
誰もいなくなった教室って、落ち着きます。
今ここで素っ裸になって、踊りながら机の上を走り回ってみようか……
なんて衝動に駆られます。
そしてそれを隣の塔の写真部員か顧問が目撃・撮影。
「ネガを返して欲しければ、来週の月曜深夜三時、300万持って部室に来い。一人でだぞ!」
と脅され、300万なんて金はない私は、
深夜、田舎のATMを破壊することにした。
しかし苦労してこじ開けたATMにも、
現金は100万ちょっとしか入っていなかった。
証拠を消して帰宅して、
ベッドの上に100万ちょいを放り投げた。
「アイツ値下げしてくんネェかな……」
100万を前にしながらそんなことを考えていた。
あと5日で200万?
腎臓でも売れってのかよ!
しばらく頭を抱えたていたが、
普段お目にかかる機会のない大金を目の前にしていたら、
不思議なもので、だんだんどうでもよくなってきてしまった。
アイツが撮った写真なんて、
せいぜい望遠カメラで顔と裸が写ってる位の、
くだらないもんだろう。
それに、教室を全裸で踊りながら走り回る女の写真なんて、
逆にシュールで良いじゃないか。
もし大学の掲示板に貼り出されたって、
すぐに誰か、上の人が持って帰るさ。
インターネットでいくらでも変な画像が集められる今、
そんな写真がでたところで何だって言うんだ。
気づけば朝日ものぼり、
すっかり気持ちが明るくなった私は、
ほしかったワンピースや靴を思い浮かべていた。
まず留学費用に70万、
それから実家にあげる20万、
残った10万でアナスイのワンピースを買おう、
などと使い道を決めて、100万円にキッスをした。
その時、
携帯電話が鳴った。
非通知だったけれど、
写真部の奴かもしれないし、
出てやることにした。
「もしもし? あの件だったらさぁ、もう……」
「あー お姉さんお姉さん。アンタ昨日の夜、あすこのATMぶっ壊したでしょ?」
つづく