣や領民 と語らう場であっても、ちょっと裏に入った場所はやはり家族(つまり、高貴なヒト)にのみかな?

奥御殿や三階の楼閣も畳の縁が葵紋の刺繍で、「やはり、身分を隔てる区切りはキッチリしてるなぁ」と感心した。
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水没する茶室

2008年02月24日 10時04分52秒 | 茶室
新日曜美術館 NHK教育、PM8:00~

本日(2月24日)放映分のお題は楽吉左衛門さん。
滋賀県守山市にある佐川美術館にある水没した現代の茶室の設計から完成に至るまでのプロセスがテーマ。
朝の放送を観た。

この正月に訪れてたばかりなので、面白かった。
小間の茶室や水露地は見学できなかったけど、展示室と水面に出た茶室の外観を眺めて、「ここでの茶会やったら、楽しい だろうなぁ」と思った。
ぼんやりとしか良さがわからなかった光の入り具合や黒い切り出した石やコンクリートの打ちっぱなしの壁などに、端正な工夫と試行錯誤が凝らされていることに感動。
「現代の道具には、現代の茶室が必要」
でも、「過去の道具にも受け入れてもらって、融合できる空間を」。
確かに。

やはり、現代を生きる人間としては、ただ過去の名器を観賞するだけでは本当の茶の湯を理解しているとは言えないような気がして、並行して自分と同じ時代を生きている作家さんの道具も理解すべく努めているが、道具だけでなく茶室(空間)も考えていく必要があるかなと、改めて考えさせられた。
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茶会の会場

2008年02月05日 06時14分22秒 | 茶室
友人がお茶会の会場を探している。
今までは公共茶室に借りたり、コネ?でお茶室がある処を拝借できていたのだが、今回は一から探して正規の料金払って借りる方向。

思えば、今まで当然のように大寄せの茶会に参会して、会場の確保やコストについては無頓着だった。
客数が100名の茶会を"小寄せ"と表現する場合もあるが、それにしても一カ所に最低でも3部屋はある建物でないと、"お茶会"って、できないなぁ。

※ちなみに、私にとっての"○寄せ茶会"の定義とは、「茶席が複数あること(点心席orおしのぎ席、香煎席含む)」。
よって、画廊やお祭りの野点は単なる「呈茶席」であって、「茶会」ではない。(←あくまで、私個人の認識)

今まで伺ったり、手伝いに行った茶会の会場を反芻してみた。

・寺社が所有している茶室(と会館)
・公共施設(会館など)
・ホテル、パーティー会場(茶室と宴会場)
・茶道具を収集している美術館
・元は個人の邸宅だった家屋、庭園、料亭

まぁ、だいだいこんな感じ。

「自分でお茶会を開こう!」と思った時に、参考になる一冊がある。

『茶事・茶会・支度帖』
アシェット婦人画報社 2,000
2003年刊
 http://www1.hfm.co.jp/books/mag/?id=151

貸茶室の間取りと料金も掲載されていて、金額にビックリし、「お茶券が高いと思ったけど、場所代も含まれているなら仕方ないか」と妙に納得したりもした。

いいところが見つかるとよいな。

※今まで、いろんな会場のお茶会に伺ったので、今後はちょこちょこと思い出話も紹介したい。
コメント (1)
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